「インターネット広告創世記〜Googleが与えたインパクトから発展史を読み解く~」

杓谷
『インターネット広告創世記』について
電通の『日本の広告費』の調査によれば日本のインターネット広告費は、2021年にテレビ・新聞・雑誌・ラジオの「マスコミ四媒体」を初めて追い抜き、日本の総広告費の約半分を占める最大の広告媒体となりました。インターネット広告費の調査が始まった1996年からわずか20数年で社会経済の中核へと急成長した一方、詐欺広告やプライバシー問題といった課題も山積しており、その信頼性の確立が急務となっています。
インターネット広告が日本人にとって「最も身近な広告」となった今、インターネット広告がどのような仕組みで動き、なぜ現在のような形に辿り着いたのかを広く共有することは、これからのインターネット空間の健全な未来を築くために不可欠だと考え、本連載を企画しました。
本連載では、インターネット広告市場の約9割を占める「運用型広告」の仕組みを確立し、業界標準を作ったGoogleに焦点を当て、インターネット広告の歴史を振り返ります。ナビゲーターには、Googleの日本法人初期メンバーとしてGoogle広告の黎明期を指揮した佐藤康夫さんを迎え、総勢27名の当事者による貴重な証言を収録しました。単なる年表形式の記録ではなく、現場の熱量を伝える「大河ドラマ」のような物語として、インターネット広告がいかに発展し、社会を変えてきたかの核心に迫ります。
第1部インターネット広告登場前夜編 1982年〜1996年
インターネット広告の歩みを正しく理解するには、歴史の転換点となった出来事の前後の様子を描き出すことが必要です。また、本連載のナビゲーターを務める佐藤康夫さんの視点をより深く共有していただくためにも、まずはインターネット広告が誕生する前の広告業界がどのような姿だったのか、そこから物語を始めていきたいと思います。
第1部は、佐藤さんが旭通信社(現ADKホールディングス)に入社された1982年から物語がスタートします。「大手総合広告代理店」が主導した伝統的な広告業界のビジネスモデルの最盛期から、インターネット広告市場が本格的に立ち上がる1996年までを、一人の広告人の歩みを通して描き出します。
第1部インターネット広告登場前夜編 1982年〜1996年
- [第1部 - 第0話]インターネット広告創世記 ~Googleが与えたインパクトから発展史を読み解く~連載開始。
- [第1部 - 第1話]1982年に旭通信社への入社をきっかけに広告業界へ
- [第1部 - 第2話]「旭通信社」が大手代理店と肩を並べられた理由と中村局長との出会い
- [第1部 - 第3話]イタリアプロジェクトとバブル崩壊の余波
- [第1部 - 第4話]イギリスから送られてきた謎の小包と「アップルコンピュータ」との出会いパソコン通信「NIFTY-Serve」
- [第1部 - 第5話]「AOL」の普及とインターネット商用化解禁
- [第1部 - 第6話]1993年11月、日本でインターネット商用利用が解禁
- [第1部 - 第7話]「決定」したけど「収容」できない!? メディアバイイングの面白さと難しさ
- [第1部 - 第8話]大手出版社と直接取引できるようになるのは”来世紀中”は無理!?
第2部メディアレップ編 1996年〜2001年
1996年、大手総合広告代理店が中心となってインターネット広告を専門に取り扱う広告会社「メディアレップ」が誕生し、日本のインターネット広告市場が本格的に立ち上がりました。第2部では、未知の領域に挑んだ先駆者たちの足跡を辿りながら、Googleが日本に上陸する直前までの黎明期特有の熱気と山積する課題を浮き彫りにしていきます。
第2部メディアレップ編 1996年〜2001年
- [第2部 - 第9話]メディアレップ「CCI」「DAC」の誕生とインターネット広告市場の幕開け
- [第2部 - 第10話]深夜0時にランチに誘う!? とにかく忙しかったメディアレップの仕事
- [第2部 - 第11話]二重のコミッション構造と、増していくNTTグループの存在感
- [第2部 - 第12話]MSNの「今日の特集サイト」とインターネット専業広告代理店の台頭
- [第2部 - 第13話]インターネット・バブルの到来! 「ディズニー/エキサイト/ライコス」の日本市場参入と「ネットエイジ」
- [第2部 - 第14話]「アドネットワークとアドサーバー」の登場:トランスコスモス主導のダブルクリックジャパンの事業展開
- [第2部 - 第15話]NTTドコモの「iモード」サービス開始と「キャリアレップ」の設立 何としてもJAAAの会員にならねば!
- [第2部 - 第16話]20日連続ストップ安! 米国のインターネット・バブル崩壊と楽天によるInfoseek Japan買収
- [第2部 - 第17話]2001年、Google日本語版サービス開始「なんだこの空白だらけのサイトは!」
第3部検索連動型広告編 2001年〜2007年
2002年、Googleの「AdWords」とOvertureの「スポンサードサーチ」が、ついに日本市場への上陸を果たしました。第3部ではYahoo! JAPANという巨大な舞台で繰り広げられたGoogleとOvertureによる前代未聞のA/Bテストを通じて、検索連動型広告の画期的なメカニズムと、Googleの検索連動型広告の「一体何が優れていたのか」を浮き彫りにしていきます。
第3部検索連動型広告編 2001年〜2007年
- [第3部 - 第18話]検索語句はエロワードだらけ!?「ディレクトリ型」と「ロボット型」の検索エンジン
- [第3部 - 第19話]Googleの「プレミアム・スポンサーシップ広告」はメディアレップを通さないという決断の意味
- [第3部 - 第20話]「こんなもの売れません!」わずか数名で始まった「Google AdWords」の日本市場進出
- [第3部 - 第21話]「GoTo.com」がBtoBに舵を切って設立した「Overture」の華々しい船出
- [第3部 - 第22話]Yahoo! JAPANを舞台にスポンサードサーチとAdWordsのA/Bテストがスタート
- [第3部 - 第23話]Overtureの「マネージメントフィー」の導入と「推奨認定代理店協会」の設立
- [第3部 - 第24話]最低入札価格の値下げが創出した「広告のロングテール市場」
- [第3部 - 第25話]Yahoo! JAPANを巡るOvertureとGoogleのA/Bテストは意外な結末へ
- [第3部 - 第26話]「Google AdWords」が変えた既存の広告モデルと「Overture」の躍進と苦悩
- [第3部 - 第27話]「AdSense」が重要な役割を果たした「Googleニュース」と新聞社の駆け引き
- [第3部 - 第28話]Maxさんが始めた広告の「運用」とインターネット専業広告代理店の躍進
- [第3部 - 第29話]世界最大の広告会社WPPグループ総帥マーティン・ソレル卿との出会い
- [第3部 - 第30話]「グレーゾーン金利」の撤廃とライブドアショックでもたらされた暗雲
- [第3部 - 第31話]マーク・ザッカーバーグも登場した「ザイトガイスト」で電撃的に発表されたYouTubeの買収
- [第3部 - 第32話]広告業界全体に大きな影響を及ぼした消費者金融業界再編と日広のGMO傘下への顛末
- [第3部 - 第33話]新時代への号砲 - スティーブ・ジョブズの「iPhone」発表とGoogleによる「DoubleClick」の買収
第4部スマートフォン編 2007年〜2021年
第4部で描き出すのは、Googleが確立した広告モデルの「モバイルシフト」と、業界全体への波及効果です。同社は米DoubleClickやYouTubeなどのM&Aを通じて外部の卓越したテクノロジーを統合し、デバイスの変遷に合わせて広告の最適解を再構築しました。また、Google出身のタレントたちがFacebookやTwitterなどへ移籍したことで、培われた知見や手法が「業界の標準」として移植され、今日のデジタル広告市場が完成していく様子を明らかにします。
第4部スマートフォン編 2007年〜2021年
- [第4部 - 第34話]ドコモの「iモード」とauの「EZweb」で表示されたガラケー時代の検索連動型広告
- [第4部 - 第35話]「Google Video」から「YouTube」へ - YouTubeが登場した頃の動画広告の風景
YouTube
- [第4部 - 第36話]テレビもYouTubeも“最初のスポンサー”は東芝だった――YouTube広告の知られざる立ち上げ秘話
- [第4部 - 第37話]2010年、Yahoo! JAPANの検索広告でGoogle採用――Overtureとの8年にわたる激戦に終止符
ナビゲーターの佐藤康夫さんGoogle退任
プログラマティック広告
- [第4部 - 第39話]「検索連動型広告」が変えた「予約型ディスプレイ広告」の価値とAdWordsにCookieが導入された意義
- [第4部 - 第40話]リーマンショックをきっかけにプログラマティック広告(DSP・SSP・DMP)が登場
- [第4部 - 第41話]ディスプレイ広告の効果を劇的に向上させた「Criteo」の衝撃とデータフィード広告の登場
SNS - Facebook・Twitter
- [第4部 - 第42話]SNSの収益化はGoogleが教えた!? FacebookとTwitterを成功に導いたGoogle出身者たち
- [第4部 - 第43話]シェリル・サンドバーグがFacebookに持ち込んだGoogleの成功体験「インターネット広告の黄金律」
- [第4部 - 第44話]「インフィード広告」の先駆け「FeedBurner」とSNS広告への系譜
- [第4部 - 第45話]Google出身者たちが牽引したTwitter広告「プロモアカウント」「プロモツイート」「プロモトレンド」
- [第4部 - 第46話]TwitterとFacebookが影響を与えたYouTubeの広告ビジネスと広告代理店の立ち位置
モバイルシフト
- [第4部 - 第47話]携帯電話からスマートフォンにシフトしたモバイル広告と「AdMob」の買収が加速させたアプリ広告の成長
- [第4部 - 第48話]YouTube「TrueView広告」と「FIVE」から読み解くスマートフォン時代の動画広告
- [第4部 - 第49話]インフルエンサーマーケティングの登場で曖昧になり始める広告とコンテンツの境界
- [第4部 - 第50話]モバイルファースト時代の到来 - 複雑化する広告運用にAIで立ち向かう
- [第4部 - 第51話]「AdRoll」と「来店コンバージョン」に見るインターネット広告に紐づき始めた新しいデータ
- [第4部 - 第52話]2021年インターネット広告費がマスコミ四媒体(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)の広告費を追い抜く
- [第4部 - 第53話]インターネット広告の今後の行方はAIに「愛」が実装できるかが鍵に
- [第4部 - 第54話]AIという前例なき時代に必要なのは「教育」ではなく「学び」である
本連載はこれまで「Googleの視点」で歴史を辿ってきましたが、大手総合広告代理店の視点に立つと、そこには全く別の物語が見えてきます。特別編では、メディアレップCCIやD2Cの立ち上げに尽力した藤田明久氏の歩みを紐解きます。インターネット広告がマスコミ四媒体を凌駕した今、先駆者が培った知恵や教訓には、私たちが学ぶべき多くのエッセンスが凝縮されています。前例のないAI時代を前に、これからの広告のあり方を探る指針として、伝統的な代理店が築いた「知の集積」に改めて耳を傾けます。
インターネット広告が歩んできたこの二十数年の軌跡は、単なる技術革新の記録ではなく、多くの先駆者たちが「広告の可能性」を信じて挑み続けた情熱の物語でもあります。私たちが毎日目にするインターネット広告の裏側には、常に新しい価値を模索し、時には壁にぶつかりながらも未来を切り拓いてきた現場の熱量がありました。
今、AIという未知の領域へと足を踏み入れる私たちは、再び大きな転換点に立っています。テクノロジーがどれほど進化しようとも、広告の核心にあるのは「信頼」に他なりません。本連載に刻まれた歴史の断片が、これからのインターネット空間をより豊かで健全なものにするための確かな道標となることを願っています。
2026年1月15日をもちまして、本連載は無事に完結いたしました。これまで温かく見守り、並走してくださった読者の皆様に、心より感謝申し上げます。連載中に設けておりました情報提供フォームも、あわせて受付を終了いたしました。
現在、2026年6月の刊行を目指して書籍化の準備を進めております。さらにパワーアップした内容を皆様にお届けできる日を、どうぞ楽しみにお待ちください!
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