京都の老舗米屋を母体とし、2006年に設立された「八代目儀兵衛」。設立当初からお米の通販、なかでもギフト需要にいち早く着目し、「内祝い」や「香典返し」といったニーズを捉えた商品で支持を広げてきた。京都の世界観を活かした色とりどりの風呂敷包みなど、華やかな包装と確かな品質で人気を博している。
同社は、これまでコンテンツSEOなどさまざまな施策を行いEC売上を伸ばしてきたが、Googleの「AI Overviews(AIによる概要)」が多く出現するようになったタイミングで自社に関連する内容で検索してみたところ、従来の検索結果では上位を取っているにもかかわらず、AI Overviewsには自社名が表示されていないことに気がついた。
生成AIが急速に消費者行動を塗り替えていくなか、「いち早く手を打たなければ」との危機感から助けを求めたのが、GEO対策・診断ツール「ミエルカGEO」を提供するFaber Companyだった。
Faber Companyのアドバイスによって、八代目儀兵衛のサイトはどのように変わっていったのか。八代目儀兵衛でマーケティングを統括する神徳昭裕氏と、同社の分析・改善を担当したFaber Companyの月岡克博氏に話を聞いた。
(右)株式会社Faber Company 執行役員 月岡克博氏
“町の米屋”からお米ギフトブランドへ
京都で江戸時代から続く米屋の八代目を継いだ橋本儀兵衛氏。だが、地域密着型の“町の米屋”の商圏は限られている。従来のビジネスモデルでは、規模で勝るスーパーマーケットと同じ土俵で戦うのは分が悪かった。そこで橋本氏は、ECに活路を見出し、2006年に「八代目儀兵衛」を立ち上げた。
八代目儀兵衛は、飲食店向けの卸事業や直営店、中食、海外、ソリューション事業など、さまざまな事業を展開しているが、総売上の約60%をEC事業が占めている。そのEC売上の9割が「お米ギフト」によるもので、特に結婚祝いや出産祝いなどのお返し(内祝い)需要が高いという。
お米は老若男女問わず好き嫌いがない主食であり、“いただいてもうちでは食べない”ということがほぼ起こりえない。さらに昨今では、猛暑による供給減や、インバウンド需要の拡大などが重なり、「令和の米騒動」と称されるほど米価が高騰した。お米は、“もらって嬉しいギフトアイテム”としての価値が高まっているのだ。

AI Overviewsに自社が出ない! 新規顧客との接点を失う死活問題?
これまで八代目儀兵衛は、オウンドメディアや検索広告に力を入れてきた。結婚祝いや出産祝いをもらって、内祝いを返す機会は人生においてそう多くはない。ギフト需要が発生したタイミングで検索され、そのまま購買につながるケースがほとんど。短いスパンでのリピート購入はあるにせよ、ほとんどが新規顧客だ。つまり、需要が発生したタイミングでいかに顧客と接触できるかが、ビジネスの明暗を分ける。
大きな変化が訪れたのは、2025年3月頃からGoogleの検索結果に表示され始めた「AI Overviews」の登場によってである。SEOに力を入れていた八代目儀兵衛は、それまで多くのキーワードで検索上位を獲得しており、サイト訪問の大部分は検索からの流入だった。にもかかわらず、AI Overviewsでは、なぜか八代目儀兵衛の名が出てこない。ChatGPTやGeminiなど、他の生成AIの出力結果でも同様だった。
さらに追い打ちをかけたのが、SEO目的で蓄積してきた“お役立ちコンテンツ”のセッション減少だった。「香典返しのマナーは?」「男性も喜ぶ実用的なギフトは?」といった疑問は、検索結果から自分で正解を探すよりも、生成AIに教えてもらったほうが圧倒的に楽で速いということも影響として考えられる。
消費者の検索行動が急速に変化しているのを感じ、「いずれ死活問題になるのではないか」と危機感を持った神徳氏は、Faber Companyの月岡氏に相談した。
月岡氏は、当時をこう振り返る。「GEO(AI検索最適化)に特化した施策は、ほとんど存在しません。GEOはあくまでSEOの延長線上にあるものと捉え、闇雲に手を打つのではなく、まずは現状を正しく把握するための調査から始めましょう、と提案しました」。
200以上のプロンプトでAIの回答傾向を定点調査
八代目儀兵衛のAI検索上での現状を把握するために、月岡氏がまず行ったのは、Google Search Consoleのパフォーマンスレポートから主要な検索クエリを抜き出すことだった。
次に、「この検索クエリが存在するのであれば、ユーザーが生成AIに質問するならこういうプロンプトになるのではないか」と仮説を立てながら、200個以上のプロンプトを設計した。
続いて、それらをChatGPTとGeminiに入力し、八代目儀兵衛や、競合となるカタログギフトなどのブランド名が、それぞれどのくらい言及・引用されているかツールを用いて調査していった。
具体的には、「出産祝い 10万円 お返し」という検索クエリなら、「出産祝いで10万円もらったんだけど、お返しは何がいい?」といった具体的なプロンプトをChatGPTやGeminiに入力して、八代目儀兵衛や競合ブランド名がどれぐらいの頻度で出現するかを調べていくというわけだ。
結果は、神徳氏の事前の体感通り、八代目儀兵衛の名前や商品名は、生成AIの出力結果にほとんど出てこなかった。一方で、ギフト需要における競合にあたるカタログギフトはかなりの露出があったという。

「お米のプロ」として生成AIに認識されるために
現状把握ができたところで、次にどんな施策を打つことにしたのか。神徳氏が最も優先度が高いと考えたのが、「自社をどのような企業・ブランドとしてAIに認識してもらいたいのか」を定義して、それを打ち出していくことだった。
月岡さんから、「お米のプロ」や「通販ギフトの専門家」という企業の立ち位置をもっと前面に打ち出していくべきだ、と助言をいただきました。これまでは「八代目儀兵衛」というブランド認知の向上に注力するあまり、実はWebサイト内に「ギフトに最適」といった基本的なことすら言及していなかったんです。ギフトっぽい写真やリンクはあるものの、言及が弱かった。これではAIが認識できなくて当たり前ですよね(神徳氏)
月岡氏のアドバイスを受け、神徳氏が行った施策は、大きくわけて下記の3つだ。
① ギフトサイトとしての明確な言及
まず神徳氏は、全ページを見直し、「お米のギフト」や「内祝いを贈れるサイト」といった具体的な価値を言及するようにサイト内コンテンツを修正した。これはAIに対する「機械可読性」を高めることも意識した。
② 調査リリースの発信
また、「お米のプロ」としての権威性を発信するため、以前から蓄積していた顧客アンケートを調査リリースとして公開することにした。実際に『「米不足」「高騰」により、レビューでの言及率が2年で15倍に急増。お米ギフトは「気持ちを伝える贈答品」から「家計を助ける実用品」へ』というプレスリリースを出した際には各種メディアにも多く取り上げられるなど、デジタル上でのサイテーション(言及)を増やすことにもつながった。
③ レビューを目的別に分け、リンクを設置
さらに、第三者によるレコメンドやクチコミも重要な指標になるだろうというアドバイスのもと、自社ECのレビューにも手を加えた。
従来は、すべてのレビューを1つのページにまとめて並べた一覧ページがあるのみだったが、本来、出産内祝いを贈りたい人は出産内祝いのレビューだけを見たいはずだ。そこで、目的別にレビューを切り分け、トップページからも各レビューに飛べるリンクを設置した。
こうしたサイトの権威性や専門性を高める施策を重ねた結果、神徳氏の肌感覚ではあるが、生成AIの回答内に八代目儀兵衛の名が出ることが着実に増えてきており、AIからの流入によるコンバージョン、売上も増えているという。
Faber Companyによる定量的な計測は今後実施予定だが、すでに顧客アンケートでは「生成AIで知った」と回答する人がちらほら出始めていることを見ると、「確かな手応えを感じている」と神徳氏は微笑む。
GEOはSEOの延長線上にある
そして、これらのGEOを意識した施策は、直近のSEO効果も狙ったものが多い。実際に、ギフト系のキーワードで検索順位が上がり、そのトラフィックからの売上へのインパクトも大きいという。
つまり現状では、「GEOにも効果がありそうな施策で、直近のSEOにも効く施策」を実施することが肝要と言える。
生成AIがものすごいスピードで進化しているなかで、生成AI検索だけを狙った施策を打っても、成果が出るかどうかは一か八かになってしまうし、売上などの成果へのインパクトが薄い可能性もあります。今すぐ何か手を打ちたいなら、直近でSEOにも効くし、将来的にはGEOにも効く可能性のある施策を打つのが、最も投資対効果が高いでしょう(月岡氏)

「◯◯をすればいい」は嘘。GEOは信頼できるパートナー選びから
ところで、SEO目的で蓄積してきた“お役立ちコンテンツ”のセッションが、AI検索の台頭によって減少したことで、売上への影響は出ていないのだろうか。
神徳氏は「セッションが減少しているのは事実です。コンテンツ系のPVは10%ほど下がったでしょうか。しかし、売上への影響は出ていないどころか、需要増という外部要因はあるものの前年比120%程度のペースで成長を続けています。」と答える。
だいたい他のお客様も同じ傾向です。AI検索で事足りてしまうことの多い「How-to系」や「~とは系」の記事のセッションは落ちていますが、そうしたコンテンツはもともと直接的な売上やコンバージョンにはつながりにくい。結果として、セッションが減っても直近の売上や問い合わせ数は変わらない、という企業がほとんどです(月岡氏)
しかしもちろん、直接的に売上へのインパクトがないからといって、対策が不要なわけではない。消費者の検索行動が大きく変化しつつあるのは明らかであり、いずれAI検索対策は必要になっていくだろう。
とはいえ、焦りのあまり、おかしな業者に飛びつくことのないようにしたい。いま、多数の業者がGEOやLLMOを謳っているが、特に「◯◯をやれば生成AI検索対策になります」という提案をする業者には要注意だ。生成AI検索の日々の進化はものすごく速い。今日効いた施策が明日も同じように効くとは限らない。にもかかわらず、「◯◯すればいい」などと提案してしまう業者を信じるのはリスクが高い。
だからこそ神徳氏は「事業者側にもリテラシーが求められます。生成AI検索対応の正解がわからない現状では、いろいろな人に話を聞きながら、信頼できるパートナーをいち早く見つけることが大事です。我々は色々な情報発信を見ていてFaber Companyさんを信じると決めたので、言われたことを着実にやっていこうと思っています」と強調する。
AI時代に不可欠なのは「ブランドで検索をつくる力」
さて、今回、八代目儀兵衛が最初の一歩として行ったのが「現状把握」だ。Faber Companyが提供する「ミエルカGEO」なら、ChatGPTやGemini、AI Overviewsにおける自社の露出状況を計測できる。
もちろん、検索ワードからプロンプトを逆算して生成AIで検索すれば、個人でも似たような検証は可能だ。しかし、生成AIは過去の対話履歴から学習するため、モニタリングの際には都度リセットし、常にプレーンな状態で検証しなければならない。
加えて、生成AIは確率的に回答を生成するため、同じプロンプトでも毎回同じ結果が出るとは限らない。「領域によるが同じプロンプトを10回入力して、同じブランドが10回とも出現する確率はわずか数%ほど」(月岡氏)だという。そのため、露出状況を正しく測定するためには、一度試して「出た/出なかった」を確認するだけでは意味がなく、複数回の検証を行い、統計的に傾向を把握する必要がある。
こうした膨大な作業を手作業で行うのは現実的ではない。たとえば、今回のように200のプロンプトを10回ずつ試すだけでも計2000回の入力が必要だが、毎回履歴をリセットし、自社だけでなく競合他社のブランド名の言及や引用も確認し、どのページが情報源として参照されているかまで調査するとなると、とても人力で対応できるものではないだろう。
Faber Companyさんは数多くの会社のSEO支援をされてきているので、検索ワードからプロンプトを逆算するスキルも高いですし、最新の技術動向も把握しています。ノウハウがないまま自社で調査作業をする意味はないでしょうね(神徳氏)
そんな八代目儀兵衛が次に目指すのは、生成AIに聞かずとも、ギフト需要が生まれた瞬間に指名検索される「ブランド力の強化」だ。そのためにSNSなど新たなチャネルでの認知拡大にも挑戦していくという。
最後に神徳氏は、同じ悩みを持つマーケターに向けてこうエールを送った。「生成AIの登場により、これまでの戦略の見直しを迫られています。今はまだ影響が小さくとも、AI検索への対応はいずれ必要になっていくものです。Faber CompanyさんのGEOレポートはとてもわかりやすくて有益なので、まずはそれだけでも試してみる価値はあると思います。そのレポートをもって社内で必要性について議論するところからスタートじゃないでしょうか」。
Faber Companyの提供する「ミエルカGEO」は、チャット型生成AIやGoogleのAI Overviewsにおける、自社・商品・サービス・ブランドなどの露出状況を計測・分析し、改善施策を立案・実行するPDCAサイクルを実現するサービスだ。
- AI検索にどう対応をするべきか悩んでいる
- AI検索、AI Overviews上での自社の露出状況を知りたい
- AI検索からの流入状況やコンバージョンを確認したい
- 自社と競合を比較して分析したい
- 何をどう対策するべきかアドバイスが欲しい
ツールだけではなくスポットAI検索対応診断や月次コンサルティングも対応可能。ツール無料トライアルや無料相談から実施している。上記のような悩みをもつ担当者は、「ミエルカGEO」を検討してみてはいかがだろうか。
