「AI時代にSEOはもう不要なのではないか?」——そんな疑問を抱く人は少なくない。しかし、結論は逆だ。AI時代だからこそSEOの重要性は高まっている。
本記事では「デジタルマーケターズサミット 2026 Winter」に登壇した、アユダンテ株式会社の江沢氏と高橋氏のセッションからその理由を深掘りしていく。本記事は前編・後編に分け、前編は江沢氏による解説に加えて、高橋氏がAI時代の検索ジャーニーの重要性やコンテンツの改善方法など実践的な内容を解説した。 後編は江沢氏によるAIクローラーの挙動をサーバーログから読み解く方法などテクニカルSEOを紹介する。
AIにもSEOが有効なのは本当か?
まず、江沢氏は「検索」に関する3つの主なタッチポイントを整理した。
- 1つ目はGoogle・Yahoo!・Bingなどの「従来の検索エンジン」
- 2つ目はChatGPT・Gemini・Copilot・Perplexityなどの「生成AI」
- 3つ目はGoogleの「AI Overviews」や「AI モード」
このうち、「従来の検索エンジン」とGoogleの「AI Overviews」や「AI モード」に効くのはSEOであるが、「生成AI」には何が効くのだろうか。
- データの収集&学習→クローリング・レンダリング、内部リンクが効果的
- 検索ニーズ理解→検索ニーズ・キーワードが効果的
- 回答となる情報→コンテンツが効果的
- 引用や推奨→外部要因が効果的
生成AIに大事なことを4つ列挙したが「結局、すべてSEOであることがわかる」と江沢氏。加えて、生成AIは、すべての質問に学習済みデータだけで答えるわけではなく、最新情報やニッチな話題に対しては、「RAG(ラグ:検索拡張生成)」という仕組みで外部情報を参照する。その主な参照先の1つはGoogleの検索結果だ。つまり、Googleにインデックスされ、正しく評価されていなければ、AIの回答ソースにすら選ばれない。
これらを踏まえると、やはりAI検索対応においてもSEOは重要であり、SEOをしっかりやることが結果的にAI検索対応につながると言えるのだ。
AI時代だからこそユーザーファーストを貫こう
続いて登壇した高橋氏は、「AIの普及で情報取得の手段は変わっても、ユーザーの意思決定プロセス(思考フロー)の本質は変わらない。AI時代でもユーザーファーストは変わらない」と強調する。現代のSEOでは、単なるキーワードの一致ではなく、ユーザーの「背景」や「文脈」に寄り添った「検索ジャーニーの最適化」の重要性がより一層高まっている。
「フルリフォーム」というテーマを例に、検索ジャーニーの最適化を考えてみる。
まずは、実際のユーザー、もしくは営業やCSにヒアリングを行うことが重要である。その結果をもとに、「検索の背景」と「最終的なゴール」を定めたものが、以下のジャーニーだ。
「検索の背景」と「最終的なゴール」を明確に!
次は具体的な施策に落とし込んでいく。高橋氏が挙げた3つの施策を順に見ていこう。
施策1検索ジャーニーを軸にした「キーワード選定」
従来の手法では、メインのキーワードを軸に、意味的な関連性で言葉を広げていく、いわゆるトピッククラスターモデルが主流だった。しかし、これからはユーザーの検索ジャーニーに沿ってキーワードを広げていく必要がある。
ユーザーが「情報収集フェーズ」から次のフェーズに進むには、どんな情報が必要だろうか。たとえば、「フルリフォーム とは」「フルリフォーム 費用」「フルリフォーム デメリット」といったキーワードの検索だけでなく、まだフルリフォームをする決意が固まっていなければ、「建て替え 費用」「建て替え フルリフォーム どっち」といった検索も行うだろう。「フルリフォーム」というキーワードだけにとらわれてしまうと、建て替えと比較している状況に気づけない。
とはいえ、リフォームのサイト運営者目線では、「建て替え」関連のキーワードを対策しても、検索順位が上がらないのでは? というのが気になるところ。この疑問に対し、高橋氏は次のように述べた。
最近は、検索エンジンがユーザーの背景を汲み取る傾向が強まっているようだ。「建て替え 費用」の検索結果を昔と比較してみると、直近ではリフォームのサイトも上位に入ってくるようになっている(高橋氏)
施策2検索の背景とゴールを踏まえた「コンテンツの構成」
施策1を踏まえた上で、実際に「フルリフォーム 費用」のコンテンツを制作するシーンを想定してほしい。
フルリフォームにかかる費用や費用の抑え方にフォーカスしたコンテンツを作りがちだ。しかし、ユーザーがフルリフォームと建て替えで迷っている背景を鑑みると、それだけでは不十分であり、加えて、建て替えとの費用を比較検討できる情報も必要になってくるだろう。
ユーザーの背景やゴールを踏まえたコンテンツを提供することで、検索順位にどんな影響があるのだろうか。高橋氏は検索結果を去年と今年で比較した、以下の図を示した。
さまざまな要因があるとは思うが、検索の背景とゴールを踏まえたコンテンツのほうが、今は評価されやすくなっているように思う。最近は「建て替え」のことにも触れているコンテンツの順位が大きく上昇している一方、リフォームの内容のみに終始したコンテンツは順位が下落傾向にあった(高橋氏)
なお、検索ジャーニーの理解に役立つツールを2つ紹介した。
- DS.INSIGHT:LINEヤフーが提供。ユーザーが検索したキーワードを時系列で把握できる(有料)
- Qforia(クエリファンアウトシミュレーション):クエリファンアウト※で分類されるサブクエリを調査できる
※クエリファンアウトとは:クエリ(検索キーワード)を複数の関連サブクエリに分解して、包括的に調べる仕組み。Googleが提供するAI OverviewsやAIモードの回答生成に使われている技術。
こうしたツールを活用してユーザーの「検索の背景」をつかむことは、今後のコンテンツ構成や、よりユーザーに刺さるタイトルを考えるうえで大きなヒントになるだろう。
施策3ユーザー行動を最適化する「ページの画面設計」
画面設計とは、「ページ内に要素やパーツを、どうレイアウトするか」のこと。Googleはコンテンツの内容だけでなく、ユーザー行動を評価して検索結果の順位に反映している。たとえば、検索結果でクリックされた後に、そのままサイト内を回遊すると「goodClicks」として高評価されるが、すぐに検索結果に戻ってしまうと「badClicks」として低評価につながる。
そのため、ユーザーが目的を達成しやすく使いやすいページにすることが極めて重要なのだ。特に効果的な施策として、高橋氏は次の3つを挙げた。
- 検索結果のCTRを上げるために、titleとdescriptionを見直す
- ユーザーを検索結果に直帰させないように、ページのファーストビューを改善する
- ユーザーの次の行動をスムーズにするために、内部リンクやCTAを見直す
画面の改善事例(リフォーム会社の事例ページ)
リフォーム会社の事例ページで、上記の3つの改善を行ったところ、改修前と比較すると、検索結果のCTRは166%向上、直帰率は-14.6ポイント改善、フォーム到達率は183%向上し、結果的に検索結果も16位→3位になった。
まず、titleとdescriptionを見直ししたことで、検索結果で表示される内容が下記図のように変わった。「実例集」と入れることで、事例の豊富さをアピールし、事例ページがどのようなページなのかをわかりやすく表現したことでCTRや直帰率に好影響があった。
次に、検索結果から飛び先ページのファーストビューの改善だ。リフォームの事例ページを見にくるユーザーは、画像を見たいニーズが強い。改善前は、説明文がファーストビューを占め、画像が見えていない画面構成だった。説明文は最低限にし、いち早く画像を見られるようにした。さらには、人気タグや事例件数の追加によって豊富な情報があることを示し、金額情報を目立たせるといった改善を行った。
一つひとつの施策は、何も特別なことではない。ユーザーがサイトを訪れた理由を考え、ユーザー体験を向上する工夫を重ねることで、ユーザー行動に良い変化が出てくる。その結果、検索エンジンにも評価され、順位の向上にもつながっていく(高橋氏)
続いて高橋氏は、一問一答形式で、ページ画面設計に関するよくある疑問に回答していった。
Q. 対策キーワードは、title・description・hタグにしっかりと入れたほうがいい?
- AIでは→「〇」
- SEOでは→「〇」
AIでもSEOでも両方とも入れたほうがいい。それぞれの役割をしっかりと把握し、対策キーワードを入れることで、ページのわかりやすさにつながる。
- title = このページの主題は何か?
- description = このページの内容は何か?
- hタグ(見出し) = この章や段落の内容は何か?
SEOとAIの違いは、ユーザービリティである。AI観点ではユーザビリティを考慮する必要はないが、SEOにおいては人間にとってわかりやすいことが重要だ。検索結果のクリック率にも影響が出るので、キーワードを使いながら伝わりやすい工夫をすることが必要。
特に気を付けたいのがhタグだ。対策キーワードをhタグに繰り返し使いすぎているケースは非常に多い。ユーザビリティを損ねてしまうと、結果的に順位下落につながることもあるので注意が必要だ。
Q. 内部リンクは大事なのか?
- AIでは→「〇」
- SEOでは→「〇」
AIも検索エンジンも、リンクをたどって情報を取得している。AIの場合は、JavaScriptで実装されているリンクを認識できない場合もあるので、注意が必要だ。この点に関しては後編で詳しく解説する。
一方SEOにおいては、内部リンクはクロールだけでなく評価にもつながる重要な要素だ。内部リンクが集まっているページは、サイト内で相対的に重要度が高いページだとみなされやすい。そしてAIと異なるのは、やはりユーザビリティの観点だ。単に内部リンクを置けばいいというものではなく、ユーザーにとってクリックされやすい配置や工夫が欠かせない。
まとめ:AI時代こそ、ユーザーファーストが大事
最後に高橋氏は、次のように述べ後編の江沢氏にバトンタッチした。
ユーザーの検索手段・体験は変化し続けているが、意思決定までの思考フローは大きく変わっていない。SEOでは検索の背景や文脈まで評価されるようになっているため、検索キーワードだけでなく、検索ジャーニーに着目して最適化を。ユーザー行動の改善につながる改修も有効(高橋氏)
後編はこちら
- この記事のキーワード

