2025年は検索に多くの変化があったため、この業界についていくのが大変だった。
マーク・ウィリアムズ=クック氏は、これらの変化を注視してきた。今回のQ&Aセッション「AMA」(Ask Me Anything:何でも聞いて)では、誰もが知りたがっている次の3つの疑問について、同氏が回答する:
- クリック数の減少
- 新たな生成エンジン最適化(GEO)戦術
- 2026年の成功に不可欠となる検索スキル
具体的な質問は、次の10個だ。順に見ていこう:
- 質問1. グーグルは、「AIによる概要」によって「クリックの質が向上した」と言っている。これは誇張された宣伝文句にすぎないのか、それともデータから何か別の証拠が見て取れるか?
- 質問2. Chromeのデータは、グーグルの独占状態と収益性にどれほど寄与しているか?
- 質問3. 多言語クエリに対するLLMの検索順位について、見解を聞かせてほしい。
- 質問4. 生成AIが無限に文章を作成できる2026年において「質の高いコンテンツ」とはどのようなものか?
- 質問5. AIやPAAの結果でのビジビリティを高めるために、動画は今や必須のSEO戦術か?
- 質問6. 私たちは回答エンジンの脅威を過大評価しているのか、それとも慢心するのは危険か?
- 質問7. 変化が激しい状況、経営陣にSEOの価値を伝えるとき、何を強調するべきか?
- 質問8. 2025年の検索トレンドで、まったく馬鹿げていると思うものは? 代わりに注目すべきものは?
- 質問9. コミュニティ(フォーラム、Discord、Slack)を構築するのは、検索競争でのリスクヘッジとして賢いやり方になる?
- 質問10. 2026年に優位に立つために、SEO担当者が今すぐ学び始めるべき検索スキルやツールはあるか?
AIにおけるビジビリティとグーグル検索
質問1 グーグルは、「AIによる概要」によって「クリックの質が向上した」と言っている。これは誇張された宣伝文句にすぎないのか、それともデータから何か別の証拠が見て取れるか?
グーグルによると、AIによって次のような変化があったという:
検索数は増加しており、2024年から2025年にかけてクエリ数は約20%増えたが、オーガニック検索によるクリック総数は「比較的安定している」。
つまり、検索1件あたりのクリック数は減少しており、特に「AIによる概要」が質問に直接回答するインフォメーション(情報収集)型クエリで、この傾向が顕著だ。
グーグルの主張を読み違えてはいけない:
- 「クリックの平均的な質が向上した」と言っている
- 「すべてのクリックの質が向上した」と言っているわけではない
実際、全体のクリック数は減少している。
とはいえ、得られるクリックは「より価値が高い」可能性がある。これをうまく言い換えれば、次のようになる:
トラフィックは増えていないが、そうした状況の中で得られるトラフィックは質が向上した
したがって、この言い方にはたしかに誇張された宣伝文句の側面もある。
質問2Chromeのデータは、グーグルの独占状態と収益性にどれほど寄与しているか?
独占禁止法違反の裁判では、「売却を命じるほど影響力が大きい」とは認められなかった。ChromeのデータはおそらくSEOよりもPPC(Pay Per Click)で、主にユーザー行動のプロファイリングにおいて大きな役割を果たしているのだと思う。
僕が注目したのは、「司法省の裁判」と「グーグルの内部文書流出」の間での整合性だ。ChromeがURLの人気スコアを渡しているとの言及があった。だがグーグルは検索順位の決定にChromeのデータは使っていないと主張している。僕などはグーグルの言い分を信じてしまいがちなのだが、グーグルはかなり慎重に言葉を選んでいる。
とはいえ、人気に応じてクロールし、インデックス化し、場合によっては検索結果に復活させるべきURLを決めるのにChromeのデータが使われていても、僕は驚かない。ただし、そのデータは、さほど強力な情報ではないと思う。次のようなものは含まれていないだろう:
- 誰が何をクリックしたか
- どのくらい滞在したか、直帰したか
- 「検索クエリを入力し直したか」といったSERP利用データ
今後、ブラウザの重要性はさらに高まるだろう。大規模言語モデル(LLM)検索プラットフォームはバックグラウンドでウェブ検索を利用することが多いのだが、そのウェブ検索はChromeのSERP利用データに大きく依存している。LLMでの検索が主流になれば、ウェブ検索はそうしたデータが得られなくなる(LLMはChromeを使ってSERPを利用するわけではないため)。
だからこそ、PerplexityやChatGPTのような企業は、「ユーザーが何を有用だと思うか」を追跡し、エージェント型AI体験をブラウザに直接組み込む手段として、ブラウザを開発しているのだと思う。
つまり、ブラウザ戦争は間違いなく起こるということだ!
質問3多言語クエリに対するLLMの検索順位について、見解を聞かせてほしい。
これは、言語に基づくモデルについての根本的な問題だ。重要な文脈を提供できるコンテナやウェブサイトで公開するドキュメントについての問題ではない。
「他の人はこちらも質問(People Also Ask:PAA)」のような機能でも、長年にわたって同様の問題があった。これらの提案も言語モデルに基づいているからだ。たとえば、英国で検索した場合、回答には「ウォルマート」など、現地のユーザーにはまったく見当違いの米国中心の結果が表示されてしまう。
AIシステムが検索拡張生成(RAG)を採用している場合でも、標準的な最適化は適用される。しかし、基盤モデルの挙動に関しては、ユーザーが地域や文脈を明示的に設定しない限り、制御するためにできることはほとんどない。
正直なところ、これはパブリッシャーの問題ではなく、プラットフォームの問題のように思える。AI検索プロバイダーがより優れた文脈認識機能を組み込むまでは、僕たちにできることは限られている。
SEOとコンテンツ戦略
質問4生成AIが無限に文章を作成できる2026年において「質の高いコンテンツ」とはどのようなものか?
これは、簡単に答えの出ない核心的な問題だ。SEO担当者が「質の高いコンテンツ」の意味を完全に理解できたことは、これまで一度もないと思う。僕たちは「独自」「役立つ」「優れている」などと表現してきたが、こうした定義は曖昧だ。
ゲイリー・イリース氏はSEO FOMOのイベントで、「グーグルはオリジナルコンテンツにより重点を置くようになる」と述べた。これは新しい話ではないが、何がオリジナルと見なされるかは変化している:
- 10年前、オリジナルとは「既存の情報を書き直すこと」だった
- その後、何か新しい要素を加える「情報利得」がオリジナルの判断材料として話題になった
- 最近では、AIでは実体験を再現できないため、個人の視点を提示することが重要となっている
僕はコンテンツを2つに分けて考えている:
解決済みの情報:
変化の緩やかな事実のことで、AIが自信を持って生成できるもの。君のウェブサイトがファネル上部の情報に依存している場合は、AIの回答に呑み込まれてしまうことを覚悟すべきだ。LLMは回答を生成する能力に強い自信を持っているため、こうしたクエリに対してグラウンディングや検索をする必要がない。人間によるコンテンツ:
感情、意見、あるいはストーリーテリングを反映した文章だ。僕はAI関連の文章を読むと第六感が働くようになり、すぐに失望し、興味を失い、読み続ける気がなくなる。人々はより人間味のある内容を求めているのであり、だからこそエド・ジトロン氏のようなクリエイターが有料ニュースレターで成功しているのだ。
結局のところ、ビジネスモデル次第だ。差別化しにくいコンテンツを量産することに依存している人なら、この変化は存亡に関わる問題かもしれない。しかし、それ以外のすべての人にとっては、仕事の質を上げて、中身のないコンテンツに見返りを与えるのをやめる好機となる。
質問5AIやPAAの結果でのビジビリティを高めるために、動画は今や必須のSEO戦術か?
動画は必須ではないが、特に文章の執筆が苦手な特定分野の専門家(SME)と仕事をする場合は優れた出発点となる。
僕たちはよくクライアントとのインタビューを録画し、その独自の視点に基づいてAIでコンテンツを作成している。単にプロンプトに回答するだけでなく、クライアントの見解を把握することになるため、要約から書き起こすよりも迅速で整合性のある内容になることが多い。
PAA(他の人はこちらも質問)については、ここに表示されるようにすることにはあまり重点を置いていない。むしろ、検索意図を理解するためにPAAを利用している。あるトピックに関連してグーグルがどのような情報を求めているかがわかるため、コンテンツの作成に役立つ。
SEOのトレンド
質問6私たちは回答エンジンの脅威を過大評価しているのか、それとも慢心するのは危険か?
慢心するのは常に危険だ。業界に関係なく、オンラインでは顧客から企業にお金が流れる構図は同じだ。そのため「脅威」と言うときは、その意味を明確に定義しなければならない。
「LLM検索」と「従来の検索」を比較すると、デジタルPRやコミュニティ構築といった戦術の重要性が高まっている。しかしこうした戦術は、これまでも常にSEOの中核だった。
僕たちが慢心しているかもしれないのは、「成功の測り方」だと思う。AI検索では、トラフィックをまったく獲得しなくても成功することはできる。
たとえば、僕は最近、引っ越しの手続きを依頼する専門業者を選ぶにあたり、LLMを使って近くにある複数の業者のレビューを要約し、「業者の得意分野と不得意分野の概要」や「レビューに書き込まれていた価格」といった情報を入手した。
その後、その会社をグーグルで検索し、ウェブサイトにアクセスして、そこで契約した。僕から相手にLLM経由のトラフィックは一切送らなかったが、それでも相手は僕の契約を勝ち取った。
したがって、ChatGPTのようなツールからのトラフィックだけを追跡していると、全体像を見失うことになる。AIはトラフィックチャネルというよりインフルエンサーのような手段であり、これは非常に重要な違いだ。
質問7 変化が激しい状況、経営陣にSEOの価値を伝えるとき、何を強調するべきか?
Candourでは、ステークホルダー向けに特化して制作した2分~4分程度の短い解説動画を、毎週クライアントに配信する取り組みを始めた。動画では、「プラットフォームの移行」や「利用統計」といった重要なトピックに加え、ブランドに影響を及ぼす可能性のあるハルシネーションなどのリスクについても取り上げている。
目的は、有用な情報を時間をかけて少しずつ提供することだ。一度の会議で相手の考えを変えることはできない。細分化し、相手によってメッセージを調整し、一貫性を保つ必要がある。相手が自分のペースで自ら正しい結論を出せるよう、種をまくことが重要だ。
質問82025年の検索トレンドで、まったく馬鹿げていると思うものは? 代わりに注目すべきものは?
最も馬鹿げていると僕が感じたのは、基本的なSEOが洒落たGEO用語として再生産されたことだ。新しいものとうたわれている戦術の多くは、僕たちが常にやってきたことであり、名前が変わったにすぎない。
「チャンキング」を例に挙げよう。これはコンテンツを構造化することで、LLMがより効果的に処理できるようにする画期的な技術とされている。
だが実際にするのは、次のようなことだ:
- わかりやすく書く
- トピックを分割する
- 見出しを使う
- 段落を長すぎないようにする
- 文字だらけのコンテンツにしないようにする
これこそ、僕たちが長年ユーザー向けに文章を書く上で気を付けてきたことだ。
バズワードにこだわるのではなく、基本を重視しよう。コンテンツをより良く、より明確に、より役立つものにしよう。そうしてこそ成果が生まれる。
質問9コミュニティ(フォーラム、Discord、Slack)を構築するのは、検索競争でのリスクヘッジとして賢いやり方になる?
なるのは間違いない。Redditがビジビリティで支配的な地位を確保し始めたとき(最初はグーグルで、次にLLMでも)、多くの人が「あそこに投稿すべきだ」と言っているのを目にした。でも、僕はいつも少し引いてしまう。というのも、そうした取り組みのほとんどはうまくいかない傾向があるからだ。僕は19年来のRedditユーザーであり、その多くがどんな結末を迎えるのかを見てきた。
僕たちは常に、まず対象とするオーディエンスがすでに利用している場所を特定することから始めるようにしている。そこに顧客がいなければ、Discordでコミュニティを立ち上げても意味がない。しかし、コミュニティ自体には価値がある。正しいやり方でやれば、コミュニティマーケティングは他のすべての原動力となり、検索の向かう先と歩調を合わせられる。
歴史的に見れば、検索は長年、ウェブマスターが管理する空間から遠ざかってきた。変化の1つがPageRank(他のサイトがどこにリンクを張るか)であり、また別の変化がAIだ。今では、「君のサイトがどんなものなのか」よりも、より広いインターネット空間で君に対するセンチメント、ビジビリティ、評判など、君についてどう言われているかが重要となっている。コミュニティは、そうしたナラティブを形成するのに役立つ。
君の製品が良ければ、いずれにせよコミュニティは作られるものだ。しかし、そこに投資し、育て、管理することで影響力が得られる。これは賢明なヘッジだ。なぜなら、たとえ検索が明日なくなったとしても、強力なコミュニティには依然として非常に大きな価値があるからだ。
質問102026年に優位に立つために、SEO担当者が今すぐ学び始めるべき検索スキルやツールはあるか?
重点を置くべき点を2つ挙げよう。
大規模言語モデルの仕組みを学ぶ
SEO担当者は、上司やステークホルダーからのプレッシャーもあり、「戦術」に注力しがちだ。それは理解できるが、「言語モデルの仕組み」「事前学習が行われる方法」「テキストが生成される過程」「そこに影響を及ぼす要因」などを理解すれば、競争優位が得られる。
技術を理解すれば、LLMとマーケティングの知識を組み合わせて独自の戦略を構築でき、使い古されたアドバイスに頼る必要はない。
それがリスクヘッジにもなる。システムを理解することは、「短期的には効果的に思えるかもしれないが長期的にはリスクがある戦術」を回避するのに役立つ。ほとんどのクライアントが求めているのは持続可能な成功であって、一時的に急上昇した後にペナルティが課されるような結果ではない。
ソートリーダーをフォローする
ドーン・アンダーソン氏やブリトニー・ミュラー氏のようなソートリーダーをフォローしよう。いずれもSEO業界の中心的存在だった人物で、情報検索や機械学習などの分野に活躍の場を移した。その技術的な視点は極めて貴重であり、今後さらに重要性が増すだろう。
結論 LLMの仕組みを学び、AIでは生成できないコンテンツを作ろう
LLMは「影響力のあるチャネル」であって「トラフィック源」ではない。そのうえで、ブランドのビジビリティ向上にLLMは依然として重要だ。時間を割いて内部の仕組みを学ぶことで、SEO戦略を適応させてビジビリティを最適化できる。
そして、ソートリーダーと協力し、自身のチャネルを成長させる手段としてAIでは再現できないコンテンツを作成していこう。
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