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AIは検索をどう変えたのか? マーケターとSEO担当者のための実践的AI活用6つのTIPS

LLMはSEOやマーケティングに何をもたらしたのか。過去数年の変化をふまえて、AIへの向き合い方を整理する。SEOにAIを活用する際の6つのTIPS(テクニック)も紹介する

Moz, Jo Cameron[執筆]

7:05

この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

AIを取り巻く誤情報や誇大宣伝を浮き彫りにすること ―― これは、ブリトニー・ミュラー氏が使命としていることだ。氏は、人工知能(AI)教育を通じてマーケターがさらに活躍できるよう支援するとともに、そうした勘違いを正す活動もしている。

過去のホワイトボード・フライデーを振り返るこのシリーズでは今回、以前に公開された同氏の動画「Accessible Machine Learning for SEOs(SEO担当者にとって利用しやすい機械学習、2020年)」で語られた内容を改めて見てみる。

私たちと一緒に過去を振り返ることで、現在を理解し、未来を推測してみよう。

もちろん、具体的なテクニックも紹介する。「コンテンツ生成以外で、AIが役立つタスク4選」や「マーケターとSEO担当者のための実践的AI活用6つのTIPS」だ。

LLMの急成長、「懐疑」から「普及」へ

2025年の今、機械学習が「SEOの業務範囲からかけ離れているかもしれない」という考えは、常軌を逸しているように思える。しかし、そんな考え方が5年前にあったのも理解できる。今回振り返る動画は2020年に公開されたものだ。

当時ミュラー氏が取り組んだ大規模言語モデル(LLM)・機械学習・SEO関連の仕事に対する意見は、当初は懐疑的なものだった。

5年前に公開された動画「Accessible Machine Learning for SEOs」より

ハッカソンに参加したときやAIカンファレンスに顔を出したとき、「そのような発想の飛躍は正気の沙汰ではない」と言って、かなり本気で批判されたのを覚えている。AIが現在のように役立つようになるのはわかっていたが、当時、多くの人にとってこの概念は「あまりに異質な概念」だった。

2025年も後半に入り、ChatGPTの一般公開から3年が経過した。Mozブログでも利用しているが、AIを活用したマーケティングワークフローは尽きることがない。

しかし、ChatGPTのようなツールが広くリリースされて普及するのにともない、LLMがこれほど爆発的に広がるとは、ミュラー氏でさえ予想できなかったという。同氏はむしろ、「分析や統計的知見の抽出」に重点が置かれた予測モデルやデータモデルが先に普及すると考えていたそうだ。というのも、こうした利用方法は「他の種類の機械学習による驚異的な能力」を備えていたからなのだが、現在ではそうした活用方法は注目されなくなっている。おそらくこれは、「このクレイジーな世界で何かを予測すること自体がほぼ不可能である」ことを証明しているのだろう。

真の教訓は、「常に最新情報を入手し、可能な限り合理的に対応できるようにしておくこと」であり、そのための優れた方法の1つが、ミュラー氏がMavenで提供しているコース「Actionable AI For Marketers(マーケターのための実践的AI)」だ。

人間が持つ専門知識の持続的価値

ミュラー氏は、AIツールを何に使う場合でも、特にコンテンツに使う場合はヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL:人間が関与するプロセス)が不可欠だと助言している。人間が介入することでAIの出力を改善し、専門性や個性を加味できる。

たとえば次の2点は、AIには決して再現できないとミュラー氏は強調する:

  • 人間にしかない専門知識
  • 現実世界での経験、エピソード

同氏はその好例として、エド・ジトロン氏のブログを挙げている。「非常に有益で楽しませてくれる」だけでなく、「独自の声」「人間ならではのユーモアが随所にちりばめられている」コンテンツだというこの記事はインタビューの収録後に公開されたものだが、トーンやトピックの面で良い例だ。

こういったことについて、どこかで聞いたような話だと思うだろうか? それは、以前からSEOで親しんできたE-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)ですでに知っているからだ。

AIを効率的に使う方法と、AIが役立つタスク4選

すべては明確な思考と発想の転換から始まる。ミュラー氏は、AIを効果的に使うには失敗を受け入れる覚悟が必要だという点を強調する。それが「AI活用の成功につながる道」だからだ。AIが進化中である以上、「AIを活用する」プロセスは本質的に実験的なものとして扱うべきなのだ。

同氏はエンジニアのように考えることを勧めている。つまり、問題を小さく管理可能な単位に分解し、プロンプトを具体的にするのだ。

最もやってはいけないのは、「曖昧な指示を与えて完璧な結果を期待する」やり方だ。現在のAIは「魔法のエンジン」ではない。

では、プロンプトを具体的にしていくには、どうすればいいのか?

まずは、自分がやっている作業のなかから、「時間がかかるタスク」や「面倒なタスク」を挙げてみよう。そうすることで、AIで自動化すれば「最も効果的になる」ものからスタートできる。

そうしたタスクを挙げて絞り込んだら、それに適したAIモデルを選ぼう。多くの人はAIでコンテンツを生成しようとするが、ミュラー氏によると実はコンテンツ作成は「AIに任せると最悪になる」タスクの1つだという。AIを活用するときには、次のような作業を効率化することを検討しよう:

  • データ分析:大規模なデータセットを分析し、独自のインサイトを引き出す
  • 単調なタスクの自動化:ソーシャルメディア上で有望な見込み客を特定するのをAIにやらせる
  • 簡易ツールの構築:Claudeなどのモデルを使って簡単なChrome拡張機能を開発する
  • ローカルモデルの運用:自分のコンピュータ上で自分のドキュメントに対して直接クエリを実行し、ミニRAG(検索拡張生成)モデルを構築できるLlamaなどのモデルを試してみる

マーケターとSEO担当者のための実践的AI活用6つのTIPS

いずれにせよ、これはマーケティングブログなので、フレームワークを示さずには終われない。というわけで、以下がそのフレームワークだ:

  • アプローチを見直す:AIの実験的な性質やそれにともなう失敗に直面して弱気になってはいけない。「失敗こそがAI活用の成功につながる道」である事実を受け入れよう。

  • 小さく、具体的に始める:圧倒されないよう、小さく単純なタスクから始めよう。目的は、問題を解決できる明確なワークフローを1つ見つけることだ。

  • エンジニアのように考えることを学ぶ:AIを効果的に使うときに必要なのは、「人に指示を出すときのように、問題を個々の実行可能な単位に分解する」ことだ。私はこれを一段上の視点でとらえて、AIのプロンプトを作るときには「若手社員に説明するとしたら、どう表現すれば理解しやすいか」と考えるようにしている(就活中の新卒者の皆さん、気を悪くされたら申し訳ない)。

  • コンテンツ生成だけにこだわらない:生成AIは一部のタスクには役立つが、高品質なコンテンツの作成には適していない。AIを使ってデータセットを分析したり、メールの文法をチェックしたり、ソーシャルメディアで有望な見込み客を自動識別したりするなど、他の用途を模索しよう。

  • 適切なツールを使う:すべてのAIモデルが同じわけではない。たとえば、Midjourneyのようにテキストから画像を生成するツールは、郵便局が住所を読み取るのに使うコンピュータビジョンとは異なる。特定のタスクのために、自分のコンピュータでローカルAIモデルを実行することもできる。

  • ワークフローを記録する:何か試すときには、その過程の作業プロセスを記録しておこう。時間がかかっているタスクを追跡すれば、自動化できる部分を見つけやすくなる。

私たちが取り組むべきこと: AIの誇大宣伝と現実を区別する

「誇大宣伝に起因する恐怖、絶望、切迫感のサイクルに陥っても、責められるべきはユーザーではない」とミュラー氏は言う。

AIとAIの誇大宣伝については、今まさに大量の誤情報がものすごい速さで流れている。どうしてそうなっているか背景を明らかにし、明日にもAIに取って代わられるようなことはないと伝えてマーケターを安心させたい(ミュラー氏)

真の悲劇は、モデルの使い方を間違えると、組織的なLLMの誇大宣伝によってAIの真の利点が覆い隠され、世界中の情報が「AIによる粗悪なコンテンツ」で汚染されてしまうことだ。私たちはマーケターとして常に最適化を追求しており、「AIによる大量の粗悪なコンテンツ」に流されて「後れずについていく」ことへの誘惑は強いのだが、その効果はおそらく長くは続かず、次第に薄れていくだろう。

そうなると、よく聞く「SEOは死んだ」という議論に引き戻される。多くの人が知っているように、喧伝される新たなSEOやGEOなどの手法の多くは、時代を超えた既存の戦略の焼き直しに過ぎない。重要なのは、情報を入手し、先を見越して動くことだ。取り残される恐怖に屈することなく、建設的に前進する道は開かれている。

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