BtoB企業では、いまだに“広告予算ゼロ”でマーケティングに取り組む企業が少なくない。コクーもその一社だ。しかし同社では広告を出稿しない代わりに、検索からの流入増を目的にコンテンツマーケティングを実践。さらにFaber Companyの「ミエルカSEO」を導入し、わずか4か月でオウンドメディアのPVを2.5倍に増加させた。
生成AI検索時代の到来によって、これからのコンテンツマーケティングのあり方は、どう変わるのか。「Web担当者Forum ミーティング 2025 秋」では、Faber Companyの竹口氏、コクーの熊倉氏、檜田氏が登壇し、広告に頼らず成果を上げた戦略と、コンテンツマーケティングで成果を生み出すためのノウハウが語られた。
(中央)コクー株式会社 マーケティング部 部長 熊倉 幸子 氏
(右)コクー株式会社 マーケティング部 リーダー 檜田 詩菜 氏
なぜBtoBマーケティングにオウンドメディアが効くのか
「人財」×「デジタル」事業で社会のDXを支援するコクー。2019年に設立し、女性活躍支援事業からスタートした背景もあり、「EXCEL女子」「デジマ女子」「RPA女子」「BI女子」「AI女子」「データ女子」など、“◯◯女子”と銘打ったチームが、企業の現場に寄り添いながら各領域のDX推進(業務効率化)を伴走支援している。
“◯◯女子”のサービスごとにオウンドメディアを運営しており、会社の公式サイトも含めると計10サイトにのぼる。そのコンテンツ制作を一手に担うのは、マーケティング部の檜田詩菜氏だ。
1メディアあたり約100以上のコラムがあり、新規とリライトを合わせると、1か月に20~30本のペースで、企画から執筆までを担当しています。
様々な成果が出ていますが、これらの成果は個人のスキルに依存したものではありません。検索意図を起点とした設計と、SEOツール「ミエルカSEO」を前提に制作プロセスを整えることで、少人数体制でも再現可能な仕組みとして運用しています(檜田氏)
このオウンドメディアの施策を始めてから、セッション数は1.8倍に増え、2024年7月に「ミエルカSEO」を導入してからは、右肩上がりで増加している。また、SEOでも成果をあげており、検索順位は、「EXCEL 条件付き書式」で1位、「Looker Studio」で3位を獲得。さらにはコンバージョン数も昨対比2~7倍に増えており、確実に成果につながっているといえるだろう。
「だが、BtoB企業では、オウンドメディアの重要性に対する理解が乏しい方も、まだまだ多いようだ」と語るのは、Faber Companyの竹口氏だ。なぜBtoBにおけるオウンドメディアが重要なのか。その理由について、同氏は次のようにまとめた。
- 専門メディアが少ない:BtoBの場合、自社商材を宣伝するのに適した専門メディアが業界にないことも多く、自社で発信する必要がある。
- 案件単価が大きい:BtoB商材は単価が高額で、1件の受注でも大きな売上につながるため、Webサイトやオウンドメディアの投資対効果が高くなる傾向がある。
- 意思決定に関わる人数が多く、検討期間が長い:オウンドメディアのコンテンツは多くの関係者が閲覧し、検討期間中に見てもらえる確率は高く、意思決定に影響する可能性は大いにある。
コクーの熊倉幸子氏も「オウンドメディアを立ち上げて運用するのは大変だが、作成したコンテンツは資産になる」と同調する。
メルマガやSNSコンテンツとして利用できるだけでなく、営業ツールや採用支援ツールとしても使えます。最近は展示会などで「コンテンツを見たよ」と声をかけてくれる方も増えており、トータルで見れば、投資対効果は高いと思います(熊倉氏)
コンテンツ制作を支える「ミエルカSEO」の機能とは
ミエルカSEOを導入する前までは、「このキーワードで検索する人たちは、私たちのサービスに興味を持ってくれるはず」と、勘と経験に基づいて仮説を立てながらコンテンツを書いていたという檜田氏。
しかし導入後は、比較検討段階のユーザー(MQL候補)が、実際にどんな検索意図を持ってサイトを訪れているのかを把握できるようになった。そこで得た示唆をもとに、関連キーワードを意識した既存記事のリライト、見出し構成を変更するなど工夫を重ねたという。
検索キーワードの背後を可視化する「検索ニーズ分析」
では、檜田氏がいう「検索意図の可視化」は、具体的にどのような機能によって実現されているのか。ここで、ミエルカSEOの代表的な機能である「検索ニーズ分析」を見てみよう。この機能を使うと、ユーザーが入力した検索キーワードの背後にある“検索意図”を可視化できる。
たとえば、「Excel」というキーワードを分析すると、「Excel 列の固定」「Excel 行の固定」「Excel ウィンドウ枠の固定」といった関連キーワードが、円で表示される。この円と円の距離は検索意図の近さ(類似度)であり、円の大きさは月間検索ボリュームを示している。
つまり、この結果からは、「Excelを使っていて、行・列の固定する方法がわからず困っているユーザーが多く、キーワードは多少違えど検索意図としては似ているので同一コンテンツで対応可能性が高いこと」が見えてくる。
こうしたミエルカSEOの検索ニーズ分析の結果をもとに、檜田氏は次の図のようなキーワードリストを作成し、週次で検索順位を記録しているという。黄色く塗られているのが、対策前は圏外から検索順位が急上昇したキーワードだ。
ミエルカSEOを導入したことで、「私たちがマークしていなかったキーワードが、こんなにあったのか!」と初めて気づくことができました(檜田氏)
ペルソナに合わせ記事を自動生成する「記事生成機能」
もう1つ、コンテンツ制作において檜田氏が重宝しているのが、ミエルカSEOの「かんたんAI記事生成」機能だ。狙いたいキーワードを入力するだけで、ペルソナとタイトル案が生成される。その中から気に入ったものを選べば、そのタイトルにあわせた記事を自動で執筆してくれる仕組みだ。さらに作成した記事のファクトチェックができる機能まであるという。
ペルソナを設定できるのがすごくよいですね。他AIとミエルカSEOを行き来することで、執筆スピードが上がったと感じています(檜田氏)
SEO要件を満たすためのプロンプトを一から書くのは大変です。だからこそ、こうした機能をうまく活用していただけると効率化につながります(竹口氏)
GA4&サーチコンソール連携でSEO施策に必要なデータが一目瞭然に
ミエルカSEOの機能はコンテンツ制作支援だけではない。GA4やサーチコンソールと連携して、流入チャネル・検索クエリ・ページ別のコンバージョンなど、SEO施策に必要なデータを確認できるレポーティング機能を備えている。
檜田氏は、導入前後で特にアクセス解析のチェック項目は変えていないが、ミエルカSEOならディメンションや指標をわざわざ設定せずとも、ほしいデータが自動表示されるため、レポーティング作業の時短につながっているという。
またコクーでは、「事例」や「サービス」といったコンバージョンに直結しやすいカテゴリについて、関連するページのURLを任意にグルーピングし、流入やコンバージョンを追跡している。対策を施したキーワードで実際に流入が増えているかの答え合わせもしているそうだ。
決まった指標を定期的に見るのであればGA4を直接使うより見やすいという声もいただきます。ミエルカSEOを活用した継続的な分析と改善の積み重ねが、オウンドメディアの成果向上につながっているのではないでしょうか(竹口氏)
AI検索時代になってもSEO施策が有効な理由
そして最後に竹口氏は、AI検索時代におけるオウンドメディア戦略についても言及した。竹口氏が強調するのは、「ChatGPTやGeminiなどの生成AIツールによる検索にせよ、Googleの検索結果の上部に表示されるAI Overviewsにせよ、いまできる対策は”SEO”である」という点だ。
今のところ巷で言及されているAI検索専用の対策には根拠がないものがほとんど。AIからの流入もサイト流入全体の1%に満たないサイトが大半である。海外も含めた様々な調査結果をみても、生成AIツールによる検索が伸びてはきているが、いまだGoogle検索が圧倒的に多数を占めている。
さらに、長年にわたりSEO領域に携わってきたFaber Companyがどんなデータを見ても、「これをすればAI検索対策になる」と断言できる明確かつ恒久的な施策は、現時点ではないのだという。
竹口氏はこうした実情に鑑み、「現時点では“SEO施策に注力することが、最善のAI検索対策である”といえるでしょう。AI検索時代におけるオウンドメディア戦略は、多様化するチャネルに留意しながらも、従来通り、情報を求めるユーザーに向けて自社の信頼性や専門性を担保する“コンテンツの資産化”に努めるべきだと考えます」と締めくくった。
