【レポート】Web担当者Forumミーティング 2025 秋

CDP導入の失敗を防ぐ! 最短MVPで成果を出すハイサイクル検証ロードマップ

CDPをなぜ充分に活用できないのか。その原因とMVPを用いた解決策をPIANO Japanが解説する。

深谷 歩

7:05

Sponsored by:

CDPの導入を検討しているものの、「費用も時間もかかる」と躊躇したり、導入しても「成果につながらず、単にデータを入れる箱になっている」と悩んだりする担当者は少なくない。

Web担当者Forum ミーティング2025 秋」に登壇したPIANO Japanの塩谷氏は、十分に活用されていないCDPの現状と、その打開策として、短期間で効果検証ができる「MVP(Minimum Viable Product)アプローチ」を活用し、実践的な運用方法へ切り替えるためのポイントを解説した。

PIANO Japan株式会社 代表取締役社長 塩谷 亮氏
PIANO Japan株式会社 代表取締役社長 塩谷 亮氏

グローバルでのCDP満足度は90%。日本の実情はどうか

顧客データを集約・管理し、最適なアプローチをとるためのプラットフォームがCDP(Customer Data Platform:カスタマーデータプラットフォーム)だ。すでに一般的なソリューションであり、Salesforce、Tealium、アドビ、トレジャーデータなど多くのベンダーが参入している。

ひと口にCDPといっても、機能や得意とする分野は多様だ。SaaS型プラットフォームとビジネスコンサルティングを提供するPIANO Japanの塩谷氏は、技術・構成の観点からみると、「マーケティングクラウド型」「データ管理/分析型」「ツール派生型」「アクティベーション型」「コンポーザブル型」に分類でき、「製品選定の際にはこの特性をよく理解しておいたほうがよい」と語る。

主に技術・構成の観点から見たCDPのバリエーション
主に技術・構成の観点から見たCDPのバリエーション

CDPは日本でもここ4~5年で関心が高まっているという。

その背景には、扱うデータが増加する一方で統合が追いついていないという課題、そしてこれらのデータを集約し、1to1マーケティングを実現したいというニーズの増加が挙げられます。加えて、サードパーティデータの利用規制も追い風になっています(塩谷氏)

CDPの必要性が高まった背景
CDPの必要性が高まった背景

CDPベンダー大手のTealiumが実施した、CDPプロジェクト関係者への世界規模の調査結果では、導入企業のうち満足している割合が90%に達し、多くの企業が10名以上の大規模体制で運用している、といったポジティブな結果が示されている。

グローバルではCDP導入企業の利用満足度は高い
グローバルではCDP導入企業の利用満足度は高い

しかし、塩谷氏はこの結果に慎重な見方を示す。

グローバルとは異なり、国内での満足度はそこまで高くないと感じています。運用体制も1~2名が一般的です。別の調査でも、導入時の苦労としてベンダー選定・社内稟議が挙げられていて、それに半年~1年を要するケースもあります。さらに導入後は、活用イメージが持てず、施策を十分に実行できないという声も聞きます(塩谷氏)

CDPの導入時/導入後に苦労したこと
CDPの導入時/導入後に苦労したこと

塩谷氏は、セグメント設定に時間がかかることが施策実行の妨げとなっていた事例を挙げた。これは、使用されていたCDPが複雑なデータベース構造を持ち、セグメント設定はSQLでの抽出を必要としていたためだ。そのため特定の人員しか対処できず、結果を得るまで2~3日かかっていた。

セグメント設定に時間を要していた講談社。Pianoの導入で解決した
セグメント設定に時間を要していた講談社。Pianoの導入で解決した

CDPを活用できているかを確認する14のチェックリスト

このようにCDP活用がうまくいかない理由として、塩谷氏はトップダウンで導入が決まり「導入すること」自体が目的化していること、CDPで何を実現したいのかが定義されていないことを挙げる。

そのような状態に陥っていないかを、以下のリストで確認できる。

CDP活用状況のセルフ診断チェックリスト
CDP活用状況のセルフ診断チェックリスト

配信の同意管理」については、サードパーティーCookie規制下で同意取得の整備ができないままメッセージ配信を企画し、開始段階で法務からの指摘により延期・停止に至るケースが実際に発生している。

リアルタイム要件」の誤設計も典型的な落とし穴だ。本来リアルタイム性が必要なのに要件化できていないケースや、反対に重要性の低い要件にリアルタイム設計をしてしまうケースもある。「事業ユースケースに応じて最適なツールを選んでほしい」と塩谷氏は強調する。

体制面」では、IT部門主導で進めてしまい、マーケティング側の「何を実現するか」が不明確なままプロジェクトが進行する例もある。本来は、複数部署が関わる横断プロジェクトとして意思統一していく必要がある。また、特定メンバーやベンダーに依存しがちになる点も課題で、横断連携を前提とした体制づくりが欠かせない。

CDP導入・構築を成功に導くMVPアプローチ

CDP構築の失敗には、検討~構築に時間がかかりすぎるという理由もある。1年以上を費やしたデータ収集と分析で疲弊してしまい、施策実行に至らなかったり、価値創出を実感できるまでの時間が長く、組織内の熱量が下がってしまったりといったケースだ。

こうした失敗を防ぐために、塩谷氏が提唱するアプローチがMVP(Minimum Viable Product)だ。これは、必要最小限の機能で早期リリースし、実環境でのフィードバックをもとに改善していくという、プロダクト開発におけるアジャイル的な手法である。大きなメリットは以下の2点だ。

  • 開発コストと時間を圧縮できる
  • 早期に顧客の本当の反応(使われるか、離脱するか)を確認できる
MVPのポイント、メリットや注意点
MVPのポイント、メリットや注意点

安易にリリースするという意味ではありません。ユーザーにとって、最小限必要な機能を定義し、そこから実装していくことが大切です(塩谷氏)

このMVPアプローチを実践できるのが、PianoのCDPプラットフォームだ。約20種類のMVPテンプレートを用意しており、機械学習モデルも業界やクライアント別に最適化している点も、他社CDPにはない強みだという。

MVPテンプレートの例として、次のようなものがある。

  • 興味関心ベースのレコメンド:カテゴリAを直近7日間で週5回以上閲覧した人の来訪時に関連商品を提示するなど、興味関心の度合いに応じてコンテンツを出し分ける
  • 機械学習スコアベースの運用:購買確率スコアの高いユーザーには強い購入訴求、低スコアのユーザーには別導線・育成施策を提供する
Pianoが提供するMVPテンプレートの一例
Pianoが提供するMVPテンプレートの一例

これらの機能を活用し、Pianoでは検討段階でMVPを1~3件に絞って半年で実装し、検証サイクルまで回す「ハイサイクル」を確立しているという。

Piano の「ハイサイクルCDPパッケージ」
Piano の「ハイサイクルCDPパッケージ」

1to1コミュニケーションに必要な機能を一気通貫で提供するPianoの統合CDPソリューション

Pianoは複数のプロダクト群で構成された統合ソリューションを提供し、さまざまなタッチポイントのデータ収集・分析から、ユーザーのセグメンテーション、そして1to1のパーソナライズコミュニケーションまで、一連のプロセスを一気通貫でカバーする。MAツールやGoogle Ad Managerとの連携も可能だ。主に下記の3つの機能で構成される。

  • Piano Analytics:Webサイト、アプリ、店舗(POS)、メールなどの多様なデータ取り込みと分析を行う
  • Piano Audiences:分析結果をもとにユーザー群を作成し、セグメント化
  • Piano Activation / Amplifier:セグメントにもとづいたパーソナライズ施策を実行
Pianoを構成する3機能
Pianoを構成する3機能

Pianoのユースケースとして、航空業界のカスタマージャーニーに沿ったコミュニケーション事例が紹介された。

検討・購入段階においては、チケット購入離脱者への定期リマインド、過去購買・閲覧行動に基づく高単価選好者への上位クラスの提示、LCCにおける荷物追加などの付帯オプションの最適提案などができる。

購入後~出発前・当日においては、購入後のサンクスメール、搭乗7日前・当日の通知、空港内免税店クーポン連携による送客・収益分配などがある。到着後には、現地のWi-Fiやタッチポイントを起点に交通クーポンなどをレコメンドすることもできる。

航空業界のカスタマージャーニーに沿ったコミュニケーション事例
航空業界のカスタマージャーニーに沿ったコミュニケーション事例

このようにパーソナライズされたコミュニケーションを実現することで、顧客体験の向上と収益化の両立が図れる。このアプローチは保険、住宅ローン、鉄道などの他業種にも応用可能で、国内ではメディアだけでなく飲料、EC/リテールなどにも導入が広がっているという。

最後、塩谷氏は次のように話し、講演を締めくくった。

CDPの成功は、継続して効果を出し続ける仕組みを作れるかどうかにかかっています。CDPでビジネスを向上させたいと考えている方は、ぜひ短期間で施策を実施・改善していくMVPを突き詰めてください(塩谷氏)

Sponsored by:

この記事をシェアしてほしいパン!

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る