近年、SEOで取り組みが急増しているものに、次の3つがある :
- オフサイトSEO
- デジタルPR
- リンクビルディング
こうした取り組みが増えている主な理由は、グーグルが「オーソリティの高い第三者のWebサイトからの被リンク」を重視する姿勢を一貫して強めているためであり、この傾向は2024年のグーグル内部文書流出でさらに裏付けられた。
問題は、2026年に向けて、グーグルでの検索順位のためだけにリンクを構築するようではもはや十分ではないことだ。検索はもう何かを「ググる」だけの行為ではない。グーグル、Reddit、LLM(大規模言語モデル)、TikTokやYouTubeなどのソーシャルプラットフォームにまたがる、はるかに細分化された複雑な領域へと進化している。
この変化はすでにユーザー行動に表れている:
- アドビのレポートによると、今や米国人の24%がChatGPTから検索ジャーニーを始めており、Z世代ではその率は28%になる
- 若年層のオーディエンスの間では、「まずソーシャルメディアで検索する」傾向が強まっており、2024年の時点で67%がInstagram、62%がTikTokで情報を得ている
グーグル自身もこの変化を認識しており、AI検索セッションにかかる時間は従来の検索より2倍~3倍長くなりがちだと指摘している。
したがって、2026年に向けて問うべきは、リンクを構築するだけでなく、複数のプラットフォームでビジビリティを高めるオフサイト施策を生み出すにはどうすればいいか、という問題だ。
この問題に答えるには、まずこの新たな検索方法がブランドに与えている課題に対処しなければならない。
AI検索の台頭でクリック数が減少したため、これまで以上にオフサイト施策を強化する必要アリ
まずは、明白な事実から確認しておこう。AI検索の普及にともない、1つの重大な結果が生じている。それは、直接クリック数の減少だ。
Seer Interactiveによる最近の調査で、この変化の規模が浮き彫りになった。同社のデータによると、オーガニック検索結果のクリック率に関して、次のような変化が見られた:
- SERPに「AIによる概要」が表示されるが君のサイトについて言及がない場合、クリック率は前年比65%低下
「AIによる概要」が表示されて君のサイトについても言及がある場合、クリック率は前年比49%低下
「AIによる概要」が表示されない場合、クリック率は前年比46%低下
いずれにせよ、検索結果からの直接クリックは激減しているわけだ。ゼロクリック検索が増え続けるなか、これまで以上にオフサイト施策(サイト外での対策)を強化する必要がある。その目的は、「グーグルでの検索順位を上げるため」だけでなく、「ソーシャルプラットフォームやLLMを活用した検索体験からもトラフィックを増やしてビジビリティを高める」ためだ。
僕が思うに、問題は大多数のオフサイト施策が依然としてグーグルのためにリンクを構築することだけを目的としており、より広範な機会をターゲットにしていないことだ。こうした意識が、膨大な機会損失につながっている。
ほとんどの施策はごく基本的な手順を踏んでいる。「アイデアをブレインストーミングし」「ブログ記事にまとめ」「ジャーナリストにアウトリーチし」、わずかな被リンクを獲得する。僕の12年に及ぶ業界経験から推測すると、施策全体の約99%がこの方法で行われていると思う。
オフサイトのPRモデルを変更し、機会損失を防ぐ方法
施策はもはや、「メディアに記事を投げかけて反応を見る」ようなものであってはならない。確かに高品質なリンクを獲得する必要はある。しかし、ゼロクリック検索の台頭に対抗するには、LLMやソーシャルプラットフォームもターゲットにする必要がある。
つまり、施策を計画して実行する方法を見直すということだ:
ブログ記事を1つ作成するのではなく、ショート動画やリールなど、コンテンツを複数の形式で制作する必要がある
ジャーナリストだけにアウトリーチするのではなく、TikTok、Instagram、LinkedIn、Redditなどのプラットフォームで、クリエイター、インフルエンサー、コミュニティの声も巻き込む必要がある
オンサイトでコンテンツを公開する場合は、キーワードだけでなく、AIプロンプトや会話型の検索パターンも考慮して最適化する必要がある
このアプローチを具体的に示したのが、以下の図だ:
では、プラットフォームの枠を越えて反響を呼ぶアイデアの創出から、デジタル領域全体で「ビジビリティ」「オーソリティ」「実際のビジネス効果」を高める施策の実行まで、具体的な方法について順を追って見ていこう。
6段階のオフサイトSEO施策プロセス
- ステップ1 デジタル分野全体で有効なオフサイト施策向けに、関連性の高い施策のアイデアを定義する
- ステップ2 検索機会全体(グーグル、LLM、ソーシャルメディア)を観察し、ビジネス成果を高める施策を生み出す
- ステップ3 インサイトを施策のアイデアに変える(後編、4/27公開予定)
- ステップ4 メディアやソーシャルメディアに対応できるコンテンツにする(後編、4/27公開予定)
- ステップ5 効果的なアウトリーチを行う(後編、4/27公開予定)
- ステップ6 結果の報告と追跡(後編、4/27公開予定)
ステップ1 デジタル分野全体で有効なオフサイト施策向けに、関連性の高い施策のアイデアを定義する
リンクビルディングでは、関連性が最も重要であることは周知の事実だ。2024年のグーグル内部文書流出では、「優れた」リンクを決めるうえで最も強力な検索順位決定シグナルの1つが「関連性」であることが確認された。
問題は、複数のプラットフォームで有効な施策にしたい場合、「関連性」をどう定義し、「ユーザーを心からエンゲージさせる内容」をどう特定すればいいかだ。これは長年にわたり業界で最大の課題の1つであり続けている。僕の経験では、ほとんどの企業や代理店はオフサイトやリンクの関連性を以下の2つの方法のどちらかで定義する傾向がある:
- トピックの一致
- オーソリティ優先のプレースメント
それぞれ、次のような定義だ。
- トピックの一致
ユーザーは現在、この方法で関連性をどのように測定しているか: ブランドが提供する製品やサービスに沿ったトピックのコンテンツ内にプレースメントやリンクがあるか?
この方法で関連性を測定することの課題: このアプローチの問題は「質」だ。たとえば、キッチンを販売しているブランドと協業する場合、リンクされたコンテンツがキッチンのトレンドを話題にしていれば、表面上は関連性があるように見えるかもしれない。しかし、そのコンテンツを掲載しているWebサイトが低品質だったり、ペイドリンクを公然と受け入れていたりする場合、それは本当に良い掲載場所と言えるだろうか? ほとんどの場合、答えはノーだ。
- オーソリティ優先のプレースメント
ユーザーは現在、この方法で関連性をどのように測定しているか: オーソリティの高いWebサイトやプロファイル上にプレースメントやリンクがあるか?
この方法で関連性を測定することの課題: ここでの問題は逆だ。コンテンツ自体がユーザーの意図とまったく無関係なのならば、「オーソリティがある」だけでは、強力なプレースメントにも意味のあるプレースメントにもならない。たとえば、キッチンを販売しているブランドと協業して、全国紙からのリンクを獲得したとする。表面上は良質なリンクに見えるかもしれないが、その内容が庭用の家具など、君の顧客がまったくエンゲージしないと思われるものだとしたらどうだろうか。コンテンツを掲載するWebサイトがどこであれ、リンクが関連性をともなっていないければ問題となる。
専門的なアドバイス: MozのKeyword Explorerツールを使えば、キーワードの検索意図を特定するのが楽になる。こうしたツールをうまく活用すれば、コンテンツが常にオーディエンスのニーズを満たしているかを確認できる。
オフサイト施策のなかで真の関連性を測定する方法
僕にとって「真の関連性」は、カスタマージャーニー自体の中にある。関連性を単独で見るのではなく、購入の決定へ向かう過程でオーディエンスがたどるジャーニーをマッピングし、オーディエンスがする質問や利用するチャンネルを特定する必要がある。
これはグーグルの「messy middle」(混沌とした中間段階)という概念に極めて近い。messy middleは「きっかけから購入」までの中間段階であり、ユーザーが探索と評価を何度も行き来する領域だ。この段階では、ユーザーは選択肢を比較し、レビューを読み、社会的証明を求め、複数のプラットフォームでコンテンツを利用してから決断する。
この行動はもはや検索だけではない。ユーザーは次のような行動を取る可能性がある:
- TikTokでおすすめの商品を検索する
- Redditのスレッドやレビューを読む
- YouTubeの比較動画を視聴する
- LLMで直接質問する
重要なのは、どのような質問が、どこで、messy middleのどの段階でされているかを把握することだ。このジャーニーを視覚的に表した例を以下に示す。
「メディア」「ソーシャルプラットフォーム」「AI検索」に有効な方法でユーザーの「質問」に一貫して回答できれば、施策が真に関連していることを確信できる。さらに重要なこととして、リンクやメンションの獲得だけでなく、意思決定にも影響を与えられる。
ステップ2 検索機会全体(グーグル、LLM、ソーシャルメディア)を観察し、ビジネス成果を高める施策を生み出す
このステップでは、「カリブ海でのクルーズを販売するクルーズブランド」と協業していると仮定しよう。
最初のステップとして、ターゲットにしたい市場領域を定義する。これが重要なのは、ビジビリティの向上を検索順位だけでなくビジネス成果につなげる必要があるからだ。
僕はあまりに長い間、SEO担当者がビジビリティのグラフを重視し、上昇傾向になると喜ぶ姿を目にしてきた。このアプローチの問題は単純だ ―― その成長を牽引しているのが非商業的なキーワードであれば、ビジビリティが上昇しても収益は増えない。
そうしたビジビリティ指標を使う代わりに、トラフィック指標を使うことを勧めたい。
トラフィック指標を見れば、さまざまな製品やカテゴリで獲得できる市場シェアの割合がわかる。これを説明するため、僕はクルーズ関連のキーワード573件のサンプルデータを抽出し、4つのカテゴリに分類した:
- クルーズ旅行の一般的なキーワード
- 目的地に関するキーワード
- 割引や特典
- 予約に関するキーワード
次に、これらのキーワードに対する各ブランドの順位を分析し、クリック率のモデルを重ね合わせた。
算出されるスコアは相対値だ。あるカテゴリのすべてのキーワードで1位になったブランドのスコアは100%で、これは獲得可能な最大のオーガニックトラフィックであることを示す。2位や3位であれば、スコアは比例して低下する。これを見れば、最大のビジネス機会をもたらしているテーマやカテゴリをはるかに特定しやすくなる。
キーワードを超えた拡張:LLMの需要を把握する
ビジネス成果からみて価値のあるトピックやテーマを特定したら、次のステップはそれらのテーマが従来のグーグルのキーワード検索結果だけでなく、LLMを活用した検索でどのように表示されるかを把握することだ。
そのためには、STATやllmrefs.comなどのツールを使うことを薦める。
このツールで自分のブランドを入力すると、さまざまなLLMでのSoV(シェアオブボイス)を確認できる。さらに重要なことに、ユーザーが使っているプロンプトや推定検索ボリュームもわかる。
たとえば、「クルーズの直前割引情報はどこにある?」というプロンプトを分析すると、そのクエリに対するLLMの回答の中で自分の企業やサービスが(どこに)表示されるかがわかる。
この段階まで来れば、以下の点が明確になるはずだ:
- 商業的に重要なキーワード
- AI検索に影響を与えるプロンプト
ソーシャルリスニングを利用し、オフサイト施策がソーシャルプラットフォームでも従来のオンラインメディアでも有効であることを確認する
ここから最後のステップとして、ソーシャルリスニングを重ねていく。ソーシャルリスニングは、ソーシャルプラットフォームやコミュニティ全体でのオーディエンスの広範な会話、質問、行動を明らかにするのに役立つ。しっかり進めることで、「検索順位」だけでなく、「カスタマージャーニー全体」に真に影響を与える施策を構築するのに必要なインサイトを得られる。
私見だが、ソーシャルリスニングはオフサイトSEOの中でも特に過小評価されており、ほとんど活用されていない戦術だと思う。この施策の価値が高いと私が考える理由は単純だ。ソーシャルリスニングを実施すれば、次のことがわかるからだ:
- 人々がどこでエンゲージしているのか
- 人々がどのチャンネルを利用しているか
- 人々がどのインフルエンサーをフォローしているか
- 人々が積極的にしている質問はどのようなものか(これが最も重要)
こうしたインサイトにより、施策を構想して計画するうえで非常に強力な情報が得られる。
この目的で僕が最もよく薦めているツールはBrandwatchで、このソーシャルリスニングプラットフォームは、ソーシャルネットワーク、フォーラム、コミュニティ全体の会話を大規模に分析できる。
※Web担編注 有料サービス。日本ではブレインパッドが提供している。それ以外にも、日本語に対応したソーシャルリスニングサービスとして、たとえば次のようなものがある:
クルーズの例に戻れば、このプラットフォームにクルーズのブランドと関連するテーマを組み合わせて入力すると、すぐに以下のような情報の手掛かりが得られる:
- どのインフルエンサーやクリエイターが会話を牽引しているか
- どのプラットフォームに最も注力すべきか
- オーディエンスが最も気になっているトピックは何か
- クルーズ・目的地・お得な情報・体験に関する人々の会話のなかで、何が話題になっているか
こうしたデータがあれば、推測に基づいて施策を計画しなくて済む。仮定の話ばかりではなく、オーディエンスの実際の行動に基づいて施策を構築できる。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後編となる次回は、筆者が提唱する6段階の施策プロセスのうち、ステップ3以降を紹介する。
(後編は4/27公開予定)
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