2026年2月12日、Hakuhodo DY ONE主催の「AI検索カンファレンス2026 生成AI時代の検索マーケティング最前線」と題したイベントが開催された。AI検索の最前線を知る同社のメンバーが、生成AI時代のSEO・AIO・検索連動型広告を総括し、業界最先端の知見と実践事例を体系的に紹介した。
本イベントの内容を、前後編に分けてレポートする。本記事は後編となる。
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運用型広告の歴史と転換期
3つ目の講演は、「AI時代の運用型広告:今やるべきこととこれから」と題して、以下の4名が登壇。運用型広告の現在地と近未来について、「AIによる自動最適化」を軸に議論した。
(右上)Hakuhodo DY ONE プラットフォームR&D本部 本部長 黒岩 奈緒氏
(左下)Hakuhodo DY ONE Search&Feed本部 Search&Feed運用統括局 Search運用統括部 部長 森戸 一粋氏
(右下)Hakuhodo DY ONE プラットフォームR&D本部 パフォーマンスR&D局 タグ&feed部 部長 荒井 祐貴氏
まずはじめに、黒岩氏は運用型広告の歴史を振り返り、「広告は常に、ユーザー個別の最適化を実現するために変遷してきた」と語る。
運用型広告は、これまで「入札」「ターゲティング」「クリエイティブ」の各要素が、個別に自動化・最適化されてきた。「入札」は手動設定から自動入札へ、「ターゲティング」は属性・掲載枠の個別指定から、CV類似やインテントマッチ等の自動ターゲティングへ、そして「クリエイティブ」は固定素材からレスポンシブ広告による最適化へと発展してきた。
そして現在は「P-MAX」に代表されるように、入札からターゲティング、クリエイティブまでを統合し、領域横断でパフォーマンスを最大化する時代へと突入しようとしている。
プライバシー保護の観点からCookie規制が本格化し、自動最適化には一時逆風が吹いた一方、ファーストパーティデータを活用した技術の進展により、広告運用は新たな転換期を迎えている。
インテントマッチからAI Maxへの進化
こうした現状を踏まえて、まずAIによる広告運用の変化について議論が行われた。森戸氏は、検索広告のターゲティング方法の一つであるインテントマッチの進化は以前から目覚ましく、広告に設定した遷移先URLや広告グループ内の他の設定キーワードなど、多様なシグナルに基づいた配信最適化はそもそも広がっていると指摘。その上で、今後の展望について次のように話す。
Google広告のAIによる自動化ソリューション「AI Max」が登場し、さまざまな情報に基づいた広告文やランディングページなどの自動拡張配信が可能になりました。ただ、すでにインテントマッチを導入しているアカウントでは大きな変化は感じにくいかもしれません。
AI Maxに切り替えたことで、ビッグワードへの配信拡張が増える(たとえば、キーワード「ガーデニング」から「家」「庭」という検索クエリへの配信)など、新たなリーチを獲得している事例も出ています(森戸氏)
黒岩氏は、従来の検索クエリ拡張機能において、キーワード拡張が意図しない単一ワードにまで及び、「意図しない検索クエリでの配信が伸長してしまう」「意図しない掲出で予算を使ってしまう」といった過去の課題に言及した。その上で、近年の検索クエリ拡張については「コンテキスト(文脈)のシグナルが強化されているためか、単一ワードへの配信拡張が起きた際も、過去の仕組みで懸念されていたような成果につながらないコストの急増は発生しにくい傾向が感じられる」と補足した。
クリエイティブとフィードの新潮流
続いて池本氏は、Metaの「Advantage+ セールスキャンペーン(ASC)」やTikTokの「Smart+」といった新メニューの普及により、入稿するクリエイティブの重要性が増し配信されるターゲットにまで影響が拡大していると指摘した。
これまでのA/Bテストは、複数のクリエイティブを同じ配信対象にほぼ同じ回数出し分ける「均等配信」を前提としていました。しかし現在は、クリエイティブの内容によって配信対象が変化するため、旧来のようにCTRやCVRといった指標だけで、数値が劣るクリエイティブを安易に停止してしまうと、そのクリエイティブが捉えていたターゲット層へのリーチが失われ、結果として配信全体がシュリンクしてしまう可能性があります。
媒体側がユーザーごとに最適なクリエイティブを自動判定して届ける仕組みは便利ですが、運用者にもその配信ロジックを前提とした「PDCAルール」のアップデートが必要です。
今後は、クリエイティブバリエーションの網羅性が、ターゲットへのリーチ率にどう寄与しているのかを可視化し、その相関を証明していくような検証を深めていきたいです(池本氏)
続いて荒井氏は、バナー広告で進んできた個別の最適化は、フィード広告において以前からある前提の仕組みだとした上で、「今後は、広告配信全体で、単なる商品出し分けの枠を超えた、商品レベルの最適化がさらに進むことに期待している」と話した。
AI時代でもデジタル広告運用において変化しないもの
続いて、議論のテーマは「広告運用において変化しないもの」へと移った。森戸氏は、ターゲティング設定が自動化されシンプルになる一方で、運用者がアカウント構造の設計を行う重要性は変わらないと指摘した。
以前に広告プラットフォームの機械学習が強化されたタイミングで、「学習データ数を増やすために、広告グループやキャンペーンを積極的に統合したほうがいいのでは」という意見が流行し、必要以上の統合が為されてしまっていたことがありました。
しかし、たとえば「ホテル×エリア名」のかけ合わせのキーワードを一つのキャンペーンや広告グループに集約してしまうと、エリアごとに異なる検索意図やユーザー属性が同じ入れ物の中で混在することになります。その結果、プラットフォームが属性傾向を正しく判断できなくなり、個別のニーズに即した最適化がかからず、むしろ成果が悪化する傾向がやはり見られました。
人間が設定したアカウント構造は、プラットフォームから「情報の類似性」を示す単位として参照されています。そのため、適切な広告グループやキャンペーンに分けた階層管理は、AI時代においても重要です。どの広告グループにどのキーワードを配分し、AIにどのような文脈を学習させるかの判断は、変わらず人間の役割です(森戸氏)
荒井氏は、「フィード広告においては、掲載される商品や製品そのものが本質である」と述べた。フィード広告は、検索広告のように運用者がターゲティングや入札、クリエイティブを直接コントロールできるレバーが少ないため、サイト構造やフィードの内容がそのまま配信に利用される。そのため、製品のタイトルやディスクリプションなどの各種項目をすべて正確に網羅し、一貫性を保つことの重要性を強調した。
フィードデータの精度向上に加えて、Webサイトへのタグ実装や構造化データの整備は今も将来も重要です。構造化データは、AIクローラーがサイトの内容を読み取るために機能し、フィードデータの審査基準としても利用されるため、しっかりと整備しておく必要があります(荒井氏)
事業収益に直結するデータ連携の準備
黒岩氏は、自動最適化について「ターゲット、クリエイティブ、キーワードを無限に生成して最適化する機能」と表現した。その上で、AIが正しく最適化の判断を行えるよう、「事業収益と相関する指標を、学習データとして管理画面にフィードバックしなければならない」と述べた。
たとえば、オンライン予約後に店舗で成約に至る場合、予約数ではなく、成約数を最大化指標として運用する考え方だ。
成約データを広告管理画面に登録する方法としては、クリックIDを用いて、成約数を管理画面反映する手法がある。これについて池本氏はいくつかの課題を指摘した。まず、CV数そのものが少ない場合、学習データが不足し最適化が働きづらいこと。もう一つは、たとえ成約数が十分であっても、成約までのリードタイムが長い場合、最適化で重視される直近2週間などの期間内にデータが反映されず、学習に活かせないことである。また、データのインポートには、マーケティング部門だけでなく、情報システム部との連携が必要になる点も課題だ。
実数値を直接反映する手法の他に、「価値に基づく入札(Value-based Bidding:VBB)」を実現するために、予測モデルを活用するアプローチもある。オンラインコンバージョンの時点でユーザーのサイト内行動などを踏まえて、成約確率や見込み利益を予測し、重み付けすることで、リードタイムやCV数の制約を回避できるメリットがある。ただし、この手法については、予測モデルの構築・検証に時間がかかるほか、フォームの登録内容などのユーザー情報をスコアに換算することから、個人情報の取り扱いについて法務部との連携も必要になる。
AIによるクリエイティブの大量生成にどう対応するか
さらに黒岩氏は、「自動化が進む中で、クリエイティブ確認も人間がボトルネックになりやすい」と指摘する。これまでは、事前想定したターゲット、クリエイティブに対して、メッセージの適切さを確認できた。しかし、自動化が進むことで、クリエイティブの数が膨大になる他、AIが想定外のターゲット層へ配信を広げるケースも出てくる。これらの配信内容を、人間が事前に一つ一つ確認することは困難だ。
中長期的にブランドの世界観を維持するために、避けるべき表現については人間のチェックが必要だ。しかし黒岩氏は、「従来の方法では対応量に限界があり、AIを生かしきれない可能性がある」と運用体制の新たな課題を提示した。
これに対し池本氏は、現在、「クリエイティブ審査AI」というツールを開発中だと明かした。各企業のブランドガイドラインをAIに学習させることで、生成された膨大なクリエイティブがガイドラインに当てはまるかを確認できるという。
実証実験に参加したクライアントからは、クリエイティブの審査時間が短縮されたという声をいただいています。将来的に、広告管理画面にこうしたツールが実装される可能性もあります。現時点でブランドガイドラインが明文化されていない企業に対しては、まずはその策定・整備からご支援できます(池本氏)
今後の広告運用はどこに向かうのか
今後の広告運用はどのように変わっていくのか、各氏による予想が語られた。
荒井氏は、Google Merchant Centerに「Product Studio」という生成AI機能が存在することを紹介した。商品画像を基に、利用シーンに応じた画像や動画を生成できる機能だ。これがAPI経由で利用可能になったことで、素材の大量生成がより現実的になりつつある。
フォーマットを含めて、あらゆるものを最適化する機能が揃っているので、個別最適化がより進むと考えられます。生成AIによる「エージェンティック・コマース(AIエージェントが購入代行などを行う次世代のEC形態)」についても、GoogleやCriteoの参入により、日本でも発展していくでしょう。
そのためには、ECサイトとフィードの両方を最適化させる必要があり、それがフィード広告の未来につながります。さらにその先は、フィードに特定の指向性を持たせるような、より緻密な個別最適の設定が求められるかもしれません(荒井氏)
続いて池本氏は、検索広告におけるキーワードレス化について言及した。これは、入稿した広告文やLPの内容に基づいて、配信されるターゲットやキーワードが自動的に導き出される仕組みだ。DSA(動的検索広告)ではすでにLPの設定のみの配信が実現しているが、今後は通常の検索広告にもそういった仕組みが広がっていくと同氏は見立てている。
一方で、池本氏は、完全なるキーワードレス化については疑問を感じているという。
個別のユーザーの求めに最適化することで成果向上が期待できるという実態はありつつも、広告には、情報を正しく届けるだけでなく、生活者に違和感のような“ひっかかり”を感じて振り向いてもらう役割もあります。「違和感を抱かせるクリエイティブ」は狙いたいターゲットをGoogleに教えるという役割を適切に果たせない可能性が高いです。
将来的には、管理画面で広告クリエイティブに対して想定するターゲットとコミュニケーションを自然言語でファジー(曖昧)に指定するような発展もあるかもしれません。そうなれば、コミュニケーション・プランニングやアカウント構造の設定などで、我々の存在意義があると思います(池本氏)
これに対し黒岩氏は、「検索広告は自然検索ではカバーしきれない領域を埋めてきた」という前提に立ち、理想は「広告なしでも自然検索に強いサイトを築くことだ」とした。その上で、自然検索との棲み分けとして、検索広告では「誰に対して、どの情報を届けるのか」という文脈が、今後さらに重要になると述べた。
AI検索の普及とSEO評価指標の転換
4つ目の講演は、「クロストーク:AIO Web Experience Consortium 生活者起点×AIO(AI 最適化)」と題して、以下の4名が登壇し、生成AI時代における新しいWeb戦略を推進・研究する「AIO Web Experience Consortium」での研究成果などを中心に、これからのオウンドメディアのあり方について議論を交わした。
(右上)博報堂アイ・スタジオ プラットフォーム戦略センター・執行役員 生田 大介氏
(左下)Hakuhodo DY ONE オウンドソリューション本部 SXOソリューション局 局長 ONE-AIO Lab 所長 登 章良氏
(右下)博報堂 ミライデザイン事業ユニット オープンインキュベーション局 ビジネスデザイナー 本村 勇人氏
まず、登氏がHakuhodo DY ONEの調査をもとにAI検索市場の動向について話した。国内の主要AI検索のシェアは、ChatGPTが約7割でトップ、次点はGoogle Geminiが急成長しており、Copilot、Perplexityなどが追随しているというデータを紹介。「検索プラットフォーム全体でみると、AI検索は限定的ではあるが、成長率が目覚ましい」とした。
従来の検索体験は、「検索、訪問、再検索」を繰り返して意思決定していましたが、AI検索では、AIインターフェース内で比較・意思決定・実行が完結します。そのため、AI検索上の露出を増やしたいという相談が増えています。
近年、Webサイトへの流入が発生しない「ゼロクリック」が増えている一方で、AI検索からの流入は、コンバージョン率(CVR)が高いというデータがあります。従来のSEOは検索順位やトラフィックをKPIにすることが多いですが、今後はCVRやコンバージョン数を検証する必要があります(登氏)
AI検索最適化における3つのポイント
続いて、AIO研究組織「ONE-AIO Lab」での調査結果に基づき、AI検索最適化における3つのポイントが紹介された。
- ブランド認知の拡大
- ブラウジング機能を考慮したSEOの実施
- AIクローラー対応
1. ブランド認知の拡大
まずAI検索が回答を生成する仕組みとして、「学習」と「推論」の各フェーズで行われる処理プロセスが解説された。
学習フェーズでは、コーパスデータ(言語データ)やドメインデータなどのデータアセットを基に学習を行います。一方、推論フェーズでは、プロンプト(質問)に応じてRAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)という仕組みを使い、AIが回答を生成する際に、キーワード検索、ベクトル検索、従来型の検索エンジン等を使って関連情報を取得し、その結果を考慮し回答に組み込むプロセスが加わります(登氏)
つまり、AIに自社ブランドを認知させ、言及を拡大するには、以下の2点が必要だ。
- 学習データ内で自社ブランドが言及される状態を作ること
- RAG(検索拡張生成)の検索時に、自社ブランドの情報が上位に表示されること
モデルによって濃淡はありますが、学習データではインターネット上の公開データがベースになっています。そのため、自社サイトでの一次情報発信に加え、PRによる露出、第三者メディアからの引用獲得が有効であると捉えています(登氏)
2. ブラウジング機能を考慮したSEOの実施
ChatGPTの回答と検索エンジンの結果の相関性を調査したところ、BingおよびGoogleと強い正の相関を示しました。このため、引き続き、従来のSEO施策は重要であると考えます(登氏)
なお、レポートの前編で紹介したように、AIはユーザーのプロンプトに対して「クエリファンアウト」を行い、「サブクエリ(並列検索用)」で検索を行う。この際、モデルによってサブクエリや、AI検索のブラウジング比率が異なることも判明している。
Gemini 3のモデルでは、ブラウジング比率が相対的に低い点を確認しており、学習データの参照比重が高くなると想定されます。つまり、従来のSEOに加え、学習データに含まれるためのアプローチも一定考慮が必要となる見込みです(登氏)
また、クエリファンアウトで生成されたサブクエリでの検索結果上位がAIの回答内容に影響するため、それぞれのモデルごとに生成されるサブクエリの違いを観測しながら対応していくことが必要だとした。
3. AIクローラー対応
AIクローラーのレンダリング処理性能は、JavaScriptが読み込めないなど、Googleなどの検索エンジンと比較して性能が劣るという調査結果がある。
そのため、メインコンテンツについては、AIクローラーがレンダリングしやすいように、マシンリーダブルにして、機械可読性を高める施策が必要です。たとえば、JavaScriptを用いたクライアントサイドレンダリングではなく、サーバーサイドでのレンダリングが望ましいでしょう(登氏)
次世代のオウンドメディアのあり方
では、AI検索時代においては、どのようなコンテンツが「より良い情報」として認識されるのだろうか。
この点について問われた中道氏は、AIモデルによって挙動が異なり、また同一モデルでもアップデートによって頻繁に挙動が大きく変わることから、「現時点で、一律でAIに効果的なコンテンツは判断できない」と回答した。
日々データを見ながらAIの挙動を注視し、自社に関連するクエリの回答状況を調査して現在地を把握する。その上で、高速にPDCAを回していく必要があります(中道氏)
続いて、次世代オウンドメディア(エージェンティックWeb)の方向性について生田氏が言及、「オウンドメディアの役割の転換」について語った。これまでのオウンドメディアは、検索エンジンからのランディング(入口)としての役割が中心で、サイト内回遊を経てコンバージョンページへ誘導するのが一般的だった。
AIエージェントの利用が前提になると、オウンドメディアは、最終的なアクションが行われるターミナル(出口)になると考えています。技術的には、AIに活用されることを前提とした製品ページの構造化データ対応に加えて、コンバージョンのインターフェース自体をAI向けのプロトコルに対応させ、AIフレンドリーな設計に進化させる必要があります(生田氏)
AI時代の信頼性を担保する情報の一貫性
生田氏は、「SNS上の情報も、AIの学習には有効」だと話す。
AIが回答の信頼性を確保し、ハルシネーションを防止するための価値判定にSNSが参照されています。そのため、PRメディア、Wikipedia、ECレビュー、公式SNS/YouTubeなどの情報と、オウンドメディア上の一次情報のコンテンツの整合性にも配慮する必要があります。
カスタマージャーニーに基づいて、外部メディア、オウンドメディア、SNSのすべてで一貫した体験設計とブランディングを行うことが、AI検索においても有効です(生田氏)
加えて、デザインシステムやマスターデータを整備し「AIフレンドリー」な設計にすることや、一貫したユーザー体験のためのブランド・SNS運用ガイドラインの整備も必要だと述べた。
AIエージェントが自律的に動くエージェンティックWebの到来
続いて中道氏が、AIが自律的にWeb上での情報収集や購買行動を行うことを指す「エージェンティックWeb」に言及した。エージェンティックWebでは、情報の対象者は生活者だけでなくAIエージェントまで含む。
また、設計面においても、構造化データはもちろん、AI向けの決済プロトコル、AIが情報を正しく理解して自律的に動くための「ベクトルデータベース」などの整備が求められる。加えて、AIとシステムが連携するためのインタ-フェース規格「MCP(Model Context Protocol)」を用意し、予約や決済までも自動で実行できるようにすることがエージェンティックWebの肝になるという。
AI検索においてまだハルシネーションが発生していますが、ベクトルデータベースを構築しておくことで、企業側からAIに対して能動的に参照データを提供し、ハルシネーションをゼロに近づけていくことが将来的に可能になっていきます(中道氏)
中道氏は、こうした取り組みを「AIAO(AI Agent Optimization:AIエージェント最適化)」という概念で提唱している。前述したような技術的整備に加えて、KPIを「AI内での言及数」「ハルシネーション発生率」「対話内でのコンバージョン数」などに設定し運用していくような考え方で、Webサイトを「人間」と「AIエージェント」の両方に最適化していく。
AIエージェント最適化に向けた技術的アプローチ
これを受けて、生田氏に、「生活者に届けるべき価値」と「AIの可読性」との両立について質問があった。
まずはメタデータを整備し、セマンティックWebとしての対策をすることが、AI検索とSEOの双方において効果的です。本質的には、ユーザーへの価値提供をベースとしつつ、人間とAIを分け隔てなく考えていく戦略が有効です(生田氏)
続けて、エージェンティックWebのために備えるべきことについて質問があり、中道氏は、「まずは、AIに選ばれ、正しく認識される状態を作る『AIO』が最優先」と回答した。
AIOやAIAOの実現には、従来のSEOやUI/UXの知見に加え、AI上での言及状況のトラッキング調査など、やるべきことが多岐にわたる。AIO Web Experience Consortiumでは、これらをワンストップで提供できる体制を整えているという。
最後に登壇者は次のように語り、講演は幕を閉じた。
何よりもまず現状把握が最優先です。自社だけでなく、競合とのパワーバランスを含めて、AI検索やSEOにおける自社の状況を把握しましょう。あわせて、JavaScriptのオンオフによる挙動の違いなど、AIフレンドリー対応の状況も確認してみてください(登氏)
制作の立場から見ると、AI検索対応以前に、ブランドアセットの整備不足という課題が見られます。製品のマスターデータやブランドイメージが整理されていないケースがまだ多くありますが、これらがAIの学習や参照の元データになります。まずはブランドの土台を整備し、それを各メディア展開のベースにしていくのが良いと思います(生田氏)
Google誕生から約30年、今、AIの登場で大きな転換期を迎えています。Googleの役目が、情報検索やWebサイトへの送客から、AIとの対話内で検索・レコメンド・購入まで完結するビジネスモデルへ変わろうとしています。2026年は、大きな変化の年になるでしょう(中道氏)