この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。前編に続いて、後編となる今回は、筆者が提唱する6段階の施策プロセスのうち、前編で紹介できなかったステップ3以降を見ていこう。
6段階のオフサイトSEO施策プロセス
(前編からの続き)
- ステップ1 デジタル分野全体で有効なオフサイト施策向けに、関連性の高い施策のアイデアを定義する(前編)
- ステップ2 検索機会全体(グーグル、LLM、ソーシャルメディア)を観察し、ビジネス成果を高める施策を生み出す(前編)
- ステップ3 インサイトを施策のアイデアに変える
- ステップ4 メディアやソーシャルメディアに対応できるコンテンツにする
- ステップ5 効果的なアウトリーチを行う
- ステップ6 結果の報告と追跡
ステップ3: インサイトを施策のアイデアに変える
このデータが揃ったら、意見ではなくインサイトに基づいて、自信を持ってブレインストーミングの段階に進める。
みんなに伝えたい簡単なヒントは、Redditをスクレイピングすることだ。LLMにとってRedditが非常に影響力のある情報源であり、ユーザー同士が信頼しておすすめ情報を共有している空間であることはすでに誰もが知っている。多くのチームが気づいていないのは、Brandwatch内でブール検索を使えば、サブレディット内の会話を積極的にスクレイピングできることだ。
たとえば、サブレディット「r/Cruise」と「r/Cruises」内の会話を分析したい場合は、次のようなクエリを使える:
(url:reddit.com/r/Cruise OR url:reddit.com/r/Cruises) AND ("最も良い点" OR "最も悪い点")このクエリで、クルージングの最も良い点と最も悪い点をユーザーが率直に議論している会話を取り出せる。これこそ、関連性があり効果も高い施策のアイデアを生み出せるようなインサイトだ。
ここから先はAIに任せるだけでいい。抽出したキーワード、プロンプト、ソーシャルメディアへの投稿をすべてAIに渡し、要約するように指示する。僕の場合は、以下のような結果が得られた:
こうしたデータが得られたら、トピックに関連性があるのはわかったが、アウトリーチに進む前に、メディアやソーシャルメディアに適した内容であることを確認する必要がある。
ステップ4 メディアやソーシャルメディアに対応できるコンテンツにする
これで、リンクを獲得し、ソーシャルエンゲージメントを喚起し、LLMで表示されるようにして、真の認知度とトラフィックを構築できるマルチフォーマットのアイデアに向けた強力なコンセプトが得られた。すばらしいスタートだが、まだ終わりではない。アイデアを実現させるには、ジャーナリスト、プラットフォーム、オーディエンスがすでに反応を示している形式でパッケージ化する必要がある。では、施策やオーディエンスに有効な形式をどのように判断すればいいだろうか?
施策が成功する可能性を最大限に高めるため、僕は常にデータに従うことを薦めている。現在うまくいっていることに目を向け、それに基づいてコンテンツを作成し、配置しよう。
そのために非常に役立つツールがBuzzSumoで、メディアで注目されている話題や、ソーシャルメディアで最も共有されている話題を確認するのに最適だ。BuzzSumo内でトピック(または類似のトピック)を検索するだけで、何が話題になっているかがわかる。
※Web担編注 BuzzSumoは有料サービスだが無料トライアルあり。日本市場や日本語にも対応している
そこから、最もエンゲージメントを集めている形式がわかる。対象期間、地域、言語、ドメイン名、国別ドメイン名でフィルタリングしたり、ジャーナリストによる執筆のみにフィルタしたりすれば、施策にとって重要な要素に絞り込める。
たとえば、Reddit上のクルーズに関するコンテンツを見ると、BuzzSumoではリスト形式の記事が最もパフォーマンスが高く、僅差でインタビュー形式が続くことがわかった。したがって、戦略にRedditを組み込んでいる人は、そういった形式に重点を置くべきだ。
特にメディアへのアウトリーチについて言えば、BuzzSumoでは最も多くのリンクを集めたコンテンツもわかる。トピックを検索し、リンクされている数が特に多い記事を確認するだけで、以下のことがわかる:
- どのジャーナリストが類似の記事を扱ったか
- どのような切り口や形式が最も効果的だったか
- カバレッジの効果を最大化するには、独自のアイデアをどのように落とし込むべきか
このアプローチにより、適切なフックを見つけ、メディアがすでに取り上げている内容に沿った形で提示することがずっと簡単になる。
ステップ5 効果的なアウトリーチを行う
ここまでで、アイデアが得られ、(願わくは)複数のプラットフォームで有効なコンテンツを作成し、LLMやSEO向けに最適化できたはずだ。あとは、メディアやソーシャルメディアのプロフィールでそれを伝える方法さえわかればいい。
簡単そうに聞こえるかもしれないが、実はそうでもない。アウトリーチは習得するのに時間を要するスキルなのだ。しかし、この技術をより短期間で身に付けるためにできることはいくつかある。
まずアドバイスしたいのは、BuzzStreamというツールを使うことだ。これはメディアへのアウトリーチ用CRMだと考えてほしい。テンプレートをアップロードしたり、リンクのクリック数やメールの開封件数を追跡したりすることもできる。
気をつけたい3つのポイント
ただし、先に進む前に、1つ重要な注意点を簡単に説明しておきたい。第1に、リンククリック機能は決して有効にしてはいけない。これを有効にするとURLにコードが追加され、ジャーナリストが単純に君のメールからリンクをコピー&ペーストした場合、リンクがもたらすSEOの価値が低下してしまうからだ。
第2に、これが最も重要な点だが、いかなる場合でも、決してメールを一斉送信してはいけない。アウトリーチは「個別に行い」「入念に調査し」「時間をかける」べきものだ。安易な方法を選んではならない。メディア側を不快にさせ、将来のカバレッジの機会を失うリスクがある。
BuzzStreamでは、連絡を取りたいジャーナリストのリストやソーシャルメディアのプロフィール情報をアップロードできる。その後、簡単にタグ付けして整理できる。
最後に、メール開封追跡機能を必ず有効にしよう。そうすれば、さまざまな件名やスタイルのメールを試したり、アウトリーチのA/Bテストを実施したりできる。あるスタイルのほうが返信をもらったり取り上げられたりする可能性が高いことがわかったら、そのスタイルをもっと頻繁に利用すればいい。
ステップ6 結果の報告と追跡
リンクやソーシャルメディアへの投稿、メディアでの言及が次々と寄せられるようになると、さらなる欲求が生まれてくる。こうした活動がビジビリティやパフォーマンスに与える影響をしっかり追跡できていることを確認したくなるのだ。通知が入ったり自社名が言及されたりすると興奮して我を忘れてしまいがちだが、測定しなければ成功はあくまで推測の域を出ない。
覚えておいてほしいのは、バニティメトリクス(虚栄の指標)は確かに魅力的だが、それ以上のものではないということだ。いい気分になるものだし、プレゼン資料でも見栄えはするが、必ずしも実際のビジネスやブランドへの影響を反映しているわけではない。そのため、次のことを意識しておきたい:
- リンクステータスやドメイン名の指標を主要なKPI(重要業績評価指標)として扱うべきではない
- ストーリーを裏付けることはできるが、ストーリーそのものであってはならない
その代わり、本当に重要なことに焦点を当てるべきだ。その重要なこととは、たとえば次のようなものだ:
- グーグルやソーシャルプラットフォームでのビジビリティ
- LLMの回答に表示される頻度
- サイトトラフィックの変化
最も重要なのは、これらがリード、コンバージョン、売上にもたらす意味だ。
また、結果は必ずしもすぐに現れるわけではないことも覚えておこう。検索エンジンやソーシャルメディアのアルゴリズム、さらにはLLMでのビジビリティにおいて、施策がその効果を十分に発揮するには1か月~2か月かかる場合もある。それが普通だ。レポートでは、必ずアウトプット(実施したこと)だけでなく、アウトカム(それを実施したために生じた結果)も提示しよう。そこにこそ真の価値がある。
アウトプット(実施したこと)
- 獲得したリンクの数
- 参照先サイトのドメインオーソリティ(DA)
- メンションの数
- リンクステータス(follow/nofollow)
- カバレッジやトラフィック生成に使われたランディングページ
- ソーシャルエンゲージメント(いいね、シェア、コメントなど)
アウトカム(生じた影響)
- ソーシャルメディアでのフォロー増加/コミュニティの成長
- アーンドチャンネルからWebサイトへのトラフィック増加
- コンバージョン・問い合わせ・アシストコンバージョンの増加
- 会話におけるブランドへの好感度とビジビリティの向上
- グーグルやLLMの検索結果における市場シェアの拡大
- AI回答エンジンにおけるブランド関連の回答頻度増加
結論
まとめると、2026年は、オフサイト施策がようやくその価値に見合う注目を集める年になると思う。その理由は、ソーシャルプラットフォームやLLM、グーグルの目から見て、オフサイト施策がブランド間の最大の差別化要因になりつつあるからだ。コンテンツは誰でも作成できる。誰でもランディングページを最適化できる。しかし、違いを出せるのは次の4点を実現することだ。
- メディアでの言及
- ソーシャルメディアでの話題性
- コミュニティへの影響
- 外部からのシグナルを通じて、自らのウェブサイト以外にも積極的にオーソリティを構築すること
ブランドの存在感を高め、どこであれオーディエンスがいる場所で相手に影響を与え、可能な限り多くの信頼できるチャンネルからトラフィックを促進しようと皆が取り組むなかで、特に「AIによる概要」やAI検索エンジンによって従来のクリック数が減少し続けている今、「アウトリーチ」「PR」「施策活動」を複数のタッチポイントで展開することの重要性は高まるだろう。
したがって、2026年に向けては、検索順位より大きな枠組みで考えよう。クリック数より広い視野を持とう。オーディエンスが見て、聞いて、スクロールし、質問し、検索しているあらゆる場所に顔を出すことを検討しよう。そこでこそブランドの強さが生まれ、未来の勝者が決まる。
早期に適応できたブランドこそが、この変化を生き残るだけでなく、変化を主導することになる。


