リンクとリンク構築に関する基礎知識 - 『検索エンジン最適化の初心者ガイド』改訂版#7-1
この記事は、『検索エンジン最適化の初心者ガイド』をセクションごとに書き直していく過程のエントリだ。この構想については、概要を見てもらえば、もっとよくわかるだろう。
リンク ―― 人気と重要度を表すもの
ウェブをクロールする検索エンジンにとって、リンクはページ同士をつなぐコネクタの役割を果たす。検索エンジンはリンクを解析することで、ページ同士がどのような関係にあり、どのような形でつながっているのか知ることができる。1990年代末以来、リンクはどのページが重要で人気があるのかについて、ウェブ上の民意を反映し、票決に代わる役割を担ってきた。検索エンジン自身もリンクデータの活用方法に磨きをかけ、その精緻なアルゴリズムは、リンク情報に基づいてサイトやページを微妙な違いまで評価する方法を作り出した。
プロのSEO担当者たちは、検索エンジンのアルゴリズムの大部分が、リンクに基づく要素から成り立つものだと考えている(日本語記事の「検索エンジンが順位を決める53の要因」を参照)。検索エンジンは、獲得しているリンクの数や、リンク元の人気度のほか、信頼性、スパム度合い、オーソリティなどに関する評価基準を用いて、リンクに基づきサイトやページの人気度を分析する。信頼性の高いサイトほど、信頼できる他のサイトにリンクを張る傾向がある一方で、スパム的なサイトが信頼できるサイトからリンクを獲得することはほとんどない(TrustRankを見てみよう)。Hilltopアルゴリズムで前提となっているようなオーソリティモデルでは、該当分野における専門家の文書を識別する上で、リンクが非常に優れた方法だということになっている。
リンクというものが、アルゴリズム的な利用と解析においてこのように重視されているため、検索エンジンを引き付け、注目やトラフィックを獲得するにあたっては、Webサイトのリンク状況を拡大していくことが不可欠となっている。SEO担当者にとってリンク構築は、検索ランキングとトラフィック獲得の成果をあげるため必要な重要課題の1つなんだ。
リンク構築の基礎
リンクの構築は1種の技能だ。それは、ほぼ間違いなくSEOの仕事の中で最も困難な部分で、なおかつ多くのサイトにとっては、長期にわたる成功をおさめるうえで極めて重要な部分でもある。多くの企業では、自分たちのウェブサイトを検索エンジンに最適化するためにSEO担当者を雇う余裕があるかもしれないが、強固な被リンク状況を作り出すことは、競争に勝利するために乗り越えなければならない非常に高い障壁となる。
3種類の基本的なリンク獲得方法について説明しよう。
選択的で自発性のあるリンクの獲得
こちらのコンテンツや企業を参照情報として利用しようとするサイトやページによって、自然にもたらされるリンク。このようなリンクを得るには、相手にとって参照する価値のあるコンテンツを作成することと、コンテンツと関連のあるコミュニティに認知してもらう能力以外に、SEO担当者が特定の作業を行う必要はない。手作業によるリンクの依頼
ブロガーたちにリンクをメールで送信する、ディレクトリにサイトを登録する、さまざまなリストに有料掲載する、などの方法で得たリンクがここに分類される。SEO担当者は、リンクすることにどんな価値があるのかを提示しなければならないし、こうした交渉には労力も必要だ(僕らのWebサイトコンテストに応募するために申し込みフォームに入力するとか、自分のコンテンツには公開用シラバスに掲載する価値があることを担当教授に納得してもらうとか)。リンクの自動生成
ゲストブックやフォーラムに書き込む際の署名、ブログのコメント、ユーザープロフィールなどを通じて、あらゆる訪問者にリンク作成の機会を提供しているサイトは数知れない。一般的に、このようなリンクが持つ価値は非常に低いものだが、全体として見ると大きな影響力を及ぼす可能性がある。だが、自動的にリンクを作成するこうしたやり方は確かにスパム的だし、このようなリンクを手作業で作成する場合ですら、多くのサイトオーナーや検索エンジンからは冷ややかな目で見られている。例外も多数あり、こうしたリンクの作成が可能で、なおかつ作成したリンクに「rel="nofollow"」属性を付けないサイトの場合、そこには機会があると捉えていい。
SEO担当者として、費やす労力に対して最も見返りが大きいやり方はどれなのかを選択するのは自分次第だ。一般原則としては、できるだけ広範で多様なリンクを集めることが賢明だろう。その結果、最高の検索結果が得られるからだ。標準的ではなく、不自然で不正操作のように見えるリンク構築のパターンは、検索アルゴリズムが進化するするにつれ、いずれ無視されるようになるだろう。
検索エンジンが使用するリンクの要素
リンク構築の作業を始める前に、検索エンジンが使用するリンクの要素と、こうした要素が検索アルゴリズムにおいてリンクの重み付けにどのような働きを持っているのかを理解することが極めて重要だ。検索エンジンが評価するすべての要素についてわかっているわけではないが、特許出願文書の分析、情報検索関係のカンファレンスで公表された文書、実践における経験と検証などを通じて、理に適った仮説を導き出すことはできる。考慮に値する注目すべき要素を以下に挙げてみた。
全体的な人気度
あるサイトの人気度と重要性が高ければ高いほど、そのサイトから得る被リンクの多さを検索エンジンは重視する。局所的な、特定のテーマに関するリンクを多数獲得することもすばらしいが、検索エンジンから信用度とオーソリティを与えてもらうには、いくつかの強力なリンクパートナーの助けが必要となるだろう。局所的な(特定のテーマに関連する)人気度
「局所的」人気(検索エンジンのTeomaがこの概念を最初に開発した)というのは、特定のテーマに関するコミュニティのサイトから得るリンクの方が、テーマに偏りのないサイトや関係のないテーマのサイトから得るリンクよりも重要だという考え方だ。アンカーテキスト
表示順位を決める上で、検索エンジンが使用する最も強力な要素の1つが、アンカーテキスト(リンクに使われている文字列)だ。もし、あるページを適切なキーワードで指し示しているリンクが多数存在する場合、そのページは、該当のアンカーテキスト内にあるターゲット化した検索フレーズで、上位にランクする可能性が非常に高くなる。こうした例は、「ここをクリック」や「18歳未満です」といったフレーズで検索すれば良くわかるだろう。これらの検索結果では、多くのサイトが外部リンクのアンカーテキストだけを理由にランクインしている。TrustRank
大量の検索スパムを削除するために(ウェブページの60%がスパムだという概算もある)、検索エンジンは信用度を評価するシステムを使用している。その多くはリンクグラフに基づくものだ。したがって、信用度の非常に高いドメイン名からリンクを獲得することは、この評価値を大幅に引き上げる可能性がある。リンクする先の相手を選ぶ
スパム検知と情報検索に関する論文の多くで、あるドメイン名にリンクを張っているサイトで、なおかつそのドメイン名からリンクを得ているサイトを用いれば、極めて有効にスパムの判定と除去が行えると考えられている。したがって、こちらから外部向けリンクを張る先のサイトについても、リンクを張ってもらうサイトを決定する場合と同じく、慎重に選択し、きちんと相手を選ぶのが賢明だ。
プロのSEO担当者は、リンクの価値とサイトのリンク状況を測定する際に、上記の全項目のほか、さらに多くのことを検討する。
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