Aggregator

メタが提唱する「Compound Branding」とは

17 分 7 秒 ago

メタが「Compound Branding(コンパウンドブランディング)」という概念を提唱している。直訳すると「複合のブランディング」や「複利のブランディング」となる。複数のアセットとプレイスメントにわたり、1秒ごとにそして持続的にアテンションを獲得して積み上げていく手法であり、戦略というよりマインドセットとのこと。紐解けばとりわけ斬新な概念ではないように思うが、それゆえに支持されやすいだろうし、概念に名前を付けて普及を図る動きは注目に値する。2026年3月に開催されたイベント「Meta Marketing Summit 2026」でこの「Compound Branding」を紹介するセッションがあり、録画が公開されているので、その内容の要点をメモしておく。

Compound branding: How to win in the attention economy
(アテンションエコノミーの勝利戦略)

Compound branding: How to win in the attention economy - As content ecosystems fragment, brands must evolve from singular ideas to adaptable creative systems anchored in a consistent ethos. This session explores the concept of Compound Branding and outlines strategies for building durable brand presence while operating at the speed of culture. / Jimmie Stone (VP, Global Head of Creative Shop, Meta)
  • コンテンツの爆発的な増加、AIドリブンの発見と配信システムの高度化、パーソナライズされたコンテンツへの期待の高まりにより、ブランドはシンプルで直線的なストーリーだけに依存できなくなった。ノイズを突破するのでなくそれを受け入れ、断片化と戦わずそれを活用する方法を学ぶべき。
  • 人間の集中力の持続時間は過去20年で69%減少。情報処理は速くなり、脳がモバイル広告に肯定的または否定的な反応をするまでに必要なのは0.4秒。デジタルネイティブはそれ以上の世代より3倍速くコンテンツを消費する。
  • 60秒で制作していたコンテンツは6秒で制作する必要がある(Six is the new 60)。継続的アテンションより累積的アテンション(短いアテンションの積み上げ)の方が効果がある。
  • メタはカルチャーのエコシステム(Ecosystem of Culture)。オーディエンスのカルチャーに根差した方法でストーリーを伝える必要がある。カルチャーに共感したら、クリエイターと共にカルチャーに参加し、コミュニティーの力を活用すべき。若年成人の58%は、ブランドが直接語るよりも、クリエイターが語るブランドを信頼している。
  • クリエイティブこそが新たなターゲティング(Creative is the new targeting)。共鳴する多様なコンテンツをシステムに投入すればするほど、システムは賢くなり、適切なオーディエンスに届き、また新たなオーディエンスに広がる。
  • ひとつのビッグアイデアから脱却し、さまざまなキャンバスや動機に対応した複数のアイデアのシステムへ進化すべき(System of Ideas)。それらをひとつにまとめる軸はブランド理念であり、強いブランド理念があれば希薄化せず成果が出る。
  • Compound Brandingは、複数のアセットとプレイスメントにわたり、1秒ごとにそして持続的にアテンションを獲得して積み上げていく手法。戦略というよりマインドセット。
  • エージェント型AIと生成AIは、カルチャーのスピードに合わせて高品質で多様なコンテンツを制作するのに役立つ。AIでクリエイティブは自動化できても、クリエイティビティーは自動化されない。創造性は人間の領域。
  • Compound Brandingの魅力は、ブランド理念が多数のカルチャーモーメントやタッチポイントに織り込まれていくこと。

このセッションの録画は以下で公開されている。

Meta Marketing Summit Online 2026
https://events.atmeta.com/mmsonline2026/
Meta Marketing Summit Online 2026(日本語)
https://events.atmeta.com/mmsonline2026-jp/

Kenji

小売りや物流などエッセンシャルサービス維持に向けた取り組みを支援する「生活維持役務等効率化促進事業」とは? 事業効率化に最大3000万円

17 分 7 秒 ago

経済産業省は6月4日、小売り、物流、旅客輸送、介護など、地域の生活に欠かせないエッセンシャルサービスの供給維持に向け、事業者の効率化を支援する補助事業「生活維持役務等効率化促進事業」の公募を開始した。補助上限額は3000万円。公募の締め切りは6月25日。

経済産業省が公募を始めた「生活維持役務等効率化促進事業」は、小売りや物流、旅客輸送、介護など地域に欠かせないエッセンシャルサービスの供給維持に向けた補助事業。合理化、広域化、多角化の取り組みを対象に、最大3000万円を補助する。
「生活維持役務等効率化促進事業」サイトのトップ画面(画像は編集部がキャプチャ)

補助対象経費は、クラウドサービス利用費・広告宣伝・販売促進費など

支援対象は、生活の維持に必要な物品やその輸送、旅客輸送、その他のサービスを提供する事業者などで、地域においてエッセンシャルサービスの供給不足が生じている、または将来的に生じるおそれがある分野を対象としている。

補助対象経費には、建物費、機械装置・システム構築費、車両改造費、専門家経費、研修費、クラウドサービス利用費、外注費、技術導入費、広告宣伝・販売促進費、廃業費などが含まれる。

「合理化」「広域化」「多角化」による事業効率化を支援

「生活維持役務等効率化促進事業」では、エッセンシャルサービス事業者の生産性向上に向け、「合理化」「広域化」「多角化」による事業効率化を支援する。

対象となるのは、「連携型事業展開モデル」または「多種型事業展開モデル」に該当する取り組み。

「連携型事業展開モデル」は、複数事業者による協業などを通じて、事業範囲の拡大や経営資源の合理化を図る取り組みを対象とする。

一方の「多種型事業展開モデル」は、複数のエッセンシャルサービス事業を展開することで、事業範囲の拡大や経営資源の合理化を図る取り組みを支援する。

補助対象となる「合理化」「広域化」「多角化」の具体例

補助対象となる取り組みの例として、「合理化」では設備投資やDXツール導入による省力化のほか、共同調達、業務の標準化、バックオフィス機能の共通化などを想定している。

「多角化」の例として、ガソリンスタンドが小売店を併設するケース、バス事業者が貨客混載を実施するケース、地域の観光事業者や建設事業者が介護サービス事業に参入するケースなどをあげている。

また、「広域化」では、小売業の広域チェーン展開、物流事業者による広域配送網の構築、交通事業者による営業所統合などを例示している。

具体的な事例は次のとおり。

  • 大手スーパーの地場スーパー承継によるサプライチェーン最適化
  • 物流会社によるスーパーの事業承継・移動販売
  • 宅配の有閑時間を活用した移動販売
  • 同業複数社での共同出資会社設立・拠点集約による灯油宅配事業
  • 住民出資会社の事業承継によるSS維持・小売多角化
  • 複数の介護施設での共同送迎・コミュニティバス化
  • 地場LPガス会社:既存事業の配送網を活かした複数ES事業の展開

補助額は100万円から3000万円まで、補助率は最大3分の2

補助事業期間は、交付決定日から2027年2月19日まで。補助額は100万円から3000万円までで、補助率は、大企業などが2分の1以内、中小企業などが3分の2以内としている。採択結果は7月中旬ごろに公表する予定としている。申請は電子メールまたはJグランツで受け付ける。

なお、同一法人による申請は1件まで。地方公共団体は補助対象外となる。また、同一事業で複数の国の補助金を受けることはできず、交付決定前に契約・発注した経費は補助対象とならない。採択後は、モデルケースの横展開を目的として、全国47都道府県で実施するセミナーへの登壇などに協力を求める場合があるとしている。

この記事の筆者

[ 執筆 ] 鳥栖 剛

フリーライター
furukawa

中東・ウクライナ情勢・原油価格上昇で困っていませんか? 「中東情勢に関する支援情報」ページを中小機構が開設

47 分 7 秒 ago
中小機構は6月9日、「J-Net21」内に「中東情勢に関する支援情報」ページを開設した。中東・ウクライナ情勢や原油価格上昇の影響を受ける中小企業の情報収集を支援する。

独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)は6月4日、ポータルサイト「J-Net21」内に「中東情勢に関する支援情報」ページを開設した。

「中東情勢に関する支援情報」は、中東情勢や原油価格上昇などの影響を受ける中小企業向けに、支援策や相談窓口、関連ニュースをまとめて掲載する特設ページ。中小機構の支援施策に加え、国や自治体、支援機関が公表する情報も一元的に確認できるようにしている。

中東・ウクライナ情勢・原油価格上昇で困っていませんか? 「中東情勢に関する支援情報」ページを中小機構が開設
中小機構の「中東情勢に関する支援情報」ページのトップ画面(画像は編集部がキャプチャ)

ページではまず、「特別相談」として中東情勢の影響に伴う経営課題や困りごとについて、専門家が無料で相談に応じる窓口を案内している。

相談内容は、設備投資や販路開拓、省力化に関する補助金・支援施策の活用、カーボンニュートラルや脱炭素化への対応、経営戦略や経営計画の見直し、資金調達、財務・会計、法務、BCP(事業継続計画)、事業提携や企業間連携など幅広い。北海道から沖縄まで、各地域本部・事務所の相談窓口一覧も掲載している。

また、情報提供フォームも設置した。燃料油や石油由来の化学品・製品などの供給状況について、買い占めや売り惜しみ、流通の停滞といった影響が生じた場合に備え、事業者や消費者から情報提供を受け付ける。寄せられた情報は、石油連盟や全国石油商業組合連合会、日本化学工業協会、石油化学工業協会などと連携しながら活用するという。

このほか、課題解決に役立つ無料診断ツールも紹介。省力化や生産性向上の取り組み事例を確認できる「省力化ナビ」、コスト増を踏まえた適正価格を検討する「価格転嫁検討ツール」、商品別・取引先別の収支を可視化する「儲かる経営キヅク君」などを掲載。さらに、専門家が一定期間伴走するハンズオン支援の案内も掲載している。

資金繰りに関する情報として、小規模企業共済契約者向けの共済契約者貸付や、取引先倒産の影響に備える経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)を紹介。加えて、日本政策金融公庫が設置している「中東・ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」へのリンクも掲載している。

地域別の支援情報も確認できる。都道府県別に補助金、融資、セミナー情報などを一覧化しており、自社の所在地に応じた支援策を探しやすくした。あわせて、関連ニュースや、経済産業省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省、環境省、金融庁、内閣官房など各省庁の関連サイトもまとめている。雇用調整助成金をはじめとした雇用面の支援制度も確認できる構成だ。

中小企業庁でも支援策を公開

なお中小企業庁でも、中東情勢やウクライナ情勢、原油価格上昇の影響を受ける中小企業・小規模事業者向けに、支援策をまとめたページ「中東情勢等を踏まえた中小企業・小規模事業者向け支援について」を公開している。

主な内容は、「特別相談窓口の設置」「資金繰り支援」「価格転嫁・取引適正化の推進」「設備投資支援」の4本柱。

具体的には、日本政策金融公庫や信用保証協会、商工会議所などで相談を受け付けるほか、セーフティネット貸付の要件緩和、セーフティネット保証5号、事業再生支援などの金融支援を案内している。

また、原材料費やエネルギーコスト上昇分を取引価格へ適切に反映できるよう、業界団体や官公需発注機関などに対して価格転嫁の推進を要請している。

さらに、価格転嫁の実態を把握する重点調査や、中東情勢などの影響克服に取り組む事業者を対象とした設備投資支援も実施している。

中小企業庁は、経営上の課題や困りごとを抱える事業者に対し、まずは最寄りの特別相談窓口へ相談するよう呼びかけている。

この記事の筆者

[ 執筆 ] 鳥栖 剛

フリーライター
furukawa

Google検索数+気象データの傾向の分析から見える季節商品が注目される時期/「ブロンコビリー」に学ぶ「選ばれる理由」の作り方【ネッ担アクセスランキング】

1 時間 17 分 ago
  1. 2026年夏は全国的に暑い夏、ダブル高気圧で酷暑に注意。Google検索数+気象データの傾向の分析から見える季節商品が注目される時期

    ウェザーニューズによると2026年夏は全国的に気温が高く、「ダブル高気圧」による酷暑や長引く残暑に注意が必要な見通しだ。Google検索数と気象データの分析では、夏物商品の需要は例年より早く立ち上がり、9月まで続く可能性がある。

    鳥栖 剛[執筆]

    6月5日 8:30

    2026年夏は全国的に暑い夏、ダブル高気圧で酷暑に注意。Google検索数+気象データの傾向の分析から見える季節商品が注目される時期
  2. 新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ
    値上げ=客離れって本当?「ブロンコビリー」に学ぶ「選ばれる理由」の作り方【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2026年5月23日~6月5日のニュース

    石田 麻琴[執筆]

    6月9日 8:00

    値上げ=客離れって本当?「ブロンコビリー」に学ぶ「選ばれる理由」の作り方【ネッ担まとめ】
  3. ヤッホーブルーイングの2025年11月期は増収増益、2026年は2つの新拠点+通販中心の新ブランドを計画

    ヤッホーブルーイングは2027年に創業30周年を迎える。2026年は、新拠点の開業、新製品の発売、醸造所の改修などさまざまな取り組みを進める

    大嶋 喜子[執筆]

    6月5日 7:30

    2桁で増収増益のヤッホーブルーイング、2026年は2つの新拠点+通販中心の新ブランドを計画
  4. ヤマダHDとエディオンが経営統合、売上高約2.5兆円規模の小売業が誕生へ。「全国配送網」「PB開発」の強化などを検討

    ヤマダホールディングスとエディオンは、持株会社方式による経営統合に向けた基本合意書を締結。統合が実現すれば、売上高約2.5兆円、全国9954店舗規模の小売業が誕生する。

    鳥栖 剛[執筆]

    6月9日 7:30

    ヤマダHDとエディオンが経営統合、売上高約2.5兆円規模の小売業が誕生へ。「全国配送網」「PB開発」の強化などを検討
  5. アマゾンジャパンの社長にジャパンオペレーション代表の島谷氏が就任、ジャスパー・チャン社長も継続で2名体制に

    アマゾンジャパンは6月1日、ジャパンオペレーション代表の島谷恒平氏が社長に就任したと発表した。現社長のジャスパー・チャン氏も同職を継続し、2社長体制となる。

    鳥栖 剛[執筆]

    6月5日 9:00

    アマゾンジャパンの社長にジャパンオペレーション代表の島谷氏が就任、ジャスパー・チャン社長も継続で2名体制に
  6. EC売上142億円のあさひ、急成長の舞台裏。ECマネージャー岡川氏が推し進めた、OMO加速に成功した組織構造改革とは?

    「組織横断型」EC運営の限界を打ち破り、ECの全機能を1つの自律チームへ統合。あさひのOMOを次のステージへと押し上げ、売上急拡大をけん引した岡川マネージャーに、OMOの具体的な取り組みや組織変革術を聞く

    高野 真維[執筆]

    6月8日 7:00

    EC売上142億円のあさひ、急成長の舞台裏。ECマネージャー岡川氏が推し進めた、OMO加速に成功した組織構造改革とは?
  7. ECビジネスを成長させるM&A「成長型EXIT」のリアル
    エージェントコマース時代、「負けるEC」「勝ち残るEC」の条件+「ゼロから作る」より「買う」が合理的な理由

    エージェントコマース時代の到来が予測されるなか、Amazonなどのモール依存ではなく「自社EC」の価値が再評価されています。AIに推薦されるブランド資産と顧客データの重要性、そして買い手企業が今D2C事業を欲しがるM&Aの裏側を解説します。

    前野智純[執筆]

    6月8日 8:00

    エージェントコマース時代、「負けるEC」「勝ち残るEC」の条件+「ゼロから作る」より「買う」が合理的な理由
  8. 優良顧客の会員数+会員売上構成を伸ばしたユナイテッドアローズの施策とは?

    ユナイテッドアローズは、会員組織「UAクラブ」の拡大とロイヤル顧客の育成を両立。2026年3月期にはアクティブ会員数が160万人を超え、年間10万円以上を購入する優良顧客の会員数や会員売上構成比も伸長した。

    鳥栖 剛[執筆]

    6月8日 7:30

    優良顧客の会員数+会員売上構成を伸ばしたユナイテッドアローズの施策とは?
  9. 家具・インテリア業界を取り巻く環境・市場規模+「LOWYA」のポジショニング+2026年3月期の実績

    ベガコーポレーションのLOWYAは、家具・インテリア市場全体が横ばいのなか、EC成長とOMO戦略を追い風に事業を拡大している。2026年3月期は実店舗出店が寄与し、売上高・各利益ともに増加した。

    鳥栖 剛[執筆]

    6月5日 9:30

    家具・インテリア業界を取り巻く環境・市場規模+「LOWYA」のポジショニング+2026年3月期の実績
  10. 「LOWYA」のベガコーポレーションがOMOモデルを転換した理由と施策、その実績は?

    ベガコーポレーションは「LOWYA」で、オンライン中心のD2Cモデルから実店舗を組み合わせたOMOモデルへの転換を推進している。2026年3月期は実店舗出店やOMO施策を通じた新商品展開が寄与し、売上高・各利益ともに伸長した。

    鳥栖 剛[執筆]

    6月5日 10:00

    「LOWYA」のベガコーポレーションがOMOモデルを転換した理由と施策、その実績は?

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

この記事の筆者

藤田遥

ネッ担編集部

保険系SE→ECサイト運営を経て、編集未経験でインプレスに入社し、ネットショップ担当者フォーラム編集者に。趣味は音楽を聴く、ゲーム、ショッピング。ライブと買い物に行くとき以外は基本的にインドア派。カレーとコーラが好き。

fujita-h

アシックスがオニツカタイガー事業を分社化、100%子会社「OT GROUP」へ事業承継

1 時間 47 分 ago
アシックスは、「オニツカタイガー」事業を2027年1月1日付で100%子会社のOT GROUPに承継する。ブランドの独立性を高め、意思決定の迅速化とグローバル運営体制の強化を図る。

アシックスは6月10日、スポーツシューズブランド「オニツカタイガー」に関する事業を会社分割し、100%子会社の「株式会社OT GROUP」へ承継すると発表した。効力発生日は2027年1月1日を予定している。

OT GROUPをオニツカタイガー事業のグローバル本社と位置付け、各国の地域事業会社で展開する同ブランド事業も傘下に入る。ブランドの独立性を高めることで、意思決定の迅速化とグローバルでの事業運営を強化する。


再編後のイメージ

会社分割は、アシックスを分割会社、OT GROUPを承継会社とする簡易吸収分割方式で実施する。吸収分割契約の締結は10月1日、OT GROUPの株主総会承認は11月16日を予定している。

アシックスによると、今回の再編は連結子会社との組織再編であるため、連結業績への影響は軽微としている。

今回の再編の背景には、オニツカタイガー事業の成長がある。

オニツカタイガーの2025年12月期の売上高は前期比43.0%増の1365億円。訪日需要が好調な日本をはじめ、全地域で2桁増収となった。粗利益率は74.6%と前年から改善し、カテゴリー利益率は37.7%で全カテゴリーのなかでも最高水準となっている。

アシックスは、高成長かつ高収益なブランド事業を独立性の高い体制へ移行することで、商品開発や店舗展開、海外展開のスピードをさらに高める考えとみられる。

店舗展開では、2025年に欧州で新規出店したフラッグシップストアとして、スペイン・バルセロナ、英国・ロンドン、フランス・パリの店舗を挙げている。2026年も同様のフラッグシップストアを世界の主要都市へ出店する計画だという。

また、2026年1月には鳥取県に「オニツカイノベーティブファクトリー」を開設。プロダクト価値の追求とブランド価値の向上を進める方針も示している。

なお、アシックスの2025年12月期における売上高は前期比19.5%増の8109億円、そのうちEC売上高は、同8.3%増の1484億円で、EC化率は同1.9ポイント減の18.3%だった。

この記事の筆者

[ 執筆 ] 鳥栖 剛

フリーライター
furukawa

VisaがOpenAIとエージェントコマースで提携、決済・セキュリティインフラを対話型インターフェースに提供

2 時間 17 分 ago
VisaはOpenAIと提携し、AIエージェントが関与する「エージェンティック・コマース」に対応した決済基盤を提供する。利用限度額や加盟店カテゴリーなどをユーザーが設定できるほか、トークン化やリアルタイム不正監視を通じて、安全で信頼性の高い対話型決済の実現をめざす。

米Visaは6月10日、「ChatGPT」のOpenAIと戦略的提携し、自律的なAIエージェントがユーザーに代わって取引を行う「エージェンティック・コマース(Agentic Commerce)」において、安全で信頼性の高い決済を実現すると発表した。

Visaの決済機能をOpenAIのサービスに統合し、AIエージェントが行うVisa決済を、開発者や加盟店がスムーズに受け入れられる環境の構築をめざす。

VisaがOpenAIとエージェントコマースで提携、決済・セキュリティインフラを対話型インターフェースに提供
Visaの決済機能をOpenAIのサービスに統合

今回の提携により、Visaはグローバル決済ネットワーク、認証機能、セキュリティインフラを提供し、OpenAI上で展開されるエージェンティック・コマース体験を支える。

取引は、利用限度額、加盟店カテゴリー、事前承認の要否など、ユーザーがあらかじめ設定した権限やルールの範囲内でのみ実行する。これにより、AIエージェントが関与する取引でも、ユーザー主導のコントロールを維持しながら決済を進められるようにする。

セキュリティ面では、トークン化されたVisa認証情報を利用するほか、リアルタイム承認や不正検知の仕組みを組み合わせる。新たなAI主導の決済体験においても、高い安全性と消費者保護を確保する狙いだ。Visaはこうした基盤を通じて、消費者と事業者が安心してAIエージェントを介した取引を利用できる環境づくりを進める。

この取り組みは、Visaが推進する「Visa Intelligent Commerce」イニシアチブの一環。同イニシアチブは、安全な決済機能を新たなデジタル環境へ拡張することを目的としている。
両社は今後、OpenAIの「Codex」を活用した開発者向け体験の提供や、より自動化された対話型ワークフローの実現など、企業向けアプリケーションの展開も検討していく。

AIは、インターネットやモバイル技術以上に商取引を変革する可能性を秘めている。AIエージェントが経済活動の担い手となるなかで、取引の信頼性、安全性、シームレスさを支えるインフラを、OpenAIのようなパートナーとともに構築していく。(Visa 最高製品・戦略責任者 ジャック・フォレステル氏)

購入や支払いを含む金銭関連タスクにおいて、AIエージェントの役割はますます高まっていく。安全で透明性が高く、ユーザーが制御可能な取引基盤を整備していく。(OpenAI コマース・パートナーシップ責任者 マルコ・マールス氏)

この記事の筆者

[ 執筆 ] 鳥栖 剛

フリーライター
furukawa

失敗しない!解説動画の作り方|初心者でもプロ級のクオリティに仕上げる5つのステップ

16 時間 18 分 ago

解説動画を制作したいけれど、何から始めればいいか分からない…と悩んでいませんか?「難しそう」「機材や編集スキルがない」と二の足を踏んでいる方も多いかもしれません。しかし、解説動画の成功は、高度な編集技術よりも、視聴者の悩 […]

The post 失敗しない!解説動画の作り方|初心者でもプロ級のクオリティに仕上げる5つのステップ first appeared on 動画制作・動画マーケティング専門メディア「VIDEO SQUARE(ビデオスクエア)」.

水口 仁志

米Amazon、オリジナルグッズのデザインなどカスタマイズ機能をAIショッピングアシスタント「Alexa for Shopping」に実装

23 時間 17 分 ago
米AmazonがAIショッピングアシスタント「Alexa for Shopping」に実装した新機能を使うと、言葉でイメージを伝えるだけで、Tシャツやタンブラーなどに印刷できるデザインを数秒で生成できる。

米Amazonは6月8日、AIショッピングアシスタント「Alexa for Shopping」に、オリジナルグッズをデザインできる新機能を実装した。

ユーザーはAmazonショッピングアプリや「Amazon.com」上で、作りたいデザインのイメージを言葉で入力するだけで、Tシャツやパーカー、タンブラー、ウォーターボトルなどに印刷するデザインを数秒で生成できる。デザインの専門知識は不要で、作成したデザインは友人や家族と共有し、それぞれが同じグッズを購入することが可能だ。


作りたいデザインのイメージを言葉で入力するだけでデザインを生成できる

新機能は、Amazonのプリント・オン・デマンドサービス「Merch on Demand」と連携する。生成したデザインは対象商品に印刷し、Amazonが製造から配送までを担う。配送はプライム対象で、デザイン機能の利用料は無料。ユーザーは注文した商品の代金のみを支払う仕組み。現時点では米国の顧客向けに提供している。

利用方法は、AmazonショッピングアプリでAlexaアイコンをタップするか、検索バーで「customize」と検索して開始する。たとえば、「90年代の企業弁護士になったゴールデンレトリバーがディスコにいるデザインを作って」など自由な言葉でイメージを伝えると、AIが数秒でデザイン案を生成。その後は、「Alexa for Shopping」が提案するアクションを選択するか、修正内容をテキスト入力することでデザインを調整できる。

Amazonは、グラフィックデザインの知識がないユーザーでも利用しやすいよう、プロセス全体を通じてヒントを提示しながら操作をガイドするとしている。鮮やかな色彩や高解像度を実現するための細かな調整は機能側で処理するため、ユーザーはアイデア出しと簡単な修正に集中できるという。

対応商品はアパレルとドリンクウェアが中心。アパレルではTシャツ、Vネック、長袖シャツ、ポロシャツ、クォータージップ、ジャージ、パーカー、スウェット、タンクトップ、ラグランなどに対応する。ドリンクウェアではタンブラーやウォーターボトルをカスタマイズできる。Amazonは今後、対応商品のラインアップをさらに拡充する予定としている。

利用シーンとしては、ペットをモチーフにしたイラスト入りグッズ、誕生日や記念日のパーソナライズギフト、親族の集まりやチームイベント向けのおそろいTシャツ、グループチャットの“身内ネタ”を反映したパーカー、休日やスポーツ観戦、夏休み向けのオリジナルグッズなどを想定している。

作成したデザインは、グループチャットやソーシャルメディア、共有リンクなどを通じて他者に送ることが可能。受け取った側も、自身のAmazonアカウントから同じ商品を購入できる。

この記事の筆者

[ 執筆 ] 鳥栖 剛

フリーライター
furukawa

オンワードグループの大和、還元率2倍の会員限定企画開始。毎月9のつく日をポイントアップデーに制定

23 時間 46 分 ago
会員ステージに応じた「オンワードメンバーズポイント」の還元率を2倍にする。最もステージが高い会員の還元率は、9のつく日は18%となる

オンワードホールディングス傘下で、店舗とECでギフト専門店「PRESENTERS ROOM」を運営する大和は6月9日、毎月9・19・29日に「オンワードメンバーズポイント」の還元率を2倍とする会員限定企画「PRESENTERS ROOM DAY」を開始した。

毎月9のつく日はポイント還元率を2倍とする
毎月9のつく日はポイント還元率を2倍とする

「PRESENTERS ROOM」は、2026年9月にブランド誕生1周年を迎える。カタログギフト、テーブルウェア、雑貨など幅広いジャンルの商品を展開し、カードタイプやソーシャルギフトなど、贈るシーンや用途に合わせたギフトを取りそろえている。「PRESENTERS ROOM DAY」は、会員限定企画の第1弾としてスタート。今後も会員限定企画を予定しているという。

「PRESENTERS ROOM」のイメージ
「PRESENTERS ROOM」のイメージ

「PRESENTERS ROOM DAY」の対象となる売り場は、東京都の「二子玉川ライズS.C.店」「ニュウマン高輪店」、大阪府の「ルクアイーレ大阪店」、宮城県の「イオンモール仙台上杉店」の直営4店舗と、公式オンラインストア。売り場の全商品を対象とする。

「オンワードメンバーズポイント」は、商品代金(税抜)と会員ステージに応じて付与する。対象通販サイトおよび全国の対象ショップでの購入額に応じてたまり、1ポイント=1円として利用できる。

ポイント付与のタイミングは、店舗は購入後、オンラインストアは商品発送完了メール配信後の3~4日程度で付与する。

会員ステージとポイント還元率。「PRESENTERS ROOM DAY」では通常の2倍還元する
会員ステージとポイント還元率。「PRESENTERS ROOM DAY」では通常の2倍を還元する

オンライン限定「まとめ買いキャンペーン」との併用

「PRESENTERS ROOM DAY」は、公式オンラインストアで6月30日まで実施している「まとめ買いキャンペーン」との併用も可能だ。9のつく日に「まとめ買いキャンペーン」の条件を満たした会員に対し、最大で3万円割引を適用する。また、「オンワードメンバーズポイント」も還元率を通常の2倍とする。

「まとめ買いキャンペーン」概要

  • 実施期間:2026年5月9日~6月30日
  • 対象:「オンワードメンバーズ」会員
  • 対象商品:全商品
  • 特典
    • 税込3万2000円以上かつ8点以上の購入:6000円割引
    • 同8万円以上かつ20点以上の購入:1万5000円割引
    • 同16万円以上かつ40点以上の購入:3万円割引
オンライン限定企画で6月30日まで行う「まとめ買いキャンペーン」
オンライン限定企画で6月30日まで行う「まとめ買いキャンペーン」

この記事の筆者

[ 執筆 ] 大嶋 喜子

フリーライター

岐阜、富山、石川、福井、神奈川、LosAngels、山形を経て東京にたどり着き、現在は日本とアメリカの二拠点生活を営む生粋の“根無し草”。またの名を“ちいさなMADE IN JAPAN”。

新卒入社のEC運営会社にてレディースアパレル・宝飾バイヤーとして月商1億を突破。その後、同社内でクリエイティブ部門コピーライターに転身し、プランナー・ディレクターを経て独立。

ohshima

商品画像・バナー・動画・LPを生成AIが制作。「撮影前提から生成前提」へと転換するEC特化AIクリエイティブ生成SaaS「AI Creative One」とは

1 日 ago
コマースOneホールディングスのグループ会社である既読が、EC事業者向けAIクリエイティブ生成SaaS「AI Creative One」の正式版を提供開始した。商品画像をアップロードするだけで、商品画像、バナー、動画、LP素材を生成できる。

コマースOneホールディングスのグループ会社である既読は5月28日、EC事業者向けAIクリエイティブ生成SaaS「AI Creative One(AIクリエイティブワン)」正式版の提供を始めた。商品画像やバナー、動画、LP素材の制作を「撮影前提から生成前提へ転換する」としている。

「AI Creative One」は、商品画像1枚をアップロードするだけで、ECに必要な各種ビジュアルを生成できるAIクリエイティブ生成SaaS。プロンプト(AIへの指示文)の入力は不要で、撮影やモデル手配、スタジオ予約を行うことなく制作を進められる利点がある。

コマースOneホールディングスのグループ会社である既読は5月28日、EC事業者向けAIクリエイティブ生成SaaS「AI Creative One(AIクリエイティブワン)」正式版の提供を始めた
商品画像1枚をアップロードするだけで、ECに必要な各種ビジュアルを生成できる

既読は、EC市場の拡大に伴い商品画像やSNS・広告向けクリエイティブ制作の負担が年々大きくなっていると説明。商品(SKU)が増えるたびに撮影やレタッチの工数が積み上がり、カラーバリエーション展開や季節キャンペーンのたびに、スタジオ予約やモデル手配、カメラマンの日程調整といった同様の工程が繰り返されているという。その結果、施策のスピードに制作が追いつかず、予算の都合で「全色は撮影できない」と販売機会を逃すケースもあり、EC運営の現場ではクリエイティブ制作がボトルネックとなっていたとしている。

既読はAIとデザイナー監修を組み合わせた受託制作として、累計3000点以上のビジュアル制作を手がけてきた。その過程で、「撮影前提」の制作フローそのものを変えなければ、現場の負担は根本的に解決できないと認識。こうした受託制作で培ったノウハウを、専門知識がなくても利用できるツールとして形にしたのが「AI Creative One」という。サービス名の「One」には、商品画像・バナー・動画・LPと分かれていたEC事業者のクリエイティブ制作を、AIによって1つに統合するという意味を込めた。

既読は4月6日にβ版を公開し、ユーザーからのフィードバックを元に改善を重ねた。その後、商品画像生成やバナー・SNS広告画像生成を中心とする主要機能を搭載し、5月28日に正式版へ移行した。動画生成およびLPストーリー画像生成については、正式版リリース後も機能拡充を進めるとしている。

コマースOneホールディングスのグループ会社である既読は5月28日、EC事業者向けAIクリエイティブ生成SaaS「AI Creative One(AIクリエイティブワン)」正式版の提供を始めた
「AI Creative One」のダッシュボード画面イメージ

主な機能

  • 商品画像生成:物撮りイメージやモデル着用画像を商品画像から生成。背景違いやカラーバリエーション、構図違いにも対応
  • バナー・SNS広告画像生成:ECバナーや各SNS向け広告ビジュアルを生成。コピー挿入や各媒体サイズへの自動変換に対応
  • 動画生成:商品画像から短尺動画素材を生成(順次拡充予定)
  • LPストーリー画像の一括生成:Amazonや楽天市場などのECモール、自社EC向けLPビジュアルを一括生成(順次拡充予定)
コマースOneホールディングスのグループ会社である既読は5月28日、EC事業者向けAIクリエイティブ生成SaaS「AI Creative One(AIクリエイティブワン)」正式版の提供を始めた
「AI Creative One」の機能

既読は、商品画像から物撮り、モデル着用画像、バナー、動画、LP素材まで、EC運営に必要なビジュアルを1つのツールで制作できる点を特徴としている。

制作リードタイムを即日に短縮、コストは最大80%削減

既読によると、「AI Creative One」を活用することで、従来1〜2週間を要していた制作リードタイムを即日まで短縮できるという。さらに、撮影と比較してコストを最大80%、業務工数を最大94%削減できるとしている。いずれも同社調べ。これにより、これまで予算の都合で実施が難しかったカラーバリエーション展開や、季節ごとのキャンペーン素材制作にも対応しやすくなるという。


「AI Creative One」で生成した画像のイメージ

料金プランは、「Free」「Basic」「Pro」「Enterprise」の4種類を用意する。

  • Free:0円。操作感の確認向けで、クレジットカード登録不要
  • Basic:月額1万2800円(税抜)。画像編集機能と無制限ダウンロードに対応
  • Pro:月額2万9800円(税抜)。優先サポート付きで制作量の多い事業者向け
  • Enterprise:個別見積。専任サポートやカスタマイズ対応

同社は、すべてのプランで利用規約に基づく商用利用が可能としている。

アップロードデータはAIの再学習に利用せず

セキュリティや著作権への対応として、生成物は利用規約に基づき商用利用できる設計とした。アップロードされたデータはAIの再学習には使用しない。また、すべての通信をHTTPSで暗号化し、運用履歴を記録することで、内部統制やガバナンスへの対応も意識したとしている。

既読は、受託制作とSaaSの双方において、デザイナー監修による品質管理と権利関係への配慮を重視しており、AIを安心して業務へ組み込めること自体をサービス価値の1つと位置付けている。

この記事の筆者

[ 執筆 ] 鳥栖 剛

フリーライター
furukawa

「AIきっかけ」の商品購入は半数超。AIの提案の追加検証はGoogle検索が87%、ECモールとSNSが34%

1 日 ago
PLAN-Bマーケティングパートナーズの調査によると、生成AIを比較検討の入り口としつつ、検索エンジンなどで追加検証する行動が定着していることがわかった。

PLAN-Bマーケティングパートナーズが実施した「生成AIとの対話による購買行動調査 2026」によると、54%が生成AIとの対話をきっかけに商品を購入した経験があると回答した。生成AIによる提案・推奨の後に追加検証する手段は「Googleなどの検索エンジン」が最多だった。

調査対象は、生成AIを使った検索を日常的に行っている10代~60代の男女500人。調査期間は2026年5月11〜16日。

生成AIの日常利用率、「毎日・週数回」が26%

検索や情報収集をする際の生成AIの使用状況は、「常に使っている(ほぼ毎日)」が10.8%、「よく使っている(週に数回程度)」が16.0%、「時々使っている(月に数回程度)」が15.9%、「たまに使っている(数か月に1回程度)」が12.0%だった。

「常に使っている(ほぼ毎日)」「よく使っている(週に数回程度)」と回答した割合は26.8%で、前年調査の17.1%と比較すると9.7ポイント上昇した。

「名前は知っているが使ったことはない」は28.5%、「知らない/何のことかわからない」は16.9%だった。

検索(調べもの)や情報収集をする際の生成AIの使用状況
検索(調べもの)や情報収集をする際の生成AIの使用状況

商品購入・行き先決定ともに半数超がAIを活用

AIきっかけの「購買」や「行き先の決定」の有無について、「商品の購入」を決定したことがある割合は54.1%(前年調査比11.4ポイント上昇)、旅行先、レストランなどの「行き先」を決定したことがある割合は50.4%(同7.1ポイント上昇)だった。

PLAN-Bマーケティングパートナーズは「生成AIは商品・サービスの比較検討や意思決定の起点として、より存在感を増していることがうかがえる。前年に引き続き、商品購入と行き先決定の経験率が近い水準となっていることから、モノ消費・コト消費の両方において幅広く生成AIが活用されている」と考察している。

AIきっかけの「購買」や「行き先の決定」の有無
AIきっかけの「購買」や「行き先の決定」の有無

購入商品はPC・スマホ関連が最多

生成AIとの対話を通じて購入したことがある商品・サービスは、最多が「パソコン・スマートフォン・周辺機器」で40.9%、続いて「衣類・アパレル(ファッション小物含む)」が36.0%、「食品・飲料(サプリメント含む)」が34.9%だった。

「化粧品・スキンケア・ヘアケア」は30.7%、「家電」は25.4%、「本・雑誌・電子書籍」は25.0%、「金融商品(クレジットカード・証券など)」は20.8%だった。

PLAN-Bマーケティングパートナーズは「比較検討に複数の条件整理が必要となるカテゴリについても、2割以上が生成AIとの対話を通じて購買に至っている」と分析している。

生成AIとの対話を通じて購入したことがある商品・サービス(複数回答可)
生成AIとの対話を通じて購入したことがある商品・サービス(複数回答可)

追加検証は「Googleなどの検索エンジン」が87%でトップ

生成AIが提案・推奨した商品やサービスについて、生成AI以外で何を用いて情報収集や確認・比較したかを聞いたところ、「Googleなどの検索エンジン」が最多で87.4%、続いて「Amazonなどのモール型EC」と「InstagramなどのSNS」が同率で34.1%だった。「生成AI以外では情報を検証していない」は2.7%となっている。

PLAN-Bマーケティングパートナーズは「多くのユーザーが生成AIを比較検討の入り口として利用しながらも、検索エンジンやSNS、ECサイトなどを用いて追加検証を行う行動が定着している。Webサイト、SNS、ECサイトは、追加の情報収集や比較検討、さらに『答え合わせ』『最終確認』を行う場として、依然として重要な役割を担っている」と解説している。

生成AI以外に用いた情報収集方法(複数回答可)
生成AI以外に用いた情報収集方法(複数回答可)

調査概要

  • 調査名:生成AIとの対話による購買行動調査 2026
  • 調査期間:2026年5月11〜16日
  • 調査対象:生成AIを使った検索を日常的に行っている10代~60代の男女 500人
  • 調査方法:インターネットアンケート調査
  • 調査委託先:アイブリッジ

この記事の筆者

[ 執筆 ] 大嶋 喜子

フリーライター

岐阜、富山、石川、福井、神奈川、LosAngels、山形を経て東京にたどり着き、現在は日本とアメリカの二拠点生活を営む生粋の“根無し草”。またの名を“ちいさなMADE IN JAPAN”。

新卒入社のEC運営会社にてレディースアパレル・宝飾バイヤーとして月商1億を突破。その後、同社内でクリエイティブ部門コピーライターに転身し、プランナー・ディレクターを経て独立。

ohshima

Amazonの「AIショッピング」機能や知見を自社ECに導入できるようになる? 「Agentic Shopping Assistant」の特長+米国のEC実施企業の導入事例

1 日 1 時間 ago

Amazonは5月下旬、小売事業者向けのAIショッピングアシスタント構築支援ソリューション「Agentic Shopping Assistant」の提供を開始しました。対話型AI「Alexa for Shopping」の開発で得た膨大なデータと知見が基盤となり、小売事業者は自社ブランド専用のAIチャットエージェントを迅速に構築できるようになります。コーチなどを傘下に持つ持株会社Tapestryの子会社であるKate Spadeがいち早く導入したこの技術の特長を解説します。

Amazon、AIエージェントのノウハウを外部開放 

Amazonは5月下旬、Amazonの対話型AIショッピング機能 「Alexa for Shopping」の開発・運用で得た知見を基に、 小売事業者が自社に合わせた対話型ショッピング体験を構築できるAIショッピングアシスタント構築支援ソリューション 「Agentic Shopping Assistant」の提供を始めました。最初のブランドとして、Tapestry傘下のKate Spadeが導入しました。

「Agentic Shopping Assistant」の活用イメージ(画像はAWSのコーポレートサイトから編集部が追加)
「Agentic Shopping Assistant」の活用イメージ(画像はAWSのコーポレートサイトから編集部が追加)

「Alexa for Shopping」は、AIアシスタント「Rufus」と「Alexa+」の機能を統合し、5月中旬に発表したAIエージェントサービスです。Amazon内だけではなく、Web上の他のECサイトも含めた価格追跡や比較、さらには購入代行までを網羅する機能を搭載しています。 

「Agentic Shopping Assistant」は、小売事業者はAmazon Web Services(AWS)を通じて利用できます。「Agentic Shopping Assistant」により、Amazon以外の小売事業者も独自のデジタルAIアシスタントを構築し、立ち上げることが可能になります。

昨今、多くの消費者が商品の検索、選択肢の比較、購入にAIエージェントを利用するようになっているなかで、Amazonは「Agentic Shopping Assistant」を小売事業者が独自のAIを導入するための手段として位置づけています。

AIエージェントが自然な会話からユーザーのオンラインショッピングをサポートするイメージ(画像はAWSのコーポレートサイトから編集部が追加)
AIエージェントが自然な会話からユーザーのオンラインショッピングをサポートするイメージ(画像はAWSのコーポレートサイトから編集部が追加)

小売事業者がゼロから構築せずに「賢いAI」が手に入る仕組み 

Amazonによると、「Agentic Shopping Assistant」は、小売事業者が自社の対話型エージェントを「数週間」で配備できる技術的基盤を提供します。従来は、小売事業者が対話型エージェントをゼロから構築するのには「数年」かかっていたとAmazonは指摘しています。

「Agentic Shopping Assistant」は、AWSのサービスを基盤に次のような機能を搭載しています。

  • 生成AIアプリケーションをサポートする「Amazon Bedrock」
  • AIエージェントの運用を支援する「AgentCore」
  • 検索とデータ取得をサポートする「OpenSearch」

Amazonは、「Agentic Shopping Assistant」が「Amazon.com」上での数十億回に及ぶ実際のショッピング行動」を用いて検証したと説明。これは、Amazon独自のAIエージェントである「Alexa for Shopping」から得た知見に着想を得たものです。

ユーザーが希望する商品価格に変動した際に購入を促すなど 、さまざまな機能を搭載しているAIエージェント「Alexa for Shopping」
ユーザーが希望する商品価格に変動した際に購入を促すなど 、さまざまな機能を搭載しているAIエージェント「Alexa for Shopping」

Amazonが最先端のAIショッピングアシスタントをめざしてアップデートを繰り返してきたからこそ、2025年にAmazonを利用した3億人以上の消費者にとって、本当に必要な機能やツールは何なのかという貴重なデータを得ることができました。(Amazon)

Amazonは、外部の小売事業者がこのシステムを迅速に実戦投入できるよう、基盤となる開発用ソースコードやアーキテクチャの設計図に加え、専門チームによる実装支援をパッケージ化しました。

「Agentic Shopping Assistant」は、企業の生成AI導入とビジネス実装を支援するAWSの専門家チーム 「Generative AI Innovation Center」との連携によって開発した包括的なソリューションです。Amazonは「小売事業者が独自のAIチャットエージェントを作成するための土台になる」と説明。各ブランドへの導入にあたっては、自社の商品カタログ、顧客層、ブランドのトーン、ショッピング環境に合わせてカスタマイズが可能になっています。

「Amazon.com」の運用を通じて長年磨き上げられてきた強力なシステム基盤を、「Agentic Shopping Assistant」を利用する小売事業者はそのまま活用できます。自社が持つ顧客データ、専門的なノウハウ、ブランドとしての強みは誰にも脅かされることなく、そのまま自社の武器として守り抜くことができます。(Amazon)

早くもKate Spadeが導入

「Agentic Shopping Assistant」をいち早く取り入れたブランドの1 つがKate Spadeです。AWS上の「Agentic Shopping Assistant」は、Kate Spadeのユーザー向けサービス「AI Gift Concierge」の基盤となっています。「AI Gift Concierge」は、ユーザーと自然な言語で会話を交わし、オケージョンやスタイルなどに基づいたギフトの提案を行うことができます。

Tapestryのチーフ・データ&アナリティクス・オフィサーであるファビオ・ルッツィ氏は、米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』からのメール取材の回答で次のように説明しています。

「AI Gift Concierge」は、消費者が最適なギフトを見つけるのを手助けする対話型のAI体験です。顧客の声に耳を傾け、彼らが実際に何を必要としているのかを突き止めたことからこのサービスが生まれました。(ルッツィ氏)

対話型のAIがユーザーの商品選びを手助けする(画像はAWSのコーポレートサイトから編集部が追加)
対話型のAIがユーザーの商品選びを手助けする(画像はAWSのコーポレートサイトから編集部が追加)

Amazonは、Tapestryのほかにも多くの小売事業者が現在「Agentic Shopping Assistant」を導入し試験運用中であるとしていますが、具体的な企業名は明かしていません。

AIでギフト選びのストレスを軽減。Kate Spadeが手に入れたショッピングアシスタント

約2.5か月間のテスト運用を経て、Kate Spadeは4月13日に「AI Gift Concierge」の本格的な提供を開始しました。

「AI Gift Concierge」はAnthropicの小型・高速AIモデル「Haiku 4.5」を搭載。消費者が実際にギフトを選ぶ際のアクションに対応するよう設計しています。

Amazonによると、「AI Gift Concierge」は「消費者がAmazonの『Alexa for Shopping』に投げかけた質問と、成功につながった回答」から得た情報を取り入れているそうです。

Tapestryのチーフ・インフォメーション&デジタル・オフィサーであるヤン・ルー氏はリリースで次のように話しています。

エージェント型コマースが消費者に好ましい結果をもたらすことに期待しています。AWSは対話型ショッピングの基本となる構成要素として「Agentic Shopping Assistant」を提供してくれましたが、消費者が本当に必要とするカスタマイズの構築はTapestryとAWSとで共同して行いました。(ルー氏)

Amazonは、「AI Gift Concierge」をAmazonのAIエージェント運用基盤「AgentCore」で構築した「初の商用利用可能な小売向けAIアシスタント」であると説明。Kate Spadeは、「AI Gift Concierge」の「観測可能性、認証、および評価」のために、AWSが提供するフルマネージド型の生成AIサービス「Amazon Bedrock」を使用しているとのことです。

「Amazon Bedrock」は小売事業者の生成AIサービス構築を包括的に支援する(画像はAmazonのコーポレートサイトから編集部が追加)
「Amazon Bedrock」は小売事業者の生成AIサービス構築を包括的に支援する(画像はAmazonのコーポレートサイトから編集部が追加)

その結果として生まれた対話型エージェント「AI Gift Concierge」について、Kate Spadeは次のように表現しています。 

「AI Gift Concierge」はユーザーにとって、ほしい商品についての検索というよりも、ブランドのことをよく知っていて、素晴らしいギフトの選び方を熟知している誰かと話しているような感覚になる体験です。(Kate Spade)

またAmazonは、消費者の53%がギフト選びの際にストレスを感じているというデータを示し、「AI Gift Concierge」がギフト購入時のストレスを軽減する手段になるとしています。

Tapestry、AIプラットフォーム「Mira」で社内業務をアップデート 

消費者向けのショッピングエージェントにとどまらず、Tapestryは自社ビジネスの内部でもAIを活用しています。

Tapestryは最近、社内用AIプラットフォーム「Mira」の米国特許を取得しました。このシステムは、従業員がより迅速かつスマートに小売ビジネス上の意思決定を行えるよう設計しています。

ルッツィ氏によると、Tapestryのデータ&アナリティクスチームが「Mira」を設計し、その配備の一部に「Amazon Bedrock」を活用したとのことです。Tapestryは、このシステムがビジネス全体のデータを集約し、関連するインサイトを「数秒から数分」で表面化させると説明しています。

現在、Tapestryの従業員は「Mira」を、商品のラインアップ、在庫管理、消費者のトレンド追跡に役立てています

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

この記事の筆者

[ 転載元 ] Digital Commerce 360

世界最大級のネット通販業界の専門誌『Digital Commerce 360』(旧『Internet Retailer』)は、雑誌のほか、Web媒体、メールマガジンなどを運営。Vertical Web Media社が運営を手がけている。

Eコマースの戦略に関し、デイリーニュース、解説記事、研究記事、電子商取引におけるグローバルリーダーをランク付けする分析レポートなどを発行している。

takano-mai

アマゾンが南アフリカで有料会員サービス「Amazon Prime」をスタート。料金は年額399ランド(24ドル)

1 日 1 時間 ago
Amazonは南アフリカで有料会員サービス「Amazon Prime」の提供を開始した。料金は月額59ランド、年額399ランドで、無制限の当日・翌日無料配送やPrime Video、Amazon Lunaなどの特典を利用できる。

米Amazonは6月2日、南アフリカで有料会員サービス「Amazon Prime」の提供を開始した。料金は月額59ランド(3.6ドル)、年額399ランド(24ドル)で、30日間の無料体験も用意する。Prime会員は、最低購入金額なしで利用できる無制限の当日・翌日無料配送のほか、動画配信サービス「Prime Video」、クラウドゲームサービス「Amazon Luna」、ライブストリーミング配信プラットフォーム「Twitch」の無料チャンネルサブスクリプションなどの特典を利用できる。

Amazonが南アフリカでECサイト「Amazon.co.za」を立ち上げたのは2024年。

アマゾンが南アフリカで有料会員サービス「Amazon Prime」をスタート。料金は年額399ランド(24ドル)
南アフリカで有料会員サービス「Amazon Prime」の提供を開始

南アフリカのPrime会員は、Amazonの大型セール「Prime Day」にも初めて参加できる。現地では6月23日から29日まで「Prime Day」を実施し、会員限定セールや割引、先行アクセスを提供する。Amazonによると、Prime会員は数千の商品を対象とした限定セールや割引を利用できるほか、ブラックフライデーなどのセールでも一部の特別セールに先行してアクセスできるという。

配送特典では、ケープタウン、ヨハネスブルグ、プレトリアで正午までに注文した商品を対象に、最低購入金額なしの当日無料配送を提供する。加えて、対象地域では翌日無料配送も無制限で利用できる。対象商品は、日用品、食料品、電子機器、ホーム用品、スポーツ用品、キッチン用品など幅広いカテゴリーに及ぶ。

エンターテインメント特典は、「Prime Video」でAmazonオリジナル作品やライセンス作品の映画・ドラマを視聴できる。「Amazon Luna」ではゲームコンテンツを楽しめるほか、毎月1回の無料「Twitch」チャンネルサブスクリプションも付与する。

信頼性の高い配送体験と、国内外の商品を取りそろえた魅力的な品ぞろえを通じて、お客さまに支持されるストアづくりを進めてきた。Primeの開始は、南アフリカにおける当社の取り組みにおいて重要なマイルストーンとなる。(Amazon サハラ以南アフリカ担当マネージングディレクター ロバート・コーエン氏)

インドからブラジル、エジプトからオーストラリアまで、Primeが世界中の会員のショッピングやエンターテインメント体験をどのように変革してきたかを見てきた。Primeはサービスを開始した多くの国で、時間とお金の節約を支援するとともに、高品質なエンターテインメントを提供する日常に欠かせないサービスとなっている。(Amazon Prime担当バイスプレジデント ジャミル・ガニ氏)

なお、日本での「Prime Day」は7月に実施予定。Amazonの2026年「Prime Day」は日本を含む26か国で実施する。米国、英国、ドイツ、フランス、カナダ、アラブ首長国連邦などでは6月に実施する予定で、インド、オーストラリア、ブラジルでは今夏の別日程で実施するという。

この記事の筆者

[ 執筆 ] 鳥栖 剛

フリーライター
furukawa

新体制下のSBPSが挑む「決済代行の次」。送金・資金繰り支援まで広げる新たな成長戦略【堀田社長に直撃】

1 日 2 時間 ago

決済代行サービスを手がけるSBペイメントサービス(SBPS)が、従来の決済代行の枠を超えた事業拡大に踏み出している。2026年4月に新社長へ就任した堀田智宣氏が見据えるのは、EC事業者を中心とした加盟店の“お金回り”全体を支える存在への進化だ。資金繰り支援(ファイナンス)の開始に加え、決済手段の多様化、海外展開を支えるローカル決済や送金までを視野に入れている。堀田社長にEC事業者をはじめとする加盟店の“お金回り”を支える今後の取り組みを聞いた。


 

「決済手数料ビジネス」から「金融・決済インフラ」へ。SBPSが迎える次の成長局面

堀田社長はソフトバンクBB(現ソフトバンク)入社後、情報システム領域などを経てSBPSに参画。社内で「第2創業期」と呼ばれるフェーズの初期から関わってきたという。

SBPSはもともと、ソフトバンクグループ内の決済を集約し、効率化やコスト削減を進める役割が色濃かった。しかし、この10数年でグループ外の事業者向けサービスが拡大。現在では、外部加盟店向けの取扱高がグループ内を大きく上回る規模へ成長したという。

SBPSは、当初はソフトバンクグループ各社の決済を束ねて「いかに効率化するか」をコスト削減も含めて追求するところからスタートした会社。そこから外部向けにサービスを売っていく“第2創業期”へ移行していき、今では外部向けのビジネスのボリュームのほうが、グループ内向けよりも2倍ぐらいになっている。ここからもっと、外部加盟店向けのビジネスを会社のコアになる事業にしていきたい。(堀田社長)

SBペイメントサービス 代表取締役 社長執行役員 兼 CISO 堀田 智宣氏
SBペイメントサービス 代表取締役 社長執行役員 兼 CISO 堀田 智宣氏

堀田社長が描くのは、単なる決済手数料ビジネスの拡大ではない。決済、送金、資金繰り支援などを組み合わせ、事業者の成長を支える“金融・決済インフラ”へ進化させる構想だ。

SBPSは、ECで利用できる40ブランド超の決済手段を提供する決済代行会社として事業者を支援してきたが、次の成長フェーズでは「決済のその先」まで踏み込む構えだ。

SBペイメントサービスの決済代行サービスの強み
SBペイメントサービスの決済代行サービスの強み

決済の枠を超えて「価値」を届ける

SBPSが掲げるビジョンは、ソフトバンクグループの「情報革命で人々を幸せに」に連なる形で設定した「すべての人と価値をつなぐ」だ。堀田社長は、決済を単なる“お金の移動”ではなく、「価値を届ける行為」と捉えている

決済は、モノの対価を移動させるビジネス。でもそこだけに捉われないこともやりたい。送金は“思いの価値を届ける”ことにもつながる。ファイナンスの支援も金貸しというより、その人の“将来価値”を“現在価値”に置き直し、価値に投資している行為だと思っている。最終的には、“現在価値”や“将来価値”も含めて視野に入れたい。(堀田社長)

“使いやすさ”の積み上げでキャッシュレス決済が拡大

暗号資産やステーブルコインなど、昨今では新たな決済手段が注目されるなか、堀田社長は「急激に何かが変わるというより、“使いやすさ”の積み上げが重要」と見る。

コロナ前は30%程度だったキャッシュレス決済比率が、現在では50%近くまで上がった。その大きな理由は、仕組みが劇的に変わったというよりも、消費者と店舗にとって“お互いに便利”な環境が整ったことだと思っている。クレジットカードのタッチ決済やQRコード決済など、支払いの選択肢が広がり、店頭でもオンラインでもスムーズに決済できる場面が増えた

これからは“キャッシュレス決済できないほうが不便”という感覚がさらに強くなるはずだ。(堀田社長)

国内のキャッシュレス決済額と比率の推移(画像は経済産業省「我が国のキャッシュレス決済額及び比率の推移(2025年)」からキャプチャ)
国内のキャッシュレス決済額と比率の推移(画像は経済産業省「我が国のキャッシュレス決済額及び比率の推移(2025年)」からキャプチャ)

堀田社長は現金決済が完全になくなるとは見ていない一方で、「便利な決済体験」を積み上げることが、次の普及フェーズにつながるという考えだ。

Nomupay提携でEU・アジア圏向け決済インフラを構築

SBPSの中長期の成長戦略の柱の1つが、Nomupay(ノムペイ)との資本業務提携だ。Nomupayはアイルランドを拠点とする決済代行会社で、EU・アジア圏でローカル決済や決済インフラを提供している。堀田社長は、欧州にはグローバルPSP(決済サービスプロバイダー)が存在する一方、アジアではクレジットカード普及率が低い国も多く、決済インフラに“空白地帯”があると指摘する。

欧州圏にはすでに、グローバルな決済代行プレイヤーがいる。また、決済手段の基本はクレジットカード中心だ。アジアは必ずしもそうではなく、なかには銀行口座を持っていない消費者もいる。クレジットカードだけでなくローカルな決済手段に対応する必要がある。だから、特に“アジアに適したPSP”をどう作るかというところにシェア拡大の可能性がある。(堀田社長)

Nomupayとの資本業務提携をフックとしたEU・アジア圏での商圏拡大を視野としている
Nomupayとの資本業務提携をフックとしたEU・アジア圏での商圏拡大を視野としている

また、日本企業の越境EC支援については、「国をまたぐ取引をしやすくする」こと自体に大きな価値があると話している。

日本企業が海外へ出ていくケースも、海外企業が日本市場を狙うケースもある。お客さまである加盟店が国境を越えた取引をしやすくしたい。(堀田社長)

ただし、「法律やコスト構造によって“日本にいながらできるビジネス”と“そうではないもの”がある」とも語り、業種ごとに差異があると話している。

「決済+送金」を一気通貫でサポート

SBPSがNomupayに強い可能性を見いだしている理由は、「決済」だけでなく「送金」まで含めた一気通貫の仕組みにある。越境ECでは、現地で売り上げを回収するだけでなく、海外のサプライヤーや委託先、クリエイターへの支払いも発生する。そうした多通貨の資金フローをまとめて扱える点を重視している。

Nomupayに注目しているのは、決済だけが理由ではない。マルチ通貨で回収した売り上げを最終的に自社の基軸通貨へ変換し、さらに取引先への送金まで手がけている点が魅力の1つだ。決済も送金もできるプラットフォームをめざしている。(堀田社長)

ゲーム、電子書籍など、デジタルコンテンツ領域を当面のターゲットとして想定しているという。デジタルコンテンツは、クリエイターも販売先も世界中にいることが理由だ。堀田社長によると、多通貨を扱う場合、売り上げは「円」、支払いは「各国通貨」というケースが多いという。「Nomupayはクリエイターを集めるビジネスには相性がいい」(堀田社長)

Nomupayのピーター・バリッジCEO(左)とSBペイメントサービス取締役会長(前・代表取締役社長 兼 CEO)の榛葉淳氏(右)
Nomupayのピーター・バリッジCEO(左)とSBペイメントサービス取締役会長(前・代表取締役社長 兼 CEO)の榛葉淳氏(右)

ITR子会社化で「資金繰り支援」に進出

SBPSは2025年4月、金融機関向けシステムなどを提供するアイ・ティ・リアライズ(ITR)を完全子会社化した。堀田社長は買収の目的として、「中小事業者支援の強化」と「キャッシュフロー改善サービスの実現」を挙げている。

ITRは信用組合系のネットワークを持っているので、これまで以上に中小事業者を支援できる余地がある。もう1つは、“キャッシュフロー改善サービス”の提供を実現するためだ。(堀田社長)

その一環として、SBPSは2026年6月5日にITRと連携し、加盟店向けの資金繰り支援サービス「加盟店サポートローン」と、企業の事業資金を見える化するクラウドサービス「SBPS BizCRECO」の提供を開始した。加えて、請求書をクレジットカードで支払うことで支払いを先延ばしにできる「SBPS請求書カード払い」も提供している。このうち「加盟店サポートローン」は、銀行融資よりも“速く・手軽に”利用でき、必要なタイミングですぐ使える融資をめざすサービスだ。

中小企業では、「仕入れは先に必要だが売り上げが立つのは数か月後」というケースがある。そうしたときに、決済の流れのなかで必要に応じて借りられて、売上金発生後に返済できるようになれば、実際のビジネスに即した資金繰り支援になる。(堀田社長)

中小企業のビジネスに寄り添うキャッシュフロー改善サービスの提供を構想している
中小企業のビジネスに寄り添うキャッシュフロー改善サービスを構想している

免税新制度で注目する“返金・送金インフラ”

2026年11月に施行が予定されている免税新制度(リファンド方式)も、SBPSが注力するテーマの1つだ。

「リファンド方式」の免税制度とは、免税店が外国人旅行者などに消費税を含んだ価格で物品を販売し、その後、出国時にその免税対象物品を持ち出すことが確認された場合に消費税相当額を返金する仕組み。

「リファンド方式」のイメージ(画像は国税庁「輸出物品販売場制度に関するQ&A(令和7年2月改訂)」からキャプチャ)
「リファンド方式」のイメージ(画像は国税庁「輸出物品販売場制度に関するQ&A(令和7年2月改訂)」からキャプチャ)

新制度は不正利用の防止と免税店の業務負担軽減を目的としているが、堀田社長は「事業者が個別に返金や送金を行う負荷は大きい」と話している。

新制度は事業者側が税金を一度預かり、後から消費者に返金する仕組みなので、決済というよりも送金事業になる。個人への返金を事業者ごとに対応するのは大変なので、SBPSはそのためのシステムを提供し、事業者を支援したい。(堀田社長)

めざすのは“お金回り全体の基盤”

SBPSが描く中長期戦略のポイントは大きく3つある。

  1. 決済体験の改善を通じた加盟店の売上機会の最大化
  2. Nomupayとの提携などを通じ、ローカル決済や送金を含む“国境をまたぐ資金の流れ”をスムーズにする
  3. 決済データと金融ノウハウを活用し、事業者の資金需要に寄り添うファイナンスサービスを展開する

堀田社長はさらに、「日本だけを市場にしない」ことの重要性を強調している。

私たちSBPSは、最終的には事業者のお金回り全体をサポートしたいと考えている。まずは決済、送金、キャッシュフロー支援をしっかりやっていく。そして事業者の皆さんと一緒に、日本だけでなくグローバルに進出していきたい。(堀田社長)

SBPSは、決済代行にとどまらず、ファイナンスまで含めた“お金回りのインフラ”をめざしている。決済が当たり前になった次の競争軸は、「どう支払うか」だけでなく、「どう資金を回すか」へ移りつつある。SBPSの構想は、その変化を先回りする動きとも言える。

日本はこの二、三十年、ものの価値をうまく価格に反映できなかったのではないか。安くて良いものは消費者には良いが、生産者や従業員に還元されない。価値あるものを適切な対価で売れるようにし、そのための資金繰りも支援したい。(堀田社長)

単なる決済代行にとどまらない、事業者の資金繰りまで一貫して支援する企業への成長を描いている
単なる決済代行にとどまらない、事業者の資金繰りまで一貫して支援する企業への成長を描いている

※「QRコード」は、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

この記事の筆者

[ 執筆 ] 鳥栖 剛

フリーライター
takano-mai

カタログ通販大手ベルーナ、営業利益率17%のホテル事業で北海道・洞爺湖温泉に新宿泊ブランド「別邸 蝦夷富士」を開業

1 日 2 時間 ago
ベルーナは、北海道・洞爺湖温泉に新たな宿泊ブランド「別邸 蝦夷富士」を2027年12月に開業する。全61室に露天風呂とテラスを備えるラグジュアリーリゾート。

カタログ通販大手のベルーナは、北海道・洞爺湖温泉に新たなホテルブランド「別邸 蝦夷富士」を2027年12月に開業する。ベルーナ子会社のグランベル北海道が運営を担う。

カタログ通販大手のベルーナは、北海道・洞爺湖温泉に新たなホテルブランド「別邸 蝦夷富士」を2027年12月に開業する
洞爺湖から“蝦夷富士”と呼ばれる羊蹄山を望む景観

新施設は、ベルーナが展開する「ザ・レイクスイート湖の栖」「洞爺サンパレス リゾート&スパ」に隣接するエリアで開発するラグジュアリーリゾート。洞爺湖と、“蝦夷富士”と呼ばれる羊蹄山を望む立地を生かし、上質な滞在体験を提供する。

「別邸 蝦夷富士」は、最大104平方メートル超のスイートタイプを含む全61室で構成する。全客室に露天風呂と広いテラスを備え、北海道の四季折々の自然を身近に感じられる設計とした。

ベルーナは、国内外から注目を集める北海道のリゾート市場において、「自然との一体感」「プライベート感」「上質なおもてなし」を打ち出す。「湖に栖む」というコンセプトをさらに深化させ、ワンランク上の宿泊需要を取り込む。

工事期間は2026年4月から2027年12月下旬までを予定している。工事期間中も「ザ・レイクスイート湖の栖」「洞爺サンパレス リゾート&スパ」は通常通り営業する。ベルーナは、安全管理を徹底しながら、既存施設の利用客への影響を最小限に抑えて工事を進めるとしている。

ベルーナの主力事業は通販事業だが、ホテルを含むプロパティ事業を成長領域として拡大。2026年3月期は、プロパティ・ホテル事業が全社業績の増収増益を牽引した。

同事業の売上高は前期比38.3%増の497億円、営業利益は同32.9%増の85億5000万円、営業利益率は2.6ポイント改善の17.2%となった。国内旅行需要の拡大と訪日客の増加を背景に大幅な増収増益を達成した。

都市型ホテルは全施設で増収増益となり、特に札幌・大阪エリアの施設が好調に推移した。リゾート型ホテルも新規取得施設の寄与により売り上げを伸ばしたほか、販売用不動産の売却益10億5000万円を計上したことも収益を押し上げた。

この記事の筆者

[ 執筆 ] 鳥栖 剛

フリーライター
furukawa

アニメーション動画編集の始め方完全ガイド!初心者からビジネス活用までプロが徹底解説

1 日 18 時間 ago

2026年、動画市場はかつてないほどの盛り上がりを見せており、YouTubeやTikTok、InstagramといったSNSだけでなく、企業のマーケティングや採用活動、個人のセルフブランディングにおいても「動画」は欠かせ […]

The post アニメーション動画編集の始め方完全ガイド!初心者からビジネス活用までプロが徹底解説 first appeared on 動画制作・動画マーケティング専門メディア「VIDEO SQUARE(ビデオスクエア)」.

水口 仁志

YouTube編集の完全ガイド 初心者から企業担当者まで押さえるべき手順・ソフト・伸ばすコツ

1 日 19 時間 ago

2026年現在、YouTubeは単なる娯楽プラットフォームの枠を超え、個人の自己表現や収益化の舞台としてはもちろん、企業のマーケティング、採用、ブランディングにおいて最も強力なメディアへと進化を遂げました。毎日のように膨 […]

The post YouTube編集の完全ガイド 初心者から企業担当者まで押さえるべき手順・ソフト・伸ばすコツ first appeared on 動画制作・動画マーケティング専門メディア「VIDEO SQUARE(ビデオスクエア)」.

水口 仁志

ZETA、エージェンティックコマース領域の事業展開を視野に入れCheckout.comと戦略的パートナーシップ契約を締結

1 日 20 時間 ago
連携を通じ、今後拡大が見込まれるAI起点の商品発見から購入までの流れを捉え、データを活用した顧客体験の高度化に向けた取り組みを推進する

ZETAは、Checkout.com(チェックアウト・ドットコム)と、エージェンティックコマース領域の事業展開を視野に入れた戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。

ZETAは、Checkout.comと戦略的パートナーシップ契約を締結
ZETAは、Checkout.comと戦略的パートナーシップ契約を締結

Checkout.com(チェックアウト・ドットコム)はイギリスに本社を置く世界的な決済サービスプロバイダー。数千の企業に決済サービスを提供。Checkout.comのデジタル決済ネットワークは145以上の通貨に対応し、世界中で年間数十億件の取引を処理している。

Checkout.comとの提携は、エージェンティックコマース領域における取り組みにおいて、ユーザーが安心して快適にショッピングを楽しむために決済サービスとの連携が不可欠であると考えていたため。連携を通じ、今後拡大が見込まれるAI起点の商品発見から購入までの流れを捉え、データを活用した顧客体験の高度化に向けた取り組みを推進していくという。

Checkout.comが提供するサービスの特長(画像はCheckout.comのサイトからキャプチャ)
Checkout.comが提供するサービスの特長(画像はCheckout.comのサイトからキャプチャ)

ユーザーがより安心して快適にショッピングを楽しむために、決済サービスとの連携が不可欠

近年、「ChatGPT」や「Gemini」といった生成AIサービスの普及で、ユーザーの購買行動は大きな変革期を迎えている。AIエージェントがユーザーの意図を理解し、商品提案や比較、購入導線への接続までを支援する「エージェンティックコマース」への注目が世界的に高まっている。

海外では「Shopify」などの主要ECプラットフォームやアグリゲーター各社がこの動きを急速に強化。サービス導入企業の各ECサイトの情報を生成AIアプリ側から直接呼び出し、複数の店舗を横断して横串で情報を表示・比較できる環境の整備が進んでいる。

ユーザーがAIエージェントとの会話で探している商品について説明することで、複数のショップが扱う商品の価格・在庫状況などが横断的に検索・表示される仕組みは、今後のエージェンティックコマースの活用用途の本命とされる。すでに欧米ではAIが商品検索やショップへの送客において実用化されているという。

こうした新たなトレンドにおいて、ZETAはAIエージェントに各ショップの最新かつ正確な商品情報を検索・取得してもらうために、ZETAのAI対応の検索エンジンが、EC事業者にとってエージェンティックコマース時代での競争力を高めるための重要なインフラになると考えている。

ZETAはこれまでも、生成AI連携基盤「ZETA LINK for AI」、生成AI検索最適化サービス「ZETA GEO」や検索連動型AIチャット「ZETA TALK」などのAI対応ソリューションの提供、レビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」を通じたUGC活用を推進してきた。

ZETAが提供している「ZETA SEARCH」の特長
ZETAが提供している「ZETA SEARCH」の特長(画像は「ZETA CX」サイトからキャプチャ)

さらに、ネオジャパンおよびLIVEX AI Inc.との業務提携、Channel Corporationとの業務提携を通じて、エージェンティックコマース時代を見据えたCX向上とデータ活用を展開している。

この記事の筆者

藤田遥

ネッ担編集部

保険系SE→ECサイト運営を経て、編集未経験でインプレスに入社し、ネットショップ担当者フォーラム編集者に。趣味は音楽を聴く、ゲーム、ショッピング。ライブと買い物に行くとき以外は基本的にインドア派。カレーとコーラが好き。

fujita-h

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る