2025年が半分以上過ぎても数字は不調、このまま年末商戦に臨むのが怖い皆さん、こんにちは。自社EC・ECモール店の流通が下がっていても、できることはいろいろあります。「できていること」「できていないこと」「何ができているのか」「何ができていないのか」――この面倒くさいと感じることをしっかり把握していますか? 「また中林は同じことを書いている」と言われることを承知で書きます。「面倒くさい」ことは、それが重要だからこそやる価値があるのです。混沌とした今だからこそ、そんな面倒くさいことを実践するタイミングではないでしょうか? 日々の業務に追われるのもわかりますが、面倒くさいことから逃げてはダメなのです。立ち向かうのです。挑戦あるのみです。
2025年後半の運営方針はどうする?
2025年前半のEC業界動向を振り返って、今後の運営方針を考える | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog/archives/7137
EC市場はどんどん大きくなってはいますが、前年対比での成長率が鈍化しており、いま過去最低ペースになっています。
(中略)
もちろん、業界全体の成長鈍化が、すべての店舗に当てはまるわけではありません。
(中略)
この状況でも好調を維持している事業者さまには、いくつかの共通点があります。
弊社支援先の中での傾向ではありますが、
- 本店(独自ドメイン店)が強い:前述のとおり、利益貢献度で「本店があるから利益を維持できている」との声が多い
- 独自性の強い商品:ニッチ市場で上位を堅持、法規制のある商品、単純注文ではないカスタマイズ型の商品
- メディア露出力:取材されやすい/バズりやすい、尖った商品やサービスがある
確かに、2025年はモールを中心に動きが不調ですね。ただ、鈍化しているタイミングだからこそ、しっかりと今の売り上げを伸ばすための施策、未来を作るための種まきを少しでもいいので行ってください。長年ECを運営している会社さんは、特に影響を受けやすい状況だと思っています。今まで何が良かったのか、そして今何が起こっているのかをきちんとひも解いて、今攻めるべきなのか・守るべきなのか、しっかり戦略を打つ必要がありますね。
また、出店間もないショップさんや中堅のショップさんは基礎的な部分を行うことが重要です。ただし、即効型の施策と種まき期間が必要な投資型の施策があるので、両方をしっかり実行して売り上げを伸ばしていくことが必要ですね。売り上げが高くなると、どうしてもモールの動きやアルゴリズムに左右されやすくなります。即効性のある施策を実施しつつ、投資型の施策を実直に進めていってください。いずれ、花になり実になります。
こういう話をすると「では今は、どの販路に力を入れればよいのでしょうか」という質問が来ます。うーん伸びているのはアマゾンですが、、「出店先として魅力的か」というと、なかなか一概には言えませんね。「ではTikTokはどうですか」「これからはGoogleではなく、AIに紹介してもらうことが大事ですよね。」などとも言われます。
(中略)
「実は、これからのECは、◯◯が正解です!」というとウケると思うのですが、言えません。。
「これが正解です!」なんて言えたら本当に楽だと思います。記事内でも「何が向いているかはその商売による」とありますが、まさにそうですね。私も「2店舗目・3店舗目はどこに出店するのがいいのか」とよく聞かれます。なんなら「ECを始めたいんだけれど、どこがいいと思う?」とも。答えは「しっかりヒアリングをしないと」という回答になります。
SEOもそうですが、コンサルティングは魔法使いではありません。商品に合ったサイトやモールを選ぶ必要があります。そして「絶対伸びる」なんて言う人のことは信用しないでください。自分たちのショップにあった初手・次の一手を探していく必要があります。
そもそも「今どこがいいか」は過去のデータの統計でしかなく、それは「今○○の株を買った方がいい」と言われて、100%勝つことと一緒です。そんな未来がわかる人はいません。今誰かに同じ質問をされたら、私も「伸びているのは『Amazon』ですが……。まぁ『楽天市場』もありますし、自社(本店)サイトで……」と答えます。
残念ですが、販路や商材については「全員に共通する正解」がありません。
が、しかし。
実は、それ以外の領域で「誰しもが共通して取り組むべき施策」があります。
それは「状況の把握とコントロール」です。
具体的には、
- 売上と利益を可視化 → 分析して打ち手を作る
- 頭の中にある未来を可視化 → 優先目標を決める
- 社内にある業務を可視化 → 簡略化・AI化・標準化・移管する
- 重要業務の進捗を可視化 → 遅延したらすぐカバーする
- ヤフーの手数料を可視化 → 気づくと増えているので削減
左側が把握です。右側がコントロール。
「結局可視化?」と言われそうですが、まずはきちんと「見える化」することですね。以前の記事でもお話していますが、下がっている時だからこそ「見える化」を推進してほしいです。考えるチャンスなので。「見える化」されていないと、「何が悪かったのか」を感覚で判断してしまいます。それでは同じことが起こった時に、また同じように焦ってしまいます。そんな時だからこそ、タスクは増えますが少しずつ進めてもらえたらうれしいです。
記事に戻りますが、記事内で紹介されている具体例はめちゃくちゃわかりやすいですね。良い時も悪い時も焦らず、まずはしっかりと可視化(見える化)する。そこからできる限りの施策を打つ。モールであれば、ECCから自分がいるジャンルが上がっているのか・下がっているのかをヒアリングすることも大事ですね。しっかりとタイミングを計って、勝機を逃さないことが大切です。
最近のEC業界を見ていると、テクニカル論が少し影を潜めているような気がします。昔はそういうものが主流で、そのなかには誰もが売り上げを伸ばせるものもあったとは思います。ただ今は、きちんとした施策が重要視されています。個人的には10年以上それに取り組んできたので、非常にうれしいですね。ですが、やらなければいけないこと(テクニック)というのは少なからずあります。基礎を押さえつつ、しっかりとしたECの運用をしてもらえたらうれしいです。
要チェック記事
普段使うECモールの1位は「楽天市場」、2位「Amazon」、3位「Yahoo!ショッピング」、4位「ZOZOTOWN」、5位「au Payマーケット」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/14440
「Amazon」と「楽天市場」が非常に僅差ですが、注目すべきは「図表2」ではないでしょうか。特に「Amazon」の男性層の強さはいまだに健在。元々本をメインに販売していただけに、Y世代にかなり寄っていますね。さまざまなデータを元に自分達の潜在顧客がどこにいるのかをしっかり見極めることも、モール戦略には重要になってくると思います。
【25年6月日本でも開始】TikTok Shopとは?注目される背景や海外での先行事例、具体的な開始手順を紹介 | キーワードマーケティング
https://www.kwm.co.jp/blog/tiktok-shop/
毎週のようにピックアップされるTikTokネタですが、いろいろなニュースが飛び交っていますね。さまざまなニュースがありますが、しっかりと「自分達のビジネスに合うのか?」を考え、飛び道具としてではなく、きちんと運用して販路を拡大することが重要です。
アパレルEC・サイト内検索データ活用法 | MSMD & Co.,Ltd.
https://msmd.jp/archives/14508
考え方はジャンルによってさまざまですが、考え方自体は他のジャンルでも使えるものもたくさんあります。「何故そう行えば良いのか」から「自分達のサービスならどう考えたら良いのか」に変換して、トライアンドエラーをすることが大事ですね。
「楽天市場」でパーソナライズド検索がスタート、ユーザーごとに検索結果を最適化 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/14447
Googleが失敗したと言ってもいいパーソナライズド検索。買い物をする人とただ検索をする人とでは思考も意図も変わりますが、この検索は吉と出るのか凶と出るのか。さまざまな検索のアルゴリズムが試されていますが、フィルターバブルのように、ふと新しい世界に触れられなくなるのは寂しいかも?
ChatGPTに決済機能が統合される、ユーザーはChatGPTを離れることなく購入完了 | 海外SEO情報ブログ
https://www.suzukikenichi.com/blog/users-will-soon-be-able-to-purchase-products-inside-chatgpt/
本店を運営しているとやっぱり気になる「ChatGPT」の検索とその対策。Open AIが最初に連携する相手はShopify。このあたりは外資系が強いですね。今後「ChatGPT」がどのように・どこまで利用されていくのか、ECを運営している人であれば気になるところ。
Amazon「プライムデー」の裏でAIから小売サイトへのトラフィックが大幅増加+生成AIサービスによるECシェア争い+OpenAIへのEC進出 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/14488
こちらもAIエンジンの話。AIエンジンのおかげで「プライムデー」のトラフィックが上がったということですが、Open AIがEC事業者との連携を強化して収益を上げるという話。Googleの広告に変わる新しい動きですね。この記事では海外のモールだけの結果ですが、近い未来で日本のモールも?!
今週の唸った・刺さった・二度見した
「フィルターバブル」と「アテンションエコノミー」に注意 | NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250618/k10014834271000.html
今回の記事のなかでも出てきた「フィルターバブル」。これは“良いこと”なのか“悪いこと”なのかという話は置いといて、パーソナライズしていくと限られた情報が周りに増え、次第に類似する情報にしか触れられなくなるということです。また、そのために広告動画を作っている人達が増えているので、似たような動画を作成し、アルゴリズムが働き、その情報に触れる機会が作られます。
よくよく考えると、突然の衝突事故のような、新しい情報に出会うことは少なくなりそうですが、ビジネス的・マーケティング的には良く見えることもあるかも? そのあたりは悪意ある情報発信とそうでない発信とで、人の善意によるのかもしれませんが。
一番身近なものを例にあげると「Google Discover」がありますね。
最後の記事の本題は政治の話でしたが、「フィルターバブル」と「アテンションエコノミー」は、情報を扱うEC事業者の皆さんに覚えておいてほしい、個人的に興味を持ったキーワードでした。上手に情報をコントロールして上手に情報に接しましょう。
ということで、今週も最後までありがとうございました。年末商戦のある方は遅くてもそろそろ準備が必要です! 良いお正月を迎えられるように仕込みを頑張っていきましょう~。1か月に1度しか皆さまにお会いできませんが、それではまた来月!
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:“不調”の声が多いEC業界で、あなたのお店の業績は伸びていますか? 売り上げを伸ばすために誰もが共通して取り組むべき施策【ネッ担まとめ】 | 新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ
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