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「インスタ映え」はもう古い? 今は「リール」「DMでリシェア」がInstagramの主流に【15年の変遷】

Instagramが2025年10月6日で15周年を迎えた。インスタの歴史を振り返り、最新動向・今後の戦略について解説する。

2025年10月6日で15周年を迎えたInstagram。この記事では、Metaが発表した内容をもとに、15年にわたるInstagramの歴史を振り返り、最新動向と今後の戦略について解説する。

Instagramが評価された理由

Instagramは2010年10月6日、ケビン・シストロムとマイク・クリーガーによって誕生した。当時は、カメラの性能が現在よりも良くなく、またインターネットの回線速度が遅かったため、多くの写真共有サービスがWebを介したアップロード手法をとっていた。その中で、Instagramは次の3点が評価された。

  • 優れたフィルター機能:
    画素数が低くても、センスの良いフィルターによって美しい写真が簡単に作成できた。

  • アプリ完結のスムーズさ:
    アプリ内での処理に特化することで、アップロード時間を大幅に短縮した。

  • シームレスな連携:
    FacebookやTwitterなどの他のソーシャルサービスへの共有が容易であった。

その結果、ローンチした24時間後にApp Storeで1位を獲得した。

Instagramの歴史を振り返る

15年間の主なできごとを、次の表に示す。

主なできごと
2010年
  • 10月6日に誕生、24時間後にApp Storeで1位獲得。
2012年
  • Facebook(現Meta)の傘下に入る。
2013年
  • 動画に対応。
  • 米国で広告を開始。
  • 「DM(メッセージ機能)」を導入。
2015年
  • 正方形のフォーマットに加え、縦長・横長の写真や動画も投稿できるようになる。
2016年
  • アプリアイコンを変更。
  • フィードが、アルゴリズムでおすすめ順になる。
  • 「ストーリーズ機能」を発表。24時間で消える投稿形式により、“加工したきれいな写真を投稿しなければならない”というプレッシャーを減らし、気軽な投稿を促した。
2017年
  • 「インスタ映え」が流行語大賞の年間大賞になる。消費行動においてInstagramのコンテンツが与える影響が拡大し、マーケティング活用が本格化する。
2018年
  • ECサイト連携の「ショッピング機能」を開始。
  • ぐるなびと協業し「レストラン予約機能」を開始。
2019年
  • インフルエンサー/クリエイターのコンテンツを活用した「ブランドコンテンツ広告」を発表。
  • 「QRコード機能」を日本で開始。2020年にグローバルで導入。
2020年
  • 短尺動画機能の「リール」を発表。
2021年
  • 「地図検索機能」を日本で開始。2022年にグローバルで導入。旅行や飲食店など、日本で検索されやすいジャンルのインサイトを活かして開発された。
2023年
  • 最大60文字で近況などを更新できる「ノート」を国内で導入。
  • ファンとの交流ツールとして「一斉配信チャンネル」を導入。
  • 登録者限定コンテンツで収益化ができる「サブスクリプション機能」も開始。
2025年
  • AI編集アプリ「Edits(エディッツ)」をローンチ。短尺動画の作成に特化している。
  • iPad専用アプリをローンチ。リールに最適化されたデザインで、アプリを開くとリールが最初に表示される。
2010年~2016年
2018年~2020年
2023年~2025年

Instagramの最新動向

2025年9月末の発表によると、Instagramの最新の月間アクティブアカウント数(MAA)は、グローバルで30億を達成した。なお、現在の世界のインターネット人口は約55億人である。

国別のMAAは2019年以降公表されていないが、最後に公表された時点で日本は3,300万であり、その後も右肩上がりで成長を続けている。Instagramにとって日本は、単にユーザー数が多いだけでなく、次の点から極めて重要なマーケットと位置づけられている:

  • ユーザーのエンゲージメントが非常に高い
  • 新しい使い方をクリエイティブに考案・実践する利用者層がいる
数字は非公表だが、2019年から右肩上がりで成長している

Instagramの成長を牽引する「リール」と「DM」

現在、Instagramの成長を牽引しているのは「リール」と「DM」だ。利用時間の50%をリールが占めており、リールの視聴時間は、現在でも前年比20%の伸び率を誇る。

また興味がある・おもしろいリールの動画を、DMで友人や家族にシェアする「リシェア」の動きが加速している。一日のリシェア数はグローバルで45億回にのぼり、フォロワー全体への共有ではなく、1対1やグループでのシェアが主流となっている。

InstagramのDMで写真や動画をシェアするのが、今の流行

このトレンドを受け、モバイルアプリのデザインの配置を左から「ホーム」「リール」「DM」に変更するテストが直近で開始された。

テストの結果次第で、正式に変更するかどうかを決めるという

Instagramの未来

Metaは「Meta Festival Japan 2025」で発表したとおり、AIに大きな投資をし続けている。Instagramにおいても、今後の戦略として3つのAI活用を挙げた。

1. おすすめや検索の精度を向上させる

利用者の興味関心に合わせたコンテンツのレコメンデーション精度がAIで大幅に向上しており、これにより利用時間が昨対比で6%増加した。

おすすめコンテンツを利用者自身で管理する取り組みもテスト予定だ。利用者の視聴コンテンツをもとにAIが興味のあるトピックを表示し、利用者がフィードバックすることでAIが学習し、アルゴリズムが変更されていく仕組みである。

また検索機能にもAIが活用され、一部の国ではすでに「Meta AI」が検索画面に組み込まれている。これにより検索精度が向上するだけでなく、AIによる検索結果の要約なども可能になる。時期は未定だが、日本への導入も検討されているという。

AIでアルゴリズムを管理する取り組みもテスト予定

2. 広告効果を改善する

すでにMetaではAIを活用し、次のような広告成果を出している:

  • ROASの向上
    Meta広告では、平均して1ドルあたり3.71ドルのROAS(広告費用対効果)が確認されている。

  • CPAの改善
    AIで自動最適化する広告プロダクト「Advantage+」を活用したキャンペーンでは、CPA(獲得単価)が9%改善された。

広告収益においても、InstagramがMetaのシェアを大きく伸ばす原動力となっている。今後もAIによる広告プロダクトの改善・活用が進んでいくだろう。

広告収益においても、InstagramがMetaのシェアを牽引

3. クリエイティブツールと翻訳機能

クリエイターの表現を支援するツールにもAIが活用されている。「Meta AI Voice Translations(音声翻訳)」は、 動画音声を自動的に翻訳する機能だ。話し方や唇の動きも自然な形で再現するという。

2025年8月に一部の国でローンチされ、現在は英語とスペイン語、ポルトガル語とヒンディー語間でのみ利用可能。日本での導入・日本語の対応時期は未定だが、Meta AI Voice Translationsで作成した動画の閲覧はできる。

AIでクリエイティブも簡単に作成できるように
◇◇◇

写真共有アプリとしてスタートしたInstagramは、15年の間に利用者のニーズに合わせて絶えず進化してきた。今後もAIを含む最新テクノロジーを活用し、Instagramはさらなる進化を遂げるだろう。

用語集
CPA / EC / Facebook / Instagram / ROAS / アップロード / インフルエンサー / エンゲージメント / キャンペーン / クリエイティブ / サブスクリプション / フィード
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