インタビュー

ほっかほっか亭、自社アプリ会員数が従来比約300%増に! コツは○○からの誘導だった

「ほっかアプリ」を運用するほっかほっか亭は2021年8月、アプリの会員数を劇的に増やすことに成功した。その理由とは?
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「自社アプリをリリースしたものの全然ダウンロードされない」「アプリ開発にお金をかけたのに、うまく活用できていない」、そんな悩みを抱えている担当者も多いのではないだろうか?

2021年で創業45周年を迎えたお弁当業界のパイオニア・ほっかほっか亭は、自社アプリ「ほっかアプリ」の運用に注力している。2021年8月に行った施策では、アプリ会員登録者数が従来比約300%増になったという。どのようにしてアプリの会員数を伸ばしていったのだろうか。

ほっかほっか亭総本部でデジタル施策に取り組む百岳 望 氏と、コンサルティングをしたアライドアーキテクツの木嶋 諄 氏に話を伺った。

若年層にリーチできていない課題があった

(左)株式会社ほっかほっか亭総本部 マーケティング本部 IT推進課 百岳 望 氏
(右)アライドアーキテクツ株式会社 プロダクトカンパニー Promotion本部 コンサルティング部 副部長 木嶋 諄 氏

――自社アプリは、いつどういった目的で作られましたか?

百岳氏(以下、敬称略): 2018年6月にリリースしました。それまでは折り込みチラシや紙のポイントカードなどを運用していましたが、やはり紙媒体だとなかなかリーチせず、特に若年層を取り入れられていない課題がありました。より幅広いお客様をファン化していきたいと思ったときに、アプリのほうが有効だろうと考え、「ほっかアプリ」の開発に着手しました。

――若年層を取り入れるためにも、アプリが有効だと考えたんですね。

百岳: はい。最近では、若年層から「ほっかほっか亭に入るのは緊張する」といった声もいただくんです。どうやら注文するのに、店員と話すのがネックなようです。そこで、2021年1月から全店でモバイルオーダーを取り入れ、アプリ上で注文から決済までできるようにしました。注文した品は指定時間に受け取るだけですので、緊張することなく購入できるようになったと思います。楽天ポイントと連携しているのもあり、既存のお客様からは好評です。しかし、新規のお客様に「まずは食べていただく」というファーストステップを取っていただくのが難しく……。アプリを開発したものの、ダウンロードしてもらうまでのハードルの高さを感じていました。

「ほっかアプリ」トップ画イメージ

――たしかに、まだ一度もほっかほっか亭のお弁当を食べたことがない人だと、アプリをダウンロードしないですよね。

百岳: そうなんです。そこで戦略を変え、まずはTwitterのフォロワー数を増やすことを目標にしました。SNSのフォロワー数は、誰が見てもわかりやすい1つの数値です。

――特にTwitterに着目したのはなぜでしょうか?

木嶋氏(以下、敬称略): Twitterは、ユーザーへのリーチや拡散が非常に優れた媒体だからです。その特性を生かして、まずはほっかほっか亭さんの情報を潜在層に知ってもらおうと考えました。

百岳: 「ほっかアプリ」は、既存顧客をロイヤルカスタマーに育てていくツールです。一方でTwitterは、裾野を広げるためのツールという位置づけ。そこで2020年7月、Twitterのフォロワー数を増やすことを目的にアライドアーキテクツの「echoes(エコーズ)」を導入しました。これはTwitterインスタントウィン(即時抽選)キャンペーンツールです。

木嶋: キャンペーン施策では、ほっかほっか亭さんのTwitterアカウントをフォローしていただき、キャンペーンの投稿をリツイートしてもらうことで、クーポンの当選結果を即時に自動でリプライしています。さらに自動リプライ上でアプリダウンロードを促進する(任意)ことも実施いたしました。キャンペーンのインセンティブではお弁当を無料で1食引き換えできるクーポンを配布しているため、課題に感じていた新規のお客様に「ファーストステップを踏んでいただく」ことのハードルを下げられたと思います。

「echoes」

百岳: Twitterでは、「クーポンが当たったので、初めてほっかほっか亭さんに行きました」といったツイートをよくお見かけするようになりました。本来の目的が潜在顧客にリーチして来店してもらうことなので、非常にうれしいですね!

――顧客の声が聞けるのも、Twitterの優れた点ですよね。ちなみにTwitter運用のポイントはありますか?

百岳: IT推進課が2名体制で運用しています。お客様の当選報告のツイートには、「いいね」やRTをこまめにするようにしています。つぶやいていただけると我々もうれしいですし、励みになるんですよね。とはいえ、Twitterキャンペーンは好評だったものの、さらに一歩進んだ「ほっかアプリ」のダウンロードまでには至らず、アプリの会員登録者数はそこまで増えませんでした。

▲「ほっかアプリ」について言及するも、ダウンロード数はそこまで増えず

Twitterキャンペーンの当選結果を、アプリ上で表示させた

――Twitterキャンペーンで潜在層にリーチはできたものの、ロイヤルカスタマーに育てていく「ほっかアプリ」のダウンロードにはつながらなかったと。

木嶋: はい。そこで2021年8月の施策では、「echoes」のサービスのラインアップとして、新たにリリースした「echoes App(エコーズアップ)」を使いました。これは先ほどのインスタントウィンの施策と似ていますが、違いはTwitterでほっかほっか亭さんのアカウントをフォロー&RTしていただいたあとに、アプリ上でキャンペーンの当選結果を表示させる仕組みになっていることです。お客様がアプリをダウンロードして、Twitterアカウントと連携させることで、クーポンの当選結果がわかるようになっています。当選結果をTwitter上で完結させず、「ほっかアプリ」に誘導させたことで、必然的に会員数が増えました。

「echoes App」

百岳: 期間は2021年8月5日~31日までの27日間で、「黒唐揚&スタミナ炒め弁当」1食分の無料券が1000名様に当たる内容にしました。この施策の魅力は、キャンペーン期間中なら毎日抽選に参加できることです。つまり、1人のお客様につき最大27回、キャンペーンの投稿をRTするチャンスがあります。何度もRTされることで、キャンペーン自体も拡散されていきました。このツイートは、累計約26万RTされ、約960万インプレッションを記録。おかげでアプリの会員登録者数は、従来比約300%増になりました。これはキャンペーンを実施した27日間の計測です。

――爆発的に会員数が増加していますね。ユーザーが何度もRTすることで、キャンペーン自体も自然と拡散されていったのでしょうか?

木嶋: おっしゃる通りです。またお客様もクーポンの抽選結果を知るために、何度も「ほっかアプリ」を開くことになり、アプリを見てもらう習慣化にもつながったのではないかと思っています。

――クーポンの使用率はいかがですか?

百岳: 私たち本部も驚くほど高い水準で利用されています。本部は、加盟店に対して「アプリ会員は非常に重要で、会員数を増やさないと売り上げも上がらない」という話を常日頃からしています。そういう意味でも今回の施策は、本部の主張と行動が一致する取り組みでしたし、いい成果を残せたと思います。

AppleやGoogleの規制の影響を受けないデジタル施策

――デジタル施策について、今後の展望を教えてください。

百岳: ほっかほっか亭は中食であり、店内で調理した作り立てのお弁当を提供しています。スローガンに「わたしの街の台所」を掲げているとおり、お母さんが子どもに食べさせるようなお弁当を提供したいと考えています。看板メニューは「のり弁当」。これは創業当時からあるメニューで、昭和の初期の頃に各家庭で食べていたような味わいなんです。今はいろんなお弁当専門店がありますが、ブランドによって味はかなり異なります。この機会に、ぜひ食べ比べてもらいたいです。そうした昔ながらの味わいを大事にしつつも、デジタル施策で新規の若年層にもリーチし、「ほっかアプリ」の会員数を増やしていきたいですね。

創業当時からあるメニューで「元祖のり弁当」と呼ばれている

木嶋: Appleは、2021年4月末のiOS14.5アップデートで、ユーザーのプライバシーに配慮するためのATT(App Tracking Transparency)というフレームワークを導入しました。これにより、ユーザーの同意なしではトラッキングができなくなり、ターゲティングの精度は低下していくといわれています。これはアプリマーケティング業界全体の課題です。そうした中で「echoes App」を使い、Twitterと掛け合わせれば、多くのユーザーをアプリのダウンロードに誘導できます。直接的にCookie規制などの影響を受けないのが強みです。今後も、ほっかほっか亭さんのデジタル施策を支援していきたいです。

自社アプリとSNSの役割を明確にしよう

自社アプリやTwitterのほかに、FacebookやInstagramなど、さまざまなSNSを運用している企業は多い。しかし、各SNSの役割を明確に決めて運用している企業は少ないのではないだろうか。 まずは、ほっかほっか亭のように

  • アプリ=既存顧客をロイヤルカスタマーに育てていくツール
  • Twitter=裾野を広げるためのツール

などと役割を明確にすることが大切だろう。その上で、アプリとSNSを掛け合わせることがポイントのようだ。自社アプリの運用に悩んでいる担当者は、ほっかほっか亭の事例を参考にしてみてはいかがだろうか。

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