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スポーツライフプラネッツ、越境BtoB-EC「PLA★NET(ぷらネット)」を開設。基盤に「ecbeing BtoB」を採用

4 日 12 時間 ago

スポーツライフプラネッツはこのほど、海外法人向け釣り用品パーツ販売サイトのプラットフォーム「PLA★NET(ぷらネット)」を開設した。基盤にはecbeingの提供する法人向けECサイト構築プラットフォーム「ecbeing BtoB」を採用している。

スポーツライフプラネッツは、従前から国内外の販売会社に釣り用品パーツの卸販売を展開。2008年にecbeingのプラットフォームを活用した専用受注システムを導入し、受発注業務に活用してきた。

国外の多くの販売会社からの注文はメールによる受注対応が中心で、注文フォーマットが国や会社ごとに異なっていたため、受注処理に多くの時間と手間がかかるという課題を抱えていた。

海外顧客への出荷業務を効率化するため、越境BtoB-ECサイト「PLA★NET」を構築した。「PLA★NET」の開設について、スポーツライフプラネッツは次のようにコメントしている。

海外については国・地域により考え方や運用方法が違う中で統一されたシステムは難しいと考えていた。内容に応じて、ecbeingから複数の選択肢の提示があり、スポーツライフプラネッツの考え得る最適なソフトの構築が実現した。

スポーツライフプラネッツのコーポレートサイト
スポーツライフプラネッツのコーポレートサイト

「ecbeing BtoB」を活用した「PLA★NET」の特長は次の通り。

多言語対応

「ecbeing BtoB」は、イー・エージェンシーが提供するツール「shutto 翻訳」を導入。英語、中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、イタリア語の計7か国語に対応している。ユーザーはサイト上部の言語選択ボタンをクリックすると言語切り替えができる。

多言語での表記に対応する
多言語での表記に対応する

出荷の流れ

「ecbeing BtoB」で受注した注文データは、基幹システムへ自動的に出力される。基幹システムでは、受注情報をもとに倉庫や国際配送会社へ出荷指示を連携する仕組みになっている。

購入手続きにおける透明性や信頼性

部品価格は日本円で表記。価格が未定の部品の場合は「TBA(To Be Announced)」と表示する。出荷時に確定した価格情報は基幹システムと連携し、正確な価格を反映する。

展開図の表示

製品詳細画面に展開図を表示できる導線を設置、実際に部品の位置を確認しながら数量を入力することができる仕様にした。展開図はデジタル総合印刷が提供する電子パーツリストシステム「座標鳥」の導入で実現したという。

展開図の表示イメージ
展開図の表示イメージ

部品一覧の掲載

製品詳細画面の上部に製品自体の情報、下部にその製品の部品一覧を掲載。部品一覧ページから直接、注文件数の入力ができる仕様にしている。

製品詳細画面
製品詳細画面

「ecbeing BtoB」について

「ecbeing BtoB」は、「得意先別商品・単価表示」「品番発注機能」「注文管理機能」「出荷指示データ出力機能」「配送設定」など、法人間取引に特化した標準機能や、業務をサポートするオプションを取りそろえるBtoB専用のEC構築プラットフォーム。

大嶋 喜子

楽天の2025年1-9月期の国内EC流通総額は4兆6325億円で7.6%増、7-9月期単体は14.5%増

4 日 13 時間 ago

楽天グループの2025年1-9月期(第3四半期累計)連結業績における国内EC流通総額は4兆6325億円で前年同期比7.6%増だった。2025年7-9月期(第3四半期)単体では同14.5%増の1兆7141億円。

2025年1-9月期(第3四半期)の国内EC流通総額の内訳は、コアビジネスが同7.9%増の4兆2063億円、成長投資ビジネスが同5.3%増の4261億円。2025年9月末の出店者数は同0.8%減の5万5111店舗。中間期まで2四半期連続で店舗数が減少していたがプラスに転じた。

楽天の2025年1-9月期の国内EC流通総額は4兆6325億円で7.6%増、7-9月期単体は14.5%増
国内流通総額の推移(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

国内ECは「楽天市場」の好調とトラベルが増収を牽引した。10月のふるさと納税のポイント付与ルール改定による需要前倒しで「楽天市場」を中心に高成長を記録。ただ、2025年10−12月期(第4四半期)は反動減を見込、い。

「楽天市場」では楽天モバイルとのシナジーを拡大しており、7-9月期(第3四半期)における月間アクティブユーザーに占める楽天モバイル契約者の割合は前年同期比1.8ポイント増の16.2%。楽天モバイル契約者の流通額は非契約者より48.5%高い。新規ユーザー獲得推進にも貢献しているという。

楽天の2025年1-9月期の国内EC流通総額は4兆6325億円で7.6%増、7-9月期単体は14.5%増
楽天市場と楽天モバイルのシナジーが拡大している(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

トラベル事業の取扱高は前年同期比7.6%増。今後は、モバイルとのシナジー拡大やAI活用により、流通総額の成長と利益のさらなる拡大をめざすとしている。

国内EC流通総額は「楽天市場」の流通総額に加え、トラベル、ブックス、ブックスネットワーク、ゴルフ、ファッション、ドリームビジネス、ビューティ、Rakuten24などの日用品直販、Car、ラクマ、Rebates、楽天マート、クロスボーダートレーディングなどの流通額を合算した数値。

2025年1-9月期(第3四半期累計)の国内EC売上は前年同期比7.5%増の7438億8300万円。国内ECの営業利益は812億3700万円で同17.3%増。

楽天グループの連結業績は、売上収益は同10.5%増の1兆7876億3500万円、営業損益は13億4600万円(前年同期は510億6600万円の赤字)と黒字転換した。

鳥栖 剛

イオンが11/11からブラックフライデーセールをスタート/ECでの支払い方法はクレジットカード・デビットカードが約7割【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

4 日 13 時間 ago
2025年11月7日~2025年11月13日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. イオン、11/11からブラックフライデーセールをスタート

    「イオン ブラックフライデー」は、2016年にスタートしたイオンの大型セール。食品や衣料品、日用品などを割引価格で提供するほか、オリジナル商品も展開している。2025年は10周年を迎える節目の年として、過去最大級の企画を用意しているという。

    2025/11/10
  2. ECでの支払い方法、クレジットカード・デビットカードが約7割、「PayPay」などのID決済は約1割。支払額が多い人ほどクレカ利用が多い傾向

    調査の結果、オンライン決済の中心的な手段は「クレジットカード・デビットカード」で、利用額と頻度が高いほどその傾向も高いことがわかった

    2025/11/10
  3. ランサムウェア攻撃被害のアスクル、12月上旬以降に本格復旧フェーズをめざす計画とは

    同社は、事業所顧客の業務継続を最優先とし、まずは法人向けサービス「ASKUL」の復旧を優先的に進める方針。今後、安全性と安定稼働を確認しながら、対象範囲を段階的に拡大していくとしている。 ASKULサービスの復旧は3段階で進める。

    2025/11/7
  4. 日本トイザらス、おもちゃ・子ども用品の「ブラックフライデー」を11/21スタート

    日本トイザらスによると、実店舗では11月21日の開店時間から、オンラインストアは11月20日12時から、対象商品を大幅割引価格で販売する。

    2025/11/11
     
  5. Yahoo!オークションで、2025大阪・関西万博で使用された什器や備品のオークションを11月11日から開始

    協賛者として参画している万博の「リユースマッチング事業」の一環として行う。「Yahoo!オークション」で2025年の「大阪・関西万博」で使用された什器や備品のオークションを開始した

    2025/11/11
     
  6. 楽天の無人配送サービスがローンチから1年、自動配送ロボットによる商品配送はどんな状況?

    「楽天無人配送」は、東京都中央区の晴海全域と、月島・勝どき・佃の一部地域で展開している。自動配送ロボットが温かい料理や冷たい飲み物、生鮮・冷凍食品、日用品などを対象地域内の配達場所に毎日配送。夜間や雨天時にも稼働し、利用者の多様なライフスタイルを支えている。

    2025/11/7
     
  7. 【最終日も当日申込OK!】ビームス、ミスミ、タカラトミー、中川政七商店、TSI、アテニア、ヤマダデンキなど登壇

    ネットショップ担当者フォーラムは「ネットショップ担当者フォーラム 2025 秋」の2日目を、11/7(金)10時30分~17時15分に赤坂インターシティコンファレンスで開催しています。すべての講演を無料で聴講できます!

    2025/11/7
     
  8. 生成AI経由の購買トラフィックが急増。カート追加率38.5%増、平均セッション時間増など越境ECサイトのトラフィック調査

    「WAFUU.COM」は、日本の流通商品を世界100カ国以上・21言語で展開する越境ECサイト。日本の優れた製品を世界中の消費者に届けることをミッションに、独自仕入れによるセレクトショップ形式で運営している。

    2025/11/12
     
  9. 「サムソナイト」「グレゴリー」のEC改善事例。CVR改善+購入完了率が最大45%増の成果をあげたアプローチとは

    DtoC推進のため、自社ECを強化しているサムソナイト・ジャパン。決済手段の1つに「Amazon Pay」を導入し、買い物体験の向上、さらにはCVR改善などに成功している。「Amazon Pay」を活用した施策とその実績を担当マネージャーに聞く

    2025/11/12
     
  10. ユナイテッドアローズ、連結子会社コーエンをジーイエット(旧マックハウス)に売却へ

    現在、諸条件について協議を進めており、株式譲渡契約の締結日は12月25日、譲渡実行日は2026年1月31日を予定している。譲渡価額は未定。

    2025/11/10
     

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

藤田遥

EC業界の「人」を表彰する第3回アワードのMVPは「ちいかわ」IPビジネスのグレイ・パーカー・サービスの小林氏。VALX、リンベル、ビィ・フォア―ド、ビルディが各賞を受賞 | EC業界で活躍する人を顕彰!「ネットショップ担当者アワード」

4 日 14 時間 ago
ネットショップ担当者フォーラムが11/6に開催した、EC業界の「人」を讃えるアワードの2025年受賞者をダイジェストで紹介します。

EC業界で活躍する“人”にフォーカスし、企業や団体などで活躍する個人の功績や取り組みを表彰するアワード「ネットショップ担当者アワード」(主催はインプレスの「ネットショップ担当者フォーラム」)の第3回授賞式を11月6日に開催、受賞者を発表しました。受賞者が獲得した賞、受賞者の実績をダイジェストでお届けします!

写真左から、「第3回ネットショップ担当者アワード」をスポンサードしたコマースメディアの井澤孝宏代表取締役、2025年アワード受賞者(トロフィーを持っている5人)。2024年受賞者のタイムマシン小川公造氏、2023年受賞者のアズワン中野裕也氏、2024年受賞者のPOST COFFEE 下村祐太朗氏、エトワール海渡 桑原惇氏

選考委員を務めたのは、ネクトラス代表取締役の中島郁氏(委員長)、スマイルエックス代表の大西理氏、CaTラボの代表でオムニチャネルコンサルタントの逸見光次郎氏、ルームクリップ KANADEMONOカンパニー管掌やオルビスのCDO(Chief Digital Officer)などを務める石川森生氏、SRSホールディングスの執行役員SRSグループDX推進本部長の田丸知加氏。

アワードはコマースメディアがスポンサード。一般社団法人イーコマース事業協会が後援しました。

注目すべき5人を表彰

2025年の「ネットショップ担当者アワード」で表彰した人物は次の5人です。MVP以外は氏名を五十音順に掲載しました。

ネットショップ担当者アワードMVP:グレイ・パーカー・サービス 小林辰也氏

株式会社グレイ・パーカー・サービス WEB事業部 部長 小林辰也氏
株式会社グレイ・パーカー・サービス WEB事業部 部長 小林辰也氏
2023年にグレイ・パーカー・サービスへ入社。同年、「ちいかわマーケット」公式LINEアカウントを立ち上げ、友だち数500万人を達成。翌2024年にはWEB事業部次長として組織改革と物流移管プロジェクトを推進。現在は部門責任者として、全12のECサイトの運営とマーケティングを統括している。
小林氏(左)と、プレゼンターを務めた中島選考委員長
小林氏(左)と、プレゼンターを務めた中島選考委員長

MVPは、実績や個人の挑戦などを総合的に評価し、選出しました。

「ちいかわ」などのIPビジネスを展開するグレイ・パーカー・サービスのEC事業について、2025年5月期のEC売上高は前期比50%超の成長を記録。小林氏は、外注業務の内製化によるコスト圧縮、物流移管に伴うインフラ強化、注文集中時の決済待ち時間を最大5分の1に短縮したシステム活用など、さまざまな観点から増収に貢献しました。2023年の入社以来、デジタル戦略を一手に担っています。

編集部が直撃! 小林氏の詳細インタビューはこちら

EC業界で活躍する人を顕彰!「ネットショップ担当者アワード」

「ちいかわ」などのIPビジネスでEC売上高50%増。グレイ・パーカー・サービスの責任者が語る成長要因

「ちいかわ」など人気キャラクターのグッズ制作・販売を手がけるグレイ・パーカー・サービスでWEB事業部を管掌する小林辰也部長を、11/6に授賞式を開催する第3回「ネットショップ担当者アワード」の受賞者の1人に選出した。既存の外部依存モデルにとらわれず、組織改革とECの内製化を精力的に取り組み、めざましい実績をあげている小林氏本人にインタビューした。<第3回「ネッ担アワード」受賞者インタビュー第3弾>
高野 真維[執筆]10/31 7:00 15 8 0

ブレイクスルー賞:リンベル 大川和弘氏

リンベル株式会社 執行役員 EC統括部 本部長 大川和弘氏
リンベル株式会社 執行役員 EC統括部 本部長 大川和弘氏
デジタルマーケティング・システム構築・商品開発の全領域を管掌。2006年入社以来、リンベルのデジタル戦略を一手に担い続ける。ECサイトの立ち上げから、他社とのギフト通販ビジネスをリードしている。デジタルギフトの波を捉え、株主優待やポイント交換事業などのシステム責任者として、大規模プロジェクトを成功に導いた。自治体ビジネスの基盤となる「スマートギフト」では「選べる」「足せる」自由なポイント交換システムを構築し、業界のスタンダードを刷新。2024年、SNSギフト「ギフトリスト」をリーダーとしてサービスインさせ、ギフト体験をデジタル時代へと進化させた。
大川氏(左)と、プレゼンターを務めた田丸選考委員
大川氏(左)と、プレゼンターを務めた田丸選考委員

ブレイクスルー賞は、自社の既存のビジネスモデルにとらわれず、新たな領域のMDや販路拡大などに精力的に取り組み、実績をあげている企業の担当者を表彰する賞です。

リンベルは、コロナ禍のフォーマルギフトの落ち込みという業界の逆風を乗り越え、近年のEC売上高は4年で2.4倍に成長しました。その旗振り役となったのが大川氏です。ニーズに合わせたギフト販路の拡張、それに伴うDX化、当日出荷を可能にした自社物流の強化など多方面の改革・開発に取り組み、実績につなげています。

編集部が直撃! 大川氏の詳細インタビューはこちら

EC業界で活躍する人を顕彰!「ネットショップ担当者アワード」

4年でEC売上高を2.4倍に伸ばした秘訣は? リンベルの大川執行役員が語る「フォーマルギフト」の壁を破るDX戦略

カタログギフト大手のリンベルでEC事業を管掌する大川和弘執行役員を、11/6に授賞式を開催する第3回「ネットショップ担当者アワード」の受賞者の1人に選出。既存のビジネスモデルにとらわれず、新たなMDや販路拡大に精力的に取り組み、実績をあげている大川氏本人にインタビューした。<第3回「ネッ担アワード」受賞者インタビュー第1弾>
高野 真維[執筆]10/29 7:00 2 1 0

コミュニティ共創賞:VALX 古賀雅範氏

VALX株式会社 マーケティング責任者 事業部 マーケティング課 課長 古賀雅範氏
VALX株式会社 マーケティング責任者 事業部 マーケティング課 課長 古賀雅範氏
スポーツ用品メーカーDESCENTEで商品企画やEC責任者を歴任。Jリーグユニフォーム開発やオムニチャネルを推進し、コロナ禍でのEC急成長に貢献し社長賞を受賞。2024年よりVALXに参画し、日本一広告費率の低いD2Cブランドをめざして事業をリード。EC×SNS×リアルを融合した「P2P2C型」熱狂マーケティングで市場を創造し、「プロテイン×コミュニティ」を起点にスポーツビジネス拡大に挑戦している。
古賀氏(左)と、プレゼンターを務めた石川選考委員
古賀氏(左)と、プレゼンターを務めた石川選考委員

コミュニティ共創賞は、EC事業においてファンとのコミュニティ形成に奏功している企業の担当者を表彰する賞です。

プロテイン販売のVALXは広告やセールに依存せず、ファンとの共創を軸にブランドを成長させている企業です。Web広告費を大幅に抑えながら事業構造を転換し、持続的にブランド価値を高めるビジネスモデルへと進化させています。

古賀氏はEC事業と全社マーケティング戦略を担当し、マーケティング全体の設計とKPIマネジメントを担う人物です。ファンの熱量を起点にブランドを設計する共創モデルを推進し、広告費ゼロで毎月1500件超のUGCが自然に生まれるエコシステムや、オーガニック流入の拡大などを生み出しています。

編集部が直撃! 古賀氏の詳細インタビューはこちら

EC業界で活躍する人を顕彰!「ネットショップ担当者アワード」

広告依存からの脱却+ファンとの共創で価格競争に“勝つ”ビジネスモデルを築いたVALXの古賀課長に聞く成長の秘訣

プロテイン販売のVALXでEC事業と全社マーケティングを担当する古賀雅範課長を、11/6に授賞式を開催する第3回「ネットショップ担当者アワード」の受賞者の1人に選出。既存の広告依存型ビジネスモデルにとらわれず、ファンとの共創マーケティングを推進し、実績をあげている古賀氏本人に直撃インタビューした。<第3回「ネッ担アワード」受賞者インタビュー第5弾>
高野 真維[執筆]11/5 7:00 1 1 0

越境ビジネス賞:ビィ・フォア―ド 土屋汐莉氏

株式会社ビィ・フォア―ド デジタルビジネスプラットフォーム推進部 デジタルマーケティンググループ デジタル企画チーム チームマネージャー 土屋 汐莉 氏
株式会社ビィ・フォア―ド デジタルビジネスプラットフォーム推進部 デジタルマーケティンググループ デジタル企画チーム チームマネージャー 土屋 汐莉 氏
2012年ビィ・フォアード入社。セールスアシスタントを経て、2016年にマーケティング部に異動。アフリカの販売拠点でのマーケティングや現地送金(ローカルペイメント)を担当。現在は、アフリカ向け不動産物件掲載プラットフォーム事業を担当し、チームマネージャーとして新規事業をリードする。
土屋氏(左)と、大西選考委員
土屋氏(左)と、大西選考委員

越境ビジネス賞は、越境ECに関連する業務に精力的に取り組み、後進のベンチマークになり得る担当者を表彰する賞です。

中古車越境ECのリーディングカンパニーであるビィ・フォアード。2024年6月期のEC売上高は前期比9%増の1180億円です。

ビィ・フォアードでデジタルマーケティングを担う土屋氏は、20か国以上にローカライズした全41アカウントのSNS運用、ローカルペイメントの担当経験、そして新規事業への挑戦など、さまざまな事業カテゴリに挑み、ビィ・フォアードの事業成長と自身のスキルアップにつなげてきました。

編集部が直撃! 土屋氏の詳細インタビューはこちら

EC業界で活躍する人を顕彰!「ネットショップ担当者アワード」

売上1180億円のグローバルECを支えるSNS運用とは?ビィ・フォアード土屋氏が語る越境ECビジネスのローカライズSNS・ファン育成術

中古車越境ECのカテゴリで圧倒的な存在感を持つビィ・フォアードで、デジタル企画チームを管掌する土屋汐莉チームマネージャーを、11/6に授賞式を開催する第3回「ネットショップ担当者アワード」の受賞者の1人に選出した。グローバル市場で20か国以上にローカライズしたSNS戦略を推進し、事業拡大とファンの育成に貢献した土屋氏本人にインタビューを行った。<第3回「ネッ担アワード」受賞者インタビュー第4弾>
高野 真維[執筆]11/4 11:00 1 6 0

SNSマーケティング賞:ビルディ 戸田夏海氏

ビルディ株式会社 コンテンツ部 クリエイティブチーム リーダー 戸田夏海氏
ビルディ株式会社 コンテンツ部 クリエイティブチーム リーダー 戸田夏海氏
2022年、ビルディにクリエイティブデザイナーとして入社。翌年クリエイティブチームに配属後、SNSの運用担当をスタート。ショート動画制作では企画から編集まで一貫してチーム内で担う。バナー制作やパンフレット・カタログなどの印刷物の制作をはじめ、プライベートブランドの製品デザインや、ビルディが国内総代理店を務める電動工具ブランド「DCK」の国内向けパッケージデザイン・公式サイトの運営など、ビルディに関わるあらゆるクリエイティブ業務を担う。
戸田氏(左)と、プレゼンターを務めた逸見選考委員
戸田氏(左)と、プレゼンターを務めた逸見選考委員

SNSマーケティング賞は、企業のSNS運用に積極的に取り組み、実績をあげている企業の担当者を表彰する賞です。

プロ向けの電動工具・資材ECのBtoB-ECを手がけるビルディは、SNS運用によるデジタルコンテンツの強化でEC事業が急成長しています。そのSNS運用をけん引しているのが戸田氏です。

ビルディの2025年5月期の売上高は前期比20%増の35億1900万円。BtoB事業とSNSの相性は費用対効果の面で判断が難しい環境下で、ECへの流入につながるデジタル戦略が増収に貢献しています。戸田氏はSNS運用の内製化を一手に担い、TikTokで100万回再生を超えたショート動画の企画・配信、Instagramのフォロワー数を直近1年間で36%アップさせる(2025年9月時点)など、数々の実績をあげています。

編集部が直撃! 戸田氏の詳細インタビューはこちら

EC業界で活躍する人を顕彰!「ネットショップ担当者アワード」

BtoB-ECの売上高を2割増やした「工具EC」のコンテンツ作りとは? ビルディに聞くSNS内製化・ショート動画戦略

工具ECのビルディでコンテンツ部を管掌する戸田夏海氏を、11/6に授賞式を開催する第3回「ネットショップ担当者アワード」の受賞者の1人に選出。ショート動画を活用したSNSの内製化に取り組み、実績につなげている。<第3回「ネッ担アワード」受賞者インタビュー第2弾>
高野 真維[執筆]10/30 6:00 1 2 0
◇◇◇

「第3回ネットショップ担当者アワード」の授賞式は、2024年11月6日(木)に東京・赤坂で実施しました。

第3回ネットショップ担当者アワード受賞者(前列5名)、選考委員(後列5名)
第3回ネットショップ担当者アワード受賞者(前列5名)、選考委員(後列5名)

詳細なレポート記事は近日配信します。各賞の選出ポイント、受賞者のコメント、選考委員の講評など、詳しくお届けします。お楽しみに!

第3回のネットショップ担当者アワードは、コマースメディアにスポンサードいただき、一般社団法人イーコマース事業協会が後援しました。

スポンサードパートナー

後援

鳥栖 剛

LINEヤフーのブラックフライデー、「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!フリマ」などコマース5サービスで実施

4 日 15 時間 ago

LINEヤフーは11月13日、「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!フリマ」「Yahoo!オークション」「Yahoo!トラベル」「LINEギフト」の5つのコマースサービスで「ブラックフライデー」を実施すると発表した。年末商戦に合わせて、各サービスでポイント付与や限定クーポン、Dysonやタイガーといった注目ブランドの特別セールなどさまざまなキャンペーンを実施する。

Yahoo!ショッピング

11月25日(火)0:00〜11月30日(日)23:59まで「ブラックフライデーセール」を実施。大型還元キャンペーンや割引セール、クーポン配布を手がける。

「誰でも最大25%」のポイントキャンペーン

期間中は買い物金額に応じて還元率が上昇する仕組みで、最大25%のポイントを進呈。内訳は、LINEアカウント連携で毎日+5%、ボーナスストアPlusで最大+10%、同Plus特典でさらに+2%、「ブラックフライデー」限定特典として合計購入額5000円以上で+5%、2万円以上で+8%となる。

50%OFF以上を含む特別セール商品

Dysonのドライヤー、タイガー炊飯器、シャークハンディクリーナーなどの家電、食品や日用品などで50%OFF以上の商品も登場予定。商品ラインアップは順次公開する。

LINEヤフーは11月13日、「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!フリマ」「Yahoo!オークション」「Yahoo!トラベル」「LINEギフト」の5つのコマースサービスで「ブラックフライデー」を開催すると発表した
食品や日用品などで50%OFF以上の商品も登場予定

クーポン特集

3万円(税込)以上の購入で利用できる「1500円OFFクーポン」などを配布する。

Yahoo!フリマ

エンタメ関連商品が最大50%OFFとなる「BLACK FRIDAYクーポン」を6枚配布。クーポン獲得期間は11月21日(金)12:00〜12月1日(月)11:59、利用期間は11月25日(火)12:00〜12月1日(月)11:59。

対象カテゴリと内容は次の通り。

  • おもちゃ:500円以上50%OFF(上限1000円)
  • コレクション・趣味:500円以上50%OFF(上限500円)
  • 食玩・プライズ・カプセル:500円以上50%OFF(上限500円)
  • トレーディングカード:500円以上50%OFF(上限500円)
  • フィギュア:500円以上50%OFF(上限500円)
  • コミック・アニメ:300円以上50%OFF(上限300円)
LINEヤフーは11月13日、「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!フリマ」「Yahoo!オークション」「Yahoo!トラベル」「LINEギフト」の5つのコマースサービスで「ブラックフライデー」を開催すると発表した
Yahoo!フリマではエンタメ・ホビーがお得に

さらに、「Yahoo!フリマ」公式Xアカウントをフォローし、対象ポストをリポストすると、抽選で10名に最大10万円相当の「PayPayポイント(期間限定)」が当たるキャンペーンも実施する。

Yahoo!オークション

落札金額からその場で値引きされる2種類の「BLACK FRIDAYクーポン」を配布。カテゴリ制限はない。実施期間は11月26日(水)0:00〜11月28日(金)23:59で、特典内容は次の通り。

  • 10万円以上の落札で使える1万円OFFクーポン
  • 5万円以上の落札で使える5000円OFFクーポン

Yahoo!トラベル

パック商品のセールやクーポン配布を展開。キャンペーン期間は11月20日(木)12:00〜12月4日(木)11:59。

LINEヤフーは11月13日、「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!フリマ」「Yahoo!オークション」「Yahoo!トラベル」「LINEギフト」の5つのコマースサービスで「ブラックフライデー」を開催すると発表した
トラベルでは最大3万8000円クーポンを配布する

ヤフーパック ブラックフライデーセール

宿泊施設と航空券を自由に組み合わせられる「ヤフーパック」で、国内宿泊施設を期間限定価格で提供。人気宿泊施設の限定プランを多数用意する。

JAL/ANA限定クーポン

最大3万8000円割引となる「限定クーポン」を配布。配布期間は11月20日(木)12:00〜12月4日(木)23:59。

PayPayポイント+5%お得キャンペーン

ヤフーパックの旅行プランで旅行代金の5%分の「PayPayポイント」を追加付与。対象予約期間は11月20日(木)12:00〜12月4日(木)23:59。LYPプレミアム会員は最大10%分のポイントが付与される。予約多数の場合は、予定数に達し次第終了となる場合がある。

LINEギフト

11月1日(土)0:00〜12月1日(月)23:59にクーポン配布を実施している。

LINEヤフーは11月13日、「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!フリマ」「Yahoo!オークション」「Yahoo!トラベル」「LINEギフト」の5つのコマースサービスで「ブラックフライデー」を開催すると発表した
LINEギフトではグルメ最大50%OFFクーポンも配布する。

全商品に使える10%OFFクーポン

「ブラックフライデー特集」アクセス者全員に「BLACK FRIDAYクーポン10%OFF」を配布。また、「LINEギフト」未利用者には「BLACK FRIDAYウェルカムクーポン20%OFF」も提供している。配布・利用期間は11月1日(土)0:00〜12月1日(月)10:59。対象は、「BLACK FRIDAYクーポン」が3000円以上10万円以下の商品、「ウェルカムクーポン」が1万円以下の商品。

最大50%OFFのグルメクーポン

和牛モモステーキ、うなぎ蒲焼、馬刺しセットなどの贅沢グルメが最大50%OFFとなるクーポンを配布。配布期間と利用期間は11月10日(月)11:00〜11月13日(木)23:59。

鳥栖 剛

カゴ落ちメールを実施している企業は4割、配信回数は「1回のみ」が60%

4 日 15 時間 ago

ユミルリンクが公開した「カゴ落ちメール調査レポート」によると、カゴ落ちメールを実施している企業は全体の4割に達した。

調査対象は、日本流通産業新聞社が発行する「日本ネット経済新聞」の「ネット通販売上高ランキング(2025年版)」に掲載されたECサイト売上トップ50社。調査期間は2025年8月6日~9月5日。

カゴ落ちメール「実施済み」は2019年の3倍以上

カゴ落ちメールを送っているかを聞いたところ、「実施済み」は40%、「未実施」は54%、「調査不可」は6%だった。コロナ禍以前の2019年は「実施済み」の回答割合は12.6%。EC市場の伸長に合わせてカゴ落ちメール対策が進んでいることがわかる。

カゴ落ちメールを送っているサイトの割合
カゴ落ちメールを送っているサイトの割合

メール回数は「1回送信」が6割、「2回以上送信」が4割

カゴ落ちメールを何回送っているかを聞いたところ、最も多かったのは「1回のみ」で60%、続いて「3回以上」が30%、「2回のみ」が10%だった。

アパレル業界に絞ってみると、対象企業の7割(10社中7社)がカゴ落ちメールを実施しており、メール回数は「2回以上」が多かったという。

ユミルリンクは「アパレル以外の業界は、カゴ落ちメールの配信は1回が多かったものの、今後は配信回数が増える可能性がある」と推測している。

1回のカゴ落ちに対するメール配信回数
1回のカゴ落ちに対するメール配信回数

調査概要

  • 調査対象:日本ネット経済新聞(2025年6月12日発行)「ネット通販売上高ランキング(2025年版)」に掲載されたECサイト売上トップ50社
  • 調査期間:2025年8月6日~9月5日(31日間)
大嶋 喜子

「通販生活」のカタログハウス、神奈川大学の特許技術を活用し新商品を開発

5 日 12 時間 ago

「通販生活」のカタログハウスはこのほど、学校法人神奈川大学が保有する特許技術「三相乳化技術」を採用したインバスボディミルクを開発した。10月28日発行の「通販生活」コスメカタログ「Slowage(スロワージュ)」冬号に掲載、販売している。

「三相乳化技術」は、従来の乳化方法に欠かせない界面活性剤の代わりに、親水性ナノ粒子の物理的作用力(ファンデルワールス力)を利用して乳化を実現する新しい技術。物質固有の性質に依存せず粒子の大きさや形だけに依存する、従来の乳化方法とは全く違うアプローチに基づく画期的な方法という。この技術を広範囲の産業分野に生かして、多様な環境適応型エマルションの創出が期待されている。

商品開発は、カタログハウスが「自社商品の特徴である高品質かつ天然原料を使用した肌にやさしい商品を開発するため、三相乳化技術を活用したい」と神奈川大学に提案したことからスタート。特許ライセンス事業および化粧品事業を展開する神奈川大学100%出資のグループ会社・未来環境テクノロジーを中心に、同技術の実用化を多数手がけるミロット、そして神奈川大学の研究チームが連携。1年以上をかけて商品化を実現した。

「三相乳化技術」を採用した新商品「湯あがりセラミドミルク 肌つつみ」は、10月28日に発売。価格は税込3080円で、定期コースでは一部割引もある。主な利用シーンは、湯上がり後の濡れた肌に浴室内で塗布して保湿する。三相乳化技術により、従来では難しかったレベルの植物由来オイルリッチ処方(60%)となっている。

鳥栖 剛

楽天グループの「楽天ポイント」、累計発行数が5兆ポイントを突破

5 日 13 時間 ago

楽天グループは11月12日、ポイントプログラム「楽天ポイント」の累計発行数が5兆ポイントを突破したと発表した。

楽天グループは、EC、旅行、金融、通信、スポーツなど70以上のサービスを展開。これらのサービスを横断して利用できる「楽天ポイント」は2002年に提供を開始し、多くの支持を集めながら成長を続けてきた。

楽天グループは11月12日、ポイントプログラム「楽天ポイント」の累計発行数が5兆ポイントを突破したと発表した
楽天ポイントは「もらう」「増やす」「使う」それぞれの体験が進化している

今回の累計5兆ポイント突破の背景には、ポイントを「もらう」「増やす」「使う」それぞれの体験が進化していること、「楽天モバイル」の契約数増加が寄与しているという。

ポイントを「もらう」体験では、「楽天市場」での買い物時に、対象サービスの利用状況に応じてポイント進呈率が上がる「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」を中心に、楽しみながらポイントを獲得できるさまざまなプログラムやキャンペーンを展開。「楽天モバイル」契約者はSPUのポイント進呈が毎日5倍となるなど、ポイント獲得機会が拡大しており、契約数の増加によりポイント発行数も伸長している。

ポイントを「増やす」体験では、「貯めトク」モード、「楽天ポイント運用」「楽天ポイントビットコイン」「ポイント楽天株」など、ポイントを増やすことができるサービスを拡充。楽天グループの金融サービスとの連携で、ポイントを資産のように育てる文化が広がりつつあるという。

さらにポイントを「使う」体験では、ポイント利用のメリット向上にも注力。現在、「楽天モバイル」の月額料金を「楽天ポイント」で支払うと、利用分のポイント還元率が最大10倍となるキャンペーンを実施している。

鳥栖 剛

AI時代に起きる購買行動の“地殻変動”。エージェントコマースから選ばれるブランド、ECサイトになるには? | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

5 日 13 時間 ago
AIエージェントの利用が拡大しつつある今、アルゴリズムがどの商品を最初に表示するかどうかが小売事業者にとって市場で勝ち残れるかどうかの明暗をわけつつあります。AIがもたらす市況の変革と、事業者の活路を探ります

米国に本社を持つ世界有数のグローバル経営コンサルティング会社Kearney(カーニー)のレポートによると、「エージェント型コマース」モデルは、商品がどの順番で表示されるかを決定するのは消費者ではなく、アルゴリズムになっているそうです。Kearneyのレポートから、AI時代に小売事業者が勝ち残るためのポイントを解説します。

AIがもたらす購買行動の変化

AIは、消費者の買い物の仕方、そして市場における小売事業者の競争環境を変えています。Kearneyの調査によると、AIによって動作する「ショッピングエージェント」が、これまで人間が行っていた購買判断を引き継ぎ始めていることがわかりました。

AIエージェントが複数の小売事業者の商品を表示し、消費者の購買判断を後押ししているイメージ
AIエージェントが複数の小売事業者の商品を表示し、消費者の購買判断を後押ししているイメージ

「この大きな変化が、EC小売事業者と消費者の関係において、大きな転換をもたらすだろう」とKearneyは警告しています。

Kearneyのレポートによると、AIシステムがユーザーのニーズを先読みし、価格を比較、自動で購入する仕組みの「エージェント型コマース」は、すでに概念から現実の仕組みへと急速に移行していると言います。

Kearneyが2025年7月と9月にそれぞれ750人の消費者を対象に実施した2回の調査によると、米国の消費者の10人中6人が、「今後1年以内にAIショッピングエージェントを使うようになる」と答え、約4分の3の消費者がすでにAIツールに親しんでいることがわかりました。

自社ブランドが「購買の意思決定プロセスに登場するか」が争われる時代

Kearneyの消費者・小売部門のパートナーであり、レポートの主執筆者であるキャサリン・ブラック氏は次のように話しています。

エージェント型コマースは、ECの黎明期以来、かつてない形で「購買の仲介構造」を変えてしまうでしょう。もはや、チャットボットやアプリを運用しているかどうかではありません。問題は「自社のブランドがAIエージェントの意思決定プロセスにそもそも登場するかどうか」なのです。(ブラック氏)

鍵はアルゴリズムからの信頼獲得

ブラック氏は、この変化を「購買判断における影響力を誰が握るか、という意味で購買決定の“地殻変動”が起きている」と指摘しています。

エージェント型コマースの世界では、商品がどの順番で、どの価格で表示されるのかを決定するのは、もはや消費者ではなくアルゴリズムです。何十年もかけてブランドロイヤルティを育ててきた小売事業者は、これからはアルゴリズムからの信頼を築かなければならないのです。(ブラック氏)

4つの消費者タイプによるAIとの関わり方

Kearneyの調査によると、消費者によるAIとの関わり方には、異なる4つのタイプがあります。

  • タイプ1:テクノロジーの活用に積極的で、AIを早期に取り入れるタイプ。消費者のうち約15%。AIを使って日常の作業を自動化し、時間を節約している。
  • タイプ2:実用的かつ価格に敏感なタイプ。同35%。割引や節約につながることがAIを使う動機になっている。
  • タイプ3:プライバシーを重視する、AIにすべての意思決定をゆだねることは懐疑的なタイプ。同30%。自分が意思決定の主導権とデータの透明性を保てる場合にのみAIを使う。
  • タイプ4:従前のルーチンを重視し、AIよりも、慣れ親しんだブランドや人間とのやり取りを好むタイプ。同20%。

消費者のタイプごとにこうした違いがある一方で、Kearneyは全ての消費者に共通する欲求として、「賢い買い物客」でありたいという傾向も確認しました。つまり、AIに買い物を代行させたとしても、お得な買い物ができたことの証明、支払いの限度額の設定、目に見える予算管理を求めるということです。

AI時代の市場で起きている変化

消費者の購買行動だけでなく、小売事業者による市場競争の構図も、同様に急速に変化しています。Kearneyによると、AIが浸透し始めた市場で優位性を持ちつつあるのは、「ChatGPT」「Google Gemini」「Klarna(クラーナ)」「Instacart」といった「スーパーエージェント」たちです。これらは複数の小売事業者のデータを集約し、横断的に取引を行うプラットフォームです。

本当の“買い物カゴ争奪戦”は、「Walmart 対 Target」のような小売企業同士ではありません。AIエージェントを手がける「OpenAI 対 Google 対 Klarna」 なのです。消費者が最も求めているスピード、価格、信頼を提供できるのは、これらのテクノロジー企業が提供するプラットフォームだからです。(ブラック氏)

AIエージェントが消費者を商品の決済まで導くイメージ
AIエージェントが消費者を商品の決済まで導くイメージ

消費者がAIを選ぶ理由

信頼性の高さが、消費者が購買の過程でAIを取り入れる大きな理由です。特に医療や美容分野でその傾向が顕著です。調査では、70%以上の回答者が「AIエージェントに、より安価な処方薬や健康関連商品を見つけてもらえると思っている」と答えました。

美容分野は、いわば炭鉱のカナリアです。もしAIが消費者のスキンケア選びを便利で簡単にできるなら、栄養、金融サービス、医療にも容易に拡大できるでしょう。消費者が小さな買い物をエージェントに任せることに慣れれば、やがて大きな買い物も任せるようになります。(ブラック氏)

小売事業者に予想される変化

AIエージェントが起点となるコストの増加

その影響は小売事業者の財務面でも大きいといいます。Kearneyの試算によると、価格の透明化、注文数の減少、そしてエージェントプラットフォームの手数料によって、小売事業者はEBIT(利払前・税引前利益)が最大で500ベーシスポイント(=5%)減少する可能性があります。

また、平均販売価格は約8%下落し、フルフィルメントコストは注文数の減少・小口化により10〜15%上昇。さらに、代理店プラットフォームが取引ごとに約4%を手数料として徴収する可能性があると推定しています。

同時に、小売事業者ではマーケティング予算もエージェント側へ移行すると予想されています。

消費者に代わり、ほしい商品の発見をAIエージェントが支配するようになると、広告予算は小売事業者のリテールメディアネットワークから、より上流のプラットフォームへと移っていくでしょう。新しい“店舗の入り口”は、小売事業者の自社ECサイトでもアプリでもありません。顧客が最初に目にするものを決めるアルゴリズムなのです。

次世代の小売戦争は、クリック数や商品棚の取り合いではありません。AIエージェントに選ばれる“アルゴリズム上の優位性”をどのブランドが確立できるかの戦いになるでしょう。(ブラック氏)

市場競争で勝つためのアルゴリズム対策

小売事業者が市場競争で生き残るために、Kearneyは「agent-preferred(AIエージェントに好まれる)」なブランドになるよう提言しています。つまり、AIアルゴリズムが購買の提案を行う際に選ばれやすいブランドになるということです。そのためには、次のアクションが求められます。

  • アルゴリズムが読み取りやすいように商品データを構造化すること
  • 在庫の可視性を高めるためのオープンAPIを整備すること
  • 価格の透明性を確保すること
  • 信頼性の高いフルフィルメントを維持すること

Kearneyの分析によると、エージェント型コマースは企業にとって大きなチャンスであると同時に、試練でもあります。消費者はAIエージェントを通じて、ショッピングの際の利便性と購買の意思決定の決定権を得る一方で、小売事業者は利益率の縮小と、AIが主導する市場において、自社ブランドが表示されなければ存在感を失うリスクに直面します。

ブラック氏は最後にこう警告しています。

AIエージェントが市場に浸透する世界は、多くの人が予想するよりずっと早く到来しています。顧客の半分がAI経由で買い物をするようになったとき、自社ブランドがどのように認識されているかを理解していない小売事業者は、すでに取り残されているのです。(ブラック氏)

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

ランサムウェア被害のアスクル、「LOHACO」などで新たな顧客情報の流出を確認。「セキュリティ対策を強化し、安全性を確認したうえで再開」する方針

5 日 14 時間 ago

アスクルは11月11日、事業所向けECサイト「ASKUL」「ソロエルアリーナ」、個人向けECサイト「LOHACO」で、顧客からの問い合わせ情報の一部の新たな流出を確認したと発表した。

新たに判明した流出情報

ランサムウェア攻撃によるシステム障害に関する第7報を発表。10月31日に公表した個人情報流出について、流出件数の拡大を確認した。流出情報は以下の通り。

  • 事業所向けECサイト「ASKUL」「ソロエルアリーナ」の顧客からの問い合わせ情報の一部
  • 個人向けECサイト「LOHACO」の顧客からの問い合わせ情報の一部
  • 商品仕入れ先(サプライヤー)がアスクルの商品関連システムに登録していた情報の一部

アスクルは、「LOHACO」ではクレジットカード情報を保持しない仕組みを採用しており、顧客のクレジットカード情報の流出はないと説明している。

11月11日時点で、流出した情報を悪用した被害は確認されていない。ただ、「なりすましメール」や「フィッシングメール」などによる二次被害の可能性があるとして、顧客に注意を呼びかけている。

アスクルは、外部の専門機関と連携しながら詳細な調査を継続しており、新たな情報流出防止に向けた監視体制を強化している。また、顧客や取引先への連絡には社内ネットワークとは独立した外部クラウドサービスを使用しており、現時点で同サービスにおける不正アクセスやランサムウェア感染は確認されていないという。

サービス再開はセキュリティ対策を強化し、安全性を確認した上で順次再開する方針を示している。

システム障害の対応と経緯

アスクルは10月19日にランサムウェア攻撃によるシステム障害を確認し、第1報を発表。以降、「ASKUL」「ソロエルアリーナ」「LOHACO」での受注を停止していた。

10月22日の第2報では障害の主な範囲が物流システムにあることを公表し、10月29日には37アイテムのFAX受注による手運用トライアルを開始。10月31日には、ハッカー集団による犯行声明に関する一部報道を把握しているとし、事実関係の確認を進めていることを明らかにした。

10月31日に、「ASKUL」「ソロエルアリーナ」「LOHACO」で一部の個人情報が流出した可能性があることを公表。その後11月6日にはサービス再開に向けたスケジュールを発表した。

11月12日から手運用によるFAX受注の対象を拡大、11月中旬からは対象顧客をさらに拡大し、Web注文と手運用による出荷トライアルを開始する予定。FAXに加え、「ソロエルアリーナ」サイトでの注文を再開する。

12月上旬以降には本格復旧フェーズに移行し、「ASKUL」Webサイトでの注文および一部物流センターからの通常出荷を再開予定としている。

鳥栖 剛

楽天のブラックフライデー、「楽天市場」「楽天ブックス」は11/20から、「楽天リーベイツ(Rebates)」は11/21にスタート

5 日 14 時間 ago

楽天グループは11月20日から、ブラックフライデーセールを順次始める。「楽天市場」「楽天ブックス」は11月20〜27日、オンライン・ポイントバックサイト「楽天リーベイツ(Rebates)」は11月21〜30日の期間に実施する。

楽天市場

「楽天市場」では、「楽天市場のブラックフライデー ポイント最大47倍!」を実施。期間中、買い物をした店舗数に応じて、最大で通常の47倍となる「楽天ポイント」を進呈する。

また、最大7500円割引クーポンが獲得できるほか、ヘアアイロンやロボット掃除機、炊飯器など有名ブランド家電が30以上の対象店舗で特別価格となる「家電まつり」も実施する。

さらに、日用消耗品の大容量パックや人気の美容アイテムを日替わりで紹介し、購入金額の最大50%分の「楽天ポイント」を進呈する「ブラックフライデー × DEAL 注目のアイテム」、最大1000円割引クーポンを配布し、ブランド公式店のコスメをお得に購入できる「BEAUTY SPECIAL」などさまざまな企画を展開する。

そのほか、対象店舗での買い物が2時間限定で最大50%オフになるクーポンや、最大9600円割引となるクーポンを枚数限定で配布。ブラックフライデーと同時開催で、韓国コスメや国内人気ブランドなど4000品目以上が最大30%オフとなる「神トク コスメ最大30%オフ」も初めて実施する。

楽天ブックス

「楽天ブックス」では、「楽天ブックス ブラックフライデー!エントリー&5000円以上購入でポイント2倍、楽天モバイルご契約者様はさらに+1倍キャンペーン」を実施する。1回の注文で税込5000円以上購入すると、通常の2倍の「楽天ポイント」を進呈。「楽天モバイル」契約者はさらに+1倍となる。なお、「楽天ブックス」での購入も、「楽天市場」の買いまわりキャンペーンの対象となる。

楽天リーベイツ

「楽天リーベイツ」では、11月21〜30日の期間中、「楽天リーベイツのブラックフライデー」キャンペーンを実施。エントリーの上、「楽天リーベイツ」を経由して買い物をすると、購入金額に応じて追加で最大+3%の「楽天ポイント」を還元。税別1万円以上で+1%、2万円以上で+2%、3万円以上で+3%が進呈する。

キャンペーンページでは、「資生堂オンラインストア」「ナイキオンラインストア」「adidas Online Shop」「iHerb」「マイプロテイン」など、人気コスメブランドやスポーツブランド、総合通販サイトをはじめとする提携ECサイトのセール情報も多数掲載する。

鳥栖 剛

エクセディ、DIY用木材のオーダーカットサービス「DIY Designer」で配送サービス開始

5 日 15 時間 ago

自動車駆動系部品メーカーのエクセディは11月11日、DIY用木材のオーダーカットサービス「DIY Designer」で、一部地域を除く全国への配送サービスを開始した。木材の通販サイト「IPC DIYLab.」を運営するアイピーシーとの協業で実現した。

木材の配送は、「DIY Designer」を運営するエクセディと「IPC DIYLab.」を運営するアイピーシーの協業による(画像は編集部が「DIY Designer」のサイトから追加)
木材の配送は、「DIY Designer」を運営するエクセディと「IPC DIYLab.」を運営するアイピーシーの協業による(画像は編集部が「DIY Designer」のサイトから追加)

「DIY Designer」は、ユーザーがWebアプリの3D画面でオリジナル家具を設計し、組み立てに必要な木材の注文、カットの依頼までオンラインで注文できるオーダーカットサービス。気軽にDIYができる素材を提供するのが特長で、エクセディが2024年4月に開始した。

「DIY Designer」で注文した木材の受け渡しは、グッデイとの連携により、北部九州・山口で展開するホームセンター「グッデイ」店舗(64店舗)で行ってきた。顧客からの全国配送を求める声が多数寄せられていたことから、対応エリアを全国に拡大した。「グッデイ」が近くにない顧客からのニーズにも応える。

木材輸入商社であり、配送ネットワークを持つ強みがあるアイピーシーとの連携により、全国配送が実現したという。

「DIY Designer」の利用フロー。木材の注文・カットをオンラインで受注し、配送または「グッデイ」店舗で受け渡しする
「DIY Designer」の利用フロー。木材の注文・カットをオンラインで受注し、配送または「グッデイ」店舗で受け渡しする

配送の概要

  • 配送開始時期:2025年11月11日
  • 配送エリア:全国 ※北海道・沖縄・離島除く
  • 提携サプライヤー:アイピーシー
  • 配送料金:一律税込980円
大嶋 喜子

イングリウッド、冷凍宅配食総菜の「三ツ星ファーム」をリニューアル。商品ラインアップ、購入方法を拡充

5 日 15 時間 ago

EC事業、リテールビジネスのDX支援などを手がけるイングリウッドは、冷凍宅配食ブランド「三ツ星ファーム」を11月19日に全面リニューアルする。総菜プレート中心のサブスクリプションサービスから、ミールキット、主食、ホットスナックなど新たなカテゴリを大幅に拡充。管理栄養士監修によるバランスの取れた冷凍総菜プレートなど、日常のあらゆる食シーンに応えるプラットフォームへと進化させるという。

従来から展開している100種類以上の総菜プレートに加え、手軽に調理できるミールキット、パスタなどの主食、ホットスナックなどの商品を追加する。ラインアップは2026年3月までに200種類以上に拡大する予定。

商品の大幅な拡充を予定している(画像はイメージ)
商品の大幅な拡充を予定している(画像はイメージ)

ホットスナックシリーズは11月19日に発売を予定している。発売予定商品は、ポテトのコンソメ揚げ(1袋200g入り・税込929円)、コロッケ(同350g・税込929円)、冷凍たこ焼き(同1kg・税込1698円)、大学芋(同120g・税込929円)、チキンナゲット(同1kg・税込1199円)。

ホットスナックシリーズを新たに販売する
ホットスナックシリーズを新たに販売する

一般社団法人日本冷凍食品協会が全国の25歳以上の男女1250人を対象として2025年2月に実施した調査によると、冷凍食品を利用する頻度が「増えた」と回答した人の理由は、男女ともに「調理が簡単で便利だから」が70%と最も高く、次いで「おいしいと思う商品が増えたから」が40%だったという。イングリウッドは商品の拡充により、こうしたニーズに応える。

購入方法は、7食コース、14食コース、21食コースで構成する従来の定期プランをベースとする。リニューアルにあたり、既定の食数以上に商品の追加購入ができる仕様とした。「もう少し食べたい」というニーズに応える。

定期プランを利用している顧客には、定期の商品と合わせて購入できる「プラス商品」を展開する。

定期便に追加して注文できる
定期便に追加して注文できる

リニューアルの背景

イングリウッドは「三ツ星ファーム」の運営を2021年6月から開始。サービス開始から4年以上が経過する中で、顧客からこれまで提供してきた商品だけでは解決できない新たな要望を聞くことが多くなったという。従前の冷凍プレート(弁当)の形にこだわらず、顧客1人ひとりの食生活の悩みに寄り添うため、サービスの刷新を決めた。

これまでの累計出荷数は2025年9月末に3500万食を超えている。

大嶋 喜子

大王製紙が「TikTok Shop」に公式店舗を開設、ファンとのコミュニケーションを強化

6 日 12 時間 ago

大王製紙は11月7日、「TikTok Shop」に公式店舗を開設した。2025年秋発売の新商品「キレキラ!ワイパー ドライ×ウエットシート」と「エリエール ポケットウエットティシュー」を販売。取扱商品を順次拡大し、「TikTok Shop」限定セットや季節限定商品なども展開していく予定だ。

大王製紙の「TikTok Shop」に公式店舗の画面

大王製紙は2023年11月から「エリエール」公式TikTokアカウントを運用。エリエールブランドの新商品や各商品の便利な使い方など、暮らしに役立つ情報を発信している。パッケージでは伝えきれない商品特長を動画でわかりやすく紹介することで、ブランドのファン作りに取り組んできた。

「TikTok Shop」の開設で、生活者やエリエールファンとの新たな接点を創出する。「TikTok」のフィード上で商品紹介動画を視聴しながら、その場で気になった商品をすぐに購入できるようにすることで、「エリエール」商品をより身近に感じられる体験を提供。従来のSNSやECサイトでは得にくかった「楽しみながら買う」という購買体験を実現する。今後は、インフルエンサーとのコラボレーションやライブコマースの展開も予定している。

「エリエール」は公式SNSや会員プログラム「クラブエリエール」などのオウンドメディアを活用し、ファンとのコミュニケーション強化に注力している。こうした取り組みで「クラブエリエール」会員とSNSフォロワーを合わせたエリエールファンは150万人を突破。今後もオウンドメディアを通じてファンとのつながりを深め、ブランド接点のさらなる拡大をめざす。

鳥栖 剛

シニア世代の健康食品購買、通販・ECで狙うは「健康賢者型 健康長寿予防層」「健康投資型 情報収集アクティブ層」

6 日 12 時間 ago

電通ダイレクトは消費者の「行動スイッチ」を発見し、ダイレクト広告の成果最大化をめざす分析ラボを立ち上げ、健康食品市場における購買動向を分析したレポートを公表した。

調査は、全国の50歳以上の男女600人を対象に実施した「シニア世代における商品・サービスの購買動向調査―第1回『健康食品篇』―」。物価高騰や老後資金への不安など、厳しさを増す経済環境のなかで、健康食品市場の主要顧客であるシニア層の購買マインドや行動がどのように変化しているかを明らかにし、今後の市場動向を予測するために調査を実施した。

健康食品を利用するシニア層の6タイプ

健康意識や消費行動の違いに基づき、健康食品を利用するシニア層を独自のクラスター分析で6つのタイプに分類。健康食品を利用するシニア層の6タイプは次の通り。

  • コスパ重視型 実感重視ヘルスケア層(9.5%)
  • 健康投資型 情報収集アクティブ層(4.7%)
  • コスト抑制型 運動重視シニア層(8.2%)
  • マイペース型 ライトケア層(6.1%)
  • 健康賢者型 健康長寿予防層(11.8%)
  • トレンドフォロー型 メディア頼り層(8.9%)
コスパ重視型 実感重視ヘルスケア層 健康投資型 情報収集アクティブ層 コスト抑制型 運動重視シニア層 マイペース型 ライトケア層 健康賢者型 健康長寿予防層 トレンドフォロー型 メディア頼り層
健康食品を利用するシニア層の6タイプ

通販・EC事業者が特に注目すべきは、ターゲットボリュームが大きい「健康賢者型 健康長寿予防層」と、支出額が高い「健康投資型 情報収集アクティブ層」。

特に「健康投資型 情報収集アクティブ層」は推計約268万8000人にのぼり、サプリメントへの月平均支出額は1万2124円と、全体平均の約6472円の約1.8倍。「健康のためには時間と費用を惜しまない」と考え、医師や専門家の推奨、クチコミ・レビューを重視し、自ら納得するまで情報を集めるアクティブな層という。この層へのアプローチには、公式サイトのコンテンツ充実や、信頼性の高い第三者情報の発信が効果的だとしている。

健康食品・サプリメントの支出動向

健康食品・サプリメントを利用している人のうち、全20カテゴリー中19カテゴリーで「支出に変化がない」と回答。物価高による買い控えは限定的で、多くの人が「健康食品を生活必需品」と捉えている可能性があることがわかった。

電通ダイレクトは消費者の「行動スイッチ」を発見し、ダイレクト広告の成果最大化をめざす分析ラボを立ち上げ、健康食品市場における購買動向を分析したレポートを公表した
全20カテゴリー中19カテゴリーで「支出に変化がない」と回答

さらに、多くのカテゴリーで「3年以上継続利用している」と回答しており、健康食品が生活に深く定着している。

電通ダイレクトは消費者の「行動スイッチ」を発見し、ダイレクト広告の成果最大化をめざす分析ラボを立ち上げ、健康食品市場における購買動向を分析したレポートを公表した
多くのカテゴリーで「3年以上継続利用している」と回答

健康食品・サプリメントの利用中止理由

一方で、利用を中止した理由のトップは「効果を実感できなかったから」。物価高を理由とする回答を大きく上回り、シニア層が価格以上に「効果実感」を重視していることが明らかになった。

電通ダイレクトは消費者の「行動スイッチ」を発見し、ダイレクト広告の成果最大化をめざす分析ラボを立ち上げ、健康食品市場における購買動向を分析したレポートを公表した
利用を中止した理由のトップは「効果を実感できなかったから」

健康食品・サプリメントの購買行動

購買行動では「テレビで知り、ネットで吟味」が定着。認知経路はテレビCMが中心だが、比較・検討段階では公式サイトやECモール、クチコミサイトを重視しており、衝動買いではなく、慎重に情報を見極めた上で購入に至る傾向が見られた。

◇◇◇

電通ダイレクトでは、「シニアの健康食品市場は、単なる価格競争から『信頼と実感の価値競争』へと移行している」と分析。顧客像をより詳細に把握し、「健康投資型」などの優良層に最適化されたコミュニケーション設計を行うことが今後の成長の鍵になると指摘した。

また、オフラインでの認知からオンラインでの情報理解、信頼できるクチコミ醸成まで、一貫した顧客体験のデザインが求められているとまとめた。

調査概要

  • 調査手法:インターネット調査
  • 調査機関:ネオマーケティング
  • 調査時期:2025年6月2日(月)〜6月3日(火)
  • 調査対象:全国の50代以上の男女で、健康食品を自ら購入・使用している人
  • サンプル数:600サンプル(スクリーニング調査は2142サンプル)
鳥栖 剛

LINEヤフーの「Yahoo!ショッピング」、Tmallジャパンと連携。中国越境ECモール「天猫国際」への出品から配送までをサポートする「天猫国際コマース」を展開

6 日 13 時間 ago

LINEヤフーは11月11日、「Yahoo!ショッピング」がTmallジャパンと連携し、中国最大級の越境ECモール「天猫国際(Tmall GLOBAL)」への出品から配送までを一貫して支援する新サービス「天猫国際コマース」の提供を開始した。

LINEヤフーが「Yahoo!ショッピング」出店ストアを対象に実施したアンケート(2023年12月8日〜15日に実施、回答店舗195店)によると、越境ECの拡大を背景に、出店者の約6割が「越境ECに挑戦したい」と回答。その一方で、出店・出品手続きの複雑さ、配送や言語対応などの運用負担、利用料の高さといったハードルが参入障壁となり、実際には「やり方が分からず出店できていない」ストアが多いのが現状という。

こうした課題を踏まえ、LINEヤフーはTmallジャパンと提携。「Yahoo!ショッピング」の出店ストアが簡単・便利・低コストで中国市場に進出できるよう、新たな販路拡大と売上最大化を支援する「天猫国際コマース」を開始した。

出店ストアは「Yahoo!ショッピング」で使用している出品ツールをそのまま活用し、一部条件ありで商品を「天猫国際」上で販売できるようになる。商品ページの新規作成や翻訳作業は不要。越境EC特有の煩雑な運用もTmallジャパンが代行する。さらに、利用料も抑えた形で提供するという。

「天猫国際コマース」の参加対象は「Yahoo!ショッピング」に出店している法人ストアで、一部対象外になる場合がある。「天猫国際コマース」への出品には出店手続きが必要で、対象ストアには順次案内する予定としている。

「天猫国際」は、中国でECトップシェアを誇るアリババグループが運営する最大級の国際越境ECプラットフォーム。多数の中国ユーザーに向けた効果的なアプローチが可能になる。

鳥栖 剛

データ活用を習慣化する+「再現できるヒント」をつかめるようにするために必要なこととは? | 強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

6 日 13 時間 ago
EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関連するテーマを設定し、判断をするための考え方を解説します【連載20回目】

「EC事業を内製化する」――それは必ずしも、「Webサイトやコンテンツの制作スキルを身につける」「リスティング広告の運用を自社内で行う」「自社サイトのシステム改修をECチーム内で解決する」ことを意味しません。ECに関係する専門的な領域は、すでにいち担当者の努力でどうにかなる時代ではなくなっています。

EC事業の内製化を目標に、ECマーケティングに関係するテーマを設定、その判断をするための「考え方」を伝えていきます。20回目の連載は「データ活用の“習慣化”の壁を越える」をテーマに解説します。

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強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座

ECのマーケティングは「ヒト・モノ・カネ・情報といった自社のリソース」と「外部のマーケティングソリューション」を組み合わせて、「結果としての売り上げと利益を最大限に伸ばす」ことが求められます。

つまり「EC事業の内製化」とは「業務の内製化」ではなく、「判断の内製化」なのです。ECの戦略・方針、日々のアクション・行動、そしてソリューションの選択が成果につながっているか、これだけは社内のネットショップ担当者でなければ判断ができません。

「強いEC会社を支えるネットショップ担当者を作る人財育成講座」では、ECマーケティング人財育成(ECMJ)が、こうした判断を行えるEC担当者育成に向けたポイントを解説します。

「数値管理表」を毎日記入できるようになるコツとは?

ネッタヌネッタヌ

石田さん、こんにちは。先月教えてもらった数値管理表、早速試してみましたよ!

石田

ネッタヌ君、こんにちは。ちゃんとやってみたんだね、ありがとう。

う~ん……。でも、表を見せてもらった感じだと、ちょっと不十分な気がするなぁ。

ネッタヌネッタヌ

うっ……バレてしまいましたか。

実はデータのところは数日分をまとめて記入しちゃっていました。「改善・施策」も少しは書いたんですが、「理由・特筆事項」はまったく埋められませんでした(汗)

石田

そうでしょう。実際、たった5つのデータ項目と2つのテキスト項目――それだけの表なんだけれど、「毎日つける」となると、急にハードルが上がるよね。

今回、ネッタヌ君が直面したのがまさに「最初の壁」なんだ。 つまり、「シンプルでも毎日やり続けるのは難しい」。

ネッタヌネッタヌ

たしかに、やってみて改めて思いました。単に毎日つけるだけでも意外とハードルが高いです。特に「改善・施策」と「理由・特筆事項」を書くのは、どうしても後回しになっちゃって。

石田

これってネッタヌ君だけじゃなくて、どの会社でも最初にぶつかる「壁」なんだ。どんなにシンプルな仕組みでも、それを「毎日やる」ってなると別問題だよね。だからこそ、「数値管理表=データ活用」を「習慣」にしていくための工夫が必要なんだ。

運用する時間を「先に確保しておく」ことが大切

ネッタヌネッタヌ

毎日無理なく続けるコツってあるんでしょうか?

石田

大事なのは「数値管理表に向き合う時間を、あらかじめ確保しておく」ことなんだ。営業日の毎朝15分、チームで「数値管理表を運用する時間」を固定で取っておく。

ネッタヌネッタヌ

なるほど!「先に時間を取る」って、言われてみると当たり前だけれど、そこが抜けていました。

石田

たとえば毎朝朝礼をしている会社なら、その流れで行ってもいいと思う。とにかく、「いつやるか」を先に決めておくことが最大のポイントなんだ。

ネッタヌネッタヌ

次にその15分で何をするか、ですね。

石田

まず数値管理表に5つのデータ項目を入力する。これは共通のデータだから、1人が担当すればOK。複数のショップを運営している場合は、必要に応じて分担していこう。

ネッタヌネッタヌ

データ部分は代表者が入力すればいいんですね。じゃあ、「改善・施策」と「理由・特筆事項」はそれぞれの担当ですか?

石田

そのとおり。「改善・施策」は、自分が担当している業務で「昨日やったこと」を記録する。たとえば「メルマガを送った」「商品ページを直した」「新しい広告を出稿した」。そういった「アクション」を書く。

ネッタヌネッタヌ

あとは「理由・特筆事項」。

石田

「理由・特筆事項」は、「自分たちがやったことではないけれど、起こったこと」を書く。たとえば、「モールのキャンペーンがあった」「お客さまから珍しい問い合わせがあった」「高額のまとめ買いがあった」とか。

「想定外からのインパクト」を記録する欄ってことだね。自分の業務エリアで気づいたことがあれば、それをぜひ入れておいてほしい。

ネッタヌネッタヌ

改善・施策=自分の行動」、「理由・特筆事項=外からの影響」ってことですね!

「なぜその数値になったのか」を話し合い、習慣化&再現する方法を探せるようにする

石田

そしてデータとテキスト部分の入力後、残りの時間で、チームで集まって「なぜこの数字になったのか?」を話し合ってほしいんだ。

ネッタヌネッタヌ

「売り上げがなぜこの金額だったのか」「コンバージョン率がなぜ高かったのか」とか?

石田

そうそう。たとえば、前日の売り上げが100万円で2日前が50万円だったとする。「なんで?」って疑問がわくよね? セッションが増えた? 単価が上がった? 大口注文があった? それを仮説として会話しながら探していく。

ネッタヌネッタヌ

でもそれって、理由がわからないことも多そうですね。

石田

もちろん、全部が全部、理由がわかるわけじゃない。でもね、これを毎日繰り返していると、「数字が変化したときにモヤモヤする」感覚が育ってくるんだ。

ネッタヌネッタヌ

モヤモヤ、ですか?

石田

たとえば、前日の売り上げが急に跳ねたのに、理由がわからない。すると、「なんで?」って考えずにいられなくなる。この「モヤモヤ」が出てきたら、習慣化としては大成功。理由が気になって仕方なくなると、人は自然と理由を探すようになるんだ。

ネッタヌネッタヌ

気持ち悪いから、探さずにいられない!

石田

そして、少しずつ理由を見つけられるようになってくると、今度は「じゃあそれを再現できないか?」と考えるようになる

ネッタヌネッタヌ

再現!!!

石田

データの要因を特定して、それを再現可能な形にできれば、強力な武器になる。もちろん全部が再現できるわけじゃないけれど、再現できるものもある。それができれば「他社にはない強み」が育っていく

EC内製化 モヤモヤがチャンスにつながる
モヤモヤがチャンスにつながる

毎日行う理由は「習慣になる」「データの変化がわかるようになる」から

ネッタヌネッタヌ

毎日やることって、やっぱり大事なんですね。でも、なんで「毎日」にこだわるんですか?

石田

うん、理由は大きく2つある。

1つは単純に毎日やることで「習慣」になるから。そしてもう1つは、毎日やるからこそ「データの変化がわかるようになる」からなんだ。特に、重要なのが「理由・特筆事項」の欄。ここは毎日調査しないと、「なんでこの出来事が起きたか?」っていう要因が、日にちが経つほどわからなくなるんだよ。

ネッタヌネッタヌ

たしかに。自分たちでやったことなら日報に残っていたりしますが、「起きたこと」を探して記録しなかったら忘れちゃいますね。

石田

でも、翌日だったら「あれ、昨日なんか変だったな」って気づけるじゃない。たとえば――競合商品の在庫切れだった、前日にテレビで特集されていた、台風が近づいて防災の意識が高まった。こういうのって1か月後には思い出せない。

ネッタヌネッタヌ

「理由・特筆事項」はフレッシュなうちに拾っておかないと、もう拾えなくなる!

石田

そういうこと。だから翌日にデータを見て、「なんでだろう?」と考える時間を取ること。さらにレベルを上げるなら、リアルタイムで変化のキャッチアップができるようになると最高だね。

ネッタヌネッタヌ

リアルタイムって?

石田

たとえば、注文が入るとメール通知が届くネットショップ、結構あるよね? そのメールが急に連続して届きだすと、「何か起きたな」ってすぐわかる。

ネッタヌネッタヌ

あ、それ、あります! 短時間でピコンピコンってなると、「あれ? 何だ何だ?」って思います!

石田

それそれ(笑) あとは、「GA4」のリアルタイム画面をブラウザで常時表示しておく。急にセッション数が跳ねたら、何か外的な要因が起こったと思ってすぐ調査する。動いたタイミングこそ、最も調べやすいタイミングなんだ!

ネッタヌネッタヌ

リアルタイムで気づけたら、理由の対策もすぐにできそう!

石田

これを積み重ねていくと、「なんでこのデータなんだ?」と思考を止めない体質になる。そして、数値と現象を結びつけて、「再現できるヒント」を少しずつつかんでいく、これこそがデータ活用の本質なんだよ。

EC内製化 リアルタイムで市場環境の変化を感じる
リアルタイムで市場環境の変化を感じる

「気付きのヒント」はお客さまが教えてくれるかも

ネッタヌネッタヌ

なるほど~。ネッタヌ、とっても甘かったです……。

石田

じゃあネッタヌ君、今日の話を聞いた上で、また次の1か月、数値管理表の入力を頑張って、「データ活用の習慣」をチームに根付かせていってね。

……と言いたいところなんだけれど、最後に「気づきのヒント」をもう1つだけ、伝えておこうか。

ネッタヌネッタヌ

えっ、なんですか!?

石田

「理由・特筆事項」。つまり起こったこと・あったことの要因をどう見つけるかが、やっぱりデータ活用のキモだったでしょ?

ネッタヌネッタヌ

はい! それがわかれば強いですよね。

石田

でもね、実際には「なんで起きたのかわからない」ってことばかりなんだよ。注文が増えたとか、セッション数が跳ねたとか。チームの誰も心当たりがないことも多い。

ネッタヌネッタヌ

そういう時、どうやって気づけばいいんですか?

石田

それは「お客さまが教えてくれるかもしれない」ってこと。前にも話したけど、お客さまからのお問い合わせって、めちゃくちゃヒントになることがある。

ネッタヌネッタヌ

うんうん。

石田

たとえば、「この商品、もう少しで売り切れると聞いたんですが、在庫ありますか?」とか、「〇〇って雑誌で見たんですけれど、公式サイトで買えますか?」とかね。

こういう問い合わせが来ると、「自分たちが知らないところで何か起きている」可能性があるって気づけるよね。

ネッタヌネッタヌ

うわ……。それ、きちんと問い合わせを見ていないと気づかないやつですね。

石田

そしてSNS。注文やアクセスが急に増えたときは、X(旧Twitter)で検索してみると、ヒントが落ちていることもある。自社のブランド名や商品名、ジャンル名などをエゴサーチして、「何か語られていないか?」をチェックする。

ネッタヌネッタヌ

これはもう探偵ですね、もはや(笑)

石田

そして、もうワンステップ上の方法として「お客さまに直接聞いてみる」ってやつ。

ネッタヌネッタヌ

電話するってことですか!?

石田

「今回ご注文いただいた商品って、どこで知っていただいたんですか?」って。そうすると、「有名なインスタグラマーのライブで紹介されていましたよ」とか教えてくれたりする。

ネッタヌネッタヌ

自分たちじゃ絶対見つけられないやつですね!

石田

そうなんだよね。リアルなお客さまの声って、データの何倍も濃い情報を含んでいることがある。「お客さまに連絡するなんて……」と思う人も多いけれど、だからこそ逆にライバルと差がつくんだ。じゃあ、今回はここまでにして、次の1か月「気づきの種」を拾ってきてください!

ネッタヌネッタヌ

ネッタヌ、頑張ります!

ECマーケティング人財育成は「マーケティングチームの内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

石田 麻琴

生成AI経由の購買トラフィックが急増。カート追加率38.5%増、平均セッション時間増など越境ECサイトのトラフィック調査

6 日 14 時間 ago

越境ECサイト「WAFUU.COM」を運営するクレスティアが発表した、越境ECサイトの「生成AI経由の越境EC購買動向」調査結果によると、生成AI経由で来訪した顧客のカート追加率は全体平均より38.5%高く、チェックアウト到達率も22.6%上回った。「明確な購買意図を持つ訪問者」が多い傾向のほか、平均セッション時間は114秒で全体平均の91秒を25.8%上回っていた。

「WAFUU.COM」は日本の流通商品を世界100か国以上・21言語で展開する越境ECサイト。独自仕入れによるセレクトショップ形式で運営している。

越境ECサイト「WAFUU.COM」を運営するクレスティアが発表した、越境ECサイトの「生成AI経由の越境EC購買動向」調査結果 越境EC「WAFUU.COM」のトップ画面
越境EC「WAFUU.COM」のトップ画面

生成AIからの流入

「ChatGPT」「Gemini」「Claude」「Perplexity」などの対話型AIプラットフォームからの流入が、2025年11月は同年1月比で約25倍に増加。2024年にはほぼ存在しなかった流入チャネルが、新たな重要顧客接点として確立されたとしている。

AI経由のトラフィックは情報検索だけではなく、実質的な販売経路として機能。特に2025年後半には、月次ベースで安定的な購買が継続しており、消費者の購買行動におけるAIの役割が急速に拡大したという。

生成AI経由による顧客層

生成AI経由の顧客層のカート追加率は全体平均より38.5%高く、チェックアウト到達率も22.6%上回るなど、「明確な購買意図を持つ訪問者」が多い傾向があった。

越境ECサイト「WAFUU.COM」を運営するクレスティアが発表した、越境ECサイトの「生成AI経由の越境EC購買動向」調査結果
AI経由の購買ファネル構造

また、平均セッション時間は114秒で、全体平均の91秒を25.8%上回った。サイト内で商品を比較検討する行動が顕著で、AIとの対話を通じて事前に情報を収集した上で訪問、詳細確認後に購入するという購買パターンが出現していると分析している。

生成AI経由のアクセス環境

アクセス環境の分析ではモバイル端末からのセッションが全体の95%を占めた。AI経由の購買が主にスマートフォンを通じて行われていることが明らかになった。「ChatGPT」など対話型AIの多くがモバイル利用を前提としたUIで普及していることに起因しており、「スマートフォン中心の新しい購買行動」として定着しつつあるという。

越境ECサイト「WAFUU.COM」を運営するクレスティアが発表した、越境ECサイトの「生成AI経由の越境EC購買動向」調査結果
デバイスタイプ別セッション比率

生成AI経由とGoogle経由の特長

AI経由とGoogle経由の購買カテゴリを比較したところ、明確な違いがあるという。Google経由では特定ブランドや型番を指定する「ゲーム」「腕時計」などが上位に並んだ一方、AI経由では「どの製品を選ぶべきか」といったオープンな相談から購買が始まるケースが多かった。

構成比を見てみると、理美容家電・キッチン用品が17.5%、健康食品・サプリメントが9.7%、美容・パーソナルケアが9.7%など、詳細情報を必要とするカテゴリが上位を占めた。AIが商品選択のアドバイザーとして機能することで、新たな購買プロセスを生み出しているという。

生成AI経由による地域性

AI経由による購買は世界947都市・地域からアクセスが確認され、特定地域に限定されないグローバルなトレンドとして拡大しているようだ。アクセスが多かったのは、トルコ(イスタンブール)、イギリス(ロンドン圏)、韓国(ソウル)、ベトナム(ホーチミン)、日本(東京)などアジア太平洋地域が中心だった

「Instant Checkout」機能の影響

OpenAIが「ChatGPT」内で直接商品を購入できる「Instant Checkout」機能を2025年9月に米国で開始し、現在は「Etsy」のセラーが対応。「WAFUU.COM」が利用する「Shopify」も、今後100万以上の加盟店への展開が予定されている。さらに10月には、PayPalとの提携で2026年から数千万の加盟店が「ChatGPT」上で販売できるようになると発表されている。

AIプラットフォームは現在、消費者を外部ECサイトに誘導する「紹介者」としての役割を担っているが、「Instant Checkout」の普及でAI自体が完結した購買チャネルへと進化する可能性があると指摘している。

「ChatGPT」の週間アクティブユーザーは7億人を超え、Google検索に匹敵する巨大な顧客接点になっている。特に越境EC事業者にとって、次のような大きな変化が予測されるという。

購買プロセスの短縮化

AI内での商品発見から購入完了までがシームレスになり、従来の「検索→サイト訪問→カート→決済」という段階的なプロセスが大幅に簡略化される

商品情報の最適化

従来のSEOに加え、AIが理解しやすい構造化された商品情報の整備が競争優位の源泉となる

新規市場へのアクセス

言語や決済の障壁が低減されることで、これまでリーチできなかった地域の顧客獲得が加速する可能性がある

越境ECサイト「WAFUU.COM」を運営するクレスティアが発表した、越境ECサイトの「生成AI経由の越境EC購買動向」調査結果
ChatGPT内購買インターフェースの例

2024年末まではごくわずかだったAI経由の購買が、わずか11か月で主要なチャネルへと成長したことに驚いている。今回の調査結果は、生成AIが越境EC市場における新たな購買インフラとして定着しつつあることを示唆している。当社は今後も、AI時代における最適な顧客体験の提供を目指し、サービスの改善と市場分析を継続していく。(クレスティア 深田秀正社長)

調査概要

  • 調査名:WAFUU.COM「生成AI経由の越境EC購買動向」調査
  • 期間:2024年1月〜2025年11月(11か月)
  • 対象:「WAFUU.COM」の越境ECサイト利用データ(セッション/カート追加/購入完了)
  • 定義:「AI経由」は、ChatGPT/Gemini/Claude/PerplexityなどのAIプラットフォームのトラフィック・購入を指す。
  • 指標:購入完了件数(Orders)、Add to Cart率、平均注文額など
  • 備考:ボット・スパムなどの異常値は除外。
鳥栖 剛

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