LINEヤフーは6月5日、AIエージェント「Agent i」の機能を拡大し、「パーソナライズ機能」「画像生成機能」を追加した。ユーザー1人ひとりに最適化した、より自然でスムーズなAI体験を提供する。
「お買い物」「おでかけ」など「Agent i」が備えているユーザーの目的別の“領域エージェント”は、合計で15領域に拡大した。
「Agent i」は、「Yahoo! JAPAN」のAIアシスタントと「LINE」の「LINE AI」を統合したAIエージェントブランド。ユーザーとの会話を通して情報収集や課題解決をサポートする。領域エージェントは、LINEヤフーの各種サービスと連携した領域特化型AIとなっている。AIが情報を整理し、最適な選択肢を提案する。
LINEヤフーが今回追加した「パーソナライズ機能」「画像生成機能」の特長は次の通り。
パーソナライズ機能では、「メモリ機能」と「トーン設定」を提供する。
「Agent i」がユーザーとの会話のなかから役立つ情報を自動で保存する。会話を重ねることで、ユーザーの好みや状況を理解し、より関連性の高い回答や提案が可能になる。ユーザーは保存されたメモリをパーソナライズ設定画面から確認できる。
今後は、購買を支援する「お買い物」や、観光のモデルコースなど外出のプランを作成する「おでかけ」などの領域エージェントにも、メモリ機能を活用した回答の生成を予定している。
LINEヤフーは2026年4月から段階的にメモリを生成している。ユーザーはパーソナライズ設定画面から、メモリの削除やメモリ機能のオフ設定ができる。
ユーザーはAIによる回答のトーンを好みに合わせて設定できる。選択できるトーンは「フレンドリー」「ツンデレ」「執事」など10種類。また、ニックネームを登録すると、会話中にAIがニックネームで呼びかける。
「画像生成」機能では、ユーザーが入力したテキストから画像を生成する。このほか、ユーザーがアップロードした画像の加工や修正にも対応する。
「画像生成機能」は1日あたりの利用回数に上限を設けている。
6月5日時点では、生成した画像はチャット履歴に表示されないが、今後、表示可能となるアップデートを予定している。
領域エージェントには、「学び」「くらし」「エンタメ」など7領域を新たに追加した。これにより、領域エージェントは全15領域に拡大した。一部はβ版として展開している。
2026年夏頃には、企業や店舗向けに、「LINE公式アカウント」でAIエージェントを構築できる「LINE OA AIモード」を順次提供する予定。加えて、戦略策定から施策実行までを支援する法人向けAIエージェント「Agent i Biz」も8月に提供を予定している。
2025年のネットショップ担当者アワード「越境ビジネス賞」を受賞した、中古車越境ECを手がけるビィ・フォア―ドの土屋汐莉氏は、20か国以上にローカライズした全41アカウントのSNS運用、ローカルペイメントの担当などさまざまな事業カテゴリを担当している。土屋氏に、アワードの選考委員でスマイルエックス代表の大西 理氏が、受賞を振り返るアフターインタビューを実施した。


大西 理氏(以下、大西氏):「越境ビジネス賞」を受賞して変わったことや影響を教えてほしい。
土屋 汐莉氏(以下、土屋氏):チームメンバーには受賞の報告を行った。新卒で入社したメンバーや、海外で活躍するメンバーにとって、越境ビジネスという切り口で自分が受賞できたことは良い刺激やモチベーションになっているようだ。今回の受賞が今後も後進の励みとなり、挑戦する意欲を高めるきっかけになり、続けてほしいと願っている。
大西氏: 越境EC市場は活況を呈しているが、そのなかでもビィ・フォアードは歴史が古く「越境ECといえばビィ・フォアード」と言われるほど大きな存在だ。問い合わせや相談を希望する企業も多いのではないか。国境を越えてモノを運ぶという点で、ビィ・フォアードのノウハウを求める声は大きいはず。

土屋氏:相談を持ちかけてくる企業は多い。現在は休止しているが、かつてはBtoB向けにマーケットプレイス運営を支援するサービスも提供していた。また、車以外の商材であっても、海外進出に関心を持つ企業から問い合わせを受けることもある。「越境ビジネスではどうすれば売れるようになるのか」といった相談や、「自社が扱う車をビィ・フォアードのプラットフォームに掲載してほしい」という依頼もあった。実際に、海外へ運搬する手段を持たない企業の車を、ビィ・フォアードのECサイトに掲載している。
また、他のEC事業者が販売している商品について、「ビィ・フォアードが物流のみを請け負う」というケースもある。こうした企業支援やBtoB向けサービスの展開拡大も、今後の検討事項となっている。

大西氏:ビィ・フォアードは214の国と地域に取引先を持つ。海外販売の特長や主な輸出国を改めて教えてほしい。
土屋氏:海外販売のうち約50%がアフリカ向け。特長としては、海外への発送件数は年間20万件以上にものぼり、重量ベースでも相当な量を扱っていることがあげられる。重量物の輸送において大きなイニシアティブを発揮できる点が強みだ。
大西氏:そのノウハウを踏まえると、ビィ・フォアードは単なるEC企業というより、専門商社に近い印象を受ける。国ごとのローカライズはどこまで行っているのか。商慣習が日本と大きく異なる地域も多い。
土屋氏:私は実際に現地へ赴き、現地スタッフへのティーチングを行っていた。ローカライズの観点では、支払いに関する不安点の解消や、各国でパートナーとして業務委託しているエージェントの教育が主な業務だった。ユーザーから寄せられる課題をシステムに反映したり、サービスを現地語に対応させたりと、細かな調整を積み重ねてきた。
また、ECサイト上で各国に合わせた情報を提供している。たとえばタンザニアであれば、同国の顧客向けに売れ筋情報やローカルサービスの案内を掲載するなど、その国に特化した情報を用意。販促企画も国ごとの特性に合わせて設計している。

大西氏:非常に複雑で繊細な取り組みのように見える。
土屋氏:そのために、セールスもロジスティクスも国単位で管理・調整できる体制を整え、各国に適したビジネス仕様に組織を対応させている。私自身はデジタルマーケティングの施策に落とし込む役割だ。
大西氏:国ごとの商慣習は、その国のエキスパートと言えるようなキーパーソンが介在しなければ処理できない部分が多い。それを長年積み重ねてきたことこそがノウハウの蓄積につながっているということか。
土屋氏:一見デジタルに見える領域にも、アナログな要素は多く残っている。属人的な仕事も少なくないが、それが当社の強みでもある。デジタルだけでは実現できない領域を、人の力で補完している。
大西氏:ビィ・フォアードが中古車の越境輸出を始めたのは2004年。当時、日本から世界への中古車流通は一般的だったのか。
土屋氏:存在はしていたが、商流は現在とは大きく異なっていた。当時は日本の中古車をイラン人やパキスタン人がドバイへ運び、そこに世界中のバイヤーが買い付けに来るという流れだった。当時はリアルのオークションが中心だった。
ビィ・フォアードは中古車越境販売市場に参入した後、リアルのオークションの代わりにECサイトを活用した。そして、BtoCへ移行し、消費者へのダイレクトな販売を始めた。これにより、クルマをUAEへ運ぶ必要がなくなった。その後、海外への輸出は日本からの直行便が整備されていき、商流も変化していった。
大西氏:ビィ・フォアードが従前の商流を覆したとも言える。
土屋氏:海外に進出したのはそもそも、国内のように「すでに中古車販売の競合が多い市場で勝負しない」という経営層の判断もあった。実際にアフリカなどの海外で中古車越境ECを始めると、「お客さまからは非常に感謝され、お礼のメールも多く届き、大きなやりがいを感じた」――と社内では聞いている。
海外進出当時からの「一日でも早く顧客に商品を届ける」という姿勢は、今も変わらず追求している。
また、当社は、ECサイトを訪問するが購入はしない「冷やかし」も“ウエルカム”としている。これが海外から月間6000万PVを集められている理由の一つだ。見に来るだけで楽しい、情報に富んだサイトをめざしている。
大西氏:現在のECサイトの緻(ち)密なローカライズは、進出当時の思想を引き継いでいるからこそだろう。
大西氏:現在のビィ・フォア―ドの実績と、今後予定している展開を教えてほしい。
土屋氏: EC事業の売上高は、2024年6月期に前期比9%増の1180億円となっている。売上高は同8.9%増の1,180億8,322万円、中古車の世界販売台数は同20.8%増の15.7万台だ。現在、ビィ・フォアードは上場の準備を進めている。
| ビィ・フォアードは2024年12月に決算月を6月から12月へ変更 。従来は7月1日から翌年6月30日までが事業年度だったが、決算・予算編成・業績管理などの効率化・強化などから事業年度を毎年1月1日から12月31日までとした。 2025年12月期の売上高は1609億4642万円。中古車の販売台数は19.0万台だった。 |
大西氏:取引の形態をBtoBからBtoCへと転換し、従来のビジネス常識を変えていった点は非常にイノベーティブであると思う。もっと多くの人にビィ・フォアードの存在を知ってほしい。「国境を越えて商売をしていく」後進の企業に向けて、メッセージをお願いしたい。
土屋氏:デジタルはもちろん重要だが、何より大事なのは常にお客さまのことを考える姿勢。デジタルが生活に深く浸透している時代だからこそ、お客さまの気持ちを忘れないことが、EC上のシステムやサービス改善にも生きてくると思う。
大西氏:「ネットショップ担当者アワード」は、EC業界で活躍する人を増やし、光を当てることを目的に開催している。最後に、前回受賞者としてエールをお願いしたい。
土屋氏:日々の業務に追われるなかで、自分が「EC事業」の一端を運営しているという意識を強く持てていない担当者もいるのではないかと思う。受賞することで、自分の取り組みを改めて認識できるし、「ECの運用をしっかりやれている」という自信にもつながる。それがモチベーションアップにもなるはずだ。推薦や立候補、授賞式への参加をぜひお薦めしたい。
イーシーキューブは、業界実務に精通した外部エキスパートと連携し、顧客企業のEC・DX構想からシステム設計・実装方針の策定までを支援する新たな提案体制「EC-CUBE Industry Experts」を開始した。第1弾として、D2Cやリピート通販領域に知見を持つ西守穣氏との連携をスタートした。

「EC-CUBE Industry Experts」は、各業界の実務や業務プロセスに精通した外部エキスパートと連携し、顧客企業のビジネス戦略や業務フローを踏まえたEC・DXの構想策定を支援する取り組み。
単なる専門家紹介制度ではなく、業界固有の商習慣や業務課題、運用負荷、既存システムとの連携要件、投資優先順位などを整理し、実現可能なシステム設計や実装方針へ落とし込むことを目的としている。
対象として想定するのは、BtoB受発注、リユース、マーケットプレイス、D2C、デジタル商取引など、業界特有の業務要件や商流が複雑な領域。顧客の事業戦略や現場運用を理解したうえで、事業成長につながるEC・DX推進を支援するとしている。
イーシーキューブは、多くの企業システムで採用されてきた「Fit to Standard(標準機能に業務を合わせる)」の考え方について、企業ごとの商習慣や顧客接点、業務フローを十分に反映できず、独自の顧客体験や競争優位性をシステム上で表現しにくくなるケースがあると指摘する。
また、AIなどの技術進化によって開発生産性が向上するなか、今後は「何を開発するか」よりも、「どの業務を見直し、どこに投資すべきか」を判断する業務理解や事業理解が重要になるとしている。

イーシーキューブは、「EC-CUBE Industry Experts」を、同社が掲げる「進化し続ける、業務適応型コマース」を実現するための取り組みと位置付けている。
同社によると、「業務適応型コマース」とは、標準機能に業務を合わせるのではなく、企業ごとの商流や業務プロセス、顧客体験に応じてシステムを継続的に適応させていく考え方。その実現には次の3要素が必要としている。
このうち「EC-CUBE Industry Experts」は、業界・業務理解を担う役割を担い、単なる要件整理にとどまらない提案をめざす。
第1弾として連携する西守氏は、ビタブリッドジャパンでシステム設計などを担当した経験を持ち、D2C・リピート通販領域を中心に、BtoB取引、インセンティブ管理、予約・申込・決済を伴うデジタルサービスなど、多様な領域で業務設計やシステム設計を手がけてきた。
イーシーキューブによると、西守氏はEC-CUBEを単なるECカートではなく、企業ごとの業務や商流に合わせて柔軟に活用できる基盤として捉え、顧客接点や業務フロー、運用体制、データ連携を踏まえたシステム構築を推進してきたという。
今回の取り組みでは、顧客理解や業務データを活用した改善サイクル設計などの知見を生かし、事業課題に即したシステム設計を支援する。
主な支援内容として、イーシーキューブは次の項目を挙げている。
これにより、システム導入だけでなく、業務変革や事業成長を見据えたEC・DX推進を支援するとしている。

今後は、エキスパートとの連携を通じて蓄積した知見をベースに、BtoB受発注、リユース、マーケットプレイス、越境EC、ブランド展開など、より複雑な業務要件を持つ領域へ対象を広げる予定だ。
あわせて、Webサイトやイベント、導入事例、個別提案などを通じた情報発信も強化する。業界別ソリューションページの拡充や導入事例の再整理、業界エキスパートとの共同セミナーなどを順次展開する計画としている。
また、業務効率化や運用コスト削減、売上拡大、開発リードタイム短縮といった導入効果の可視化にも取り組み、EC・DX投資の成果をより具体的に説明できる体制を整備する。
なお、EC・DX構想の検討段階や、RFP作成前後の要件整理についても、「EC-CUBE Enterprise」の相談窓口を通じて順次受け付けるとしている。
時短コスメブランド「サボリーノ」などを展開するスタイリングライフ・ホールディングス BCL カンパニーは、公式ECサイト「BCLオンラインショップ」をリニューアルした。これまで別々に運用していた通常販売と定期販売のシステムを統合し、顧客の利便性と運営効率の向上を図るQnrbX7BsdtWv。あわせて、20以上のブランドを展開するポータルサイトとして、UI/UXの改善やインフラ強化も実施した。

スタイリングライフ・ホールディングス BCL カンパニーは、「サボリーノ」「乾燥さん」などのロングセラーコスメブランドをはじめ、スキンケアからメイクアップまで20以上のブランドを展開している。

従来の「BCLオンラインショップ」では、通常販売と定期(サブスクリプション)販売で異なるシステムを利用しており、運営管理の煩雑化や顧客データの分散が課題となっていた。また、ブランドごとに異なる販促施策への対応や、メディア露出、人気コラボ商品の発売時に発生するアクセス集中への対策など、メーカー直販サイトとして機動力と安定性の両立も求められていたという。
今回のリニューアルでは、通常販売と定期販売を1つのシステムに統合した。利用者は1つのアカウントで通常購入と定期購入の双方を利用できるようになり、購入体験の向上につなげる。
運営面では、受注・在庫管理や顧客データを一元管理できる体制を構築。システム統合によって生まれた運営リソースを、マーケティング施策やコンテンツ制作など付加価値の高い業務へ振り向けることで、よりスピーディーで柔軟なブランド運営をめざす。

サイト設計では、20以上のブランドを効率的に運営しながら、それぞれのブランド価値を訴求できる構成を採用した。主要ブランド向けのリッチな表現が可能なテンプレートと、シンプルな構成向けのテンプレートを使い分けることで、ブランドごとの世界観を維持しながら、更新作業の効率化も実現している。
また、商品検索機能も強化した。ブランド名だけでなく、「肌の悩み」や「使用シーン」などのタグから商品を横断的に検索できるようにし、多彩な商品ラインナップの中から目的の商品を探しやすくした。新たなブランドとの接点創出やブランド横断での購買促進も狙う。
海外ファンの増加を見据え、多言語翻訳機能も導入したほか、中国のSNS「小紅書(RED)」への導線も設置。国内外の利用者がブランド情報へアクセスしやすい環境を整備した。

さらに、アクセス集中時の機会損失を防ぐため、「ウェイティングルーム」機能も導入。人気商品の発売時などにアクセスが集中した場合でも、利用者を順番に案内することでサイトの安定稼働を維持し、顧客体験の向上につなげる。
今回のリニューアルでは、メルカートが提供するクラウドEC構築プラットフォーム「メルカート」を採用した。スタイリングライフ・ホールディングス BCL カンパニーは、システム統合による業務効率化に加え、クラウド型でありながら大規模アクセスへの対応機能を備えている点を評価したとしている。
ティックトックが年次イベント「TikTok World 2026」を開催。多数の広告商品のアップデートのひとつとして、AIエージェントを通じた広告運用を可能にする「TikTok Ads Model Context Protocol (MCP) Server」の提供を発表した。パフォーマンスの分析や最適化をするAIツールを構築するためのスキル「TikTok Ads Skills」も提供する。グーグル、メタ、アマゾンから動き始めたAIエージェント対応を追いかけるもので、これから大きなうねりとなりそうだ。
TikTok World ‘26: Turning Discovery Into Business Growth with AI-Powered Innovations, Vertical Experiences and High Impact Brand Solutions
https://newsroom.tiktok.com/tiktok-world-26-turning-discovery-into-business-growth-with-ai-powered-innovations-vertical-experiences-and-high-impact-brand-solutions
TikTok World 2026:“発見”をビジネス成長へつなげる最新のマーケティングソリューションを発表
https://ads.tiktok.com/business/ja/blog/tiktok-world-2026
ユナイテッドアローズは、2027年3月期から2029年3月期までの新中期経営計画で、中高価格帯マーケットへの集中戦略を打ち出した。
インフレ環境下でも「より良いもの」にお金を使う消費行動が広がっていることを背景に、長期売上目標を従来の2500億円から3000億円へ引き上げた。新中計では、2029年3月期に連結売上高1850億〜1950億円、営業利益115億~125億円、ROE14.3~15.7%の達成をめざす。
ユナイテッドアローズは、外部環境の変化として中高価格帯マーケットの成長期待が高まっている点をあげる。
物価上昇が続くなかでも、趣味や娯楽など自己充足につながる分野では、品質や価値を重視して商品を選ぶ消費者が増えているという。
トレンドマーケット(高価格帯・高感度)は客単価が約17%伸長し、ミッド・トレンドマーケット(中価格帯・アッパーマス)は客数が約36%増加した。主力ブランドである「UNITED ARROWS」「BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS」「green label relaxing」は、こうした市場変化を取り込みながら成長してきたとしている。
ユナイテッドアローズは、この3年間を通じて自社の競争優位の源泉を「ヒト・モノ・ウツワ」にあると整理。「ヒト」は感動を提供する接客・販売力、「モノ」は高付加価値商品の企画・調達力、「ウツワ」は好立地の店舗網と利便性の高いECサイトを指す。これらが相互に機能することで、高いブランド価値と160万人超の高感度顧客基盤という強固な資産を形成しているという。
新中計では、この強みを生かしながら、中高価格帯市場に経営資源を集中する。国内アパレル、海外アパレル、非アパレル事業を成長ドライバーと位置付け、「日本が誇る世界に向けた高感度・高付加価値グループになる」をテーマに掲げる。

国内アパレル事業では、「高感度顧客満足No.1ブランド」をめざし、既存事業の成長を軸とした戦略を進める。
前中期経営計画では国内既存事業の売上高が1541億円となり、長期ビジョンで想定していた水準に到達した。新中計では、2029年3月期に単体売上高1859億円、年平均成長率6.5%を計画。売上総利益率も前中計最終年度比1.2ポイント改善の53.1%をめざす。
売上成長については、客単価の上昇と客数増加の両立を図る。過去3年間は価格改定を実施しながらも客数を維持し、売上成長を実現しており、今後も品質向上を伴う価格戦略を継続する方針だ。

店舗戦略では、新規出店に加えて移転・改装を積極的に進める。前中計期間中の単体売上高は30.1%増加したが、そのうち13.8ポイントは新規出店による効果だった。さらに、移転・改装した店舗の売上高は前年比約18%増と既存店平均を大きく上回った。
新中計では、トレンドおよびミッド・トレンドマーケットで約55店舗を新規出店し、アウトレットを含め約40店舗を移転・改装する計画。顧客接点の拡大と購買体験の向上を図る。
加えて、2025年4月に稼働した商品管理基幹システム「UA3.0」を活用し、原価管理の高度化や在庫配分の最適化を推進。販売機会ロスの削減や商品消化率向上につなげ、収益力を高める考えだ。
海外アパレル事業では、「高感度顧客を世界に広げる」をテーマに、中国と台湾を重点市場と位置付ける。
中国では、「UNITED ARROWS」「BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS」「Drawer」などを展開し、3年間で8店舗を出店、売上高31億円を計画する。台湾では「green label relaxing」「CITEN」を中心に12店舗を出店し、売上高27億円を見込む。さらに、フランチャイズ、卸売、越境ECを活用してその他地域でも事業を拡大。海外事業全体で売上高70億円を計画している。
中国大陸1号店となる上海店は初年度売上高が計画を上回り、客単価も5万円超と国内の高価格帯店舗と同水準だった。商品品質や接客サービスへの評価も高く、中高価格帯市場の成長余地を示す結果となったという。
アパレル以外のライフスタイル領域では、「高感度顧客との新たな接点づくり」をテーマに事業拡大を進める。

主要顧客である30~40代は、旅行やレジャー、外食などへの消費意欲が高いことから、アパレル以外の分野でも新たな価値提案を行い、顧客との接点拡大を図る。
M&Aも成長戦略の選択肢として位置付けており、高感度顧客基盤を生かしたライフスタイル提案を広げることで、顧客生涯価値(LTV)の向上につなげる考えだ。
新中計では、OMO戦略も重要な柱に位置付けている。ユナイテッドアローズは、高感度顧客との関係性を深め、安定的な収益基盤を構築するために、集客・OMO・CRMを一体で推進する方針を示した。
まず集客では、データやAIを活用し、ターゲットである高感度顧客層に対して精度高くアプローチすることで、店舗への入店客数やECのセッション数を増加。次にOMOでは、商品管理基幹システム「UA3.0」を活用した在庫配分の最適化により、欠品や過剰在庫を抑えながら、販売機会ロスの最小化と購買体験価値の向上をめざす。さらにCRMでは、UAクラブの購買・行動データを活用してパーソナライズを強化し、来店頻度や1人当たり購買額の向上につなげ、顧客生涯価値(LTV)の最大化を進める。
こうした集客・OMO・CRMのサイクルを回し続けることで、稼働会員数を現在の164万人から200万人へ、会員売上高を1200億円へ拡大する目標を掲げている。OMO戦略は、実店舗とECをまたいで顧客接点を強化し、中高価格帯マーケットでの成長を支える基盤施策と言えそうだ。
EC市場は今後、AIとエージェントコマースの普及により、資本力で圧倒する「極大」か、AIを駆使し固定費を削ぎ落とした「極小」かに二極化すると考えられます。そして、その狭間で売上数億〜10億円規模の「中規模事業者」が「死の谷」に直面する可能性が高まるでしょう。一方で、M&A市場における自社EC事業の価値はむしろ向上します。「ChatGPT」などのAIに「推薦される」ためのブランド資産や顧客データは、一朝一夕には構築できないからです。買い手となる異業種企業にとって、ゼロから立ち上げるより、AI運用の土台がある既存事業を買収するメリットはかつてないほど高まっています。今「モール依存」から脱却し「自社EC」の価値を磨くべき理由などを解説します。
週7億人が使う「ChatGPT」の会話のなかで、商品の推薦から比較、そして決済までが完結する――。こんな「エージェント型コマース」時代への突入を予感させたのは2025年9月。OpenAIがオンライン決済のStripeと共同開発した「Agentic Commerce Protocol(ACP)」を使った、「ChatGPT」の「Instant Checkout」の発表でした。
それから数か月。OpenAIは「ChatGPT内で決済まで完結させる「Instant Checkout」から、「マーチャント側が持つ決済への誘導(merchant-owned checkout)」へと軸足を移しつつあります。
「ChatGPT」は商品発見と評価の場にとどめ、決済と顧客関係は事業者の手元に残す。このシフトは、「プラットフォーム依存より自社EC」という論点につながってきます。
買い物の入り口だけでなく、EC運営の内側でも変化が起きています。Shopifyは2025年12月に公式のMCPサーバの提供を開始し、2026年4月には「Claude」などから自店を直接操作できる「Shopify AI Toolkit」をリリースしました。商品登録、価格変更、在庫調整、コレクション編成といった作業を、自然言語で「Claude Code」に指示できるもので、EC業界にインパクトを与えたので、ご存じの方は多いと思います。
表面的には「便利になりましたね」という話に見えるのですが、本質は別のところにあります。
ECオペレーションのうち「人間が関与しなくても破綻しない領域」が急速に広がっています。
私はこれからも生き残る事業は、極大か極小かに集約されると考えています。つまり「資本力で押し切る極大」か「固定費を極限まで削った極小」にしか安息の地がない――という考えです。エージェント型コマースとAI運用の普及は、この二極化をさらに加速させます。
極大の論理はシンプルです。「ChatGPT」やLINEヤフーのエージェント、GoogleのAIモードなどに「推薦される側」として残るためには、商品データの鮮度、レビュー数、ブランド認知、そしてエージェント経由のトラフィックを受けきれる在庫・物流・CS体制が必要になります。
いずれも資本集約的な投資となります。米国ではビッグブランドが「ChatGPT」内販売に乗り出しました。巨人たちは、数か月単位で陣地を固めることができます。
極小の事例としては、たとえば「Shopify」のAI Toolkitを使った新人エンジニアが、わずか2日でECを立ち上げたケースも報告されており、D2Cを1人で立ち上げながらAIに在庫管理・広告・CSを任せる構成は、もはや実験ではなく実用フェースに入っています。既存のノーコードツールに「Claude」や「ChatGPT」を組み合わせれば、以前なら数百万円かかったEC運用の自動化が、月数万円で回せる時代になりました。
問題は「中途半端ゾーン」の中規模です。数億〜10億円くらいの売上規模で、在庫・倉庫・人件費・モール運営費という固定費の割合が高く、利益の薄い事業者は、広告単価・人件費・物流費の上昇に苦しむだけでなく、資金的にAIシフトにも乗り遅れる可能性があります。単独では極大にも極小にも移りにくい――。これが、中規模の「死の谷」です。
ここで視点を、買収先を探す買い手側に切り替えてみましょう。異業種の製造業、地方の老舗小売、オフライン中心の中堅メーカーといった企業がECを内製で立ち上げるのに要する時間は、AI時代に入りむしろ相対的に長くなっています。
その理由は、技術がコモディティ化した一方で、「AIに推薦されるブランド資産」「エージェント経由でも離脱しない顧客関係」「商品データの厚み」は、数か月では作れないからです。
経産省の電子商取引市場調査では物販系EC市場は継続的に拡大していますし、M&A市場でも、2024年のヤマウチによる鎌倉ライフの買収、2026年3月の東北新社によるグラニフの買収など、異業種からのEC事業取得が続いています。
CINC Capitalのレポートでは、EC市場への異業種参入として、大手メーカーのD2C展開、従来型小売業のオムニチャネル化、物流・金融・IT企業のEC領域拡大があげられています
買い手が、「ゼロから作るより買う」というM&Aを選ぶ理由は、AI時代にむしろ鮮明になりました。買い手にとって、「AIで小さく回す運用文化」は意外と内製しにくいもの。組織が大きいほど、新しいツールを全社展開するまでに時間がかかるからです。
だからこそ、売り手のAI運用ノウハウと、買い手の資本リソースを掛け合わせたときに、シナジーが大きくなると期待できます。整理すると、次の3点です。
「ChatGPT」やエージェントの推薦は、基本的に「relevance(関連性)」で決まり、広告費で買える枠ではありません。実績・レビュー・カテゴリ内ポジションなどを積み上げてきた既存ECの価値は、相対的に高まっています。
「Agentic Commerce Protocol(ACP)」もOpenAIの最新方針も、「merchant of record」として決済・顧客関係を手元に残すことを前提にしています。「顧客リスト」を持つ自社ECは、買い手にとって大きな資産になります。
ここで重要なのは、AI運用ノウハウを持っている売り手企業は、日々の商品登録、広告運用、顧客対応、在庫判断のなかで、「Claude」や「ChatGPT」を業務にどう組み込むか、どこを自動化してどこに人の判断を残すか――。こうした試行錯誤を現場で積み重ねているという事実です。
もう1つ大事な論点があります。「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」といったECモールは、今後も消費者の入り口であり続けると思いますが、「自社ECを持っているかどうか」で事業価値の評価が大きく違ってくるということです。AIエージェント時代にはさらにそれが増してくるでしょう。理由は次の通りです。
エージェント経由の取引では、マーチャントが決済・フルフィルメント・顧客関係を保持する設計が業界標準になりつつあります。モールに依存したビジネスを続けていくと、プラットフォームが手数料などを引き上げた瞬間に、事業が立ち行かなくなるリスクが大きくなる可能性があります。
AI運用の前提は「データの主権」です。商品データ、購買履歴、レビュー、問い合わせログを自社で持っているからこそ、「Claude」や「ChatGPT」に接続して、レコメンドやCSを自動化できます。モール出店だけのデータでは、エージェント経由の集客に最適化する余地が小さくなってしまいます。
M&A市場での評価の問題です。過去記事「IT・EC企業特有の企業価値とは?」でも解説した通り、買い手はIT・EC事業の評価にあたって、財務諸表だけでは見えない独自の指標を重視します。代表的なものが「Rule of 40」と「LTV/CAC」です。
これらの指標自体は、「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」といったモールの管理画面からでも、ある程度算出できます。問題は指標が出せるかどうかではなく、その数字を見て「次にどう手を打てるか」の自由度にあります。
モール経由で取得した顧客リストは、規約上、モール外での販促(自社メルマガやLINE配信など)に使うことが制限されています。つまり、買い手から見ると「顧客データの所有権が自社側にあるかどうか」が、買収後の打ち手の広さに直結します。
同じLTV・CACの数字を示す事業でも、モール依存型と自社EC型では、買収後に展開できる施策の幅が根本的に違います。だからこそ、財務数値や運営指標が同水準でも、モール依存型の事業は評価を下げられやすいと言えます。
エージェント型コマースも、「Claude」「ChatGPT」といったAIとの連携も、立ち上がってまだ半年程度の新領域。勝者は決まっていません。ただ、負ける側の条件ははっきりしていると感じています。
それは、中規模、モール依存、AI運用の内製が進んでいない事業です。選べる道は、大きく分けて3つです。
自社ECを磨き、顧客データ・ブランド・AI活用の下地が整ったタイミングで、成長型EXITを選ぶ道です。買い手は、時間を買うために喜んで評価してくれます。
固定費を削り、AIエージェント前提で1〜数人運営に切り替える道です。ニッチで粗利の高い領域に集中することで、利益率を確保します。
余剰資金があるなら、モール依存によって評価が上がっていない同業企業を買い、統合してAI運用で利益化するアプローチです。
1と2の「極大か極小か」は、ECに限ったことではなく、私が常に発信している「スモールビジネスの生き残り戦略」です。
個人的にとても面白いと思うのは3です。モール依存のECは、自社ECのノウハウがありません。エージェント型コマースの知見を持つ会社がその会社を買い取り、自社ECを成長させ、大手に売却する――。そのために、まだ始まったばかりで勝者がいないこの領域で、どれだけいち早く知見を高めることができるか。そこが極めて重要になってきます。
どの道を選ぶにしても、起点は同じです。自社ECの顧客データと運用ノウハウを、自分の手元に残しているかどうか。ここが、AI時代にEC事業の価値を決める最初の分水嶺になると考えています。
私自身は、この変化を「埋もれている良いECの救済チャンス」として捉えています。
商品もファンもあるのに、オーナー1人の体力で頭打ちになっているECは、本当に多いのです。AIと資本を持つ買い手に橋渡しすれば、ブランドはもっと大きくなれます。逆に、買い手側で新規事業に苦しむ企業にとっては、AI時代に整った既存ECの取得は、最短の成長戦略になります。
次回は、この「AI時代に評価されるEC事業」の具体的な診断ポイントについて掘り下げていきます。買い手が見るデータの型、残しておくべき運用ノウハウ、M&A前に整備すべきデジタル資産、といった実務寄りの話題になる予定です。
ユナイテッドアローズは、会員基盤の拡大とロイヤル顧客の育成を両立させている。
2026年3月期の会員組織「UAクラブ」のアクティブ会員数は160万人を突破。2023年3月期末比で25.6%増の約33万人増となった。年間購入額10万円以上の優良顧客数も同約60%増の約18万人へ拡大。会員売上に占める優良顧客の構成比は50.9%となり、同4.3ポイント上昇した。
こうした成果の背景には、デジタル施策だけでなく、高付加価値商品の提供力や新ブランド・海外展開による顧客接点の拡大がある。

ユナイテッドアローズが2024年3月期から2026年3月期の中期経営計画におけるデジタル戦略の成果としてあげるのが、「UAクラブ」の成長だ。
2026年3月期の会員売上高は2023年3月期末比43.7%増の844億円、会員売上構成比は同5.2ポイント増の54.8%となった。会員維持率は58.2%と同4.6ポイント上昇し、年2回以上購入する会員比率も伸長したという。
また、実店舗とECを併用するクロスユーザー数は同48.9%増の24万5000人。オンラインとオフラインを横断して利用する顧客の増加が、購買頻度や顧客ロイヤルティの向上につながったと見られる。
こうしたなか、年間購入額10万円以上の優良顧客数は約18万人まで拡大。会員全体の裾野を広げながら、ロイヤル顧客の比率も高めることに成功した。
ロイヤル顧客の育成を支えた土台に「UA CREATIVITY戦略」がある。高付加価値商品の提案力強化に取り組み、売上総利益率は2023年3月期末比0.8ポイント改善の52.4%となった。2015年3月期以降で最高水準という。
ユナイテッドアローズは、この結果から自社の強みが中高価格帯市場における高付加価値商品の販売力にあることを改めて確認できたとしている。
人的資本への投資も継続した。ベースアップの実施に加え、積極的な採用活動を推進。販売人材を中心とした採用強化や教育機会の拡充、新卒社員の部門ローテーション、事業間異動の活性化、マネジメント層との対話機会の創出などに取り組んだ。

その結果、エンゲージメントスコアの改善や離職率の低下につながったほか、生産性向上によって人件費率は2023年3月期末比で1ポイント改善。人的資本投資が業績向上につながっていることを確認できたとしている。
「UA MULTI戦略」では、中長期の成長を見据えた新ブランド開発にも取り組んだ。新たに立ち上げた4ブランドの売上規模はまだ限定的としながらも、「ATTISESSION」や「OSOI」では20代以下の会員構成比が全社平均を上回っており、課題としていた若年層顧客の獲得に一定の成果があったという。

海外展開も加速。台湾での出店拡大に加え、中国大陸1号店を出店。タイやシンガポールへの展開、越境ECの開始も進めた。
2026年3月期の海外売上高は約30億円となり、この3年間の年平均成長率は20%を超えた。今後も海外事業の拡大を成長ドライバーの1つとして位置付ける。
M&Aでは、シューシャインサービスを展開するブーツブラックジャパンと、ハイエンドウィメンズブランド「TELMA」がグループ入りした。ブーツブラックジャパンとのシナジー創出も進めており、高感度顧客向けサービスの強化につながっているという。

こうした新ブランド開発、海外展開、M&Aによる顧客接点の拡大が、会員基盤の拡大とロイヤル顧客との関係強化の双方を後押ししたと見られる。
リカバリーウェア「BAKUNE」などのTENTIALは「父の日」(6月21日)に向けて、関西・首都圏のランドマーク商業施設内で期間限定のポップアップストアを出店する。
ポップアップストアの出店は、4月17日から実施している「母の日」「父の日」に向けた特別ギフト企画「TENTIAL Mother's &Father's Day 2026」の一環。関西では大阪府の「あべのハルカス近鉄本店」で6月3日から、首都圏では東京の「ルミネ新宿」で6月8日から出店する。
TENTIALによると、自社ECサイトでは購入全体の35.5%がギフト用途として選ばれており(集計期間は2025年2~8月)、「父の日」などのギフトシーズンでの引き合いが年々伸びているという。消費者が商品に実際に触れて体験できる場として、オンライン販路だけでなく、直営店舗やポップアップストアの展開を継続的に進めている。
「あべのハルカス近鉄本店」のポップアップストアを行う場所は「ウイング館2階イベントスペース」で、期間は6月3日から16日まで。「ルミネ新宿」では「ルミネ1 2階gallery1 TENTIAL」にて、期間は6月8日から6月21日まで予定している。
両ポップアップストアで、「BAKUNE」シリーズ、リカバリーサンダル、アイマスク「BAKUNE EYE-MASK」などを中心に展開。「TENTIAL Mother's&Father's Day 2026」のキャンペーン対象店舗として、条件を満たす購入者へのギフトラッピングの無料提供、ノベルティを進呈する。
TENTIALが4月17日から開始しているギフト企画「TENTIAL Mother's&Father's Day 2026」は、6月22日まで。対象者は 「TENTIAL」公式オンラインストアの購入者と、「TENTIAL」直営店での購入者。
「BAKUNE」のペアセット購入者向けに数量限定のギフトボックス(有料)を展開する。このほか税込5000円以上の購入者にはギフトラッピングを無料で提供。対象商品の税込3万円以上の購入者には、入浴剤「BAKUNE BATH」(9錠入り)をノベルティとして進呈する。
アパレル通販大手のスクロールはこのほど、シニア向けコミュニティサイト「Scrollcafe(スクロールカフェ)」を開設した。シニア女性向け通販の知見を生かし、顧客が本来の自分に戻れる「居場所」の提供をめざす。利用対象者はスクロールの会員。

「スクロールカフェ」は、シニア世代向けのオンラインプラットフォーム。匿名性を確保した会員限定コミュニティとして、ユーザーが安心して日常を語り合い、新たな自分を発見できる場所をめざす。暮らしの出来事やファッションの悩みなどを共有できる投稿・交流機能を提供する。
ユーザーの共通項は「スクロールの利用者であること」。スクロールは「会員同士だからこそ生まれる、質の高い安心な交流を実現した」としている。コミュニティ内で交わされる言葉は、スクロールの商品企画やサービス改善に反映し、顧客と共にブランドの育成につなげる。
少子高齢化やデジタル化が進むなか、シニア世代の社会的孤独が課題となっている。既存のSNSの活用にハードルを感じ、オンライン上でのつながりから取り残されるケースも少なくない。
スクロールは企業側からの一方通行な情報提供に限界を感じていたといい、「点と点である顧客同士を結びつけ、双方向の生き生きとした交流を生み出したい」という思いから「スクロールカフェ」の開設を決めた。現場の担当者による「商品の作り手こそ、消費者の生の声を聴くべきだ」という思いも開設の原動力になったという。
開発に当たっては、シニア世代が萎縮しないUIの追求や、デジタルに不慣れな人を置いていかないことを重視した。「スクロールカフェ」のサイト構築はカスタメディアが担った。
自転車専門店「サイクルベースあさひ」を運営するあさひ。2026年2月期のEC売上高は前期比12.5%増の142億9000万円、EC化率は18%に達した。配送難易度が高く、対面での整備が必須な自転車商材において、あさひはどのようにデジタルシフトを成功させたのか。近年の爆発的な成長を支える最大の要因はOMOの推進。その背景には、2022年から始まった、OMOを加速する目的で実施したEC組織構造の改革がある。リーダーとして変革をけん引した、EC事業を管掌する岡川貴志氏(ECセクションマネージャー)に、OMO強化につながった組織づくりを聞いた。
――2026年2月期のEC売上高は前期比12.5%増の142億9000万円、EC化率は前期から2.0ポイント上昇の18.0%となっており、非常に好調だ。
岡川貴志氏(以下、岡川氏): 売上ベースで見たときに、最もインパクトがあったターニングポイントは2022年に断行したEC組織構造の改革だ。EC売上高は2023年2月期の83億円から、2024年2月期の103億、2025年2月期の127億、そして現在の142億円へと拡大。OMO推進の観点で従前の体制を変革したことが、近年右肩上がりのEC売上高に貢献している。
――まず、2022年以前のEC事業の変遷や、運営体制について教えてほしい。
岡川氏:組織改革以前のあさひのEC事業では、自社ECでお客さまからの反響が好調な店舗受取サービスを、2017年に「楽天市場店」、2019年に「Yahoo!ショッピング店」でも開始したり、EC限定ブランド「Cream(クリーム)」を立ち上げたりした。「Cream」は私がブランディング、デザイン、開発まで全てを担ったブランドで、現在もお客さまから大きな支持をいただいている。
あさひ ECセクション マネージャー 岡川貴志氏。2001年にあさひの店舗に着任。2006年に商品部着任、2012年にブランドセクション着任のち、2014年からEC事業に参画。2017年にEC限定販売ブランド「Cream」の商品開発に着手し、2018年から販売開始。商品部に在籍していた経験を生かし、MDの知見、ブランディングの経験を基盤として、企画・設計・開発からブランド設計までを推進した。このほか、モール店舗での店舗受取サービス拡大、自社倉庫へEC専用在庫の設置などに精力的に取り組んだ。2022年から販売EC組織構造の改革を強力に推進。EC売上拡大に大きく貢献するOMO強化につなげている。
当時のEC運営体制は、商品調達・販促施策・カスタマー対応など、役割ごとに各部署が分散して担う、いわば組織横断型の体制だった。しかし、そこからもう一段上の規模へ拡大するためには、従来のやり方を変革する必要があった。
――組織横断型の体制には、どのような課題があったのか。
岡川氏:各部門のスタッフが実店舗業務とEC業務を兼務していたことから、双方の重要性を踏まえつつも、それぞれに求められる対応を両立することに難しさがあった。
その結果、変化のスピードが早いEC市場に対して、きめ細かな対応や迅速な意思決定の面で改善の余地が見られた。
――EC運営体制の再構築に至った経緯は。
岡川氏: 2022年、会社として「OMOを強化する」という強い意識の下、EC機能を完全に一体化させた「専任組織」へとEC運営体制を再編した。商品、営業、カスタマーサポート、Web制作、システム開発まで、ECに必要なすべての機能を「ECセクション」という1つのチームに統合した。いわば、セクション内に「1つの会社」を作るようなイメージだ。
商品、営業、カスタマーサポートといった各機能をEC専任チームとして切り出し、ECに特化した意思決定と実行ができる体制へと転換したことで、従前は店舗業務とEC業務との間で発生していたリソース調整の負担が軽減された。これにより、全員が「ECとOMOの成功」という1つのゴールに100%集中できる環境が整った。
さらに、ECセクション内に4つのプロフェッショナルチームを設けたことも今日のEC事業拡大に貢献している。
――新しく生まれ変わった「ECセクション」は、現在どのような構造になっているのか。
岡川氏: 現在は、私がリーダーとして全体の指揮を執りながら、役割ごとに明確な目的を持った4つのチームで構成している。
この体制にしてから、各チームの専門性と目標へのコミット力が年々向上している。結果として、2022年から2026年5月現在にかけて、EC事業は大きな成長を遂げている。
この「組織、人、機能の強化」を2022年から実直に積み重ねてきたからこそ、「ネットで注文、お店で受け取り」サービスの基盤強化を中心としたOMO強化につながり、売り上げ拡大にも貢献した。
――特に大きな変化をもたらしたチームはどこか。
岡川氏: 組織改革と同時に新設した「UXチーム」だ。それまで外部ベンダーに依存していたシステム開発やWeb制作の領域を内製化するために、外部から専門人材を採用して立ち上げた。
システムやデザインを自社でコントロール可能にしたことで、ユーザーからの要望や市場の変化に対し、ECサイトを迅速に修正・改善できる体制が整った。
――かつては岡川氏自身がMDやブランディングの経験を生かしてEC事業拡大の道を切り拓いてきたが、今は「組織の力」で攻めている印象だ。
岡川氏: 今のあさひのECは、効率よく成果を出し続けることができる組織の力で動いている。
現在のEC化率18.0%という数字はゴールではない。大切なのは、店舗とECが1つの組織として最も良いバランスで融合し、お客さまに最高の自転車ライフを提供することだ。
これからも、自社ECも含めたデジタル基盤をチーム一丸となって磨き上げ、組織改革の観点で他のEC事業者の学びになるような「新しいOMOの形」をあさひから提示し続けていきたい。
ベガコーポレーションは、家具・インテリアブランド「LOWYA」で、オンライン中心のD2Cモデルから実店舗を組み合わせたOMOモデルへの転換を進めている。背景には、オンラインだけでは接点を持てなかった顧客層へのアプローチや、実物確認ニーズへの対応、顧客との継続的な関係構築がある。2026年3月期は実店舗展開とOMO施策が奏功し、増収増益を達成した。
成長戦略の一環として、オンラインだけではリーチできなかった顧客との接点を広げるため、実店舗展開を進めているベガコーポレーション。EC専業として出発したことから、顧客の購買プロセスにおいて次のような課題があると分析している。
家具・インテリアは、サイズ感や素材感、色味、使い勝手など、実際に見て確かめたいニーズが強いカテゴリー。そのため、オンラインのみでは購入直前で離脱する顧客も少なくない。こうした課題を解決するため、ベガコーポレーションは「チャネル」「商品」「ファン化」の3軸でOMO戦略を推進している。
チャネル戦略では、ECやSNSと実店舗を連携させたシームレスな購買体験の構築を進めている。
実店舗は単なる販売拠点ではなく、商品を実際に見て触れられる場として機能するほか、ブランド体験の提供や新規顧客との接点創出、データを活用した商品展示などの役割も担う。
実店舗展開では2026年3月期に出店目標として掲げていた5店舗を計画通り開設。2026年3月末時点の店舗数は13店舗となった。
商品戦略では、家具単体ではなく、生活空間全体を提案できるブランドへの進化をめざしている。収納用品や雑貨、テレビ台、ラグ・カーペット、ソファ、寝具などへラインアップを拡充。顧客の住空間における「LOWYA」商品の利用領域を広げることで、購入機会の拡大を図っている。
ファン化戦略では、オンラインとオフラインを横断した双方向コミュニケーションを強化している。
その中心となるのが、3D家具配置シミュレーションアプリ「おくROOM」だ。ユーザーが作成した理想の部屋をSNSで共有し、実店舗とSNSで投票を行う「おくROOM選手権」などの企画を実施している。
また、実店舗からの商品紹介やコーディネート提案のライブ配信も展開。顧客との接触時間を増やし、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の創出やブランドへの愛着形成につなげている。
こうしたOMO施策の成果は業績にも表れている。2026年3月期の売上高は前期比13.8%増の181億2900万円、営業利益は同46.0%増の13億5800万円、経常利益は同45.6%増の13億6600万円、当期純利益は同49.5%増の8億8400万円だった。
主力の「LOWYA」事業は、売上高が前期比14.1%増の177億8900万円、営業利益は同45.6%増の13億5800万円となった。実店舗の出店効果に加え、自社ECと実店舗を連携したOMO施策、新商品の投入が成長を後押しした。2026年1~3月期(第4四半期)の自社EC・実店舗を合わせたOMO売上高は前年同期比32.2%増の34億2900万円となり、同四半期におけるOMO売上比率は64.7%と前年同期から8.5ポイント上昇した。
家具・インテリア市場全体が横ばいで推移するなか、EC市場は拡大を続けている。こうした環境下でベガコーポレーションは、「LOWYA」を「低価格×高トレンド性」のポジションに位置付け、自社EC、ECモール、SNS、実店舗を組み合わせたOMO型D2Cモデルを推進している。2026年3月期は実店舗出店の効果などが寄与し、売上高、営業利益ともに増加した。
家具・インテリア市場全体は大きな成長が見込めない一方で、EC市場は拡大を続けている。ベガコーポレーションによると、家具・インテリアEC市場は2014年から2024年までの10年間で年平均成長率(CAGR)2.8%で成長した。

2024年時点の市場規模は、家具・インテリア市場全体が3兆4740億円、家具・インテリアEC市場が4507億円。EC化率は13.0%としている。市場全体は横ばいながら、EC化の進展が引き続き成長余地を生み出しているという。
ベガコーポレーションは、家具・インテリア市場だけでなく、周辺領域まで含めた市場に成長機会があると見ている。
家具・インテリアおよび関連領域の国内市場規模を約4.7兆円と試算。将来的な関連領域を含むEC市場については、約1.9兆円規模まで拡大する可能性があると見込んでいる。
現在の家具・インテリアEC市場は約4500億円だが、ベガコーポレーションはEC化率の上昇に加え、OMO型D2Cモデルの推進によってオフライン需要も取り込みながら事業領域を拡大させる。関連領域には家具・インテリアのほか、大型家電を除く白物家電やプラスチック製の日用品・雑貨などを含む。
家具・インテリア市場における「LOWYA」は、低価格帯でありながらトレンド性の高い商品を展開するブランドとしてポジショニング。市場を価格帯とトレンド性の2軸で整理し、「LOWYA」を「低価格」かつ「高トレンド性」の領域に位置付ける。手頃な価格とデザイン性を両立した商品展開を強みとしている。

こうした事業戦略の下、2026年3月期の売上高は前期比13.8%増の181億2900万円となった。営業利益は同46.0%増の13億5800万円、経常利益は同45.6%増の13億6600万円、当期純利益は同49.5%増の8億8400万円だった。

ベガコーポレーションは、自社ECと実店舗を連携させたOMO施策が好調に推移したことに加え、実店舗出店の効果が売上高と利益の成長につながったと説明。また、2026年1~3月期(第4四半期)および下期の売上高、営業利益はいずれも過去最高を更新した。
「LOWYA」事業は売上高が前期比14.1%増の177億8900万円、営業利益は同45.6%増の13億5800万円だった。実店舗出店の効果に加え、自社EC+実店舗のOMO施策を通じた新商品展開が寄与し、売上高は順調に成長した。第4四半期の自社EC+実店舗(OMO)売上は前年同期比32.2%増の34億2900万円となり、 同四半期のOMO比率は同8.5ポイント増の64.7%となった。
日本コカ・コーラ「CHILL OUT」が「秒で消せるバナー広告」を展開。閉じるボタンの位置を分かりやすくデザインした「秒で消せるバナー広告」を配信し、一瞬で消してもらうという爽快な体験を提供する。公式アプリ「Coke ON」で、バナー広告を消して遊べるゲーム「バナー広告バスター」も配信。
https://www.coca-cola.com/jp/ja/media-center/news-20260601-11
アマゾンジャパンは6月1日、ジャパンオペレーション代表を務める島谷恒平氏が社長に就任したと発表した。現社長のジャスパー・チャン氏も引き続き社長職を務め、今後は2人の社長を置く体制で事業運営を進める。

島谷氏は2017年にアマゾンジャパンへ入社。FC(フルフィルメントセンター)事業部統括本部長として国内物流拠点の運営を統括した後、ジャパンオペレーション事業部統括本部長を経て、2023年からジャパンオペレーション代表を務めている。これまで物流・配送ネットワークの強化やオペレーション改革を主導してきた。
アマゾンジャパン入社前は、スターバックス コーヒー ジャパンに約12年間在籍し、全国展開などの事業拡大に携わった。その後、すかいらーくホールディングスでDeputy Managing Directorを務めたほか、米国でMBAを取得している。
アマゾンジャパンによると、今後はジャスパー・チャン氏、島谷氏に加え、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)の白幡晶彦氏のリーダーシップの下、日本市場における顧客価値の向上に向けて事業を推進していくとしている。
ウェザーニューズが6月4日に発表した「夏の小売需要傾向2026」によると、2026年夏は全国的に平年より気温が高く、太平洋高気圧とチベット高気圧が重なる「ダブル高気圧」の影響で、最高気温40度超の「酷暑日」にも注意が必要な見通しだ。

Google検索数と気象データの関係を分析。その結果、アイスや冷やし麺、スポーツドリンク、ハンディファン、制汗剤などの夏物商品の需要は例年より早く立ち上がり、長期間続く可能性があるとしている。
ウェザーニューズによると、2026年夏は熱帯太平洋でエルニーニョ現象、インド洋で正のダイポールモード現象が発生する見込みだ。

一般的にエルニーニョ現象が発生すると日本は冷夏になりやすいとされるが、今年はインド洋の海面水温や偏西風の流れに加え、地球温暖化の影響も重なることで、日本付近では太平洋高気圧の勢力が平年並みかやや強まると予測している。
その結果、全国的に晴れて暑い日が多くなり、チベット高気圧と太平洋高気圧が重なる「ダブル高気圧」となる可能性もある。猛暑に加え、一部地域では40度を超える「酷暑日」への警戒も必要としている。
2026年夏の特長は、暑さの強さだけでなく残暑の長さにもある。
ウェザーニューズは9月に入っても最高気温35度以上の猛暑日が発生する可能性があると予測。コールド商品や熱中症対策商品の需要は、夏のピーク後も継続する可能性が高いとしている。需要増が見込まれる商品として、次のようなカテゴリーをあげている。
9月まで高温傾向が続くことで、これらの夏物商品の販売期間も長期化する可能性がある。
ウェザーニューズの流通気象チームは、過去のGoogle検索データと気象データを分析し、季節商品の需要が高まり始める気温の目安も示している。
東日本では、2026年の気温推移が猛暑となった2023年と類似すると想定。2023年の6~8月のデータを見ると、「そうめん」の検索数は6月上旬から増加し始め、8月中旬ごろまで高水準で推移した。

気温との関係を分析したところ、「そうめん」は最高気温が31度を超えると検索数が大きく伸びる傾向が確認されたという。最高気温31度前後が需要拡大の目安になるとしている。

一方、「スポーツドリンク」の検索数も6月上旬から増加し、7月中旬から8月上旬にピークを迎えた。検索数と気温の関係を見ると、気温上昇に伴って検索数も増加し、特に32.5度を超えると伸びが顕著になったという。

また、8月中旬以降はいったん検索数が減少するものの、8月下旬に再び高温日が続くと検索数も増加する傾向が確認された。

梅雨入りは東日本と東北で平年並みからやや遅め、梅雨明けは平年並みからやや早めとなる見込み。
梅雨期間の総雨量は沖縄・奄美で平年より多く、九州から東日本でも平年並みから多めと予想している。6月後半から7月中旬にかけては梅雨前線の活動が活発化し、局地的な大雨への警戒が必要としている。
また、6月以降の台風発生数は平年並みながら、日本へ接近する台風は平年を上回る14個程度になると予測している。
地域別の気温予測では、北日本は6月が「やや高い~高い」、7~9月は「高い」と予想。東日本と西日本は6月が「平年並み~高い」、7~8月は「高い」、9月も「やや高い~高い」としている。
沖縄・奄美は6~9月を通じて「高い」と予想しており、全国的に厳しい暑さが続く夏となりそうだ。