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ヤマト運輸、「クロネコ代金後払いサービス」へ不正アクセスが発生と発表。サービスを停止

3 週間 3 日 ago
ヤマト運輸、「クロネコ代金後払いサービス」へ不正アクセスが発生と発表。サービスを停止
ヤマト運輸は「クロネコ代金後払いサービス」が第三者による不正アクセスを受けたと発表。サービスを停止している。
furukawa2026年10月2日

ヤマト運輸は9月29日、後払い決済「クロネコ代金後払いサービス」が第三者による不正アクセスを受けたと発表した。

9月28日に不正アクセスを確認し、同日中に外部からのアクセス制限など必要な対策を講じた上で、22時28分に同サービスを停止した。

ヤマト運輸、「クロネコ代金後払いサービス」へ不正アクセスが発生と発表。サービスを停止
「クロネコ代金後払いサービス」のサービス利用フロー(画像は公式サイトから編集部がキャプチャ)

ヤマト運輸は現在、セキュリティ専門機関の協力を得ながら、原因や影響範囲の調査、復旧対応を進めている。復旧時期については、確認でき次第あらためて案内するという。なお、宅急便など「クロネコ代金後払いサービス」以外のサービスは、通常通りサービスを提供している。

「クロネコ代金後払いサービス」は、ECサイトなどで注文した商品を先に受け取り、商品に同梱されるか後日送付される払込票(利用明細)を使って、全国の主要なコンビニや郵便局などで代金を支払う後払い決済サービス。ヤマト運輸が商品代金を購入店に立て替えて支払い、購入者に請求する仕組み。購入者はクレジットカード情報を入力せずに利用できるほか、払込票の発行から14日以内であれば都合のよいタイミングで支払える。

ヤマト運輸は、「関係する皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけしていることを、深くお詫び申し上げます」とコメントしている。

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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鳥栖 剛

「ANAのふるさと納税」が生成AIチャットボットを導入、ストレスフリーな寄付体験を実現

3 週間 3 日 ago
「ANAのふるさと納税」が生成AIチャットボットを導入、ストレスフリーな寄付体験を実現
ANAあきんどが運営する「ANAのふるさと納税」が生成AIチャットボットを導入。返礼品選びやワンストップ特例申請などを対話形式で支援し、利用者の不安軽減と寄付体験の向上につなげる。
furukawa2026年10月2日

ANAグループのANAあきんどは10月1日、「ANAのふるさと納税」に生成AIチャットボットを導入し、本格運用を開始した。返礼品選びからワンストップ特例申請、確定申告などの手続き案内までを対話形式で支援し、利用者の寄付体験の向上につなげる。

「ANAのふるさと納税」が生成AIチャットボットを導入、ストレスフリーな寄付体験を実現
AIチャットボットが返礼品選びからワンストップ特例申請、確定申告などの手続き案内までを対話形式で支援

ふるさと納税では、返礼品の選択肢が多い一方、「何を選べばよいかわからない」「ワンストップ特例申請の手続きが不安」といった利用者の悩みもある。今回の生成AIチャットボット導入では、こうした迷いや不安を軽減し、スタッフに相談するような感覚で利用できる環境を整える。

チャットボットは、「今、人気の返礼品を教えて」「お肉でおすすめはある?」といった曖昧な相談にも対応する。ワンストップ特例申請や確定申告に関する質問にも答え、サイト内の情報などを参照しながら、24時間365日、自然な対話形式で案内する。

「ANAのふるさと納税」が生成AIチャットボットを導入、ストレスフリーな寄付体験を実現
AIチャットボットの応答イメージ

チャットボットのアバターには、実際のANAの客室乗務員の姿を採用した。ANAグループが重視する「あんしん」と「あたたかみのあるホスピタリティ」をデジタル接点でも表現し、利用者に安心感を提供する。

「ANAのふるさと納税」が生成AIチャットボットを導入、ストレスフリーな寄付体験を実現
アバターには実際のANAの客室乗務員の姿を採用

ANAあきんどが導入したのは、ecbeingが開発する生成AIチャットボット「AIデジタルスタッフ」。タグを設置するだけで導入でき、ウェブサイトの情報更新も自動で取得する。

従来型のチャットボットで必要だったシナリオ設定やFAQ登録の負荷を抑えながら運用できる。料金は定額制で、文字数や問い合わせ件数などに応じた従量課金は発生しない。ecbeingによると、「AIデジタルスタッフ」は2026年10月時点で100サイト超に導入されている。

今後は「ANAのふるさと納税」内の「旅の返礼品」ページなどへの設置拡大も予定している。利用者との対話を通じてニーズを分析し、サイト改善にもつなげていく。

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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鳥栖 剛

「トイザらス」がドンキ運営会社へ。日本トイザらスが民事再生手続きを申し立て、PPIHがスポンサー支援

3 週間 3 日 ago
「トイザらス」がドンキ運営会社へ。日本トイザらスが民事再生手続きを申し立て、PPIHがスポンサー支援
日本トイザらスは10月1日、民事再生手続きの開始を申し立て、PPIHグループ関係会社への事業譲渡契約を締結した。店舗営業は継続し、今後は「ドン・キホーテ」などを展開するPPIHグループのもとで事業再生をめざす。
furukawa2026年10月2日

日本トイザらスは10月1日、東京地方裁判所に民事再生手続きの開始を申し立て、同日付で監督命令および弁済禁止の保全処分を受けた。

また、「ドン・キホーテ」などを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)グループとスポンサー契約および事業譲渡契約を締結。譲受主体はPPIHの完全子会社でグループ各社のバックオフィス業務を請け負うオペレーションシェアードサービス(OSS)で、裁判所の許可などを前提に、10月30日の事業譲渡実行を予定している。

「トイザらス」がドンキ運営会社へ。日本トイザらスが民事再生手続きを申し立て、PPIHがスポンサー支援
日本トイザらスのECサイトのトップ画面(画像は編集部がキャプチャ)

2007年をピークに業績悪化、8期連続の最終赤字

日本トイザらスは1991年に国内1号店を開店して以降、「トイザらス」「ベビーザらス」の実店舗とECサイト「トイザらス・ベビーザらス オンラインストア」を展開。会社発表によると、少子化を踏まえた事業転換の遅れや、EC企業などとの激しい価格競争を背景に売り上げが低迷したという。経費削減などに取り組んできたものの、売上減少に歯止めがかからず、自力での事業継続が困難になったとしている。

東京商工リサーチ(TSR)によると、負債総額は債権者1159名に対して132億2600万円。ピーク時の2007年1月期には約1943億6500万円の売上高を計上したが、その後は少子化やECとの競争激化で業績が悪化。2019年1月期に約33億6500万円の最終赤字に転落して以降、2025年12月期まで8期連続で最終赤字が続き、同12月期の売上高は約752億1100万円まで減少した。

希望退職の実施などリストラ策も講じたが、業績悪化に歯止めがかからなかったという。また、2017年9月には関係会社の米トイザらスもチャプター11(連邦破産法第11条)を申請していた。

PPIH、長期経営計画の成長戦略として事業を譲受

PPIHは日本トイザらスからの事業譲受を、2025年8月に策定した長期経営計画「Double Impact 2035」に基づく成長戦略の一環と位置付けている。

少子化が進む一方、国内玩具市場は拡大を続けているとし、「子どものための玩具」にとどまらず、IP・キャラクター、トレーディングカード、ホビーなどへ領域が広がっていると説明。さらに、「キダルト(Kid+Adult)」市場の成長によって、顧客層もベビー・キッズ・ファミリーから学生、若年層、大人まで広がっているという。

こうした市場環境を踏まえ、PPIHは競争優位性の源泉である非食品カテゴリーをさらに磨くことが持続的成長に重要と判断。トイザらスが持つ玩具分野の専門性とPPIHの店舗運営・販売基盤を掛け合わせ、玩具業界シェアNo.1のスケール実現をめざすとしている。

調達規模を拡大し、新商品・PB・限定商品などを強化

具体的には、調達規模の拡大によって新商品や売れ筋商品の安定供給を図るほか、仕入れ条件の改善を通じて価格競争力と収益性の向上を狙う。

主要玩具メーカーとの連携も深め、PB・OEM商品、限定商品、先行販売商品の拡充による差別化を進める方針。IP、キャラクター、ホビーなど、特定の「好き」を共有するコミュニティやスモールマスの需要を捉えた品ぞろえを強化する。ベビーカーや知育玩具など、新たな商品領域も広げる考えだ。

PPIHは、日本トイザらスが持つ専門性とブランド力を既存店舗に取り込むことで、新規顧客層の獲得と既存店舗の収益力向上につなげたいとしている。

158店舗の顧客接点を生かしLTV向上へ

顧客接点の面でも、日本トイザらスが持つ店舗網を生かす。2026年6月末時点で158店舗を展開しており、PPIHはベビー、キッズ、学生、大人、ファミリー、シニアまでライフステージに応じた接点を広げ、一生涯にわたる顧客関係の構築とLTV最大化につなげる方針を示す。

レジャー費用が高騰するなか、「見て・触れて・遊べる」リアル店舗ならではの体験価値を高める狙いもある。

トイザらスを「アソビ業態」へ。「買う場所」から「遊ぶ場所」に

PPIHは、トイザらスを単なる「おもちゃ屋」ではなく、「アソビ業態」へ再定義する構想も打ち出した。

IP商材やキダルト向け商材、玩具以外の関連商材も強化。リアル店舗ならではの体験価値や、コミュニティ・催事を通じて人が集まる場を創出し、「買う場所」から「遊ぶ場所」への転換を図る考えだ。

「3つの約束」で店舗・雇用・ブランドを承継

承継後の方針として、トイザらスが長年培ってきたカルチャーを守ることを前提に、「3つの約束」も示している。

1つ目は、可能な限り多くの店舗を承継・継続運営し、雇用を守ること。2つ目は、地域社会に欠かせないインフラとして、幅広い世代が安心して利用できる「新たな遊び場」へアップデートすること。3つ目は、子どもから大人まで「幸せなトイザらス体験」を進化させること。第1弾の取り組みとして、11月から全店でクリスマス企画を始めるとしている。

10月30日の事業譲渡を予定、店舗営業は当面継続

日本トイザらスでは、民事再生手続きの申し立て後も店舗営業を平常通り継続するとしている。商品品質や価格、サービス水準もこれまで通り維持し、顧客対応も続ける方針だ。

10月30日に予定する事業譲渡後は、OSSの事業として運営される見通し。ただし、全店舗の承継には賃貸人など契約先の同意が必要で、詳細な運営体制は現時点で未定としている。
雇用面では、日本トイザらスが従業員支援を最優先事項の1つに位置付けているほか、PPIHも可能な限り全従業員の承継をめざす方針を示している。PPIHによると、日本トイザらスの従業員数は2026年6月末時点で約3911人。

また、TSRによると、事業継続に必要な資金については三菱UFJ銀行から事業継続や再建のために行う融資であるDIPファイナンスを受けているという。

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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鳥栖 剛

「Yahoo!ショッピング」、日用品や生活雑貨を中心としたLINEヤフー直販の新ストア「うろこざっか」を開設

3 週間 3 日 ago
「Yahoo!ショッピング」、日用品や生活雑貨を中心としたLINEヤフー直販の新ストア「うろこざっか」を開設
LINEヤフーは「Yahoo!ショッピング」に、日用品や生活雑貨を扱う新ストア「うろこざっか」を開設した。暮らしのシーンから商品を選べる売り場を展開し、在庫管理から販売までを自社で手がける。
furukawa2026年10月2日

LINEヤフーは9月30日、日用品や生活雑貨を中心とした新たなオンラインストア「うろこざっか by Yahoo!ショッピング」を「Yahoo!ショッピング」に開設した。LINEヤフーが商品を厳選して仕入れ、在庫管理から販売までを手がける。

商品検索を起点とした従来の買い物に加え、「暮らしのシーン」から商品を選べる売り場を設け、生活提案型の購買体験を提供する。

LINEヤフー「Yahoo!ショッピング」、日用品や生活雑貨を中心とした新ストア「うろこざっか」を開設
LINEヤフーが販売主体となり輸入雑貨などを扱う

「うろこざっか」は、「暮らしを整えて、心に余白を。」をコンセプトにした新ストア。国外から輸入した雑貨を中心に、手ごろな価格とデザイン性、使いやすさを両立した商品をそろえる。

特徴は、商品単体ではなく、「こんな暮らしをしたい」というイメージを起点に商品を選べる売り場づくり。ストア内では、「リビング」「ダイニング」「シンク」「キッチン収納」「卓上収納」などのテーマごとに商品をまとめ、複数の商品を1枚のビジュアルとともに提案する。気になった商品はその場でまとめて購入でき、部屋全体や生活動線をイメージしながら買い物を進められるようにした。「収納をまとめて整えたい」「部屋全体の雰囲気をそろえたい」「暮らしをもっと心地よくしたい」といったニーズに応え、日々の暮らしに寄り添う売り場をめざすという。

LINEヤフー「Yahoo!ショッピング」、日用品や生活雑貨を中心とした新ストア「うろこざっか」を開設
複数の商品を1枚のビジュアルで提案。気になった商品をまとめてカートに追加できる

現時点では生活雑貨を中心とした一部カテゴリから展開を開始しており、今後は毎月複数回、新商品や特集を追加・更新する予定。季節やライフスタイルに合わせた商品提案を継続し、何度訪れても新しい発見がある売り場をめざす。

LINEヤフーは今回、商品を自社で仕入れ、在庫管理から販売まで行う小売事業として「うろこざっか」を運営する。品質表示や輸入関連法令への対応、知的財産権への配慮などの管理体制を整備するとともに、国内の品質基準に基づく検品・品質管理を実施する。

また、海外から商品を都度発送するのではなく、国内で在庫を管理することで、よりスムーズな購買体験の提供につなげる。

ストア開設を記念し、「うろこざっか」で利用できる最大10%オフのクーポンも配布する。

LINEヤフーは、Yahoo!ショッピングの品ぞろえや売り場を継続的に進化させ、新たなユーザーとの接点創出と買い物体験の向上につなげる考えだ。

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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楽天、運用型広告「RMP - Unified Ads」で「楽天ポイントカード」導入企業を対象にオフラインの購買転換率計測機能を追加

3 週間 4 日 ago
楽天、運用型広告「RMP - Unified Ads」で「楽天ポイントカード」導入企業を対象にオフラインの購買転換率計測機能を追加
楽天グループは、運用型広告「RMP - Unified Ads」において、「楽天ポイントカード」導入企業向けにオフライン購買転換率の計測機能を追加した。オンライン広告接触者の来店購買実績を日次で可視化し、配信期間中の広告運用改善につなげる。
furukawa2026年10月1日

楽天グループは9月30日、運用型広告「RMP - Unified Ads」に、「楽天ポイントカード」導入企業を対象としたオフライン購買の計測機能を追加した。オンライン広告に接触したユーザーが実店舗で購入した実績を日次で確認できるようにし、広告配信中の予算配分やクリエイティブ改善などに活用できるようにする。

楽天、運用型広告「RMP - Unified Ads」で「楽天ポイントカード」導入企業を対象にオフラインの購買転換率計測機能を追加
オンライン広告に接触したユーザーが実店舗で購入した実績を日次で確認できるように

「RMP - Unified Ads」は、楽天グループが持つサービスやメディアに一括してターゲティング配信できる運用型ディスプレイ広告。楽天会員IDに基づくデータや、楽天グループのサービス上での行動データなどを活用し、ターゲティング配信を行う。

従来、オンライン広告が実店舗での購買にどの程度つながったかを把握するには、広告配信終了後のレポートを待つ必要があった。今回の機能追加で、広告配信期間中でもオンライン広告に接触したユーザーが実店舗で購入した実績を日次で確認できるようになる。これにより、反応の良いターゲット層への配信を強化したり、効果の低いクリエイティブを差し替えたりするなど、配信状況に応じた広告運用が可能になる。

楽天は、実店舗への来店促進キャンペーンなどで、日次の購買実績を確認しながら広告施策を調整できるとしている。また、広告フォーマットやキャンペーンに「楽天ポイント」を活用することで、クリック率や購買転換率の向上も見込めるという。

計測対象となるのは、実店舗で「楽天ポイントカード」を提示して決済した購買実績に限る。また企業側のデータ反映状況によっては、購買実績の計測にタイムラグが生じる場合があるとしている。

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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カゴ落ち・検索の前に勝負が決まる――購買ファネルの早期化に対応せよ。大手ブランドがシフトする「節約ツール×AI」投資の今

3 週間 4 日 ago
カゴ落ち・検索の前に勝負が決まる――購買ファネルの早期化に対応せよ。大手ブランドがシフトする「節約ツール×AI」投資の今matsumura2026年10月1日世界を先読み!日本独占配信 米国でもっとも有名なEC専門メディア『Digital Commerce 360』からの最新記事海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

ノースウェスタン大学のRetail Analytics Councilと、AIショッピングアシスタントを手掛けるMintyが共同で実施した最新調査(2026年9月公表)によると、キャッシュバックアプリやセール情報プラットフォーム、AIを活用したショッピングツールが、従来型広告よりも消費者の購入判断に大きな影響を与えるようになっています。これに伴い、多くの小売企業がマーケティング予算の投資先を根本から見直し始めています。

AI経由の購入拡大で激変するマーケティング予算

AIプラットフォームは、消費者がオンライン上のどこで、どのように買い物をするかに、ますます大きな影響を及ぼしています。それに伴い、小売企業もマーケティングや広告への予算の使い方を変えつつあります。

こうした傾向は、ノースウェスタン大学のRetail Analytics Councilと、AIを活用したショッピングアシスタントを提供するMintyが発表した新たな調査で明らかになりました。キャッシュバックアプリ、セール情報を提供するプラットフォーム、価格比較ツールが、従来型広告やロイヤルティプログラム、リテールメディア、クリエイターマーケティングと比べ、消費者にとって「最も役立つ」チャネルになっていると分析しています。

この調査は、小売企業・ブランドメーカー・オンラインマーケットプレイスのEC意思決定者150人を対象に実施。年間売上高1億ドルを超える企業が98%を占めています。

2027年、主要な集客チャネルは「従来型検索」から「AI」へ

調査結果によると、回答者の79%が「2027年には自社の主要な顧客層が日常的にAIツールを利用するようになる」と予測。また、消費者の購入判断に最も役立つマーケティング手段として、81%がキャッシュバックや節約につながるツールをあげました。ノースウェスタン大学のアソシエイトディレクターであるフランク・ダドリー氏はこう指摘します。

これは単にマーケティング担当者が予算の細かな項目を微調整しているレベルの話ではありません。商品が発見され、顧客に選ばれるプロセスそのものが根本から変化しており、企業はその地殻変動に対応しているのです。

実際、米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』と調査会社Bizrate Insightsが実施した2026年の消費者調査でも、消費者がAIツールを利用する最大の理由は「よりお得な条件やセール情報(お得な商品)を探すこと」であることが判明しています。

ダドリー氏はさらにこう付け加えます。

消費者が価格比較、選択肢の評価、費用対効果の最大化のためにAIを活用するようになり、ブランド側もそれらの意思決定に直接影響を与えるチャネルや機能へ予算を再配分しています。

購買ファネルの早期化に対応する「プロアクティブコマース」の登場

今回の調査では、マーケターの3分の2(約67%)が「2027年にはAIが顧客へリーチするための最も主要な手段になる」と回答しました。その結果、半数以上の企業がキャッシュバックなどの節約施策とAIを組み合わせた運用を始めています。

特筆すべきは、回答企業の50%が「AIエージェントを直接対象としたマーケティング活動」を行っている点です。一方で、「2027年も従来型の検索エンジンが顧客リーチの主要手段であり続ける」と答えた割合は18%にとどまり、ソーシャルメディア(SNS)に期待する割合も13%に低迷しています。

Mintyでは、消費者がAIエージェントを活用して商品を探し始める購買プロセスのごく初期段階からアプローチする手法を「プロアクティブコマース(proactive commerce)」と定義しています。

Mintyの最高マーケティング責任者(CMO)であるロドニー・メイソン氏は、次のように説明します。

「購買における意思決定のタイミングは、ECの購入ファネルにおけるより早い段階へと移動しています。顧客が検索窓で検索したり、クリックしたり、あるいはカゴ落ち(離脱)を起こしたりする前に、消費者本人とその購買を代行するAIエージェントの両方に対して商品の総合的な価値を伝える「プロアクティブコマース」は、すでに市場のトップ企業によって実践されています。今回の回答者の過半数も、2027年までに導入する意向を示しています。

すでにAIプラットフォーム上で初期調査を行う消費者をターゲットにしているマーケターのうち、61%が全体のマーケティング予算を増額する、または既存予算をキャッシュバックや節約アプリへ振り向けていると回答しました。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん、白川久美さん、中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

この記事の筆者

[ 転載元 ] Digital Commerce 360

世界最大級のネット通販業界の専門誌『Digital Commerce 360』(旧『Internet Retailer』)は、雑誌のほか、Web媒体、メールマガジンなどを運営。Vertical Web Media社が運営を手がけている。

Eコマースの戦略に関し、デイリーニュース、解説記事、研究記事、電子商取引におけるグローバルリーダーをランク付けする分析レポートなどを発行している。

matsumura

クラウドECプラットフォーム「メルカート」、かっこの不正検知サービス「O-PLUX Payment Protection」と標準連携

3 週間 4 日 ago
クラウドECプラットフォーム「メルカート」、かっこの不正検知サービス「O-PLUX Payment Protection」と標準連携
メルカートは、かっこが提供する不正検知サービス「O-PLUX Payment Protection」と標準連携を開始。個別開発なしでカード不正利用対策を導入しやすくし、注文時のリアルタイム自動チェックによる業務負荷の軽減にもつなげる。
furukawa2026年10月1日

クラウドECプラットフォーム「メルカート」を提供するメルカートは9月30日、かっこが提供する不正検知サービス「O-PLUX Payment Protection」と「メルカート」がAPI連携による標準連携を開始したと発表した。

「メルカート」を利用するEC事業者は、個別開発なしでカード不正利用対策を導入しやすくなり、注文時のリアルタイム自動チェックによる業務負荷の軽減にもつなげられる。

クラウドECプラットフォーム「メルカート」、かっこの不正検知サービス「O-PLUX Payment Protection」と標準連携
クラウドECプラットフォーム「メルカート」と不正検知サービス「O-PLUX Payment Protection」が標準連携

近年、クレジットカードの不正利用被害額は500億円を超える水準で推移しており、EC事業者にとってセキュリティ対策の重要性が高まっている。ECサイト構築プラットフォームにも、加盟店におけるカード不正利用や悪質転売、なりすましなどへの対応強化が求められているという。

今回の連携により、「メルカート」導入事業者は「O-PLUX Payment Protection」を短期間かつ低コストで導入できるようになる。注文時にAPI経由で不正対策を実施し、リアルタイムで自動チェックする。これにより、従来は担当者が目視で行っていた確認業務の負荷軽減や、運用コストの削減につなげる。

「O-PLUX」は、ECで発生する不正ログインや不正注文をリアルタイムで検知するクラウド型の不正検知サービス。個人情報漏えいやクレジットカードの不正利用、悪質転売などの防止に加え、審査業務の自動化にも対応する。

「O-PLUX」は、多数のECサイトへの導入実績があり、共有ネガティブデータや特許取得の名寄せ技術、ローカライズした審査ロジックなどを活用して高精度な不正検知に対応する。専任コンサルタントとAIを組み合わせることで、新たな不正手口にも柔軟に対応。さまざまなECシステムとの標準連携に加え、CSVアップロードによる簡易導入も可能としている。月額3万円から利用でき、事前にトライアルを実施して効果検証や運用方法の確認も行える。

クラウドECプラットフォーム「メルカート」、かっこの不正検知サービス「O-PLUX Payment Protection」と標準連携
「O-PLUX」のサービスの特徴

連携開始に合わせ、10月1日から12月31日まで、「メルカート」導入事業者を対象としたキャンペーンを実施する。期間中は、「O-PLUX Payment Protection」の導入初期費用を特別価格で提供する。

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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鳥栖 剛

不二家洋菓子店、WEB会員サービス「PEKO SMILE CLUB(ペコちゃん スマイル クラブ)」を開始

3 週間 4 日 ago
不二家洋菓子店、WEB会員サービス「PEKO SMILE CLUB(ペコちゃん スマイル クラブ)」を開始
不二家は不二家洋菓子店のWEB会員サービス「PEKO SMILE CLUB」を開始した。会員向けクーポンの配布に加え、対象5店舗でモバイルオーダーを導入し、今後はLINE連携やポイント制度、独自アプリの展開も進める。
furukawa2026年10月1日

不二家は9月29日、不二家洋菓子店の新たなWEB会員サービス「PEKO SMILE CLUB(ペコちゃん スマイル クラブ)」の運用を始めた。会員向けクーポンの提供に加え、10月1日から対象5店舗でモバイルオーダーを開始する。

今後はLINEミニアプリとの連動や対象店舗の拡大、ポイント制度の導入など、会員向けサービスを段階的に拡充する。

不二家洋菓子店、WEB会員サービス「PEKO SMILE CLUB(ペコちゃん スマイル クラブ)」を開始
不二家洋菓子店のWEB会員サービスではモバイルオーダー機能やクーポン配布を提供

「PEKO SMILE CLUB」は、不二家洋菓子店での買い物をより便利に、楽しくすることを目的とした会員サービス。モバイルサイトをプラットフォームとし、会員登録すると全国の不二家洋菓子店で利用できる限定クーポンなどを受け取れる。

新規登録者向けには、購入金額に応じたクーポンや「不二家のバウムクーヘン」1個のプレゼントを用意する。

不二家洋菓子店、WEB会員サービス「PEKO SMILE CLUB(ペコちゃん スマイル クラブ)」を開始
「PEKO SMILE CLUB」のサイト画面

モバイルオーダーは10月1日に開始する。対象店舗は、都内の「不二家 数寄屋橋店」「Peko chan House サンシャインシティアルタ店」「FUJIYA CONFECTIONERY/milky70 since1951 ららぽーと立川立飛店」「FUJIYA Heart Collection 吉祥寺」と兵庫の「FUJIYA CONFECTIONERY 日生中央サピエ店」の計5店舗。

会員登録後にスマートフォンから事前注文することで、店頭で待たずに商品を受け取れるようにする。

また、対象5店舗ではモバイルオーダーを通じてクリスマスケーキのWEB予約にも対応する。対象商品の予約者にはクーポンを付与する。

今後は会員サービスの機能を順次拡充する。10月下旬ごろからLINEミニアプリとの連動を開始する予定。2027年1月上旬から中旬以降にはモバイルオーダーの対象店舗を順次拡大する。

さらに2027年7月上旬以降には、ポイント制度など会員向けサービスを拡充するとともに、オリジナルアプリの提供開始も計画している。

不二家洋菓子店での購買を起点に、デジタルでの接点やモバイルオーダーなどを組み合わせながら、会員との継続的な接点を構築する。

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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鳥栖 剛

アスクルは何を変えるのか? ランサムウェア被害を経て成松新社長が進める「意思決定」「AI」「物流」改革​​

3 週間 4 日 ago
アスクルは何を変えるのか? ランサムウェア被害を経て成松新社長が進める「意思決定」「AI」「物流」改革​​matsumura2026年10月1日単発記事

アスクルが次の成長ステージに向けて経営体制を刷新、2026年8月6日付で成松岳志氏を代表取締役社長CEOに選任した。成松社長は2007年にアスクルへ入社。BtoBマーケティング、LOHACO、データ活用、デジタルマーケティング、ロジスティクス、事業戦略といった責任者を務め、EC事業のバリューチェーンを幅広く経験してきた人物だ。2025年に発生したランサムウェア攻撃からの復旧を進める一方、中長期ビジョン「Beyond Retail―小売を超えて、働くを革新する―」の実現に向け、新規事業、AI、物流などへの投資を進めているアスクル。成松新社長に、経営体制刷新の狙い、ランサムウェア被害から得た教訓、AI活用、物流戦略、そしてアスクルがめざす次の成長について聞いた。

経営体制を刷新、意思決定の大胆さと速度を高める

2026年5月期の連結業績は、売上高が前期比16.8%減の4001億9900万円、当期純損失は221億5000万円(前期は90億6800万円の黒字)。ランサムウェア攻撃の影響に加え、物流効率の低下、物流拠点の再編、基幹システム関連費用などが響いた。

一方、2027年5月期は売上高4900億円、当期純利益40億円を計画。売上高は前期比22.4%増を見込んでおり、事業の正常化と成長再加速をめざす。

連結業績の推移と見込み(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)
連結業績の推移と見込み(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

こうしたタイミングで実施したのが経営体制の刷新だ。

成松社長は、新社長就任や取締役会の再編について、単なる世代交代ではなく、中期経営計画を実行するための意思決定力を高める狙いがあると説明する。

これから先、今の中期経営計画を実現していくうえで重要なのは、既存ビジネスの延長線上での成長だけではありません。新しい事業への進出も含めて、変革の多いプロジェクトをどう実現するかが問われています。そのためには、意思決定の大胆さと速度を上げることが必要です。今回の経営体制の見直しも、その実行力を高めるためのものです。

取締役会をスリム化したのも、単に人数を減らすことが目的ではなく、変革と成長に向けて、より速く、より本質的な判断ができる状態を作るためです。

アスクルはこれまでガバナンスを強く意識して体制を整えてきました。今後はその土台の上で、成長に向けた意思決定の機動力をより高めていく段階に入ったと考えています。(成松社長)

アスクルの代表取締役社長CEOに就任した成松岳志氏
アスクルの代表取締役社長CEOに就任した成松岳志氏

取締役会は13人から10人にスリム化

今回の経営体制刷新では、取締役会を13人から10人にスリム化した。独立役員が過半を占めるガバナンス体制を維持しながら、変化への対応力と意思決定の速度を高める。

背景にあるのが、2050ビジョンの実現に向けた2035年までのマイルストーン「Beyond Retail~小売を超えて、働くを革新する~」の実行である。

「Beyond Retail」が示すのは、多角化ではなく顧客課題の再定義

アスクルが掲げる「Beyond Retail」は、既存のECや物販事業の周辺領域へ単純に事業を広げる構想ではない。成松社長は「どの顧客の、どのような課題を解決する企業になるのか」を改めて定義する考え方だと説明する。

「Beyond Retail」は、単に物販を超えて何か別のことをやる、という意味ではありません。私たちがこれから、どのようなお客さまに対して、どんな課題を解決していくのか。その大きな方向性を示すメッセージです。

いまアスクルができていることは、必要な商品を購入いただいて、明日届けるという領域です。もちろんこれはアスクルの大きな強みですが、お客さまが将来直面する課題はそこにとどまりません。特に企業のお客さまにとっては、労働力不足がこれからの重要な課題になる。だからこそ、小売を超えて、働くことそのものをどう支えられるかを考えなければならない。

それは人材派遣を行う、転職サービスを始めるといった単純な話ではありません。足りない労働力をどう補うか、今いる人の生産性をどう上げるか、辞めずに働き続けられる環境をどう支えるか。そうした課題に対して、新しい市場を創造することが私たちの挑戦です。(成松社長)

新事業は既存事業であるリテールの「圧倒的な顧客基盤」「売り場から配達までのビッグデータ」「商品力・物流力・営業力」といったアセットを活用し推進していくという(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)
新事業は既存事業であるリテールの「圧倒的な顧客基盤」「売り場から配達までのビッグデータ」「商品力・物流力・営業力」といったアセットを活用し推進していくという(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

中長期ビジョンでは2035年にEBITDAの半分を新規事業領域が占める構想

アスクルが2025年7月に公表した中長期ビジョンでは、2035年にEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の半分を新規事業領域が占める構想を掲げている。2029年5月期までに最大1000億円を投資し、新規事業で売上高200億円、営業利益20億円をめざす。

中期ビジョンについて(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)
中期ビジョンについて(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

既存の物販事業で築いてきた顧客基盤や物流網、データなどを活用しながら、顧客企業が抱える業務や働き方の課題を解決するソリューション領域へ事業を広げる構想だ。

ランサムウェア被害で見えた「技術」と「組織」の課題

アスクルにとって大きな転機となったのが、2025年10月に発生したランサムウェア攻撃だった。事業や物流に大きな影響が及び、復旧には時間を要した。一方で、この危機対応を通じて、サイバーセキュリティだけでなく、組織横断の意思決定や情報共有にも課題が見えたという。

成松社長は復旧の責任者として、商品、ECサイト、調達、物流、受注、コールセンターなどの責任者を毎日集め、復旧状況を確認しながら意思決定を進めた。

今回の件では、お客さまをはじめ多くの方にご迷惑をおかけしました。その反省は大前提としてあります。そのうえで、何が足りなかったのかを直視すると、技術面と組織面の両方に課題がありました。

技術面では、監視のレベル感、そして復旧のためのバックアップ体制がサイバーセキュリティに十分適したものだったかという点です。EDRの刷新や監視体制の強化、バックアップの見直しなど、短期的な技術対応はほぼ完了しています。ただ、攻撃は常に進化するので、守る側のアップデート速度をどう担保するかが次のテーマです。

一方で、もっと本質的だったのは、誰が意思決定のボールを持つのかが曖昧になる領域があったことです。システムの問題でありながら物流でもあり、サービスでもある。そういうテーマに対して、部門横断でどう決めるか。この課題は、危機時だけでなく平時の経営にも通じています。(成松社長)

アスクルが取り組む再発防止策(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)
アスクルが取り組む再発防止策(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

アスクルは2026年3月、全社の情報セキュリティを統括するCISO(チーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー)をCEO直下に設置した。セキュリティを個別の執行部門の機能としてではなく、全社のルールやポリシーを横断的に管理する体制へ見直した。

新体制について(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)
新体制について(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

危機対応の中で構築した組織横断の意思決定プロセスを、平時の経営にも定着

ただ、成松社長が重視するのはセキュリティ体制だけではない。危機対応のなかで構築した組織横断の意思決定プロセスを、平時の経営にも定着させようとしている。

復旧の現場では、毎日40人前後のキーマンが集まりました。1週間後にどのセンターでどこまで状況が戻るのか、出荷能力が何%まで回復するのか、その限られた余力をどのお客さまにどう振り分けるのか。全員が同じ情報を持ち、その場で決めなければ間に合わなかったのです。その時に痛感したのは、この意思決定の速度こそが本来必要な速度だったということ。

ランサムウェア攻撃対応のための臨時運営ではなく、平時の経営にもこのサイクルを実装しなければいけない。今も週3回、全ファンクションが集まり、その場で決める運営を続けています。アスクルはバリューチェーンが長い会社です。だからこそ、縦割りの間に落ちるテーマをなくし、全体最適で動ける状態を日常化することが重要だと考えています。(成松社長)

危機対応で構築した情報共有と意思決定の仕組みを、通常の事業運営にも取り入れる。ランサムウェア被害を経て、アスクルは組織運営そのものの見直しを進めている。

AIは「部分的な活用」から事業の中核へ

成松社長は、アスクルで長くデータ活用やデジタルマーケティングを担当してきた。2014年にはEC店舗運営&ビッグデータ統括部長に就任。その後もデジタルマーケティングやアナリティクス領域を率いてきた。

現在、アスクルが進めるAI活用については、個別業務の効率化から、事業の重要なプロセスを変える段階へ進んでいると見る。

部分的にAIツールを試す段階は、もう越えたと思っています。事業の本丸に入ってきたのは、基幹のコアデータとつながり、重要な業務プロセスをAIベースに置き換えられると社員が実感し始めた瞬間からです。

分析、計画、検証といった工程は、これまでアナリストが時間をかけて行っていたことを、もっと大きな分量で、もっと速く回せるようになります。さらに大きいのは、人間が担ってきた実行プロセスの設計にもAIが入ってきたことです。いま特に急いでいるのは、セールスとマーケティングのAI駆動化です。

お客さまごとに、なぜこの提案をするのか、何を提案するのか、その計画自体をAIが瞬時に作る。提案書の生成まで含めて、お客さま接点の一部をAI駆動ベースに置き換えていく。これは単なる効率化ではなく、顧客価値の作り方そのものを変えるテーマです。(成松社長)

2027年5月期の業績計画では、AI関連投資も織り込む。

営業利益改善では、売上高の回復、粗利率改善、物流費削減などを見込む一方、セキュリティ対策やAI関連投資によるコスト増も計画している。

AI活用について、成松社長が重視するのはECサイト上の自動化だけではない。営業担当者による提案、電話や紙媒体を通じた顧客接点など、デジタル以外も含めたセールス・マーケティングプロセス全体をAIで再設計する考えだ。

BtoB事業では、顧客ごとに異なる購買履歴や事業特性、ニーズを踏まえた提案が求められる。アスクルが保有する購買データや顧客データとAIを組み合わせることで、提案内容の設計から営業活動までのプロセスを変えていく構想がある。

画像はIR資料から編集部がキャプチャ
画像はIR資料から編集部がキャプチャ

物流で重視するのは「最速」ではなく「確実性」

成松社長は2023年にロジスティクス本部長に就任し、ASKUL LOGISTの取締役も務めた。

EC物流では配送スピードが競争力として注目されやすいが、成松社長は特にBtoBにおいては「確実に届くこと」が重要だと考えている。ランサムウェア攻撃後の事業復旧や顧客の利用状況を分析するなかで、その価値を改めて認識したという。

復旧の過程で一番学んだのは、お客さまにとって物流の価値は、単に一番速いことではなかったということです。とくにBtoBでは、最短で今日届くことよりも、「明日必ず届く」と約束できることの方が重要でした。仕事の現場では、「早ければ今日、でも遅ければ明後日」では困るのです。明日絶対に来る。だから明後日の業務に確実に使える。このコミットメントこそが価値だった。

さらにBtoBでは、どこに、どう届けるかという納品品質も非常に重要です。館内ルールや設置場所の制約もある。だから、物流の進化は単にマテハンを入れて効率化するとか、ドライバーを標準化するといったテクノロジーの話だけではありません。その先に、何をお客さまとの約束として設計するのかがまず大事です。

アスクルは「明日来る」を社名に持つ会社として、そのコミットメントに徹底的にこだわり続けたいと思っています。(成松社長)

物流の効率化や自動化を進めながらも、その目的はコスト削減だけではない。

BtoBでは、顧客企業の業務を止めないことが物流サービスの重要な役割になる。指定された日に必要な商品が届くことや、オフィス・施設ごとの納品条件に対応することなど、配送品質そのものが顧客価値につながる。

アスクルは物流を、単なるECのバックエンド機能ではなく、「働く現場」を支えるインフラとして位置付けている。

データ、AI、物流を基盤に「働く」を支える企業へ

アスクルは2027年5月期を、売上回復と構造改革を進め、成長再加速につなげる重要な1年と位置付けている。ランサムウェア攻撃による影響は大きかった。一方で、その復旧過程では、セキュリティだけでなく、組織横断の意思決定、情報共有、物流品質など、今後の経営に必要な課題も明らかになった。

新体制では、既存のEC・物販事業の回復に加え、DX、ウェルビーイング、BPOなどの新規事業領域へ投資する。

AIについては、業務効率化にとどまらず、営業やマーケティング、顧客提案のプロセスそのものを変える可能性を見込む。物流では、配送スピードだけでなく、BtoBの業務を支える納品品質や確実性を競争力として高めていく。

「Beyond Retail」は、こうした取り組みを個別に進める構想ではない。EC、データ、AI、物流という既存事業で培ってきた基盤を活用しながら、顧客企業やそこで働く人が抱える課題へ事業領域を広げる。

アスクルが「Beyond Retail~小売を超えて、働くを革新する~」というマイルストーンをどこまで具体的な事業として形にできるのか。新社長のもとで始まった経営体制の刷新と新規事業への投資が、今後の成長を左右することになりそうだ。

この記事の筆者

[ 執筆 ] 鳥栖 剛

フリーライター
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米Amazonが始めた出品・コンプライアンス・物流の一元管理で「初日からの世界進出」を支援する取り組みとは?

3 週間 4 日 ago
米Amazonが始めた出品・コンプライアンス・物流の一元管理で「初日からの世界進出」を支援する取り組みとは?
米Amazonは、出品、コンプライアンス対応、物流を一元管理し、販売事業者の海外展開を支援する新たな取り組みを発表した。各国ごとに必要だった商品登録や法令対応、在庫管理の負担を減らし、「初日から世界で売る」体制づくりを後押しする。
furukawa2026年10月1日

米Amazonは9月24日、出品、コンプライアンス対応、物流を一元的に管理し、販売事業者の海外展開を後押しする新たな取り組みを発表した。国ごとに商品登録や法令対応、在庫配分を個別に進める必要があった従来の越境販売の負担を減らし、「初日から世界で売る」体制づくりを支援する。

同日から一部機能の提供を開始し、今後数週間から数か月かけて各機能を順次導入する。2027年には、さらに多くの機能をリリースする計画だ。

米Amazonが始めた出品・コンプライアンス・物流の一元管理で「初日からの世界進出」を支援する取り組みとは?
Amazonは「初日から世界で売る」体制づくりを支援

Amazonによると、複数国で販売している出品者の売上高は、1か国のみで販売する出品者と比べて平均70%高い。一方、現在複数国で出品している販売事業者は全体の30%にとどまる。Amazonはその背景として、各国で在庫、法規制対応、商品登録、物流などを個別に管理しなければならず、海外展開に伴う業務が煩雑になっていることをあげている。

各国の販売機会や採算性を1つの画面で確認

こうした課題に対応するため、Amazonは各国の販売機会を一覧で確認できる統合ダッシュボードの提供を拡充する。

対象はまず米国、欧州、日本。年内にさらに対象国を広げる予定で、販売事業者は、どの国で自社商品の需要が見込めるのか、採算性はどうか、販売開始までに何が必要なのかを1か所で確認できるようになる。

商品情報の登録についても、国ごとに繰り返すのではなく、1回の登録をベースに各国へ展開しやすくする構想を打ち出している。

Amazonのシステムが出品時点で販売先候補の国に照らして商品を評価し、商品説明の翻訳、通貨や単位の現地化、国ごとに必要な法令対応の洗い出しなどを自動で進める。要件を満たした商品は、各国向けにローカライズされた状態で展開できるようにする。

米Amazonが始めた出品・コンプライアンス・物流の一元管理で「初日からの世界進出」を支援する取り組みとは?
各国の販売機会を一覧で確認できる統合ダッシュボードのイメージ

AIアシスタント「Seller Assistant」も機能強化

さらに、AIアシスタント「Seller Assistant」の機能も強化する。まずは長期在庫や納品計画に関する支援機能を追加。今後はパーソナライズされたアドバイザーへと発展させる考えで、必要な対応を提案するだけでなく、その理由や各推奨事項の根拠となるデータも示すという。

コンプライアンス対応を「1回の申請」に集約

海外展開における大きな障壁の1つが、国ごとに異なるコンプライアンスへの対応だ。包装や表示、安全試験、成分規制などの要件は国によって異なり、これまでは製造後に販売国ごとに個別対応する必要があった。

Amazonは今回、コンプライアンス対応について、玩具カテゴリーから新たな仕組みを導入した。各国で別々に試験や認証を取得するのではなく、複数国の要件をまとめた単一の仕様書に沿って、1回の申請で複数国の認証要件を満たせるようにする。既存の認証も活用し、すでに証明済みの内容について再試験や再提出を不要にすることで、手続きの重複を減らす。

Amazonによると、試験の一括申請を先行導入した事業者では、コンプライアンスコストが最大60%削減されたという。

この単一申請型の対応は、まず安全性試験が複雑な玩具から開始し、年内に家電やベビー用品にも広げる予定。2027年にはさらに対象カテゴリーを拡大するほか、商品を製造する前の段階で、国ごとの規制要件や対応コストを把握できるようにする方針も示している。

カナダの収納用品メーカーの事例では、各国のコンプライアンス要件の確認と物流をAmazonの仕組みで一元的に進められたことで、複数国への展開に伴う業務の複雑さが減り、中小規模の事業者でも海外展開を進めやすくなったという。

コンプライアンス試験の一括申請のイメージ

物流は「1か所に納品」して複数国へ展開

物流面では、グローバル倉庫・配送の「Global Warehousing and Distribution(GWD)」を軸に、1回の製造ロットを1か所のAmazon運営倉庫に送ることで、複数国への販売に対応しやすくする体制を整える。

これまでは販売国ごとに在庫を分けて送り込む必要があったが、今後は製造地に近いAmazon拠点にまとめて納品し、需要が発生した国へ在庫を振り分けられるようにする。

在庫は各国別ではなく1つの在庫プールとして管理し、実際の需要が生じた時点で必要な国へ移動させる。到着後は各国のFBA拠点に流し込み、現地顧客への配送につなげる。

GWDは現在、米国向けに接続しており、年内には英国、日本、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、カナダを加えた計8か国体制に広げる予定だ。

Amazonによると、GWDを活用した場合、米国内の倉庫・配送サービス「Amazon Warehousing and Distribution(AWD)」と比べて保管コストを最大45%抑えられ、「Fulfillment by Amazon(FBA)」への補充も最大5日短縮できるという。

なおAWDについても、米国以外に欧州、英国、オーストラリアへ展開を広げており、低コストでの一括保管と自動補充の選択肢を拡大している。

Amazonは、販売機会の発見から商品登録、コンプライアンス、在庫・物流まで、これまで国ごとに分かれていた海外販売に伴う業務を一元化することで、事業者がより早く複数国で販売を始められる環境を整える。

「初日から世界で売る」という海外展開のハードルを下げることで、特に複数国への進出に人員やノウハウを割きにくい中小規模の販売事業者にも、グローバル販売の選択肢を広げる狙いだ。

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この記事の筆者

[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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鳥栖 剛

楽天の「違反点数制度」改善と警告メールへの正しい対処法+検索順位・広告アルゴリズム公開の限界と「主要要因」の捉え方

3 週間 4 日 ago

ECを実施している事業者にとって最も身近なECモールであり、売り上げの主軸としているネットショップも多いと考えられる「楽天市場」。運営面において、累積点数によって違約金や契約解除が課される「違反点数制度(ペナルティ制度)」は、一歩間違えればショップの存続に関わる死活問題へと発展するリスクをはらんでいます。ブラックボックス化されがちな「検索アルゴリズム」や「広告運用」に対して、国はどこまでの情報開示を求めているのでしょうか? また、競合店による商品画像やキャッチコピーの「無断転用」が発生した場合、泣き寝入りせずに楽天を動かすための「4ステップの防衛策」とは何か? 国の評価報告書から読み解く「楽天市場」のルール変更の本質と、出店者が備えるべき法務的思考を分かりやすく解説します。

聞き手・執筆:竹内謙礼(経営コンサルタント)

有限会社いろは 代表取締役。大学卒業後、出版社に勤めた後に観光牧場に転職。企画広報担当を経て2004年に経営コンサルタントとして独立。「楽天市場」「ビッダーズ」などで多くのネットビジネスの受賞履歴あり。また、「千葉文学賞」などの小説、エッセイでも数々の受賞暦を持つ。

話し手・椋木エラン氏(メリットパートナーズ法律事務所 弁護士/元経済産業省官僚)

メリットパートナーズ法律事務所で、EC事業者・EC支援事業者の支援に注力。特許や商標、意匠などの出願から紛争まで取り扱っている知的財産関係を専門としている。2022年に内閣官房へ出向、「スマホソフトウェア競争促進法(いわゆるスマホ新法)」の企画・立案に関与。その後、経済産業省に移り、「透明化法」の主にECモール分野における執行・運用に携わった。現在はメリットパートナーズ法律事務所に戻り、EC分野の法務支援に力を入れている。

楽天の「違反点数制度」改善と警告メールへの正しい対処法

竹内氏竹内

「楽天市場」の出店者にとって、違反点数が積み重なっていく「ペナルティ制度」のリスクは、一番の関心事だと言えます。

椋木椋木

「楽天市場」は違反点数の基準を公開しているので、出店者がリスクを可視化できる点は大いに評価すべきポイントです。注目すべきは、点数に応じて違約金が発生する点。契約解除事由に該当する場合や、累積100点といったラインに達してしまうと退店措置が講じられる可能性があるため、出店者にとっては死活問題になります。

竹内氏竹内

過去には、ある日突然、何の前触れもなく利用停止になってしまうことが問題視されている時期もありました。

椋木椋木

国がまとめている最新の評価報告書でも、楽天側が「点数がたまったらいきなり退店させる」というこれまでの仕組みを見直し、手続きを改善していることが明記されています。たとえば、いきなり違反と認定するのではなく、出店者の主張やガイドラインの適用についての言い分を確認することになっています。さらに、アカウント停止といった重い措置を行う際も、イチ担当者の独断で決めるのではなく、関係各部署による合議体において、公正かつ慎重に検討する審査体制が敷かれています。

竹内氏竹内

一方的にバッサリ切られるリスクは減っているんですね。では、実際に楽天から「警告メール」が届いた場合、出店者はどのように対応すればいいのでしょうか。

椋木椋木

まずはパニックにならないことです。店舗には違反認定の前に、事実を説明する機会が実質的に保障されています。ここで一番やってはいけないのは、「申し訳ありませんでした」と感情的な謝罪文だけで物事を済ませてしまうことです。そうではなく、違反の事実があるのであれば速やかに改善対応の検討をすることや、違反に対して反論を行う場合には、メーカーの正規の証明書や取引先とのメール履歴、あるいは商品の成分表など、手元にある客観的な証拠をすべて添付し、理路整然とした「論理的な回答書」を提出することが重要です。客観的な事実に沿って、論理的な弁明を行えば、不当なペナルティは十分に回避することができます。警告メールや警告の通知書に異議申立て先や、送付元が記載されているので、これらの窓口から異議申立てが可能なはずです。

経済産業省が行ったEC事業者向けのアンケート調査によると、「楽天市場」において出品の停止・削除を受けた経験者は6割以上も存在している(2025年度 オンラインモール分野 デジタルプラットフォーム利用事業者 アンケート調査結果より)
経済産業省が行ったEC事業者向けのアンケート調査によると、「楽天市場」において出品の停止・削除を受けた経験者は6割以上も存在している(2025年度 オンラインモール分野 デジタルプラットフォーム利用事業者 アンケート調査結果より)

なぜ全開示されない? 検索順位・広告アルゴリズム公開の限界と「主要要因」の捉え方

竹内氏竹内

“透明化”という観点で言えば、プラットフォームの検索順位や広告枠の優先ロジックが不透明なところがあります。商品の検索順位をどのように決めて、広告の露出頻度をどのような条件で変えているのか、出店者はプラットフォームに対して、その仕組みやアルゴリズムの公開を求めることができるのでしょうか。

椋木椋木

透明化法の義務として公開が定められています。実際、プラットフォームは検索や広告のアルゴリズムの概要については、既に出店者に対して公開しています。ただ、透明化法では、ソースコードや「売上が〇%、レビューが〇%」といった詳細な配分(ウエイト)まで具体的に開示するところまでは、現在のところ明示的に求めていません。

竹内氏竹内

出店者が一番知りたいところですよね。なぜ、詳細なアルゴリズムの開示までは求めないのでしょうか?

椋木椋木

仕組みやアルゴリズムをすべて公開してしまうと、悪意のある業者が検索スパムを行う危険性があるからです。システムをハックするような行為が横行すると、最終的に一般消費者や出店者自身が不利益を被ることになります。そのため、透明化法がプラットフォームに対して強く求めているのは、あくまで販売実績、レビュー点数、配送の早さ、商品ページの充実度といった「主要な決定要因」を明記することに留めています。

竹内氏竹内

これは難しい問題ですね。プラットフォームに「何でも公開しろ」と強く要求してしまうと、巡り巡って自分たちの首を絞めることになりますからね。

椋木椋木

だからこそ、プラットフォームと出店者でコミュニケーションを取りながら、お互いにとって良い落としどころを見つけていくことが大事なのです。

経済産業省が行ったEC事業者向けのアンケート調査によると、商品の順位付けに問題を感じた経験がある割合は「楽天市場」と「Yahoo!ショッピング」で45%を超える。特に「基準が不透明」「他の出品者の商品が合理的な理由なく優位な順位や位置に表示されている」という回答をした人が多いのが目立つ(2025年度 オンラインモール分野 デジタルプラットフォーム利用事業者 アンケート調査結果より)
経済産業省が行ったEC事業者向けのアンケート調査によると、商品の順位付けに問題を感じた経験がある割合は「楽天市場」と「Yahoo!ショッピング」で45%を超える。特に「基準が不透明」「他の出品者の商品が合理的な理由なく優位な順位や位置に表示されている」という回答をした人が多いのが目立つ(2025年度 オンラインモール分野 デジタルプラットフォーム利用事業者 アンケート調査結果より)

泣き寝入りは不要! 画像・ページの無断転用を撃退する「4ステップの防衛策」

竹内氏竹内

ショップ形式をとっている「楽天市場」ならではの問題と言えば、競合店に商品ページの写真やキャッチコピーを模倣されるケースです。このようなトラブルにも透明化法で対処できるものなのでしょうか。

椋木椋木

透明化法のモニタリング会合などの資料では、楽天は競合店による商品画像等の無断転用に関して、通報などの情報を参考にしながら、モニタリングを行い、対処していることが明記されています。

竹内氏竹内

プラットフォームが出店者を保護する観点で言えば、透明化法に則った対処法といえますね。ちなみに、自社の商品ページの画像が競合店に真似された場合、どのようなステップで対応すればいいのでしょうか。

椋木椋木

まず第1ステップとして、「楽天市場」の「店舗運営Navi」などに案内されている「権利者侵害通知窓口」から通報します。第2ステップで、その申告の裏付けとなる客観的な証拠を準備します。単に「真似された」と口頭で主張するだけではなく、同窓口のフォーマットに沿って、オリジナル画像の元データを提出することなどで権利関係の証明を行います。また、追加で対応が必要になった場合に備えて、そのデータの作成日時がわかるPSDファイルや自社が先に公開していた日付の証拠などを保管しておくことも有効です。

「楽天市場」の権利者侵害通知窓口
「楽天市場」の権利者侵害通知窓口

竹内氏竹内

ここでも感情論ではなく、客観的なデータが必要なんですね。証拠が揃ったら、楽天はどのように動いてくれるのでしょうか。

椋木椋木

次の第3ステップとして、楽天の担当部署が模倣したとされる相手方の店舗に対して「出店者から権利侵害の申告があったので、使用権原などの正当な権利を提出してください」と「警告」を行います。そして最後の第4ステップとして、相手方が正当な権利を証明できなかった場合、楽天の判断で該当商品ページを非表示にする措置をとったり、違反点数制度に基づいて厳正にペナルティ点数を加算したりして対処します。

竹内氏竹内

当事者同士で直接対決をしなくても、証拠さえそろっていれば楽天が間に入って強制措置をとってくれるんですね。

椋木椋木

「楽天市場」は証拠に基づいた申告さえ行えば、介入して厳正な措置を講じるフローが確立されています。競合店にページを真似されても泣き寝入りせず、しっかりと証拠を整えて、プラットフォームの公式窓口に通報することをおすすめします。

「自社優遇」のモヤモヤにどう挑む? 公正な競争環境を取り戻すためのデータ収集法

竹内氏竹内

出品者がモヤモヤした気持ちになるのは、プラットフォームが直接販売している商品の検索順位や広告などの優遇措置です。楽天も「楽天ファッション」のような直営店が、一般の出店者が販売する店舗よりも露出が優遇されているように感じる時が多々あります。これらに関しては、たとえば直営店がどのくらいの広告費を使って、検索順位がどのように動いているかなど、プラットフォームの直売や直営店のデータの開示を出店者が求めることができるのでしょうか。

椋木椋木

直営店の優遇に関しては各社スタンスが違います。たとえば楽天とAmazonは明確に「自社優遇はしていません」と明言していますが、LINEヤフーは「当社が認定した優良店および当社のグループ企業ストアに対しては、より多くのお客様にご利用いただけるよう、他の出店者様と異なる提供条件を適用する場合があります」とレポート等で公表しています」

竹内氏竹内

LINEヤフーは潔いですね(笑)

椋木椋木

自社優遇をしていないと明言しているプラットフォームにおいては、本当に自社優遇がないのかということに注視する必要があります。ただ、自社優遇に関しては、具体的にどのように事実を証明すればいいのかが難しいところがあります。たとえば、あるプラットフォームの自社商品が広告枠の上位6枠のうち5枠を占めていることが、直ちに不公正な競争による結果であるのかどうか、また、出店者においても、どのくらいの広告費を使って、どの程度の露出があったのか、さまざまなデータを集める必要があります。

竹内氏竹内

ハードルの高い証明になってきますね。

椋木椋木

構造的な問題を抽象的に訴えても、空想話や被害妄想のような話で終わってしまいます。しかし、きちんと証拠を揃えて訴えることができれば、透明化法に基づいてプラットフォームの透明性の向上を図ることは不可能ではないと思います。たとえば、具体的に自社の広告費を明示し、直営店と自社の広告枠への露出を定期的にチェックして、明確に出店者が公正な競争ができていないとの証拠を集めることができれば、経産省も問題として取り上げる可能性は十分にあるでしょう。証明するハードルは高いと思いますが、そこを正すのが透明化法の使命なので、そういう疑念を持たれる出品者の方は、行動に移す価値はあるでしょう。

経済産業省が行ったEC事業者向けのアンケート調査によると、6~8割の出店者は自社優遇を感じている。3大モールのなかでは、特にAmazonの「データの使用に関する条件などへのアクセス・分析結果の利用」に不満を感じている割合が多い(2025年度 オンラインモール分野 デジタルプラットフォーム利用事業者 アンケート調査結果より)
経済産業省が行ったEC事業者向けのアンケート調査によると、6~8割の出店者は自社優遇を感じている。3大モールのなかでは、特にAmazonの「データの使用に関する条件などへのアクセス・分析結果の利用」に不満を感じている割合が多い(2025年度 オンラインモール分野 デジタルプラットフォーム利用事業者 アンケート調査結果より)

この記事の筆者

[ 執筆 ] 竹内 謙礼

有限会社いろは 代表取締役

竹内 謙礼(たけうち・けんれい)

1970年生まれ。大学卒業後、出版社に勤めた後に観光牧場に転職。企画広報担当を経て2004年に経営コンサルタントとして独立。楽天市場、ビッダーズ等で多くのネットビジネスの受賞履歴あり。また、千葉文学賞等の小説、エッセイでも数々の受賞暦を持つ。

大企業、中小企業のコンサルティングはもちろん、サイドビジネスや起業に対しての販促、営業、人材教育のアドバイスを行い、特に実店舗のキャッチコピー制作とネットビジネスへのコンサルティングには定評がある。また、低価格の会員制コンサルティング「タケウチ商売繁盛研究会」の主宰として、180社近いコンサルティング指導を日々行っている。

販促、企画、会計、投資の書籍執筆の他、新聞や雑誌等でも連載を持っており、ラジオのパーソナリティとしても活躍。商工会議所や企業での講演、企業での人材教育等、経営コンサルタントとして精力的に活動している。NPO法人ドロップシッピング・コモンズ理事長。著書多数(詳しくはこちら)

matsumura

ネッ担 編集後記2026年9月

3 週間 5 日 ago
ネッ担 編集後記2026年9月
ネットショップ担当者フォーラム編集部員の編集後記のページです。大体月末に更新します。
uchiya-m2026年9月30日

毎月、最終営業日に更新する予定のネッ担編集部の編集後記です。こんなメンバーでゆるゆるとネッ担を運営しています。

ネッ担は2026年7月で創刊12周年を迎えました! みなさんご協力ありがとうございます!!

2026年9月の編集後記

瀧川
瀧川

(執筆中)

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藤田
藤田

「鬼武者 Way of the Sword」が気になっています。

画像はCAPCOM「鬼武者 Way of the Sword」のサイトからキャプチャ
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キャラクターデザインがとても好きなので気になりつつ、こういう系のゲームをほとんど遊んだことがないので、最後までやりきれるか……?と思い、一旦体験版を簡単な難易度で少しだけプレイ。今のところ技が決まると爽快感があって面白い! あとムービーが綺麗で迫力があるし、キャラクターのモーションも格好良い。

まだ体験版を最後まで遊んでいませんが、次に欲しいゲームの発売日が来年なので、購入すると思います。

ゲームが好きなので、EC業界の人でゲーム好きな人とゆる~っと遊べる会をやりたいなーと考えています。「興味ある!」という方はご一報いただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

高野
高野

(長期休暇中)

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朝比美帆
朝比美帆

9月上旬に、まだまだ真夏日が続くホットな名古屋へ出張に行ってきました。現地まではジャケットを脱いで半袖で向かい、オフィスに入る前に「暑い、暑い…」と思いながらジャケットを羽織ったのですが、部屋に入ると「あれ?全然涼しくない…というか、暑い!」。

取材の場所がご高齢の顧問が使われている部屋で、ほぼ窓からのそよ風と扇風機で涼をとっていたのです。部屋の中の温度計に目をやると、なんと31℃。外とあまり変わりません。最初は汗が止まらなかったのですが、扇風機のおかげか汗が出切ったのか、1時間ほど経つ頃にはあまり暑さを感じない体質になっていました。ちょっと危険だったかもしれませんが…。

帰りの名古屋駅で少し時間があったので、自分の優れた嗅覚で迷うことなく好みの居酒屋を探し当て、ハッピーな乾杯セットを注文。キンキンのビールがしびれるほど五臓六腑に染みわたり、もずく酢で暑さによる疲れが一気に吹き飛びました。さすがホットな名古屋、暑さにやられた吞兵衛の気持ちをよく分かってくださるセットに感銘を受けました。

えびふりゃー、もずく酢、枝豆、刺身、生ビールという最高に満足でお得な乾杯セット
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鳥栖 剛
鳥栖 剛

9月から編集後記も担当することになりました、ライターの鳥栖です。これまでEC・通販業界で取材や執筆の仕事をしてきました。初回なので、まずはごあいさつまで。これからよろしくお願いします。

今月は「おいしすぎる」とネットでバズった大阪の「マクドナルド庄内店」に行ってみました。同店は、ラジオパーソナリティのジェーン・スーさんが2022年に絶賛したことで一部で話題に。昨年ごろから再び注目を集め、実食検証の記事なども多くアップされてバズりました。

「気になる!」とずっと思ってはいたものの、東京在住で最近は大阪出張もあまりなく、なかなか行く機会に恵まれず……。今回、私用で関西に行った際、時間があったので行ってみました。

お店は梅田から阪急電車に揺られること約10分。豊中市の庄内駅東口を出てちょっと歩いて角を曲がるとあります。ネットでは小型店ということもあって、混雑しているという情報も見かけましたが、実際に行ってみた平日の夕方は空いていました。

「マクドナルド庄内店」の外観。庄内駅から徒歩2分くらいでした。

「揚げ物が特においしい!」と評判だったので、フィレオフィッシュのセットとナゲットを注文。実際に食べてみると、ポテトとナゲットが確かにサックサク・・・!いつも食べているマクドナルドとは違う気がしました。・・・ただ、私の貧相な舌ではフィレオフィッシュは違いがイマイチわからず……(バンズはフワッフワだったような気はしました)。

ポテトはSサイズに。最近はMサイズを食べきれなくなってしまいました…

一度は食べてみる価値はあるかなと思いました!関西圏の方など、まだ食べたことがない方は、ぜひ食べ比べてみてください~。

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安田
安田

夏の暑いタイミングで、おいしいフルーツパフェを食べにいってきました。お店は「観音山フルーツパーラー銀座店」さん。和歌山県の果実農家の観音山フルーツガーデンさんがやってるお店です。

いただいたのは、桃のパフェと、

スイカのパフェ。

どちらも超絶品でした。本家を訪れるために和歌山に行きたくなったぐらいです。

ステキな果物とパフェは人を幸せにしてくれますね。

今月のお猫さまは、手を伸ばしてゆったりの茶柱さん。

Web担当者Forumの編集後記もみる

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ネットショップ担当者フォーラム編集部

しまむらと「ドラゴンクエスト」がコラボ。全国の実店舗で販売

3 週間 5 日 ago
しまむらと「ドラゴンクエスト」がコラボ。全国の実店舗で販売
税込5000円以上購入するごとにオリジナルショッパーを進呈する。巨大な「スライム」などの店舗限定オブジェや大阪でのPOP UP STOREも展開する
ohshima2026年9月30日

しまむらは10月7日から、全国の「ファッションセンターしまむら」店舗で「ドラゴンクエスト」とのコラボレーション商品を販売すると発表した。

商品販売に加え、ノベルティプレゼントやSNSキャンペーン、POP UP STORE(ポップアップストア)の実施など、さまざまな企画を予定している。

 しまむらは「ドラゴンクエスト」とのコラボレーション商品を販売
しまむらは「ドラゴンクエスト」とのコラボレーション商品を販売する

コラボレーション商品は、人気モンスターや象徴的なアイコンをあしらった衣料品からインテリア雑貨まで展開する。商品カテゴリは、メンズ・レディース、キッズ、雑貨、寝具・インテリア。販売時には整理券を配布し、番号順に案内する。実施する各種キャンペーンは次の通り。

  • 店舗購入者キャンペーン:しまむら店舗で「ドラゴンクエスト」コラボ商品を含む税込5000円以上を購入するごとに、オリジナルショッパー(全2種)を1枚進呈。1会計につき最大2枚までで、なくなり次第終了する。
  • アプリ会員キャンペーン:しまむら公式アプリ「しまむらパーク」では、「会員特典応募券」で交換できる「ドラゴンクエスト」オリジナル壁紙全3種を用意する。詳細は公式アプリで順次告知する。
  • SNSキャンペーン:しまむら公式Xアカウントでは、抽選で40人に景品が当たるプレゼントキャンペーンを実施する。詳細は公式Xアカウントで順次告知する。

一部店舗では、幅約2mの巨大な「スライム」や「ロトのつるぎ」などのオブジェを設置する。「さいたま新都心店」には、「はぐれメタル」や「ドラキー」などのモンスターのオブジェも登場する。設置期間は10月7日~11月1日。

また、今回のコラボレーションを記念し、期間限定の「POP UP STORE」でも「ドラゴンクエスト」コラボ商品を販売する。開催期間は10月7日~13日。開催場所は大阪市阿倍野区の「and(アンド)」3階で、営業時間は10時~20時。クレジットカードやバーコード決済などのキャッシュレス決済に対応し、現金決済はできない。詳細はInstagramのしまむら公式アカウントで随時配信する。

「ドラゴンクエスト」について

「ドラゴンクエスト」シリーズは、プレイヤー自身が主人公となるロールプレイングゲーム(RPG)。1986年発売の「ドラゴンクエスト」から2017年発売の「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」まで本編11作品を展開する。「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズなどを含め、100を超えるタイトルを生み出し、全世界でシリーズ累計9700万本以上の出荷・ダウンロード販売を達成している。

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この記事の筆者

[ 執筆 ] 大嶋 喜子

フリーライター

岐阜、富山、石川、福井、神奈川、LosAngels、山形を経て東京にたどり着き、現在は日本とアメリカの二拠点生活を営む生粋の“根無し草”。またの名を“ちいさなMADE IN JAPAN”。

新卒入社のEC運営会社にてレディースアパレル・宝飾バイヤーとして月商1億を突破。その後、同社内でクリエイティブ部門コピーライターに転身し、プランナー・ディレクターを経て独立。

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大嶋 喜子

ecbeing、早稲田大学、中川政七商店がAIによる「仮想ユーザープログラム」の産学共同研究

3 週間 5 日 ago
ecbeing、早稲田大学、中川政七商店がAIによる「仮想ユーザープログラム」の産学共同研究
ecbeingは早稲田大学、中川政七商店と、AIを活用した「仮想ユーザープログラム」の産学共同研究を開始する。顧客データをもとに構築した仮想ユーザーで施策効果を事前にシミュレーションし、次世代のEC・小売マーケティングの実用化をめざす。
furukawa2026年9月30日

ecbeingは9月29日、早稲田大学、中川政七商店とAIを活用した「仮想ユーザープログラム」の実用研究開発に関する産学共同研究を開始すると発表した。

顧客の行動・購買データを基に、実際の顧客の特長や行動傾向を再現した「仮想ユーザー」を構築し、マーケティング施策やコンテンツに対する反応を事前にシミュレーションする仕組みの研究を進める。

顧客データをもとに構築した仮想ユーザーで施策効果を事前にシミュレーションする

EC・小売業界では、オンライン、店舗、アプリなど顧客接点の多様化に伴い、取得できるデータ量が増えている。一方で、データを蓄積・分析しても、「この顧客に何を提案すべきか」「どの施策やコンテンツが効果的か」といった具体的な判断につなげるのは容易ではない。

共同研究では、AI上に実在顧客の特徴を反映した仮想ユーザーを構築し、施策を実行する前に仮想空間で反応をシミュレーションするアプローチを検証する。

実在顧客の特徴や反応傾向をAI上に再現

研究ではまず、顧客の購買履歴や行動データを基に、実在顧客の特長や反応傾向をモデル化した仮想ユーザーを構築する。

従来の定性的なペルソナにとどまらず、実際の顧客データとの比較を通じて、仮想ユーザーが現実の顧客の特長や反応をどの程度再現できるかを検証する。

その上で、構築した仮想ユーザーに複数のマーケティング施策を仮想的に実施し、「誰に、何を、いつ提案することが効果的か」をシミュレーションする。

単に購入確率の高い顧客を予測するのではなく、施策や訴求内容によって顧客の反応がどのように変化するのかまで捉え、マーケティング施策の意思決定に活用できるかを検証する。

商品訴求やコンテンツのパーソナライズも研究

さらに、仮想ユーザーの特長やシミュレーション結果を基に、顧客1人ひとりに適した商品訴求やコンテンツ、接客内容を生成する仕組みも研究する。

メール、Webサイト、アプリなど複数の顧客接点で、興味・関心や購買状況に応じてパーソナライズしたコミュニケーションを実現することをめざす。

仮想空間での予測を実際の顧客反応と比較

研究成果は、実際の顧客反応と比較して検証する。仮想空間で高い効果が見込まれた施策と、実際に展開した施策の結果を照らし合わせることで、仮想ユーザーによる予測が現場のマーケティングにどこまで活用できるかを検証。実用化に向けた可能性と課題を明らかにする。

共同研究は約半年間を予定している。

ecbeingは、これまでの「データを分析して施策を考える」マーケティングから、AI上の仮想ユーザーを活用して「施策を実施する前に試す」マーケティングへの進化をめざすとしている。

将来的には、「顧客データ→仮想ユーザーによる顧客理解→施策シミュレーション→パーソナライズコンテンツ生成→実際の顧客反応による検証」という一連のサイクルを構築し、マーケティング担当者の意思決定をAIが支援する環境の実現を視野に入れる。

3者がそれぞれの知見を持ち寄り

今回の共同研究では、3者がそれぞれの知見を生かして役割を担う。

早稲田大学はデータ科学センターが中心となり、データサイエンスやAIに関する学術的知見をもとに、仮想ユーザーや予測モデルの研究開発、アルゴリズム設計、学術的観点からの評価を担当する。

中川政七商店は、ECサイト上の行動・購買データに加え、店舗での購買データも提供する。顧客や商品に関する知見を生かしたモデル評価や、ECサイト上での施策実行・検証を担う。

ecbeingは、EC・デジタルマーケティングの知見を生かし、プロジェクトマネジメント、統合DWH/CDPなどのデータ基盤構築、システム実装・連携、研究成果のEC業界への還元を担当する。

AIとデータサイエンスに加え、中川政七商店が持つ小売業としての知見や顧客に対する理解を組み合わせることで、単なる業務効率化ではなく、顧客1人ひとりに合わせた次世代のEC・小売マーケティングの実現可能性を探る。

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この記事の筆者

[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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鳥栖 剛

イーマーケッターが30周年

3 週間 5 日 ago

イーマーケッターが30周年。このブログでも200件以上の記事で引用している。

EMARKETER
https://www.emarketer.com/

Kenji

大手楽器専門店の池部楽器店がECをリプレイス。会員制サブスク「イケベプライム」を構築、EC・サブスク・中古買取をシングルIDで統合

3 週間 5 日 ago
大手楽器専門店の池部楽器店がECをリプレイス。会員制サブスク「イケベプライム」を構築、EC・サブスク・中古買取をシングルIDで統合
池部楽器店はECサイトをリプレイスし、会員制サブスク「イケベプライム」を構築した。EC、サブスク、中古買取の顧客データを単一IDで統合し、「買う・楽しむ・売る・また買う」という顧客循環を支える基盤を整えた。
furukawa2026年9月30日

大手楽器専門店の池部楽器店はこのほど、ECサイトをリプレイスし、会員制サブスクリプションサービス「イケベプライム」を構築した。あわせて、EC、サブスク、中古買取サービス「イケベリユース」の顧客データを単一IDに統合。「買う・楽しむ・売る・また買う」という顧客循環を設計できる基盤を整えた。

大手楽器専門店の池部楽器店がECをリプレイス。会員制サブスク「イケベプライム」を構築、EC・サブスク・中古買取をシングルIDで統合
池部楽器店はECサイトのリプレイスとサブスクサービス「イケベプライム」を構築した

池部楽器店は1975年創業の楽器専門店。渋谷の旗艦店をはじめ、池袋、秋葉原、大阪など全国の都心部に約30店舗を展開する。

バンド楽器市場で商品のコモディティ化が進むなか、商品を並べて販売するだけでは、顧客に選ばれ続けることが難しくなっていたという。こうした環境変化を受け、池部楽器店は一度の販売で終わらない継続的な顧客関係の構築を模索してきた。

単発の物販に依存せず、顧客との継続的な接点をつくるため会員制サブスクサービスを構想したものの、従来のシステムでは仕様が固定されており、実装が難しかったという。また、中古買取サービス「イケベリユース」はメールを中心に査定依頼を受け付けており、ECサイトと顧客データが分断されていた。

そこで今回、ECサイトのリプレイスとサブスクサービスの構築を実施。音楽を楽しむ体験や情報提供を通じて顧客との接点を維持し、LTV向上につなげることをめざした。

ECサイトのリプレイスにあわせ、メディア化も進めた。楽器はテキストや写真だけでは音のニュアンスや演奏感を伝えにくい商材であることから、ECサイト内に動画やライブ、レッスン情報などのコンテンツを組み込み、楽器選びを支援する構成とした。スタッフが商品の魅力を紹介する記事から商品購入につなげる導線も整備した。

大手楽器専門店の池部楽器店がECをリプレイス。会員制サブスク「イケベプライム」を構築、EC・サブスク・中古買取をシングルIDで統合
リプレイスしたECサイトには動画やライブ、レッスン情報などのコンテンツを組み込んだ

「イケベプライム」では、会員限定動画の視聴権限管理や、会員ステータスに応じた特典の自動適用などを実装した。従来のシステムでは難しかった自社独自の会員サービスを実現した。

大手楽器専門店の池部楽器店がECをリプレイス。会員制サブスク「イケベプライム」を構築、EC・サブスク・中古買取をシングルIDで統合
「イケベプライム」では、会員限定動画の視聴権限管理や、会員ステータスに応じた特典の自動適用などを実装

中古買取の導線も見直した。従来、「イケベリユース」はメールを中心に査定依頼を受け付けていたため、ECサイトとのデータ連携が分断されていた。新たな仕組みでは、マイページから写真や商品情報をアップロードして査定を依頼できるようにし、ECサイト内で手続きを完結できるフローへ刷新した。これにより申し込みの負担を軽減。現在では数千件規模の相談が寄せられているという。

また池部楽器店は、EC、「イケベプライム」、中古買取サービス「イケベリユース」の顧客行動を1つの基盤に統合した。ECで購入した顧客、サブスク会員、中古買取の利用者に共通IDを付与し、同一顧客として把握できるようにした。

大手楽器専門店の池部楽器店がECをリプレイス。会員制サブスク「イケベプライム」を構築、EC・サブスク・中古買取をシングルIDで統合
EC、サブスク、中古買取サービスの顧客データを単一IDに統合

これにより、どのコンテンツを見た人がどの商品を購入したのか、買取利用後にどのような商品に関心を示したのかといった行動を横断して分析できるようになった。「買う・楽しむ・売る・また買う」という顧客の行動を一連のものとして捉え、継続的な顧客接点の構築につなげる。

大手楽器専門店の池部楽器店がECをリプレイス。会員制サブスク「イケベプライム」を構築、EC・サブスク・中古買取をシングルIDで統合
「買う・楽しむ・売る・また買う」の循環の実現をめざす

お客さまと単発の関係から抜け出し、LTVを最大化する視点が必要だった。会員限定動画の視聴権限の管理や、会員ステータスと特典をひもづけて自動適用する仕組みなど、自社のビジネス要件に合わせて柔軟に構築できる環境が不可欠だった。今回、めざしていた会員制サブスクサービスを形にすることができた。楽器を買うことがゴールではなく、そこから音楽のある暮らしが始まり、使わなくなった楽器は売って、また新しい一本と出会う。「買う・売る・楽しむ」がシームレスにつながったことで、スタッフの熱量や専門知識をお客さまへ届ける土台が整った。(池部楽器店 担当者)

池部楽器店の基盤整備を支えたのが、W2のコマースプラットフォーム「W2 Commerce」だ。池部楽器店は同基盤を採用し、EC、サブスク、中古買取を横断する顧客体験を再設計した。

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[ 執筆 ] 鳥栖 剛

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ECマーケットプレイス構築のSaaSプラットフォームのMirakl、AIで商品登録を自動化する「Catalog Transformer」の日本語対応をスタート

3 週間 5 日 ago
ECマーケットプレイス構築のSaaSプラットフォームのMirakl、AIで商品登録を自動化する「Catalog Transformer」の日本語対応をスタート
MiraklのAIを活用した「Catalog Transformer(カタログトランスフォーマー)」の日本語カタログ対応機能は、セルフサービス型の登録フローや複数セラーへのルール適用により、カタログ管理の人員体制を大幅に増員せず、商品データの取り込みを支援する。
ohshima2026年9月30日

ECマーケットプレイス構築のSaaSプラットフォームを提供するMiraklは9月29日より、AIを活用した「Catalog Transformer(カタログトランスフォーマー)」の日本語カタログ対応機能の提供を正式に開始した。

MiraklのAIを活用した「Catalog Transformer(カタログトランスフォーマー)」の日本語カタログ対応機能
MiraklはAIを活用した「Catalog Transformer」の日本語カタログ対応機能の提供を開始した

「Catalog Transformer」は、ECマーケットプレイス構築SaaSプラットフォーム「Mirakl」の有料プランに含まれる機能。商品登録やデータ整備をAIが自動化し、商品データの品質やガバナンスを維持しながら、商品ラインナップの拡大や市場投入までの時間短縮、セラーのオンボーディング、商品データの構造化、越境展開を支援する。特長は次の通り。

商品登録フローに組み込んだ自動化機能

「Catalog Transformer」は、セラーの商品登録フローに直接組み込んでいる。セラーが商品カタログを「Mirakl」にインポートすると、各オペレーターの定めた商品カテゴリーや属性の定義に沿って、カテゴリー分類、属性情報の抽出、商品タイトルと説明文のリライト、必要に応じた日本語への翻訳までを自動的に行う。

変換・翻訳されたデータは、オペレーターが設定した受け入れルールや検証ワークフローに組み込み、最終的な商品承認までのプロセスに接続できる。手作業によるデータ整備や外部翻訳サービスへの依存を減らし、商品登録・レビューにかかる負荷を軽減する。

運用負荷を抑えながらセラーや商品ラインナップを拡大

商品登録・データ整備をAIで自動化することで、オペレーターの運用負荷を抑えながら、セラーや商品ラインナップの拡大を支援する。セルフサービス型の登録フローを提供することで、カタログ管理の人員体制を大幅に増員することなく、より多くの商品データを取り込むことができる。

オペレーターのルールを複数のセラーに一貫して適用

オペレーターは、商品カテゴリーや属性の定義、運用ルール、ガバナンス要件を設定できる。「Catalog Transformer」は、それらを複数のセラーに一貫して適用し、日常的な作業の自動化を支援する。これにより、確認が必要なケースにレビューを集中しやすくなる。

ルールに沿って商品データを自動で整備

「Mirakl」のAIエンジンは、商品タイトルや説明文のリライト、商品のカテゴリー分類、テキストや商品画像からの商品情報の抽出を支援する。また、文字数制限や使用制限語など、オペレーターが設定したルールに沿って商品情報を処理し、商品データの品質維持を支援する。

商品登録にかかる時間を短縮

商品データを各マーケットプレイスの登録形式に合わせる作業や翻訳を承認フロー内で自動化し、手作業による確認や修正の繰り返しを減らす。新しい商品をより効率的に登録し、市場投入までの時間短縮を支援する。

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この記事の筆者

[ 執筆 ] 大嶋 喜子

フリーライター

岐阜、富山、石川、福井、神奈川、LosAngels、山形を経て東京にたどり着き、現在は日本とアメリカの二拠点生活を営む生粋の“根無し草”。またの名を“ちいさなMADE IN JAPAN”。

新卒入社のEC運営会社にてレディースアパレル・宝飾バイヤーとして月商1億を突破。その後、同社内でクリエイティブ部門コピーライターに転身し、プランナー・ディレクターを経て独立。

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