LINEヤフーはYahoo!ショッピングの2025年度実績(注文者数10%増、取扱高8%増)と、LINE連携・AI活用・出店プラン改定を軸にした2026年度戦略を明らかにした。
LINEヤフーが実施した「Best Store Awards 2025(ベストストアアワード)」の表彰式で、コマースドメイン ショッピングSBU統括本部長の杉本務氏が登壇し、「Yahoo!ショッピング」の2025年度の振り返り、2026年度の成長戦略を説明した。
LINEヤフー コマースドメイン ショッピングSBU統括本部長の杉本務氏 2025年の「Yahoo!ショッピング」は、「マーケティング強化」や「購買体験改善」が奏功。注文者数が前年比10%増、取扱高は同8%増とEC市場を上回る成長を達成した。2026年度は、
LINE連携の本格化 AIエージェントの導入 出店プランの大規模改定(有料化) の3つを軸に、事業モデルの転換を進める方針を示した。
杉本本部長は2026年度を「大きな変革とチャンスの年」と位置付け、ECのパラダイムシフトに対応する戦略を進めるとした。
2025年度の振り返り:注文者数110%、取扱高108%と市場を上回る成長 杉本本部長は2025年の実績について、注文者数が前年比10%増、取扱高が同8%増と、EC市場全体の成長が鈍化する中でも堅調に伸長したと説明。新規ユーザー数は同18%増、ヘビーユーザー数も同10%増となり、顧客基盤の拡大も進んだという。
杉本本部長は「近年のECの自然成長を上回る成長ができた」と評価。特に、期間限定ポイントを付与し失効日を起点に購買を促す仕組みが機能し、マーケティング構造の改革につながったとした。
「期間限定ポイント×大型販促×商品訴求」で成長 成長の要因として杉本氏は、「マーケティング強化」と「購買体験改善」の2点をあげた。
「PayPay」ポイント施策では、期間限定ポイントを中心としたマーケティングを強化。失効日を起点とした購買行動が定着し、注文数が通常の約3.5倍に伸びるケースもあったという。
PayPayポイント施策や大型販促などに取り組んだ また、ポイント獲得数に応じたランク制度や「ヤフーショッピング感謝デー」も導入。大型販促では「山を作る戦略」が機能し、ブラックフライデーの売り上げは前年比163%増となった。商品訴求の強化では、平常時でも売り上げが数千%伸びる事例があったと説明。「主役は商品でありストア」と強調した。
機能改善と安全対策を推進 出店者向けでは、ストアツールのUI/UX改善を進めた。2025年度は主な改善としてユーザー向けには、ストア内検索のモール検索統合(7月)、レビューアッププログラム(10月)、ストア内回遊の促進(12月)を実施。出店者向けには、在庫・価格の同時編集(3月)、SKUごとの価格管理(6月)、SKUごとの配送グループ設定(11月)などを実施した。
ユーザー向け、出店者向けの改善項目一覧 安全・安心の強化では、実態のない架空注文の排除に向けたガイドライン設定とパトロールを強化。ヘアケアブランドやゴルフブランド、浄水カートリッジ、ワイヤレスイヤホンなどを対象にブランド審査・取り扱い審査を強化し、模倣品・偽造品の排除を徹底したという。不正な配送設定の排除や配送伝票番号の必須化により、配送対応の透明性も高めたとしている。
架空注文の取り締まりや模倣品・偽造品の排除などに取り組んだ 2026年度の戦略:「LINE連携」「AIエージェント」「出店プラン改定」でパラダイムシフト 杉本本部長は2026年度を「大きな変革とチャンスの年」と位置付け、「LINE」との連携拡大とAI活用を軸に成長を加速させる。2013年の「eコマース革命」以来となる出店プランの大規模改定(有料化)も実施し、ビジネスモデルを転換する。
有料化のタイミングについて、「AIの変化が目まぐるしく、ECの形が変わる危機感と大きなチャンスが同時に来ている」(杉本本部長)と説明。2026年度をパラダイムシフトのタイミングと捉え、新たなビジネスモデルへ転換するとした。
LINEショッピングタブで「ながら買い」需要を取り込み 4月以降、LINEアプリのタブに「ショッピング」を新設し、「Yahoo!ショッピング」の商品も順次掲載していく。目的買いが中心の「Yahoo!ショッピング」に対し、雑誌を見ながら欲しい商品に出会うような「ながら買い」を提供する提案型の売り場と位置付ける。杉本氏は、ここから流入するユーザーの約90%が新規顧客になるとの見通しを示した。
LINEショッピングタブのイメージ 出店者側の対応について、「特別な手続きは不要で、『Yahoo!ショッピング』に出店しているストアの商品は順次掲載される」(杉本本部長)と説明。LINEのタブは「買い物目的で訪れる場ではない」(同)とした上で、ユーザーにマッチする商品を選定して掲載し、4月以降はトライアンドエラーを重ねながら最適化していくという。なお、LINEギフトの商品もショッピングタブに掲載される予定。
LINE経由で獲得した新規顧客のリテンション施策として、LINE公式アカウントを活用したメッセージ配信などによりエンゲージメントを高め、LTV(顧客生涯価値)の最大化を図る方針を示した。
AIエージェントで購買体験と店舗運営を刷新 AI活用では、ユーザー向けと出店者向けの2種類のAIエージェントを用意する。
AIエージェントで購買体験と店舗運営を刷新 ユーザー向けAIエージェントがすでにスタート ユーザー向けでは「Yahoo!ショッピングエージェント」がすでにスタート。AIがユーザーの行動や過去の履歴などを把握し、「商品は決まっていないが何か欲しい」といった曖昧な検索でも対話型で最適な商品を提案する。また外部の生成AI(OpenAIなど)経由での購買体験も視野に入れており、生成AIからの流入を新たな広告モデルとして提供することも検討しているという。
「Yahoo!ショッピングエージェント」のイメージ AI経由のトラフィックの量や質については「現時点で極端に多いわけではない」(杉本本部長)としつつ、AI経由ユーザーの購買意欲やコンバージョンはポジティブな数字が出ていると説明した。
また、外部の生成AI経由の買い物と「Yahoo!ショッピング」内蔵AIによる買い物の違いについては、外部AIではユーザー自身が前提条件を入力する必要がある一方、「Yahoo!ショッピング」内のAIは行動履歴や購買データを把握しているため、「説明不要」で提案を受けられる点が強みだとした。
出店者向けには「Yahoo! EC Pilot」を提供 出店者向けには「Yahoo! EC Pilot」を提供する。既存の「マニュアル検索」「競合商品比較分析」「広告分析」「販促分析」に加え、問い合わせ回答案の作成、画像生成や白抜き加工、LINE配信結果の分析と文面作成などの機能を追加し、業務効率化と売上向上を支援する。
ストア向け「Yahoo! EC Pilot」の活用イメージ 13年ぶりに出店プランを有料化 「Yahoo!ショッピング」ではLINE連携やAI強化などサービス拡張に伴う変化を見据え、9月から出店プランを大規模に改定する。初期費用は無料のまま、月額システム利用料を無料から税別1万円に設定、売上ロイヤリティも無料から2.5%とする。一方で、従来のキャンペーン原資負担(1.5%)は廃止。また任意のプロモーションパッケージは3%から2%へ引き下げる。
加えて、LINEショッピングタブ経由の売り上げに対し、カテゴリに応じて2~4%の「経由料金」を新設。外部AI経由などによる新たな広告モデルについても、LINEショッピングタブと同様の構造を想定し、提供を検討しているという。
新プランへの反応について「全体の7割近くが中立・ポジティブ」(杉本本部長)と説明。固定費が発生するため厳しい意見もあるとしつつ、LINEやAI連携による成長に期待して欲しいとした。
なお、手数料有料化によって出店者を整理する意図は「全くない」と否定し、総合モールとして幅広いSKU(品ぞろえ)を維持する方針に変わりはないとした。
アフィリエイト刷新、レビュー返信、販促機能の拡充 そのほかの施策として、SNSを活用した集客を強化するため「Yahoo!ショッピングアフィリエイト」も刷新する。報酬発生条件を厳格化(クリック後24時間以内のカート投入など)する一方、料率は最大52%(基本2~4%+特別0~48%)に引き上げる。
機能面では、出店者から要望の多かった「商品レビューへの返信機能」を2月にリリースした。販促機能としては、4月に「1人1注文限定販売」、6月に「まとめ割」、7月に「LINEターゲティング配信」の強化、8月に「特定地域送料設定」機能の提供を予定している。
今後の機能改善や追加の予定 出店者が今後、「Yahoo!ショッピング」でどう戦うべきかについては、総合モールとして幅広い品ぞろえを提供する方針は変わらないとした上で、「レビュー」を活用した商品開発や、LINE公式アカウントを活用したLTV最大化によるROAS改善に取り組んで欲しいと呼びかけた。
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ネットの情報やAIは、「平均的な正解」は教えてくれます。ただ、その場の空気、人の感情、予想外の行動までは計算することができません。
マーケティングも同じで、データ分析や市場調査で大枠は見えても、「実際のお客さまの反応」は、現場でしかわからないことが多いですよね。効率を重視すればするほど、体験を省略したい気持ちになるのですが 遠回りのなかにしか見えない発見もあるということ。
マーケティングの原点は、やっぱり「現場」なのかもしれません。