現代のSEOでトラフィックを集めるには、何が大切なのか? リンク? メンション? コンテンツ? 「低品質ページを大量削除」して検索トラフィックを伸ばした事例を紹介する。
それ以外にも、今週も純SEOネタがたっぷり。「lazyloadの功罪」「Wikipediaの改革」「CDNの障害でSEOに影響?」「大手メディアのおかしな情報にだまされるな」などなど、しっかり学んでほしい。
2ページ目にはAI系のネタをまとめている。こちらもぜひチェックしてみてほしい。
- 現代のSEOは量より質、低品質1000ページ削除で検索トラフィック爆上げ事例
- 行き過ぎたレイジーロードはUXを悪化させる
- ウィキペディアがモバイル専用URLをついに廃止、PCサイトと共通URLに
- クラウドフレアの大規模障害は、検索ランキングにダメージを与えたのか?
- グーグル検索の利用者数は減っていない! 大手新聞社の誤報に惑わされるな
- LLM向けのMarkdownやJSONでのコンテンツ提供は効果があるのか?
- 最先端「Gemini 3」がグーグルAIモードで利用可能に
- 低品質AIコンテンツを人間が作り直せば、グーグルはきちんと評価してくれるか?
- ただ乗りは許さない! 大手パブリッシャーが実践する厳格なAIボット選別戦略
- GBPの投稿に2つの新機能: スケジュールと複数投稿
- Google検索インフラへのAI統合、GEOもAIOも必要ない — #SearchCentralLive Tokyo 2025 より
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今週のピックアップ
現代のSEOは量より質、低品質1000ページ削除で検索トラフィック爆上げ事例
徹底的なコンテンツ監査に基づく (Stefan Mustieles on LinkedIn) 海外情報
「内容が古く」「サイトのテーマに沿っておらず」「価値が低い」コンテンツをサイトから1,000ページ以上ごっそり削除したところ、検索トラフィックが劇的に増加したという事例がリンクトインに投稿された。
徹底的なコンテンツ監査を実行し、サイトの核となる価値提案に合致しないものはすべて削除したそうだ。リダイレクトもリライトもページ統合もしていない。
コンテンツは量よりも質が重要だとこのコラムで幾度もお伝えしてきたが、それをまさに体現した事例だ。この事例では、コンテンツ品質を徹底的に監査したいうことも強調しておきたい。どのページが必要でどのページが不要かは慎重に判断しなければならない。
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グーグル検索SEO情報①
行き過ぎたレイジーロードはUXを悪化させる
適切に使用することが重要 (Noel Ceta on X) 海外情報
Lazy loading(レイジーロード: 画像や動画などの要素を遅延読み込みさせる仕組み)はページの初期読み込み速度向上に効果的だ。しかし、必ずしもそうとはいえない。不適切な実装は逆に表示速度を悪化させる。
あるSEOコンサルタントがレイジーロードを実装したところ、PageSpeed Insights(ページスピード インサイト)のスコアは上がったものの、トラフィックは20%減少したのだという。CWVの指標であるLCPは1.8秒から4.2秒に悪化してしまった。
彼はレイジーロードに関する「すべきこと・すべきでないこと」をBluesky(ブルースカイ)の投稿で解説し、最後に次のチェックリストにまとめている。
- ✅レイジーロードは、ファーストビューより下の画像に使う
- ✅ネイティブ
loading="lazy"を使用する- ✅実装後はLCPをテストする
- ✅検索エンジンにインデックスしてもらうコンテンツはレイジーロードせずに初期状態で読み込むようにしておく
- ❌ヒーロー画像(冒頭のメイン画像)はレイジーロードしない
- ❌ファーストビューのコンテンツをレイジーロードしない
- ❌重要な画像をレイジーロードしない
- ❌行き過ぎたJavaScriptライブラリを使用しない
- レイジーロード = SEO に有効
- 悪い実装 = 災害
Added lazy loading to all images.
— Noel Ceta (@noelcetaSEO) November 7, 2025
PageSpeed score went from 65 to 92.
Should be great for SEO, right?
Wrong.
Traffic dropped 20%.
LCP (Largest Contentful Paint) went from 1.8s to 4.2s.
The problem? Lazy loaded the hero image.
Here's how to lazy load without killing SEO:…
レイジーロードを利用しているなら適切に実装できているかどうかを調査しておこう。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
- 技術がわかる人に伝えましょう
ウィキペディアがモバイル専用URLをついに廃止、PCサイトと共通URLに
世界最大級ウェブサイトの動的配信への移行が完了 (WM:TECHBLOG) 海外情報
ウィキペディアは、PC向けページ用の標準サイトとは別にモバイル用に使っていたサブドメインを廃止した。
- 旧:
https://ja.m.wikipedia.org - 新:
https://ja.wikipedia.org
現在は、標準URLにアクセスすれば、デバイスに応じて適切なモバイルまたはデスクトップ用のHTMLを提供するようになっている。このプロジェクトは2025年10月に完了した。
モバイルとPCに同一URLを使用する構成にすると、どんな良いことがあったのだろうか? ウィキペディアでは、次のような利点を得られたとのことだ。
サイト速度の向上
20%高速化: 標準ドメイン名からモバイルドメイン名へのリダイレクトを排除したことで、モバイルの応答時間が20%向上した。
リグレッション(速度低下)の回復: 検索結果においてモバイルドメイン名への直接リンクを停止したことに伴い、すべてのモバイルトラフィックが、時間のかかるリダイレクトを経由せざるを得なくなっていた問題を解消した。
SEOの大幅な改善
クローラーの問題修正: グーグルのモバイル用クローラーが以前のリダイレクトループに苦戦し、数百万ページ(特にウィキメディア・コモンズ)が検索結果から除外されていた問題を解決した。
トラフィックの増加: ドメイン構造の修正により、グーグルからの参照トラフィックが100%増え、グーグルによる7000万ページの新規インデックスが可能となった。
リンク共有(UX)の向上
ユニバーサルリンク: モバイルデバイスから共有されたリンクに、「
m.」サブドメインがハードコードされなくなった。これにより、スマホから送ったリンクをデスクトップユーザーがクリックした際にも、モバイル向けデザインではなくデスクトップ版サイトが表示される。後方互換性: 引用や古い投稿などに含まれる旧モバイルリンクは、自動的に標準URLへとリダイレクトされる。
インフラ負荷の軽減
効率化: 以前は、編集が行われるたびにデスクトップ版とモバイル版両方のページキャッシュをパージ(破棄)する必要があった。
リソースの節約: ドメイン統合により重複するパージ処理が排除され、ウィキメディアCDNへの負荷が1日あたり約40億回削減された。
ウィキペディアのように世界最大級のページ数を所有する超巨大なサイトのインフラ変更は、綿密な計画と緻密な実行を要したことは間違いない。偉業ともいえる。
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クラウドフレアの大規模障害は、検索ランキングにダメージを与えたのか?
短時間であれば問題なし (John Mueller on LinkedIn) 海外情報
大手CDNプラットフォームのCloudflare(クラウドフレア)で重大なネットワーク障害が発生したのは、日本時間の2025年11月18日20時20分あたりからだった。クラウドフレアによれば、ウェブの約20%のサイトが同社のCDNを利用しているという。
それほど大規模なCDNに障害があった場合、サイトにアクセスできなくなるってしまう ―― 人間だけでなく、Googlebotも。
世界中の膨大な数のウェブサイトがサービスを提供できずに5xxを返す状況は、グーグル検索にどんな影響を及ぼすのだろうか? 多くのサイトが検索トラフィックを失うのだろうか? 復旧したときに、元のランキングをグーグルは保持してくれているのだろうか?
こんな疑問への回答を、ジョン・ミューラー氏は次のように説明した。
それを説明するためのページがある。 https://developers.google.com/search/docs/crawling-indexing/http-network-errors では、HTTP ステータスコードで何が起こるかが説明されている。
5xx および 429 サーバーエラーは、Google のクローラに対して一時的にクロールのペースを落とすように促します。すでにインデックスに登録されている URL はインデックスに保持されますが、最終的には削除されます。
もし問題が 1 日より短い一時的なものなら、グーグルはその後数日間クロールを少し減速するが、自動的に再びスピードを上げる。ランキングの変動はない。過去の状態に手動で戻す必要もない。
クラウドフレアの障害は発生から4時間弱で完全に解消した。障害の影響を受けたほとんどのサイトでは障害発生中はアクセスできない事態に見舞われていただろうが、グーグル検索に関しては、少なくとも深刻な影響は発生しなかったはずだし、検索順位にも大きな影響はないだろう。
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グーグル検索の利用者数は減っていない! 大手新聞社の誤報に惑わされるな
不正確なデータに基づいた調査結果 (辻正浩 on X) 国内情報
国内でグーグル検索を通じたウェブサイトへの訪問数が過去2年間で33%減った
こんな調査結果をある調査会社が発表したと、大手新聞社が報じた。「AIによる概要(AI Overview)」が主な原因だという。
ショッキングな数字であるが、「そもそものベースにしている数値データが不適切であり、調査結果はまったくもって信用できない」と、辻正浩氏が批判している。誤りを含んだ情報で無駄に不安を煽っているのだという。
日本のGoogleからの月間トラフィックが20億強とか適当な数字を信じてる人はまともに各種データを見てないのかな。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) November 27, 2025
情報公開されてる大規模サイトのUUから検索流入を推測するだけで20億は見当違いとわかるはず。
私が現在・過去に関与して実際の数字を知ってる十数社の合算だけで20億は越えます。(1/n
Googleの日本月間検索数が60億強とかも変。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) November 27, 2025
Googleの世界の年間検索数が5兆強というのはGoogleの発表と民間のビッグデータ調査の数字も同規模で一定の信憑性があります。
5兆/12ヶ月/日本人口シェア1.5%=62.5億。途上国のネット利用率の低さや中国等Google禁止国も考えない単純計算を信じないで。(2/n
日本合計の検索流入が2年で3割減の件も意味不明。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) November 27, 2025
Googleが落ちてないと言ってる事だけを鵜呑みには出来ませんが、いくつか公開されてる信憑性のある大規模データを見ても大きな減少は見られません。
また、そんな変化が起きてたらネット広告関連の数字がもっと激変して大騒ぎになってるはず。(3/n
こういう誤った情報・誤解を元に事業上の判断をするのは本当に危険です。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) November 27, 2025
最近、AI関連も含めたネット関連のデータは怪しい情報が多いです。自社や関与先での重要な判断をする際には情報の信憑性を確認しましょう。
また、微妙な情報は、拡散しないようスルーすることをぜひお願いします。(4/n
他媒体の記事も引き合いに出している。
「検索エンジンのアクセス数は減少しておらず、むしろ生成AIツールの利用の前後において、検索エンジンのアクセス数も増加する傾向」更にニュースではトップニュース枠が出るとAI Overviewsがほぼ表示されないため影響は更に縮小。騒がれすぎです。https://t.co/MtH0wKaEBt
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) November 30, 2025
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著名な経済誌に掲載された記事であるため企業の上層部が目にする可能性もある。信頼性が欠如した調査データであり、日本のSEO第一人者の辻氏が否定していることを示し、無闇に騒ぐ必要はないことを強調しておこう。
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