海外&国内SEO情報ウォッチの、2025年最後のコラムだ。恒例の「1年間の総まとめ」として、2025年に起きた注目SEO/AI/検索関連ニュースを振り返る。
- Google AI検索の大本命? AIモードが満を辞して登場
- AIO/GEO/LLMOは必要なのか?
- AI時代に勝ち残るためのコンテンツ戦略
- AI生成コンテンツの罠
- 「AIの普及でグーグル検索のトラフィックが減少」は本当なのか?
- LLMに弱点あり、従来の検索エンジンに勝てない理由
- Search Consoleの新機能が続々とリリース
- ランキングチェックツール無効化
- 2026年に向けた最新版ローカルSEO
- YouTubeでエンゲージメントを増やすテクニックとノウハウ
コラム読者のみなさんへ筆者より ――
2025年もこのコラムをご愛読いただき、ありがとうございました。今年はなんといってもAI検索関連のトピックで持ちきりでした(少々過食気味なほど)。このあとのまとめもAI関連が占めてます。2026年もこの傾向が続くのか? それとも新たな変化が訪れるのか? 来年も最新のお役立ちSEO情報をお届けしますのでお楽しみに。初回更新は1月9日です。
ではまた来年。良い年末年始を!
AI大躍進でSEOに激震が走った2025年(1位~3位)
1位Google AI検索の大本命? AIモードが満を辞して登場
検索体験をどう変化させるのか?
Google検索でのAI Mode(AIモード)の導入を2025年まとめのトップで紹介したい。2024年のトップはAI Overview(AIによる概要)だったので、2年連続でグーグル検索のAI新機能ということになる。
ウェブ検索結果に表示されるAI Overviewとは一線を画し、AI Modeは単一の検索機能として提供される。AI Overviewよりも詳細な回答をカスタマイズ版Geminiが返す仕組みで、追加質問も可能だ。
AI Modeは2025年5月にまず米国で一般公開が始まった。8月には日本でもリリースされたが、英語クエリだけが対象だった。日本語で本格的に利用できるようになったのは9月だ。
コラムでは紹介していないが、一般ユーザーのAI Mode利用はまだごく僅かだという調査データが大半だ。したがって今のところはSEOに大きな影響を与えることはなさそうだ。だがAI Mode内のリンクのクリックは3%未満という調査データがでており、もし普及すれば検索ユーザーの行動とSEOを大きく変える可能性をAI Modeは秘めている。
※SimilarwebのデータをiPullRankが分析した参照トラフィックのクリック状況。茶色がGoogle検索、青色がAIモード。検索のうちグーグル以外のサイトへのリンクがクリックされた割合を示すグラフで、数値が大きい(上にある)ほど良い。AIモードは参照リンクのクリック率が非常に低い。
AI Modeによる検索体験とウェブ秩序の変化について専門家が解説した記事も取りあげたので読み返すのもいいだろう
- すべてのWeb担当者 必見!
2位AIO/GEO/LLMOは必要なのか?
まったく不要。従来のSEOの延長線上にあるだけ
2022年11月30日のChatGPTの公開以来、人々の検索様式にAI(LLM)が強烈なインパクトを与えた。
「SEOは終わった」という声が(これで何度目か)湧き上がる一方で、新たなSEOが脚光を浴びた。たとえば次のようなものだ:
- AIO(AI最適化)
- GEO(生成エンジン最適化)
- LLMO(LLM最適化)
本当にSEOは終わったのだろうか?
本当に新しいSEOは必要なのだろうか?
結論を言えば、どちらも不要だ。踊らされてはいけない。
AIの発展により検索方法や検索機能はたしかに変わった。しかし、「ユーザーにとって最善の情報を提供する」というグーグルの使命に変化はない。よって、AI検索が普及しようとも、ユーザーのために有益なコンテンツを提供するというSEOの根幹は揺るがない。
また、グーグル自身が「SEOは終わった」をきっぱりと否定している。グーグルが公式のガイドラインとして公開した「グーグル検索のAI機能のためのベストプラクティス」は、従来のSEOを完全に踏襲している。GEOやLLMOに特化した推奨は1つもない。
グーグルだけではなく、マイクロソフトのBing検索が推奨する「AI検索のための最適化」も、中身をちゃんと見てみると従来のSEOとの共通点が多い。一見するとAI検索特有の施策に思えるものがあるかもしれないが、それは単に見過ごしていたか、あるいは強調されていなかったSEOだ。
当初はもてはやされたGEO/LLMOだが、大手パブリッシャーはその実効性を疑ってさえいる。むしろそれを謳う業者に不信感さえ抱いている。事実、「“GEO”を標榜する業者がやっているのはただのスパム作成や詐欺行為だ」という指摘もある。
GEOの成果を約束するいかなる人物にも懐疑的だ。彼らの説明は、何の事実にも基づいていない。「AIの出力を確実に最適化できる」と証明した者は、誰もいない。
「すぐに動かないと機会を逃す」と思わせる雰囲気が強ければ強いほど、新しい略語が強調されればされるほど、それがスパムや詐欺行為である可能性は高い。
効果がない、もしくは効果が出たように見せかける施策でGEO/LLMOサービスを高額で契約させる業者が日本でも存在する(それなりに有名なところでさえ!)。
当社のAI検索対応はどうなっているんだ? 何もしていないのか!?
なんてことを上司や経営層から言われたら、このコラムで紹介した公式情報も提示して、次のことを納得させよう:
- 生成AI向けの特別な施策は必要ない
- 既存のSEOをしっかり進めることが生成AI対策になる
もしかしたら、次の項目も明示しておくべきかもしれない:
- GEO/LLMO/AIOなどを標榜するサービスのなかには、昔のスパムSEO業者のような悪徳業者も多い。そのため、サービス導入前の精査が重要
- すべてのWeb担当者 必見!
3位AI時代に勝ち残るためのコンテンツ戦略
LLMの回答では得られない価値をどうやって提供できるか?
GEOやLLMOは必要なく、ユーザーの真に役に立ち高品質なコンテンツを提供することが引き続き重要だということは理解していただけたと思う。そうはいっても、そういったコンテンツは一朝一夕では作れない。
LLMの回答では得られない価値をどうやって提供するかのヒントを与えてくれる記事を、今年のコラムから振り返ってみよう。次の3つだ。
- グーグル社員も絶賛する、検索で成果を出す優れたコンテンツの書き方
- 日本のSEO界の巨頭、渡辺隆広氏によるAI対応(?)ライティング術
- もう1人の巨頭、住太陽氏によるAI検索でも流入があるコンテンツ作成方法
逆に、「質より量に重きを置いたコンテンツ戦略」は完全にNGだ。
かつてはページ数がモノを言うSEO時代も確かにあったのだが、今となっては時代錯誤も甚だしい。特に、AIによってコンテンツ作成が容易になった昨今では要注意だ。低品質ページを1000ページ削除した結果、検索トラフィックが爆増した事例も紹介した。
2026年になっても「SEOは量より質」を心がけてほしい。
- すべてのWeb担当者 必見!
4位~6位 生成AI・LLMでこんな勘違いしていないだろうか?
4位AI生成コンテンツの罠
上位表示できても必ず短命に終わる
AIを利用してコンテンツ作成しているウェブ担当者も多いことだろう。筆者も、要約や翻訳など記事執筆に便利に利用している。しかし、AIに任せっきりにしたコンテンツの公開は絶対的におすすめしない。誤った情報、古い情報が含まれていることは珍しくないし。品質、信頼性を担保できないからだ。
AIだけで作成したコンテンツは、公開直後は検索でうまくやれたとしても確実に長続きしない。
AI大量生成と思われる記事群のみが大きく下落している例 pic.twitter.com/amvMbN0ptE
— Kazushi Nagayama🕊️長山一石 (@KazushiNagayama) October 1, 2025
これを示す事例をいくつも取りあげた。
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100%AI生成コンテンツ大量投入→検索トラフィック爆上がり→ペナルティ
Thank you so much to all the AI content generator tools and their marketing saying that this works well for SEO 😏 just in last 6 months all your wonderful efforts 🙃 have created so many new SEO clients for me.
— Gagan Ghotra (@gaganghotra_) April 17, 2025
And this is the most recent one👇the sudden bump in organic… pic.twitter.com/YlDKJwbWZbトラフィックが伸び続け、急落している。その後、回復傾向が見られる(グラフの右はじ) - 2000本の「AI単独執筆」記事が数か月で急落
- 未編集のAI記事2000本が3か月で検索結果から消滅
- 急成長から急転落へ、AIコンテンツ依存サイトの悲惨な結末
生成AIでコンテンツ作成する際のガイダンスをグーグルが公開している。もし読んでいなかったとしたら今年中に必ず理解しておこう。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
5位「AIの普及でグーグル検索のトラフィックが減少」は本当なのか?
グーグルの地位は揺るがず
LLMからのトラフィックが増加し、2025年末までに総トラフィックの0.25%から10%に増える
そんな予想を今年最初の更新で取り上げた。果たして予想は当たっただろうか?
そういうサイトが存在した可能性は否定できないが、総じていえばハズレだろう。
たしかに、6割以上のサイトがAIからのトラフィックを獲得していたり、生成AI経由の米国小売サイトへのトラフィックが1,200%も増加したりといった調査データは、AIからのトラフィックが伸びていることを示している。特に、Z世代のAI利用が顕著だ。ある調査では、「情報を探す際に、他のプラットフォームではなくChatGPTから始めるのが通例となっている」と回答したZ世代ユーザーは28%にのぼった。4人に1人以上はChatGPTにまず尋ねるのだ。
しかしながら、「グーグル検索の利用がAI普及の影響で減少した」のかというと、決してそんなことはない。「影響はまったくなし」といっても言い過ぎではないくらいだ。むしろ検索数は増加している。
グーグルの持ち株会社であるアルファベットの2025年の第2四半期と第3四半期の決算発表では、ともに検索利用が堅調であることが述べられている。Datos(デイトス)の大規模調査でも検索エンジンの利用が減っていないことが浮き彫りになっている。10万以上のサイトのデータをもとにして、検索エンジンとAIチャットからのトラフィックを比較するツールのデータからも、「ChatGPT からの参照トラフィックは伸びてはいるが、グーグルの地位を揺るがすにはほど遠い」ことが明白だ。
なお、AI OverviewやAI ModeなどAI検索機能の導入によって「検索数が増えていても、サイトへの検索トラフィックが顕著に減っている」という指摘については、そんなことはないとグーグルは全否定している。サードパーティの調査データについては、「不完全な手法や、AI機能導入前のトラフィック変動の分析に基づいている」と反論している。
AI検索機能で流入を減らしているサイトが存在するのは事実だと思われる。とはいえグーグルの視点から検索全体を見た場合、悪影響はないと言っていいだろう。少なくとも、大手新聞社が報じた「国内でグーグル検索を通じたウェブサイトへの訪問数が過去2年間で33%減った」という調査会社のデータは不正確な情報に基づいており、信ぴょう性が皆無だ。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
6位LLMに弱点あり、従来の検索エンジンに勝てない理由
JS実行できないし、スパムに弱い
2025年にはAI検索がいっそう使われるようになった。とはいえ、すでに取り上げたように、「AI検索が従来の検索を置き換える」ほどには、とうてい至っていない。LLMをベースとしたAI検索が従来の検索に置き換われない理由は他にもある。技術的観点からだ。
具体的には、次の2点だ:
- AIクローラーはJavaScriptを実行できない
- AIのシステムはスパムに弱い
現状では、多くのAIクローラーはJavaScriptを実行できない。つまり、JSで生成されたコンテンツを取得できないのだ。
この点で考えると、クライアントサイドレンダリング(CSR)を減らしてサーバーサイドレンダリング(SSR)にしていくのは、ある意味で実効性のある “GEO” と言える。
AI検索はもっと深刻な問題も抱えている。スパムに弱いという点だ。隠しテキストに騙されることがあるし、第三者の意図的な虚偽情報に操作されうる。グーグル検索がとうの昔に克服した初歩的なスパムにさえ脆弱なのだ。
スパムの影響を受け、AIによる回答の信頼性が下がってしまえば、ユーザーが離れていってしまう。
こうした弱点に打ち勝つことは、AI検索が普及するための重要な要因である。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
7位~10位 Search Console・ローカルSEO・YouTube
7位Search Consoleの新機能が続々とリリース
紹介が間に合わないペース
夏にロゴを刷新したSearch Consoleには、新たなレポート・ツールがたくさん追加された。列挙する。
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分析情報 ―― Search Console Insightsの新バージョン
- クエリグループ ―― 検索意図単位での分析
- カスタムアノテーション ―― パフォーマンスレポートに任意のメモを追加※
- ブランドクエリフィルタ ―― ブランドクエリと非ブランドクエリを自動取得※
- AI分析 ―― 自然言語でAIに分析を指示※
- ソーシャルチャンネル ―― サイトと紐付けられたYouTubeなどのソーシャルメディアの検索トラフィックをレポート※
- 週・月単位のビュー ―― パフォーマンスレポートを週ごと月ごとのデータに切り替え※
なお「※」が付いた新機能は、まだこのコラムで紹介できていない。12月に立て続けにリリースされ、隔週更新だと追いつかなかったのだ! 来年早々に詳しく取り上げたい。
- すべてのWeb担当者 必見!
8位ランキングチェックツール無効化
大半は対応済み
ランキングチェックツールを用いて検索順位を自動的に定期取得しているウェブ担当者も多いことだと思う。そんな人たちにとって、厄介な仕様変更がグーグル検索に2回起こった。
1つ目の仕様変更は1月で、検索結果を生成するプロセスでJavaScriptの実行が必要になった。通常のブラウザであればまったく問題ないが、JavaScriptの処理機能を実装しているランキングチェックツールはほぼなかった。つまり、ほぼすべてのランキングチェックツールが検索順位を取得できなくなったのだ。
2つ目の仕様変更は10月で、検索結果のURLでnum=100パラメータを廃止した。このパラメータは、検索結果の1ページに表示する結果を100件に変更する役割を果たす。一般的なランキングチェックツールは100件の検索順位を一括で取得するように設計されている。人間のユーザーのように2ページ目、3ページ目とページ送りすることはない。結果として、10位までの結果しかランキングチェックツールが取得できなくなった。
さらに、このパラメータ変更はランキングチェックを困難にしただけではなく、Search Consoleの検索レポートにも影響を与えた ―― なぜか「Search Consoleで確認できる表示回数が大幅減少」するサイトが続出したのだ。といっても実インプレッション数が減ったわけではない。これまでは「レポートされていた表示回数のなかに、人間のユーザーによるものではなく、ランキングチェックツールが順位チェックのために生み出していた表示回数が含まれていた」ことが理由である。チェックツールが無効化されたことで、そのぶん表示回数が減ったわけだ。
もっとも、大半のランキングチェックツールは対応済みだ。以前のように順位の自動計測を続けている。ツール開発者の執念を感じる。
- ホントにSEOを極めたい人だけ
9位2026年に向けた最新版ローカルSEO
基本に忠実が最強のローカルSEO
2025年まとめではAI検索のトピックばかりを選んでしまったので、残りは別の検索のトピックを取り上げたい。まずは「ローカルSEO」だ。
AIの話題一色になったウェブ検索とは異なり、ローカルSEOは見た目には大きな変化はなかった(背後ではもちろん最新のAI技術が使われているが)。
グーグルマイビジネスで定期的に実行すべきタスクは依然として重要だ。最新のローカル検索ランキング要因にも従来と比べて特別に大きな変化は起こっていない。
今のところ、最強のローカルSEOは「基本に忠実」だと言っていいのかもしれない。
- ローカルSEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
10位YouTubeでエンゲージメントを増やすテクニックとノウハウ
SEOだけじゃ不十分
トラフィック獲得のみならず、ファン増加・ブランディング強化のために、SEOとは別にYouTubeにも精力的に取り組んでいるウェブ担当者に向けたトピックを最後に取り上げる。
次の2つのノウハウをこのコラムで2026年に紹介した:
見逃していたとしたら、この年末年始に勉強して、YouTubeコンテンツ作成の参考にしてほしい。
- YouTubeがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)