国内&海外SEO情報ウォッチ 「海外SEO情報ブログ」の鈴木 謙一氏が、日本と海外の検索マーケティング情報をさらっとまとめて毎週金曜日にお届け。
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「AI時代のSEO」のファイナルアンサー? 「あらゆる場所での検索最適化」とは【SEO情報まとめ】

「生成AI時代のSEOは?」「SEOの専門家は今後どうなるのか?」そうした答えとして有力な、「SEO=Search Everywhere Optimization」という考え方を、ランド・フィッシュキン氏が教えてくれた

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「生成AI時代のSEOは?」「SEOの専門家は今後どうなるのか?」そうした答えとして有力な、「SEO=Search Everywhere Optimization」という考え方を、ランド・フィッシュキン氏が教えてくれた。

「AI最適化」や「LLM最適化」よりも、こちらの考えのほうが時代に合っているし、なによりもユーザーの行動変化に対応できる。

ほかにも、グーグル検索の新しい「AIモード」の新情報と幹部インタビュー、「Search Consoleで隠されているクエリ」「Goolebot-News」「グーグル公式のAI関連情報」などなど、あなたのSEO力アップに役立つ情報を、今週もまとめてお届けする。

  • 「AI時代のSEO」のファイナルアンサー? 「あらゆる場所での検索最適化」とは
  • グーグル検索のAIモードとは? Google I/Oで発表された新しい拡張機能
  • Google検索AI Modeとは? 検索部門の幹部が全容を語る
  • Search Consoleでは全クエリの50%が「隠されている」!?
  • 2025年5月のグーグル検索オフィスアワー: デスクトップとモバイルのページの正規化、GooglebotのIP制御導入時のリスク、ECサイトで商品画像が認識されないほか
  • Googlebot-News ユーザー エージェントに対するクロール制御が修正される
  • グーグル検索のAI機能のためのベストプラクティス×8
  • 【グーグル公式】生成AIでコンテンツ作成する際のガイダンス
  • 企業ブログは信頼構築の重要なツール
  • 飲食店でぜひ活用したいGBPの新機能×3
  • AI Mode/AI Overviewはウェブトラフィックを送る、Google CEOが約束
  • ウェブクローラーはどのように進化してきたのか? Google社員が語るその歴史

今週のピックアップ

「AI時代のSEO」のファイナルアンサー? 「あらゆる場所での検索最適化」とは
検索プラットフォームに依存しない永続的な用語 (SparkToro) 海外情報

「生成AIでSEOはどうなるのか」「生成AI最適化が重要になるのか」などの疑問に対するファイナルアンサーとなるであろう提言を、SEOとマーケティングの専門家であるランド・フィッシュキン氏が行った。

生成AIが検索にも使われるようになり、それに合わせた最適化の取り組みとしての用語が乱立している。たとえば、次のようなものだ:

  • GEO(生成エンジン最適化、Generative Engine Optimization)
  • AIO(AI最適化、AI Optimization)
  • LLMO(大規模言語モデル最適化、Large Language Model Optimization)

しかしながら、どれも明確な定義が定まっているわけでもなく、単なる流行語として好き勝手に使われているような印象もうける。

ランド・フィッシュキン氏は、「新しい用語でSEOを再ブランド化しようとする絶え間ない試み」に不満を表している。不必要に物事を複雑にしていることを懸念しているのだ。

さまざまな新用語の代わりにフィッシュキン氏が支持している考え方は、数年前にDeviationのアシュリー・リデル氏が提唱した次の用語だ:

SEO = Search Everywhere Optimization
「あらゆる場所での検索に対する最適化」

この考え方が、検索の進化する状況に完全に合致していると考えている。

※筆者注:ランド・フィッシュキン氏は、Web担の人気コーナーでもある「Moz」の共同創設者(創立当時の社名は「SEOMoz」)。現在は退社しており、SparkToroというウェブマーケティング企業を経営している。

「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」という用語は、グーグルやヤフー、Bing、DuckDuckGo、AOLといった検索プラットフォームからのトラフィックを獲得する取り組みとして、もともとは定義されていた。

それに対してこの「Search Everywhere Optimization(あらゆる場所での検索最適化)」が最適化する対象は、「特定のトピックに関してコンテンツを消費するために人々が訪れるあらゆるプラットフォームからのトラフィック」だ。つまり従来の検索エンジンだけでなく、YouTubeやX、RedditなどのソーシャルネットワークやAIツールもすべて含まれる。

「SEO」は「Search Everywhere Optimization」のことであると再定義すれば、人々が情報を取得しようとする限り、新たな手段が登場したとしてもSEOが重要であることに変わりはない。結果として、自分たちの仕事が時代遅れになったり不要になったりすることに対するSEO専門家の懸念を和らげることができるともフィッシュキン氏は考える。

「あらゆる場所での検索最適化」の3つの主要原則を、フィッシュキン氏は次のように捉えている:

  • 「ランキングを上げること」よりも「行動を促すこと」が重要 ―― マーケティングは今後100年間必要とされるが、ランキングはそうではない

  • 成功を「トラフィック」ではなく「影響力」で測る ―― トラフィックは虚栄の指標。ウェブサイトのコンテンツは、カスタマージャーニーにおいてますます重要性を失っている

  • オーディエンスが注目する場所を対象とする ―― 検索トラフィックは、他のあらゆる場所でマーケティングを正しく行った結果としての報酬になっている

フィッシュキン氏は、「あらゆる場所での検索最適化」が適切な用語であることを強調し、数年後にはSEOの「E」が普遍的に「Everywhere」を意味すると理解されるようになることを期待している。

SEO=Search Everywhere Optimization(あらゆる場所での検索最適化)という再定義は、筆者も個人的には支持する。広く普及することを願いたいが、どうだろうか。業界の権威者が賛同してくれればいいのだが。

★★★★★
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

グーグル検索SEO情報①

グーグル検索のAIモードとは? Google I/Oで発表された新しい拡張機能
日本ではまだ利用できないけれど知っておきたい (Google Japan Blog) 国内情報

2025年のGoogle I/Oで、検索関連の新機能がいくつも発表された。

※筆者注:Google I/Oは、グーグルが主催する主に開発者向けのカンファレンス

新機能はいずれもグーグル検索の「AI Mode(AIモード)」に関わるものだ。AI Modeは、生成AIの能力をAI Overview(AIによる概要)よりもさらに深く活用する検索で、検索ページでAIチャットを相手にして知りたいことを聞ける。同じくグーグルのAIチャットであるGeminiのように専用のプロダクトではなく、検索の一部だ。

このAI Modeの一般ユーザーへの展開が始まった。まずは米国での展開で、さらに今後、多くの拡張機能のリリースを予定しているという:

  • ディープリサーチ機能
  • グーグル検索のライブ機能
  • エージェント機能
  • ショッピング体験
  • データを視覚化するためのカスタム チャートとグラフ作成

AI Modeはまだ日本では利用できないので、日本のユーザーを相手にしているウェブサイト(このコラムの大多数だと思う)にとっては、今すぐどうこういう話ではない。それでも、「グーグル検索の少し先を垣間見る」という点では知っておいて損はない情報だ。元記事でチェックしよう。

★★★★☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

Google検索AI Modeとは? 検索部門の幹部が全容を語る
インタビュー記事でAI Modeを理解 (3サイトからまとめ) 国内情報

Google I/Oで大々的に紹介されたグーグル検索のAI Modeだが、日本からは利用できない以上、どんな機能なのかまだピンとこないかもしれない。

グーグルで検索技術担当バイスプレジデントを務めるリズ・リード氏に、ITジャーナリストの西田宗千佳氏が現地で単独取材し、その全容を深掘りしてくれた。このインタビューを読めば、AI Modeがどんな機能なのか、そしてどんなふうに今後進化していくかのイメージをつかめるはずだ。

インタビュー記事は3つのサイトで掲載されている。同じインタビューから起こしたレポートと思われるが、同一記事ではなくカバーしている内容にも違いがある。すべて読むといい:

★★★★★
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

Search Consoleでは全クエリの50%が「隠されている」!?
検索ギャップの対処法は? (ZipTie) 海外情報

全検索クエリの約50%がSearch Consoleで「隠されている」状態。つまり、トラフィックの半数は詳細を把握できない。

こうした「検索ギャップ」が生じていると、ZipTie(ジップ・タイ)のトマシュ・ルツキ氏が検証して公開している。

少しわかりづらいのだが、要は「Search Consoleでは、検索ボリュームが一定以下のクエリは、レポートに出てこない」というのが根底にある事情だ。

検索ユーザーのプライバシーなども含めてこうした仕様になっていると思われる。しかし、ユーザーの検索行動が変わっていくなかで、その仕様が検索マーケターにとっての障害となる傾向が強まっているようだ。

検証結果から判断すると、次のような原因により、検索ギャップが発生しやすくなっていると考えられる:

  • フレーズの分散 ―― 同一の意図の質問が多数の表現に分散し、ボリュームが分散する(合計すれば閾値を超えるかもしれないのに)

  • 検索方法の変化 ―― 音声検索やAIアシスタントの普及により、会話型の長いクエリをユーザーが使うようになった(意図は同じでも、完全には一致しないクエリのバリエーションが増えた)

とはいえ、Search Consoleの仕様が変わらなければこの状況は変化しない。その前提で、検索ギャップの対応策としてトマシュ氏は次を提案している:

  • 会話型の思考をする ―― Search Consoleがレポートしなくても、ユーザーは長く会話的な検索クエリを使用していると想定する。

  • Search Consoleのみに依存しない ―― Search Consoleのクエリデータのみに基づいて戦略的な決定を下すことを避ける。

  • 「キーワード」よりも「トピック」に焦点を当てる ―― Search Consoleに表示される特定のキーワードのみを対象とするのではなく、より広範なトピックに対応し、完全な質問に答えるコンテンツを作成する。

  • 「ページ」レポートを活用する ―― Search Consoleの「ページ」レポートを分析し、どのトピックやページがトラフィックを集めているかを特定する。これは、しばしば不完全な「クエリ」レポートよりも優れた洞察を提供する可能性があるため。

  • 他のツールを使用すること ―― Search Consoleが見逃す可能性のある潜在的な会話型クエリを発想するために、他のSEOツールやキーワード調査ツールを利用する。

Search Consoleでクエリを調べられるのは検索トラフィックの半分でしかないという調査を2年前にもこのコラムで紹介した。状況は改善されるどころか、悪化する可能性すらありそうだ。

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  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

2025年5月のグーグル検索オフィスアワー: デスクトップとモバイルのページの正規化、GooglebotのIP制御導入時のリスク、ECサイトで商品画像が認識されないほか
気になる質問の回答をチェック (#Google検索オフィスアワー on YouTube) 国内情報

2025年5月のグーグル検索オフィスアワーがYouTubeに公開された。今回あんな氏が回答したのは次の質問だ:

  • デスクトップとモバイルの各ページ正規化設定(5:30)
  • インデックス登録レポートの URL 総数の変化(7:02)
  • 運営ページのトラフィック数が減少(9:47)
  • Google クローラーの IP 制御導入時のリスク(12:17)
  • スパム行為を発見した(13:41)
  • EC サイトで商品画像が認識されない(15:22)
  • サイト移転による意図しない検索結果(17:13)
  • 意図しないタイトルリンクが表示される(19:32)

タイムスタンプには、その質問の場所から再生が始まるようにリンクしてある。気になる質問の回答だけを知りたいときに利用してほしい。今回は、特にややこしそうに思える質問はないので全体をとおして視聴して、知識を蓄えるのもいいだろう。

グーグル検索で自力では解決できない問題に遭遇した場合はこちらのフォームから詳細を送っておくといい。あんな氏が回答してくれる。

★★★☆☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
  • ホントにSEOを極めたい人だけ
用語集
E-E-A-T / EC / Googlebot / KPI / SEO / URL / X / アップロード / インデックス / カスタマージャーニー / クエリ / クローラー / クロール / ダッシュボード / リンク / 検索エンジン / 構造化データ

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