
AIは購買体験を改善するのか? 「AIレコメンドがきっかけで商品購入」32%【SEO情報まとめ】
ECサイトなどでのオンライン購買で、AIがどんな役割を果たしているのか? ECにおけるAIのレコメンドやチャットボットの経験や意識を調査したデータをお届けする。
オンラインでの購買行動に、AIはどう影響を与えていて、人びとはそれをどう感じているのか? 期待感と課題を把握しておこう。
ほかにも、「SEOのためにコンテンツを作らないSEO」「Googleのテキスト検索結果画像」「生成AI時代のマーケ方針」「セーフサーチ」「構造化データ」などなど、あなたのマーケ&SEO力アップに寄与する情報を、今週もお届けする。
- AIは購買体験を改善するのか? 「AIレコメンドがきっかけで商品購入」32%。ECにおけるAI体験調査データ
- SEOのためにコンテンツを作る → プロダクト自体をコンテンツに変える。新発想「PLSEO」とは?
- 検索結果のサムネイル画像はレシピ構造化データでは指定できない
- 生成AI検索の時代だからこそ「ブランド戦略・戦術」に立ち戻る
- AI時代のSEO: 変わらぬ本質とGoogleの構造的優位性
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今週のピックアップ
AIは購買体験を改善するのか? 「AIレコメンドがきっかけで商品購入」32%。ECにおけるAI体験調査データ
オンライン購買でのAIの存在感と影響力が増している (Akeneo) 海外情報
ECサイトなどでのオンライン購買で、AIがどんな役割を果たしているのか? ECにおけるAIのレコメンドやチャットボットの経験や意識を調査したデータをお届けする。
この調査は、Akeneo(アケネオ)は2025年4月にDynata(ダイナタ)に委託し、米国の18歳以上の消費者1,000人を対象に行ったもの。オンライン購買におけるAIの役割について、慎重ながらも楽観的な消費者心理が調査データから明らかになった。
AIとの接触状況
- 認知・利用 ―― 75%がAIのレコメンドまたはチャットボットを「見たことがある」と回答。うち44%が実際に利用経験あり。
- 購買促進 ―― 32%がAIレコメンドをきっかけに購入したことがあり、うち84%が体験を肯定的に評価。
商品体験への影響
AIがショッピング体験を向上させていると認識される点は次のとおり。
体験フェーズ | 改善を実感した率 |
---|---|
商品レコメンド | 37% |
カスタマーサポートの迅速化 | 33% |
検索結果の精度向上 | 31% |
商品情報・説明の充実 | 28% |
レビュー要約 | 27% |
調査対象者が今後期待する改善は次のようなものだった:
- より正確かつ迅速なサポート ―― 42%
- レコメンド精度のさらなる向上 ―― 39%
- よりパーソナライズされた提案 ―― 37%
信頼・透明性・チャットボット
ただし、AIの商品提案を「信頼できる」と回答したのは45%にとどまる。
チャットボット満足度は38%で、そのうち14%が「非常に満足」だった。
データ利用の透明性については43%が「透明ではない」と感じている(「判断できない」も30%)。
それでも、AIを活用して体験を向上させるブランドから今後も購入する意向を示す回答が49%にのぼった。
データ活用は信頼性&透明性とともに
Akeneoは、小売業者がAIによる速度とパーソナライゼーションを活かしつつ、データ利用について明確に説明することで顧客ロイヤルティを高められると提案している。また、商品体験のあらゆる接点で信頼と透明性を確保することが、長期的な顧客関係の鍵となるとも指摘している。
米国消費者に対する調査なので、日本の環境にそのまま当てはめることはできない。それでも、AIが支援するオンラインショッピングの将来を予想する情報として参考にしてほしい。
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グーグル検索SEO情報①
SEOのためにコンテンツを作る → プロダクト自体をコンテンツに変える。新発想「PLSEO」とは?
3つの主要モデルと実例に学ぶ成長戦略 (Growth Memo) 海外情報
「SEOのためにコンテンツを作る」のではなく、「プロダクトやサービスがコンテンツを生み出す」というSEOの考え方PLSEO(Product-Led SEO、プロダクト主導SEO)について、SEOコンサルタントのKevin Indig(ケルビン・インディグ)氏が解説した。
PLSEOとは、プロダクト(販売している商品やサービス)自体から作成されたコンテンツを使用して、プロダクトの検索での発見機会を向上させることに焦点を当てたオーガニック成長戦略だ。ブログなどによるコンテンツマーケティング活動で「コンテンツを作る」アクションが必要だった従来のSEOとは考え方が異なるもので、もともとはEli Schwartz(エリ・シュワルツ)氏が提唱した施策だ。
キーワード重視の「ランディングページ」や“コンテンツ”をライターが手動で作る従来のSEOとは異なり、PLSEOでは、「プロダクトが持つデータ・UGC・在庫からコンテンツが生まれ、ユーザーやデータの増加に合わせて自動的に拡張」していく。
PLSEOで「プロダクトやサービスがコンテンツを生み出す」主要な3つのタイプを、インディグ氏は次のように定義している:
UGC主導型PLSEO
このモデルでは、コミュニティメンバーが投稿したコンテンツでページを作っていく(例: Figmaのユーザー投稿テンプレート)。
この戦略の特徴は複製が困難であること。AIの台頭を含む検索環境の変化に対しても強い(その一方、UGCの制御という問題はあるが)。
サプライ主導型PLSEO
このモデルでは、プロダクト自身のデータがSEOに向いたコンテンツとなる。
わかりやすい例が、IMDbだ(映画やテレビ番組に関する各種データのデータベースサイト)。IMDbは、過去1年でページ数を約23%削減しつつも主要サブディレクトリのトラフィックを維持または向上させ、効率的なインデックス管理を示した。
ロケール主導型PLSEO
このモデルでは、レストランのリストや不動産など、地理的に特化したインベントリ(一覧)を活用して、「特定の地域に絞ったページ」を作成する。
フードデリバリーサービスのDoorDashは、レストランを集約して広範な都市別ページを作った。最近、総ページ数を約30%削減し 、米国のオーガニックトラフィックは減少したが、一部のグローバル市場では2025年1月以降、成長している。
なるほど納得する面もあるPLSEOだが、次のような課題もある:
維持にかかるコスト ―― 成功するPLSEO戦略は「一度設定すれば終わり」ではない。技術インフラ、品質保証、継続的なサイト管理への多大な投資が求められる。
AI検索への対応 ―― AI OverviewやLLMベースの検索の台頭は、直接的な課題。これらの技術は参照トラフィックを提供せずにアグリゲーターのコンテンツを使用できるため、「信頼」と「ブランド認知の構築」に一層注力する必要がある。
上記のような課題はあるものの、PLSEOの仕組みを堅牢なインフラで運用すれば、プロダクトやサービスの成長にともなってSEO資産が増えていく。AIが検索行動を変えていく状況でも、成長を持続させられる仕組みになり得るのだという。
ある意味「PLSEO」は、昔からあるSEO手法を少し整理してラベルを付け直したものという感は否めない。しかし、考え方によっては、コンテンツの本質に立ち戻る動きだとも言える。
本来コンテンツとは「特定の状況の、特定の人たちに、価値を提供する」ものだった。しかし、ネットが浸透しユーザー行動が変化していくとともに、いつしか「ビジネス目的のために、ユーザーの情報接触行動に割り込む」意図でコンテンツを作る動きが増えていった。
PLSEOとしてインディグ氏が整理している方向性は、「集客のために(本来は不要な)コンテンツを作る」ものではない。これは「コンテンツ」への考え方を本来の方向に戻していく可能性もある。
ここで紹介したのは、PLSEOの概要だけだ。詳細はインディグ氏の元記事で確認してほしい。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
検索結果のサムネイル画像はレシピ構造化データでは指定できない
レシピにおけるimageプロパティの使用方法が明確化 (グーグル検索セントラル) 国内情報
検索結果のスニペットの横にサムネイル画像が表示される場合がある。「テキスト検索結果画像」という機能だ。

どの画像を選ぶかはグーグルが判断しており、サイト側での指定はできない。これは、レシピコンテンツにも当てはまる。レシピ構造化データにはレシピの画像を指定するimage
プロパティがあるが、このプロパティはレシピリッチリザルトに影響するものであり、テキスト検索結果の画像には影響しない。
こうした注釈がレシピ構造化データのドキュメントに追加された。
なお テキスト検索結果画像を最適化するには、画像検索SEOベストプラクティスが役立つが、それでも完全に制御できるわけではない。
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生成AI検索の時代だからこそ「ブランド戦略・戦術」に立ち戻る
目新しい取り組みではないとしても (アナリティクス アソシエーション) 国内情報
生成AI検索が俄かに話題になっています。それに合わせて、LLMOだとか、AIO、GEOと新たな用語が飛び交っています。でも、発売したばかりのゲームの薄い攻略本ですから、今は本屋で斜め読みする程度でよいでしょう。
こんなややアイロニックな冒頭で始め、生成AI検索の対応について、アナリティクスアソシエーション(a2i)の大内範行氏が持論を展開した。
「AIに選ばれるコンテンツの3つの条件」として、大内氏は次の3つを挙げている:
皆が知りたいと思う文脈で、必ず参照される権威、オーソリティの本や著者になっていること
ニッチで狭い質問に採用される、専門性の高い独自コンテンツを提供していくこと
皆が欲しいものを尋ねた時、比較選択で選ばれるトップ3の想起ブランドになっていること
要は、「より想起され指名されるブランドを確立すること」が重要なのだ。大内氏は次のように述べている。
SEO、広告、PR、ソーシャル、それぞれ独立で取り組むのではなく、全体のブランド戦略、マーケティング戦略の中で集約していく。個人であろうと企業であろうと、自分の強みを高めて、指名検索を多く得ていく、クロスマーケティング、まさに総合的なマーケティング活動になっていきます。
これは、大内氏も認めているように目新しい取り組みではない。大内氏は次のように締めくくっている。
生成AI検索の時代、従来のマーケティング手法が通用しなくなるのではありません。新たなマーケティング手法なんて必要ありません。実は基本中の基本、王道のマーケティングの価値が、より明確になる。そんな時代がきたということです。
生成AI時代を絶好の機会と捉え、改めてブランド戦略と戦術を再定義する時です。
LLMOだGEOだと騒ぎ立てたり、あるいは焦燥感にかられたりするのではなく、従来から重要であるブランド構築を丹念に継続することが、AI検索であろうとなんであろうと本質的な鍵となる。
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AI時代のSEO: 変わらぬ本質とGoogleの構造的優位性
「AI vs. 検索」という構図は偽の対立軸 (JADE) 国内情報
LLMOやGEOという言葉が独り歩きする感もある、生成AIが組み込まれた検索への考え方や取り組みに関して、元グーグル社員でJADEファウンダーの長山一石氏が論じた。
要点を簡潔にまとめると次のようになる:
「AI 対 検索」という構図は偽の対立軸であり、真の競争は「Google 対 Google以外(OpenAIなど)」である。
Googleは、巨大な検索インデックス、高度なクロール技術、既存のインフラという構造的な強みを持っているため、AI検索時代においても有利な立場にある。
LLMO/GEO(LLM・生成AI最適化)は従来のSEOの延長線上にある考え方であり、AIがコンテンツを理解・要約しやすくなるように最適化を進めることである。
JADEが提唱する「検索インタラクションモデル(DCIR-QCLS)」は、SEOを次の2つの側面から構造的に捉えるフレームワークであり、AI検索にも適用できる:
- 検索エンジン(発見、クロール、インデックス、順位づけ)
- 検索体験(検索、クリック、着地、回遊)
AI時代においても、ユーザーファーストで質の高いコンテンツを作り、検索エンジンに理解されやすいサイト構造を設計するというSEOの王道は変わらない。
別枠で紹介した大内氏もそうだが、SEO(正確にはウェブマーケティング)の経験と実績がある人たちの考え方は共通している。生成AI検索が普及してきたからといって、今までとガラリと変わった取り組みは存在せず、焦点を当てるべき本質は不変だということに尽きる。
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