国内&海外SEO情報ウォッチ 「海外SEO情報ブログ」の鈴木 謙一氏が、日本と海外の検索マーケティング情報をさらっとまとめて毎週金曜日にお届け。
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LLMとオーガニック検索トラフィックのコンバージョン率の比較分析(最新版)

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グーグル検索SEO情報②

LLMとオーガニック検索トラフィックのコンバージョン率の比較分析(最新版)
優位な差は見られず (Amsive) 海外情報

LLMからのトラフィックと従来のオーガニック検索からのトラフィックのコンバージョン率に統計的有意差は見られない ―― Amsive(アムシヴ)が54のウェブサイトを分析した調査で、こんな結果がみえてきた。

LLMの平均コンバージョン率はわずかに高かったものの、その差はランダムな偶然によるものと考えられる。「オーガニック検索は、トラフィックとコンバージョンの両方において依然として圧倒的な主要チャネルである」と結論づけている。

調査結果の主要ポイントは次のとおりだ:

  • LLMトラフィックに明確なコンバージョン上の優位性はない ―― 54のウェブサイト全体で、オーガニックトラフィックの平均コンバージョン率は4.60%であったのに対し、LLMトラフィックは4.87%であった。対応のあるt検定(paired t-test)の結果、この差は統計的に有意ではなく(p=0.794)、一貫したチャネルの優位性というよりは、ランダムな偶然による変動である可能性が示唆される。

  • LLMのパフォーマンスは一貫していない ―― サイト全体の平均コンバージョン率と比較すると、次のとおり:

    • LLMトラフィックのパフォーマンスが良かったサイトは55.6%
    • 悪かったサイトは40.7%
    • 同等だったサイトは3.7%

    このほぼ半々の結果は、LLMトラフィックが「すべてのサイトで信頼性の高いコンバージョン向上をもたらすわけではない」ことを示す。

  • 高トラフィックサイトでも結果は同様である ―― トラフィックの多い33サイトに絞った分析では、平均コンバージョン率の生の差はより大きくなった(オーガニック:5.81%、LLM:7.05%)。しかし、この差も統計的有意水準には達せず(p=0.376)、主要な結論を裏付ける結果となった。

  • ビジネスモデルは結果に影響しない ―― B2BとB2Cモデルで分類しても、決定的なパターンは見られなかった。全データセットにおいて、LLMトラフィックはB2Bサイトでわずかに高いコンバージョン率を示し(2.17% 対 1.16%)、B2Cサイトではわずかに低い結果であった(6.58% 対 6.78%)。しきい値を設けたサンプルでの統計検定でも、ビジネスモデルがLLMトラフィックの対オーガニックでのコンバージョンに意味のある変化をもたらさないことが確認された。

  • LLMのトラフィック量はごくわずかである ―― LLMからの流入は、ウェブサイト全体のトラフィックの非常に小さな部分を占めるにすぎない。調査対象サイトの約90%において、LLMからのトラフィックが全セッションに占める割合は0.6%未満であった。

  • オーガニック検索がトラフィックとコンバージョンのシェアを独占 ―― 平均して、オーガニック検索は全セッションの31.9%、全コンバージョンの33.8%を占めた。対照的に、LLMトラフィックの貢献はセッションのわずか0.24%、コンバージョンの0.42%であり、現在の規模ではその影響が無視できるほど小さいことが浮き彫りになった。

次の補足情報も参照してほしい:

  • 業界別の傾向は参考程度である ―― 業界ごとにいくつかの差異が見られたが、各分野のサンプルサイズが小さいため、これらの洞察は慎重に解釈すべきである。
    見られた差異の例: 「金融サービスではLLMトラフィックのコンバージョン率が高く、Eコマースではオーガニックが高かった」

  • 本調査の限界 ―― この分析ではラストタッチアトリビューションが使用され、フォーム入力や購入などのマクロコンバージョンに焦点が当てられている。「リードから顧客への転換率」や、「カスタマージャーニーにおける複数のタッチポイントの影響」は考慮されていない。

★★★★☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

LLMにリバースエンジニアリングは意味がない
会話のエコシステムに存在することが重要 (Britney Muller on LinkedIn) 海外情報

AIに精通しているSEO専門家のブリトニー・ミュラー氏がリンクトインにあげた投稿を紹介する:

※「リバースエンジニアリング」とは、ここでは「LLMの出力や反応を調査することで、そのアルゴリズムやデータを調べる」ことを意味している。

SEO担当者の皆さんへ:

皆さんはLLMを検索エンジンのように捉えがちですが、それは参照できる枠組みが他にないからです。しかし、ニューラルネットワークに「アルゴリズムをリバースエンジニアリングする」という考え方は通用しません。まったく異なるテクノロジーなのです(そうしようとするのは滑稽に映ります)。

PageRankをリバースエンジニアリングしたのと同じ方法で、ニューラルネットをリバースエンジニアリングすることはできません。システムに意図的なランダム性が組み込まれている場合、「パターンを見つけ出し、それを攻略する」という考え方そのものが通用しなくなるのです。

たとえ自社のニッチな分野で最も完璧にマッピングされたベクトル埋め込みを手に入れたとしても、temperature設定によって毎回異なるアウトプットが生成されてしまいます。

たとえば、モデルは「iPhone」が「プレミアム」「エコシステム」「カメラ」といった言葉と関連していることを一貫して「知っている」かもしれませんが、特定の回答でそれらの関連性を実際に表現するかどうかは、部分的にランダムなのです。

でも、皆さんの検索スキルは決して無駄にはなりません。むしろ、これまで以上に重要になっていると言えるでしょう! AI検索は実際の検索結果に大きく依存しているのです。効果的な施策は継続し、1つのアルゴリズム(Google)への最適化に終始するのではなく、LLMが学習する他の関連サイトでブランドの権威性を築くことに注力しましょう。たとえば次のような場所です:

  • Redditのディスカッション
  • GitHubのリポジトリ
  • 業界フォーラム
  • ポッドキャストの書き起こし
  • 学術論文
  • など

要するに、「検索される場所」だけでなく、「会話が生まれる場所」に存在することが重要なのです。トレーニングデータのエコシステム全体に自社の情報が組み込まれてしまえば、何もリバースエンジニアリングする必要はなくなります。

ミュラー氏の主張を簡潔にまとめるとこうなる:

  • LLMをリバースエンジニアリングしようとするのは意味がない

  • ランダム性が組み込まれたニューラルネットワークは、リバースエンジニアリングが通用しない

  • するべきことは、Redditやフォーラム、GitHubなど、LLMが学習するサイト全体でブランドの権威性を構築することに注力すること

  • 「会話のエコシステム」に自社の情報が存在するように意識していく

たしかに、SEOに携わる人は検索エンジンをリバースエンジニアリングし続けてきた。検索エンジンは仕様を正確には公開していないため、そうするしかなかったからだ。そして、ちゃんとやればリバースエンジニアリングで正解を見つけられていた。

しかしそれは、検索エンジンが出力に「あいまいさ」「ランダム性」をもたせず、常にアルゴリズムに沿った一律の結果をだしていたからだ。

生成AIでは、入力に対して出力をつくりだす際に、「常に同一の結果」ではなく、ぶれがある。そのため、リバースエンジニアリングしても効果が低いというのだ。

★★★☆☆
  • AI SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

2025年9月のオフィスアワー: クロールの統計情報で提示される URL、サイト移転に伴いドメインの評価は分散など
head内に記述されたHTML要素は要注意 (#Google検索オフィスアワー on YouTube) 国内情報

2025年9月のGoogle検索オフィスアワーが公開された。今回あんな氏が回答したのは次の質問だ。

  • 「クロールの統計情報」で提示される URL(4:08
  • head 内に記述された HTML 要素(6:08
  • サイト移転に伴いドメインの評価は分散するか(7:38
  • クロールリクエスト数が激減(9:23
  • 検索アナリティクスの平均順位(10:44
  • サイトが検索結果に表示されない(12:04
  • セキュリティ警告への対応(13:44
  • 作品名より略称で検索した方が上位表示される(17:03

2つ目の「head 内に記述された HTML 要素」は要注意だ。iframeタグやimgタグなど本来bodyタグ内で使用する要素をheadタグ内に記述すると、それ以降のhead内で機能する要素はすべて無視される。これは、headがそこで終わりbodyが始まったとグーグルが解釈するためだ。以前にこのコラムで解説したので詳細はそちらで確認してほしい。

★★★★☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

GBPのビジネスリンクに関するポリシーとガイドラインが更新される
専用LPは要確認 (Google ビジネス プロフィール ヘルプ) 国内情報

グーグルビジネスプロフィールのヘルプの「ビジネスリンクに関するポリシーとガイドライン」をグーグルは更新した。次の3つのセクションが追加された:

  • 専用のランディング ページ
  • 直接アクションの完了
  • クロール可能性の要件

GBPの管理者は更新された箇所を確認しておいてほしい。特に、専用のランディングページは、単なる推奨事項ではなく、ほぼ必須といえるものだ。場合によっては修正が必要になる。

★★★★★
  • すべてのGBP管理者 必見!

帰ってきたSearch Central Live Tokyo、11/7に開催決定!
LTもあるぞ! (グーグル 検索セントラル ブログ) 国内情報

Search Central Live Tokyo 2025の開催をグーグルが発表した。

  • 日時: 11月7日(金)12:00~19:00
  • 場所: 渋谷ストリーム(グーグル東京オフィス)

前回のSearch Central Live Tokyoは2023年6月16日だったので、約2年半ぶりの開催となる。申し込みの締め切りは10月20日だ。都合をつけて申し込もう(応募多数の場合は抽選)。

なお今回も、参加者による7分間のライトニングトークが予定されている。こちらの締め切りは10月5日だ。「我こそは!」という意気込みのある人はチャレンジするといい。

※Web担編注 残念ながら秋のWeb担イベントと日程がかぶってしまっている。ぜひWeb担のイベントもチェックしておいていただきたい。
11/6+7のWeb担ミーティング秋の情報を見る

★★★★★
  • すべてのWeb担当者 必見!

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