
「検索エンジン」「生成AI」のトラフィックを実データで比較。SEOの進むべき道はどこに?【SEO情報まとめ】
SEO担当者は生成AIにいつ工数を振り分けるべきか? 今でしょ? もう遅い? ahrefsが公開した「10万サイトのデータでAIと検索のトラフィックが見える」ツールで確認しておこう。
また、ランド・フィッシュキン氏の「実は生成AIの利用が伸びると検索も増えるかも」という調査データの情報も、あわせてピックアップでお届けする。
ほかにも、「AI Mode」最新情報、XMLサイトマップ、スパムアップデート、GoogleトレンドAPI、AIに非情なレンタルサーバー、オウンドメディアの正しい戦略などなど、あなたのSEO力とAI力、さらにマーケターとしての能力を磨く情報を、今回もまとめてお届けする。
- 「検索エンジン」「生成AI」のトラフィックを実データで比較。SEOの進むべき道はどこに?
- AIの台頭でも検索エンジン利用は減っていない!? 「AIツール導入状況 vs. 検索エンジン利用状況」調査で判明
- グーグル「AI Mode」が日本でも使えるように(ただし正式サポートは英語だけ)
- XMLサイトマップの小技: 急ぎでクロールさせたいURL専用のサイトマップを送信する
- グーグル、2025年8月のスパムアップデートを実施
- レンタルサーバー事業者が無断でAIクローラーをブロック!? AI検索に出てこなくなるかも
- 月間20万PVのオウンドメディアが失速→アナグラムが実行した3つの改善策とは?
- GoogleトレンドAPIがスタート、独自のシステムにトレンドデータを統合可能
- コサイン類似度(Cosine Similarity)はAI検索SEOにとってどのくらい重要なのか?
- グーグルマイビジネスで定期的に実行すべきタスクリスト
- OpenAIの最新LLMモデル、GPT-5によりSEOは必要不可欠な存在になる!?
- ユーザーの検索行動に生成AIが与える影響——変化させるが置き換えにはならない
夏休みのおしらせ: 通常は隔週でお届けしているこのコーナーですが、お休みを挟んで次回の更新は10月3日を予定しております。次回の更新をお楽しみに!
今週のピックアップ
「検索エンジン」「生成AI」のトラフィックを実データで比較。SEOの進むべき道はどこに?
ChatGPTは着実に伸びているがグーグルには程遠い (AI vs Search Traffic Analysis) 海外情報
「グーグルなどの検索エンジンからのトラフィック」と「ChatGPTなどのAIチャットからのトラフィック」を比較するウェブツールを、ahrefs(エイチレフス)が公開した。
ahrefsの解析ツールを利用する10万以上のサイトのデータをもとにしており、データは毎月更新。次のようなデータを参照できる:
- トラフィック全体に占めるパーセンテージ
- 月次成長率
- 地域別のトラフィックシェア
Ahrefsのティム・ソウロウ氏は、現状のデータについて次のようにコメントしている。
これまでに見られる傾向として、ChatGPT からの参照トラフィックは毎月およそ 1.5% の割合で増加している。
(もっとも、それぞれの「トラフィックシェア」を考えると、グーグルに追いつくにはかなりの時間がかかるように思われるが)
ChatGPTからのトラフィックは着実に増えているとはいえ、現状では、グーグルの足元にすら遠く及ばないようだ。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
AIの台頭でも検索エンジン利用は減っていない!? 「AIツール導入状況 vs. 検索エンジン利用状況」調査で判明
「SEOオワタ」はまたもや空振り (SparkToro) 海外情報
「人びとがAIツールを使うようになれば、検索エンジンが使われなくなり、結果としてSEOの価値も下がっていく」……そんな風に考えている人は多いかもしれない。
Web担でもおなじみMoz創業者のランド・フィッシュキン氏が率いるSparkToro(スパークトロ)が、PCでの「検索エンジン」と「ChatGPTなどのAIツール」の利用状況(2023年から2025年まで、米国)を、Datos(デイトス)の協力のもと分析した。
分析結果から明らかになったのは、こういう状況だった:
AIツールの導入は大幅に増加したが、現在はその成長が鈍化している。
従来型の検索エンジンの利用状況に大きな影響は見られず、依然として優勢かつ安定的に使われている。
現時点でデータが示唆しているのは、「AIツールが検索行動を代替する」のではなく、「AIとの併用で検索が拡大している」ということだった。
数値を含めた主要ポイントは次のとおりだ:
米国人の約40%が月に1回以上AIツールを利用しており、20%以上が月に10回以上利用している。
従来型の検索エンジンの利用は安定的で、米国人の95%が毎月利用し、86%がヘビーユーザー(月10回以上の利用)に該当する。
2023年1月から2025年6月にかけて、月に1回以上AIツールを利用する米国人の割合は8%から38%に増加した。対照的に、同期間における従来型検索エンジンの利用は1%未満の微減にとどまった。
AIツールのヘビーユーザーの数は、2023年1月の3%から2025年6月には21%に増加した。
AIツール導入の前月比成長率は鈍化しており、2024年9月以降、1.1倍を超える増加はない。
データから考察すると、ユーザーがChatGPTを利用するようになると、Googleでの検索回数が増加する。平均して、週間グーグル検索セッションは導入後に10.5回から12.6回に増加した。
従来型検索とAIツールの両方で、利用の「サマースランプ(Summer slump)」が観測されているが、これは学校の休暇期間中の教育関連での利用減少と関連がある可能性が高い。
※この分析は米国のデスクトップデバイスのデータのみに基づいており、モバイルアプリやモバイルブラウザの利用は含まれていない。
我々の感覚でいうと「検索エンジンを月に10回以上使う」ぐらいでヘビーユーザー扱いになるのは少し違和感がある。とはいえ、「AIの利用が伸びていても検索エンジンの利用は減っていない」というのは、グーグルの声明と一致している。むしろ、AI利用が検索エンジン利用を促進している側面も伺える。
「SEOは終わった」は、今回も空振りに終わる公算が高い。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
グーグル検索SEO情報①
グーグル「AI Mode」が日本でも使えるように(ただし正式サポートは英語だけ)
「AIモード」として日本語で使えるのはいつ? (The Keyword) 海外情報
グーグルは、日本を含む180 以上の国と地域でAI Mode(AIモード)を一般公開した。ただし、サポートする言語は英語だ。
表示言語を英語(English)に設定してgoogle.comにアクセスすると、日本でもAI Modeを試せる。とはいえ設定はちょっと面倒なので、このURLで英語版を試してみてほしい(ずっと英語版になってしまった場合はこのURLで日本語版に戻せる)。
日本にいてもVPNを使ったりせずにAI Modeでやりとりできるが、前述のとおり、AI Modeでの質問は、まだ英語にしか対応していない。
しかし、日本語で利用するハックもある(筆者の個人ブログ記事なので手前味噌になるが、ぜひ試してみてほしい)。
いつ頃から日本語で利用できるようになるのかについては、言及がない。「英語以外の言語も年内にはサポートするのではないか」というのが筆者の希望的観測だ(根拠なし)。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
XMLサイトマップの小技: 急ぎでクロールさせたいURL専用のサイトマップを送信する
ベテランSEOコンサルタントのお墨付き手法 (Mark Williams-Cook on LinkedIn) 海外情報
XMLサイトマップのTIPSを、マーク・ウィリアムズ=クック氏がリンクトインで共有した:
特定のページを迅速に再クロール/インデックスさせるための便利な小技がある。そうしたクロール専用のXMLサイトマップを作ることだ。
これは何年も一貫して効果があり、おそらくクロールキューや並列リクエストの仕組みに関係しているのだと思う。これまで、ページをすぐにインデックスに入れる必要がある場面でいくつかのソリューションを作り、自動的にサイトマップを管理してきた。具体的には、未インデックスの URL だけを専用サイトマップに入れ、インデックスされたら「メイン」のサイトマップに移す、という方法だ。
急いでクロール/インデックスさせたいページのためだけのサイトマップ作成し送信すると効果があるというのだ。ウィリアムズ=クック氏は20年以上の経歴をもつベテランSEOコンサルタントなので信憑性は高そうだ。試してみるといい。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
グーグル、2025年8月のスパムアップデートを実施
目立つ変動発生か? (Google Search Central on LinkedIn) 海外情報
グーグルは、2025年8月のスパムアップデート(August 2025 spam update)を実施した。
リンクトインで次のように告知している:
本日(太平洋時間8月26日)、2025年8月のスパムアップデートをリリースしました。
完了までに数週間かかる場合があります。これは通常のスパムアップデートであり、すべての言語と地域に展開されます。ロールアウトが完了した際には、Google 検索ステータス ダッシュボードでお知らせします。
https://status.search.google.com/incidents/a7Aainy6E9rZsmfq82xt
「通常のスパムアップデート」ということで、特に狙い撃ちしたタイプのスパムはないようだ。スパムサイトを検索結果から排除するための検索システムアップデートなので、全体としては騒ぎになるような順位変動は発生していないようだ。
とはいえ、目立つ動きが観測されているという話もある。アップデートの分析に詳しいグレン・ゲイブ氏は次のようにXで投稿している:
注意喚起:
2025年8月のスパムアップデートが反映されたようだ。今朝の時点で複数のサイトで順位下落が見られる。そのなかには検索での露出が大きく低下しているものもある。引き続き注意深く追跡していくので、注目してほしい。
2025年8月のスパムアップデートによるさらに大きな下落も確認した。
まだ詳しく調査が必要だが、次のような要素が影響しているように見える:
- プログラムによる生成
- 誘導ページ
- 同一または類似テーマを狙ったページ全体での焼き増しコンテンツ
おそらくそれ以上の要因もあるかもしれない。引き続き詳細な分析が必要だ。
Another huge drop from the August 2025 Spam Update. Still need to dig in more but sure looks like programmatic, doorways, spinning content across pages targeting the same/similar topic. Maybe more... I still need to analyze further. pic.twitter.com/yPD6CQ0D4l
— Glenn Gabe (@glenngabe) August 29, 2025
スパムアップデートは、正しいSEOに取り組んでいれば心配する必要がない。むしろ、スパムサイトが下落することで恩恵を得るサイトも出てくるだろう。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
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