経済産業省の関東経済産業局は12月25日、SNS運用やAI活用ビジネスのオンラインスクール事業のアドネス(東京都新宿区)に対し、特定商取引法違反(適合性原則違反)で12月24日付で行政処分を行ったと発表した。法令遵守体制の整備と再発防止策の実施を指示した。行政処分は消費者庁長官から権限委任を受けた関東経済産業局長が実施した。
アドネスは、SNSで「ロードマップ作成会」といった無料コンサルティングをうたい、申し込んだ消費者にウェブ会議のURLを送って電話をかけ、SNS運用やAI活用ビジネスのスキルを習得するオンラインスクールの契約を勧誘していた。電話で申し込みと契約を完結させる取引形態は、特定商取引法上の電話勧誘販売に該当する。
同社の電話勧誘販売は顧客の知識・経験・財産状況から「不適当と認められる勧誘行為」と認定された。事例では2023(令和5)年11月ごろ、月5万円程度のアルバイト収入で他に財産のない当時18歳の消費者に、高額契約経験もないにもかかわらず消費者金融で借入と分割払いを勧めて即時の契約締結を迫り、総額約77万円の契約を締結させたとしている。
関東経済産業局はアドネスに対し、違反行為の原因を調査・分析して法令遵守体制の整備や再発防止策を講じ、役員や営業担当者などに周知徹底するよう指示した。この件に関する問い合わせは各地の経済産業局の消費者相談室で受け付ける。個別トラブルの相談やあっせんは消費者ホットライン「188」や最寄りの消費生活センターで受け付ける。