なぜ検索マーケティングが必須なのか - 『検索エンジン最適化の初心者ガイド』改訂版#3
この記事は、『検索エンジン最適化の初心者ガイド』をセクションごとに書き直していく過程のエントリだ。この構想については、概要を見てもらえば、もっとよくわかるだろう。
なぜ検索エンジンマーケティングが必要なのか
この資料の読者の多くは、検索マーケティング(特にアルゴリズム検索エンジン最適化)の必要性と価値に対する疑念を克服しているだろうが、それぞれの組織、会社、人脈、顧客の人たちとなると、意見は違うかもしれない。したがって、このセクションの目的は、“積極的にSEOをすることの必要性”をあなたがだれかに説明するのを助けることにある。
企業のなかで、経営側と技術側の両方の人たちが挙げる最も一般的な問題の1つは、以下のようなものだ。
利口なエンジニアが作った検索エンジンならば、上位ランクを得たりインデックスに登録してもらったりするため、特定のルールや原則に従うようウェブサイトに求めるようなものにはならないはずだ。
脳みそが半分でもあれば、あらゆるアーキテクチャを探索可能で、どんなに複雑または不完全なコードでも解析し、それでもなお、もぐりの検索マーケティングの専門家が「最適化」したものではなく、最も関連性の高い最良の検索結果にたどり着く手段を見つけるシステムを求めるだろう。
最初はこうした意見が、打開するには手ごわい障害だと思われるようだが、検索エンジンの内部構造についてもっと詳しく調べ、より詳細に説明できるようになれば、こうした反論は力を失っていく。
検索エンジン技術の限界
主要な検索エンジンはすべて同じ原則で機能している。自動探索ロボットがウェブ中を巡回し、リンクを辿りながら、膨大なデータベースにコンテンツをインデックス化していく。しかし、現代の検索技術は全能というわけではない。インデックス化とランキングの両方において大きな問題を引き起こす原因となる、いろいろな技術的限界がある。それらのうち、最も一般的なものをいくつか挙げていこう。
クロールとインデックス化の問題
- 検索エンジンは、オンラインフォームに入力することができない。したがって、フォームから先にあるすべてのコンテンツは、検索エンジンから見えることはない。
- 貧弱なリンクの構造により、検索エンジンがウェブサイト内の全コンテンツにアクセスできない、すなわちそれらコンテンツをクロールできない可能性が出てくる。そして検索エンジンに対するコンテンツの露出が最小限に留まり、インデックス化にあたって「重要でない」と見なされてしまう。
- Flash、フレーム、Javaアプレット、プラグイン型コンテンツ、音声ファイル、そして動画を使用しているウェブページのコンテンツには、検索エンジンがアクセスできない。
テキストではないコンテンツの解析
- ウェブページの読み出し可能なコードにある非HTML形式のテキストは、そもそも検索エンジンが読み取れない。
- 具体的には、Flashファイル内のテキスト、画像、写真、動画、音声、プラグイン型コンテンツなどだ。
「森の中で木が倒れても」的な効果
これは、検索エンジンの働きと、検索マーケティング担当者の重要性を理解する上で、おそらく最も重要な考え方だ。
たとえ、検索エンジン向けに技術的に正しく最適化できたとしても、検索エンジンがそのコンテンツを事実上見てくれない場合もある。これは、現代の検索エンジンが持つ固有の性質が原因だ。つまり、検索エンジンは検索結果を表示するために、「関連性と人気」に関する評価指標に依存しているという問題だ。
「森の中で木が倒れても」という話は、広い森の中で1本の木が倒れたとしても、その音をだれも聞かなければ、その木が倒れたという事実の存在も不確かになるというものだ。これは検索エンジンとウェブコンテンツにも完全にあてはまる。
主要な検索エンジンには、ウェブページの質と注目度を測る固有の判断基準がないうえに、ウェブ上にある文章、アート、マルチメディアのすばらしいコンテンツを検索エンジンに示し、発見させる潜在的な手段もない。何かを見つけ出し、反応し、コメントを残し、(検索エンジンにとって最も重要な)リンクを張るという能力は、人間だけのものだ。したがって、単にページを作るだけでは「すばらしいコンテンツ」たり得ないのは当然で、ページをだれかに知ってもらうマーケティング的な行動を行ってはじめて、検索エンジンにとっても「すばらしいコンテンツ」となる可能性が出てくるのだ。
すでに人気のあるウェブサイトや、すでに人気を得た個々のページにある質の高いコンテンツを、「人気のあるコンテンツ」だと認識する点に関しては、すでに検索エンジンは良い仕事をしている。しかし、検索エンジンは、人気自体を生み出すことはできない。これは、才能あるインターネットマーケティング担当者を必要とする課題なんだ。
検索ランキングの競争的な性質
何でもいいから検索結果ページを眺めてみると、実践としての検索マーケティングが今後も続く長い命脈を持っているのか、その理由がわかるだろう。
上位から並んだ10位までに掲載されると、その相対的位置と検索ユーザーを引き寄せる力に基づき、クリックスルーのトラフィックを得る。これほど少数のリンクに、非常に多くのトラフィックが流れているという事実は、どのような検索であれ、検索結果ランクを得る上で、金銭的な動機と報酬が常に存在していることを意味する。将来のアルゴリズムを構成する要素が何であれ、こうしたトラフィックと、ブランド構築、マーケティング、そしてそれがもたらす販売目標において、各ウェブサイトと各企業は互いに競い合っていくだろう。
絶えず変化する検索事情
検索マーケティングが始まった1990年代半ば、手動検索エンジン登録申請、メタタグによるキーワード設定、キーワードの羅列、これらはすべて、上位ランクを得るために必要な戦術の標準的な要素だった。2004年には、アンカーテキストを使ったリンク爆弾、自動ブログコメントスパムツールによるリンクの大量購入、ウェブサイト間の相互リンクファーム構築といった手段が、トラフィック獲得に利用された。そして2007年、ソーシャルメディアマーケティング、有料リンクネットワーク、垂直型検索への登録が、検索エンジン最適化手法の主流となった。
検索エンジンの将来がどうなるか、確かなことは言えないが、検索の世界において変化は常に存在する。それゆえ、上に挙げたすべての理由とともに、検索マーケティングはウェブ上で競争力を維持したいと考える人たちの日常において、変わらぬ確かなニーズであり続けるだろう。
これまで検索エンジン最適化を効果的に擁護した人たちもいたが、僕の考えでは、単純な論理以外に擁護の必要はないと思う。その単純な論理とは、次のようなものだ。ウェブサイトやウェブページは、人々の注目や検索エンジンでの順位において競い合っており、検索エンジンのランキングに関して最高の知識と経験を備えた者が、トラフィックと認知度の向上という利益を享受するということだ。
ところで先週の話題
今回の「検索エンジン最適化のためのビギナーズガイド」改訂はここまでにして、先週の話題をまとめてみよう。
先週の話題は、多くのサイトでGoogle ToolbarのPageRankスコアが急落した話(確かな見識が欲しければ、Gregの記事がお勧め)ばかりだったけど、ほかのネタ元からも刺激的な話がさまざま出ていた。
明らかに大きなニュースは、MicrosoftがFacebookに大量の資金を投じるという話と、近い将来Live searchがほぼ確実にFacebookの一部に組み込まれるという話だ。GoogleのOpenSocialの記事を読んで、あくびをしているのは僕だけかな?(ちなみに、見過ごされがちな僕の特性とは、パイプを吹かしている著者の写真が付いた記事なら、リンクせずにいられないというもの)
salesforce.comのIdeaExchangeは、実際のところ実用的なDiggのクローンになるんだろうか? こういった形式は、間違いなくY Combinatorのニュースではるかに上手く機能しただろうと思う(そしてここに掲載されれば、いつでも結構なトラフィックをもたらしてくれる)。
ジョン・ムーは、Webmaster HelpフォーラムのGoogle関係者たちについて、9月の間かなり鳴りをひそめていたと指摘している。僕はスーザンのせいだと思う。できれば、今後はもっと活発であってほしい。もしGoogleがさらにスタッフを配置すれば(共感できないと言ってるわけじゃない。ここSEOmozとYOUmozの複合体においても、プレミアム会員向けのQ&Aは多くの時間を食いつぶしていく。現在知識ベースのスレッド数は500以上もある)、同フォーラムはサイトオーナーにとってすばらしい情報源になり得る(そればかりか、マット・カッツの肩にかかった重荷も軽減してくれる)。ところでMystery Guestと僕は、ストックホルムでジョン(と何人かのGoogle関係者)に会い、すばらしい時間を過ごした。それについては、今週中にまたお伝えしよう。
ニールが、マーケティング、広報活動、広告、個人的なブランド構築の違いについて、すばらしいリンクベイトを作成した。それと先週Mystery Guestはニールからプレゼントを受け取り、心から喜んだんだ。ありがとう、ニール。
もしこの記事をレベッカが書いていたら、Copybloggerのダニエル・スコッコ氏の記事を読むように言うだろうね。でもこれを書いているのはレベッカじゃないですから!
SEOmozの内幕を覗いてみたい? それならウィル・クリッチロー氏による我らがスコット・ウィルビーのインタビューを読んでみよう。
トーマス・ビンドル氏とRefined Labsにおめでとうと言いたい。彼らはウェブマーケティング担当者向けの、と~ってもすばらしそうなソフトウェア開発資金を獲得した(こちらの投資会社から)。
Craniumは、おなじみの職業を持つキャラクターだ。
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