Googleツールバーのページランク急落現象に関する調査: 下落が発生していたドメイン名は3.8%
10月の下旬に、僕たちは非常に多くのサイトでページランクが突然下がったという多数の報告を受けた。
そしてすぐに、あちこちから「Googleが有料リンクにペナルティを科すため、ランク決定の方程式を更新したんだ」という声が上がり始めた。
ところがその一方で、自分たちのサイトには何の変化もないとして、これらの報告を相手にしない人もいる。
一体どちらの言うことが本当なのだろうか? これらの噂や報告を、錬金術のような怪しい方法ではなく、真の科学的方法で整理するには、どうすればいいのだろうか?
幸いなことに、ここはSEOmozだ。僕たちには、この目的に使える強力なツール群がある。
SEOmozユーザー(みんなのことだよ)のおかげで、僕たちにはドメイン名のランクを記録し続けてきた膨大な量のデータの蓄積がある。このデータと現状のページランク情報を比較してみれば、その数値の差から、鉛を金に変えるための出発点が見えてくるはずだ(もちろん、ページランクが下がっていなければ、鉛のままだけどね)。さあ、核心に触れていくとしようか。僕たちの調査結果を以下に示しておく。
2007年10月24日、午後3時から10時32分(太平洋標準時)のデータ。
- 調査したドメイン名:3万2856件
- ページランクが上がったドメイン名:0件
- ページランクが下がったドメイン名:1264件
- ページランクに変化のなかったドメイン名:3万1592件
- ページランクが上がったドメイン名の割合:0%
- ページランクが下がったドメイン名の割合:3.8%
この調査結果を見れば、ページランクに変化が生じたのは明らかなようだ。
さらに興味深いことに、ページランクの下がり幅が最も大きかったサイト上位5件をより詳しく調べてみると、すべて有料リンクを含んでいることがわかった。
このことから、おそらく最初にこの現象を報告してきたサイトには、何らかのモラル上の問題があったのだと想像できる(^_-)。
こんなこと言ってもたいした慰めにもならないだろうけど、言われているほど酷くないんじゃないかと思う。僕たちはそれから「調整」という第2ラウンドがありそうだと知り、再度テストを行った。
調査は、2007年10月29日の午後12時19分から5時28分(太平洋標準時)にかけて実施。今回は非常に多くのページでページランクが上がった。
- Googleツールバーのページランクが上がったページ数:5499ページ
- 上がり幅6ポイント:1ページ
- 上がり幅5ポイント:4ページ
- 上がり幅4ポイント:35ページ
- 上がり幅3ポイント:211ページ
- 上がり幅2ポイント:1054ページ
- 上がり幅1ポイント:4194ページ
しかし、良い話には悪い話がつきものだ。
- 今回は9527ページでページランクが下がった。
この第2波は、最初の変化よりもずっと重大なもののように思える。
というのは、ページランクの変動幅が前回よりはるかに大きいからだ。初回の調査では、ページランクが下がってもせいぜい4ポイントが限度だった。ところが今回は、最大で7ポイント下がったページがある。とはいえ、そのような大きな落ち込みを経験したページはすべて、合法性を装って運営しているページではなく、開店休業状態や休眠中のもののようだ。
調べてみて大変興味深かったのは、Googleと競合する検索エンジンのいくつか(Yahoo!、AltaVista、Microsoftなど)でもランクが下がっていること(わずか1ポイントだが、それでも下がったことに変わりはない)。Google.frのランクも同様に下がっていたようなので、このことに特別な意味はないだろう。
一見、数多くのサイトが特に理由もなくページランクの落ち込みを経験したように見えるが、最も下がり幅の大きかったサイトは、有料リンクを含んでいた。
ほかに何か気づいたことや、追加できるデータ、質問などあったら、どんどん聞かせて欲しい。
Randから一言:参考までに言っておくと、僕らはこのような最新のデータをたくさん集めているけれど、そのデータは全体像をつかむ目的にしか利用しない。集めたデータを競争的分析に使用したり、何かアイデアを得るため、あるいはその挙動から特定のサイトを「取り出す」ために使用するといったことは「やっていない」し、今後もすることはない。ただし、検索エンジンに今大きな変化が起こっているので、Melが出してくれた今回のようなすばらしいデータを、あれこれたくさん提供していくつもり。
今回示したデータに基づいて僕個人の意見を言わせてもらうと、最初のページランク調査で見られた現象は、リンクを販売しているサイトで、ランク操作を試みているとGoogleが判断したところに対して、価値を下げたり、冷遇しようとする取り組みだということは、誰の目にも明らかだった。しかし2回目の調査のとき(最初の調査からおよそ48時間後)の変化は、ツールバーに表示するページランクデータの通常更新によるものなのだろうと思う。
コメント
リンク集自体の評価減で波及したページラン...
大阪の仲居 一平と申します。
大変興味深く拝見させていただきました。
今回の多数のページランクダウン措置は、”措置”ではなく、有料リンクサイトへのペナルティに
より、有料サイトにSEOを頼り切っていた各リンクサイトがその余波を受けて軒並みランクダウン
という現象となったのだと思います。
リンク集への優劣は、何を持ってつけるかはわかりませんが、今回は有料であるという基準で
評価減措置を行ったのだとすれば、ちょっと強引なのか・・・と感じます。
まじめにリンクを張るサイトのことを考えて運営しているウエブマスターはたくさんいると思いますので。
がん細胞をたたくのに、元気な細胞まで殺してしまう、今のがん治療のような措置しかできない
のでしょうね。
コンテンツ重視、発信情報の質にこだわってブログ運営していくことが、やはり急がば回れですが
確実なSEO対策だと思います。
貴重な情報、有難うございます。
仲居 一平