グーグルがSEOスパムとみなすもの、みなさないもの/マット・カッツ氏インタビューから(前編)
PageRankスカルプティング(Sculpting)とは、ページランクのため込み(PageRank Hording)と根本的に同じことで、nofollowやrobots.txtなどを利用してリンクジュースの流れを制御すること。PageRankサイロイング(Siloing)とも呼ばれる。
エリック・エンゲ氏は、2007年10月に行ったマット・カッツ氏とのインタビューの中で、次の2つのことをうまく聞き出していた。
- サイトでPageRankスカルプティングを実施しても問題はないこと
- メタタグ(meta要素)で「noindex」を指定したページでもページランクを受け渡すことができること
さて、エンゲ氏は6月にもカッツ氏にインタビューし、それを先ごろ掲載した。いつものごとくエンゲ氏は、カッツ氏からいくつもの興味深い情報をうまく聞き出している。しかも、何食わぬ顔であっさりとね。(^_-)
インタビューで出てきたやりとりから、重要なポイントを8つピックアップしてまとめてみた。
(1) ソーシャルメディアコンサルタントを雇うのと有料リンクは違うのか?
マット・カッツ氏
Diggで注目を集めるためにソーシャルメディアコンサルタントにお金を支払うのは、リンクを購入するのとはわけが違います。創造力を購入しているのですよ。つまり、自分のページに資金を投じることで誰かの創造力を手に入れるわけです。
これは、他人に銃口を向けて、「オーケー、私にリンクしろ」と言うのとは異なります。人々がそのサイトにリンクを張るのは、そのサイトがそうしたくなるような魅力を持っているからです。この場合、リンクを張るか張らないかの選択権は、やはりリンクする側にあります。
ポイント
グーグルのアルゴリズムはDiggを重視しており、この傾向は当分の間続くだろう。Googlebotは、Diggの持つリンクオーソリティを健全なものだと見なしている。みんな、ソーシャルメディアマーケターを雇おう!
(2) ウィジェットベイトで得る被リンクはOKなのか?
「ウィジェットベイト」とは、おもしろいブログバーツなどを作って配布する際に、配布するHTMLコードにリンクを含めておくことで、被リンクを獲得する手法。
エリック・エンゲ氏
ウィジェットベイトにおいて、隠しリンクなどはないが、リンク先との関連性が乏しいというケースについて考えてみたいのですが。
カッツ氏
ふむ、関連性の乏しいウィジェットベイトですか。
われわれは、ウィジェットを利用する場合でも通常のリンクベイトと同様に考えています。つまり、人々は自分がどこにリンクを張っているのかを知っていなければならないし、リンクするかしないかを自分で決定できなければならない、ということです。
もし人をだましてリンクを獲得した思われる場合、たとえば、人々が何かのサービスに登録し、それに伴ってリンクが作成されたのに、登録者はそのことを認識すらしてないというようなケースですが、それはあまり好ましいことではありませんし、われわれが望んでいるような、リンク先のサイトに対する支持票に相当するものでもありません。
リンク先がどこかを調べてみることもできますね。そのリンクはウィジェットの入手先へのリンクなのか? あるいはまったく異なる第三者のページへのリンクなのか? これは、関連性の有無にも関係しています。
ポイント
ウィジェットベイトを行う際は、アンカーテキストで指定したリンク先と同じドメイン名上にウィジェットを置こう。両方が同じドメイン名であれば、Googlebotから見て、より多くのリンクジュースがそのドメイン名に流れ込むことになる。
(3) ウィジェットベイトで得るリンクの関連性はどうチェックしているのか?
エンゲ氏
そうですね。そのこと(ウィジェットベイト内のリンクが有料かどうか)については必ずしもわかるわけではないでしょうが、そのリンク先が無関係の第三者のサイトであればすぐわかりますね。それを調べるのはとても簡単です。
ポイントカッツ氏
そう、無関係の第三者へのリンクの場合は、たいてい関連性が乏しいものです。
それから、そのリンクのアンカーテキスト自体を調べてみることもできます。それで、アンカーテキストが単にそのサイトの名前だけというのであれば、キーワードを詰め込んだアンカーテキストや、スパム的なアンカーテキストの場合とは少し異なりますね。
それから、ウィジェットに埋め込まれているリンクの数です。やり過ぎと思えるほど大量のリンクを詰め込んだウィジェットもあります。
私が関心を持つ最後の1点は、ウェブサイトにウィジェットを置いたサイトの持ち主が、どれだけの情報を知らされているかということです。というのも、ほとんど何の情報も開示していないに等しいウィジェットをいくつも目にしているからです。おそらく、エンドユーザー向けの使用許諾契約のどこか最後の方に必要な情報が掲載されているのかもしれませんが。
ウィジェットベイトを実施する際、そのウィジェットは自分のサイトに置いておこう(注:カッツ氏はこのインタビューで、そうするよう2度も述べている)。
次に、ターゲット化したアンカーテキストだけではなく、自分のサイト名もアンカーテキストとして使用すること。
さらに、ウィジェットに埋め込むリンクは2つだけにする。1つはそのウィジェットの配布ページに、もう1つは、できればそのウィジェットと同じドメイン名上にあるほかのページに張ろう。ウィジェットの配布ページにつながるリンクには「ターゲットとするキーワード+ウィジェット名」という形のアンカーテキストを使用すべきだと思う。そうすれば、スパムと見なされることなく、ターゲットとした語句でドメイン名の強さを増すことができるからだ。
また、ウィジェットをダウンロードするランディングページには、同じキーワードを含むタイトルタグとH1タグを記入しておくこと。
最後に、そのウィジェットのランディングページに利用規約を掲載し、そのウィジェットを使用すれば、ウィジェットのページとターゲットとするページにつながるバックリンクが作成されること、そしてウィジェットをダウンロードすることはそれに支持票を投じることであり、そのようなリンクを張る価値があるウィジェットだと考えていることを示すものだということを、太字で明示しておく。
正直なところを言えば、多くの場合、こうしたことを明らかにすることでウィジェットベイトがうまくいかなくなることはないと思う。なぜなら、人々はどっちみち、こうした利用規約をきっちりとは読んでいないからだ。だが、検索ロボットは間違いなくちゃんと読むし、明らかにカッツ氏も目を通す。だから、以上のことを実施して、グーグルがサイトのオーソリティやウィジェットベイトの関連性を低く評価する根拠を与えないようにしよう。
(4) 被リンクのアンカーテキストをうまく調整してもらうのはOKなのか?
「オーガニックなリンク」とは、有料リンクやスパム的手法に頼らない、自然発生的なリンクのことを指す。
カッツ氏
自分のサイトにリンクを張ってくれているウェブマスターに頼んで、アンカーテキストをもっと効果的なものに変えてもらうことは確かに可能です。大事なのは、人々に対して適切に情報を伝えたいと、あなたが思うことです。
いずれにせよ、オーガニックなリンクには、望ましいアンカーテキストが自然な形で配置されることが多いのです。したがって、オーガニックな手法で獲得したリンクについては、リンク元をたどってアンカーテキストを変えてもらうよう交渉する必要は、普通ありません。
ポイント
グーグルの検索ロボットは、あるページに対するアンカーテキストの分布状況を、そのページのURLと比較してチェックしている。これは、テーマや地域などの要素が似ているサイトまたはページと比べて、標準的な範囲を越えているか、あるいは超えていないか、ということだと思う。
したがって、同じアンカーテキストで自分のドメイン名やページを指すリンクをあまりたくさん作成しないこと。少しずつ変えるようにしよう。「blue widgets」「widgets」「blue」「domain.com/page」など、違うアンカーテキストを持つものを作るのがよい。自分のサイトやページを「最適化しすぎ」ないよう、ある程度のばらつきを作るんだ。
(5) 特定のアンカーテキストが大量に使われるのはどうか?
カッツ氏
(ウィジェットベイトのアンカーテキストについて)私なら、特定のアンカーテキストだけをやたらに使わないようにするでしょうね。あまり好ましいこととは思えません。
ポイント
うーん、また出た。カッツ氏はこの記事の中で2回も同じことを言っている。アンカーテキストの最適化をやりすぎないこと。カッツ氏の言うことを聞くべきなのかもしれない。
この記事は前後編に分けてお届けする。次回も引き続き、マット・カッツ氏のインタビューから得たSEOに関するポイントを解説していく。後編を読む
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