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SEOに投資する価値を上司に理解してもらうための計算式 ―― SEOのROI(前編)

簡単な計算式を使って、SEOに投資する価値を上司に説明しよう。
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

検索マーケターは、投資する価値があることを上司に証明できなければ、重要な仕事を実行に移せない。

そのことを念頭に、MozでSEOマネージャーを務めるカーヴィ・カルドスが、SEO業務の投資利益率(ROI)を正当化するために必要な数字と論点を示す。

この記事の目的

SEOが業務の中心でないが、常に多くの心配事を抱えており、非常に限られた予算やその他のリソースの配分方法についてとても難しい判断を迫られているという立場の人は多い。たとえば次のような人たちだ:

  • 最高マーケティング責任者(CMO)
  • マーケティング部門の責任者
  • スモールビジネスのオーナー

そうした立場の人には、SEOにリソースを費やす価値がある理由を理解してもらえるよう説明したい。

また、次のような人に対しては、ROIを正当化するために必要な数字と論点を提示しよう:

  • 説得する必要がある立場にいる人

SEOのROI

Mozファンのみんな、こんにちは。今日のホワイトボードフライデーでは「SEO業務の投資利益率(ROI)」について取り上げる。

これは、ウェブサイトやビジネスのオーナーが理解するべき重要なトピックだが、社内のWeb担当者や代理店のマーケターにとっては、もしかしたらそれ以上に重要なトピックかもしれない。なぜなら検索マーケターは、投資する価値があることを上司に証明できなければ、重要な仕事を実行に移せないからだ。

簡単な計算で正当性を証明する

今回のホワイトボードには数式がいくつか書かれているが、怖がらないでほしい、その意味もわかりやすく説明していく。

数式をだしている理由は、本気でSEO戦略に取り組もうとするなら、潜在的利益を把握する必要があるからだ。マーケティング責任者やスモールビジネスのオーナーが「数学は得意ではないが、予算が非常に限られている」という人であっても、利益を数字で試算して判断しなければいけない。

SEOを専門とする企業で働いている私でさえ、

  • 取り組みたいSEOプロジェクト
  • やってみたい実験
  • 使用したいツール

について、直接的にせよ間接的にせよ、実際に利益を生む可能性があるかという観点から、それらを正当化する必要がある。この場合も、提案しようとしている内容が何であれ、かなりしっかりした重要業績評価指標(KPI)を特定できれば、実際にはとても簡単な計算で正当性を証明できる。

架空のサイトを例に、潜在的な利益を計算する

例として、widgets.comという架空のサイトを見てみよう。

次のような状況を仮に設定している:

  • 対象検索キーワード: 「extra fine blue widgets」(特に優れているブルーウィジェット)
  • 現在の検索順位: 3位
  • 想定検索順位ごとのCTR: 3位で7%、2位で11%、1位で22%
  • 3位での月間平均検索訪問数: 500件
  • 検索経由の訪問者のCVR: 3%
  • 1件あたりのウィジェット売上: 50ドル

これらの情報をもとにSEOのROIを計算する流れを説明していこう。

このウェブサイトは、特に関連性が高く収益性も高い検索キーワードの1つである「extra fine blue widgets」(特に優れているブルーウィジェット)を重視していて、検索結果ページ(SERP)で現在3位に表示されている。

このような取引型の検索クエリでSERPの3位に表示されるウェブページのオーガニック検索クリック率は、平均すると約7%であることが調査でわかっているとする。

※Web担編注 順位ごとのSERP CTRは国やデバイスなどによって異なり、グーグルのSERP構成によっても変わる。日本における具体的な順位ごとCTRのデータを調べる場合は、現状ならばSearch Consoleのデータを参照するのがいい。想定の数値を知りたい場合は、たとえばこちらの記事などを参考にしてみるといいだろう。

SEOのこのROIを計算するには、オーガニック検索のSERP順位に加えて、クリック率も重要な指標となる(SEO担当者にとってごく普通の関心事のはずだ)。

クリック率が現在7%のページは、平均して月間500件のオーガニック検索クリック率を生み出しており、顧客が実際にその製品ページにアクセスすると、約3%の確率でコンバージョンに達するか、または実際にそのウィジェットを購入するに至っているとする(これはEコマースの平均値としては悪くないコンバージョン率だ)。

このウィジェットの価格は50ドルなので、このページのオーガニック検索からの月間売上平均は、この時点で750ドルとなる。

(検索クリック数×コンバージョン率×ウィジェットの価格)

この計算式はまだほんの序の口にすぎない。

もしSEOツールを導入してSERPの順位が上がったら、売上はどう変わる?

さて、widgets.comのSEOマネージャーであるチェルシーは、オールインワン型のSEOツールを契約したいと考えている。

このツールは、詳細なキーワード調査や競合分析、潜在的なリンクターゲットの特定に役立つほか、非常にしっかりしたオンページコンテンツの作成や、技術的な監査に加えて、ウェブサイト全体、特にこの製品ページを参照する新たな高品質のリンク獲得にも役立つ可能性があるからだ。

SEOツール導入を上司に相談したら、どんな会話になるだろうか?

こうした会話を経て、次のように進んだとする:

  • 彼女の上司は当然ながら、会社にとってどの程度のコストになるかを知りたがっている。そこでチェルシーが調べてみたところ、これらすべてを月額179ドルでできるSEOツールを見つけた。

  • チェルシーは上司の承認を得て導入を進め、「extra fine blue widgets」のクエリに対するSERPで、このページを3位から2位に引き上げることができた

売上はどう変わるだろうか?

  • こうした取引型の検索クエリ、そしてSERPで2位に表示されるページは、オーガニック検索クリック率が約11%であることがわかっているとする。

  • 検索2位を獲得したので、このページは1か月あたりのオーガニック検索クリック数が285件増えて785件ということになる(3位でCTRが7%のときに500件だったので、CTRが11%の場合は500×(11÷7)で計算できる)。

  • わかりやすいように、顧客がページを訪れた場合のコンバージョン率は3%のままにしておこう。

    (もちろん、この製品の説明やページのユーザーエクスペリエンスを改善するためにチェルシーがいい仕事をすれば、コンバージョン率も大きく伸びるのはわかっているし、そうなれば素晴らしい。ただ、話を単純化するために、このコンバージョン率は変えないでおく)

  • このウィジェット1件あたりの売上が50ドルであることは変わらない。したがって、このページは毎月オーガニック検索から約1200ドルを得ることになる。このページが3位だった頃と比べて、1か月あたり約450ドル増加した。

  • チェルシーが使っているSEOツールのコストを差し引くと、SEOによって得られた1か月あたりの売上増は約270ドルになり、1年あたりの売上増は約3000ドルになる。

もし検索1位を獲得できたら?

チェルシーがこれと同じSERPでこのページを1位に引き上げて、平均クリック率を22%になったらどうだろうか。

それが実際に可能なら、オーガニック検索のクリック率は大幅に増加するし、コンバージョン率とウィジェットの価格が同じなら、検索3位だった場合と比べて1か月あたりの売上は約1600ドル上乗せされる。ここでもツールのコストを差し引くと、1年あたりの売上は約1万7000ドルになる。

こうして見ると、月額179ドルのツールで済むなら、かなり有効ではないだろうか?

EコマースのSEOは275%のROI

ここまで、たくさんの計算式を一方的に挙げてしまったことはわかっている。だが、もしwidgets.comが数百点の製品を販売していて、そのごく一部でも検索順位を上げられればどうなるか想像してみてほしい。細かな点については多少あいまいにして考えたとしても、なんとなく想像できるだろう。

実際、Eコマース企業のSEOにおけるROIの平均は、投資額1ドルあたり約2.75ドル(つまり275%のROI)となっている

※Web担編注 Profitworksによる調査かと思われるが、定かではない。

ROIは、次の状況に応じて異なるはずだ:

  • 個々の業界
  • ウェブサイトの既定の評価指標
  • 競争環境

Eコマース以外のウェブサイトを手がけている場合、そうした取り組みの金銭的価値を算出するのは少し難しいかもしれない。リードジェネレーションサイトを手がけているなら、生成するリードごとにおおよその金額を把握する必要があるだろう。

あるいはメディア企業ならば販売できた広告枠など、何であれサイトの収益源を計算する必要があるかもしれない。いずれにせよ、この基本モデルは、業界や競争環境に関係なく有効だ。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。今回はSEOによって得られる潜在的な利益の計算について説明した。後編となる次回は、「ROIの予測と検証」や「SEOに投資しないことで生じるコスト」について考えてみる。

→後編を読む

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