グーグルがオーガニック検索トラフィックを減らしている!? いまSEO担当者は何ができるのか?
私たちはグーグルに頼るところがかなり大きい。しかしグーグルは最近、SEOを以前よりも難しいものにする決定をいくつかしている。
オーガニック検索においてどんな機会が奪われていて、それに対して我々にはどういった解決策が考えられるだろうか?
今回のホワイトボード・フライデーでは、ランドがやや気がかりなSEOのトレンドについて取り上げる。
Mozファンのみんな、こんにちは。ホワイトボード・フライデーにようこそ。今回は、いくらか気がかりな問題についてお話ししよう。それは、グーグルがオーガニック検索トラフィックを排除しようとしているなかで、僕たちはSEO担当者としてどうすればいいのか、という問題だ。
グーグルが登場してからこれまでの19~20年間、グーグルは前年比で毎月、より多くの検索ボリュームを生み出し、より多くのオーガニック検索トラフィックを送り込んできた――少なくとも季節調整済みベースでは。したがって、着実に登り坂で来たわけだ。
グーグル検索では常に機会が拡大してきたのだが、それが最近、一連の動きによってその傾向が変わった。
その理由は、グーグルが市場シェアを失っているからでも、ユーザーの検索ボリュームが減少したからでもない。グーグルがSEOをはるかに難しくする動きに出ているからだ。
いくつかの恐ろしいニュース
「グーグルがSEOをはるかに難しくする動きに出ている」とはどういうことか、たとえば、次のようなものが挙げられる。
「アンサー」ボックスの多用
ユーザーが質問形式の検索をした場合、グーグルは必ずしも(クリックスルーの獲得に役立つ)強調スニペットを返すとは限らず、検索ユーザーの質問に正確に答えるボックスを表示する。これはグーグル自身が直接答えるものだ。あるいは、カード形式で一連の結果を表示して、そのユーザーが探していると思われるあらゆる可能性を列挙する。
グーグルはますます積極的に、求人、航空便情報、製品などの商用分野に参入している
こういった分野の検索はどれも、以前は機会があったものだが、現在ではかなり少なくなった。
ExpediaやTravelocity、Hotels.com、Cheapflightsなどの立場から見てみよう。特にフライトやホテルの検索で何が起こっているかと言えば、グーグルは基本的にこんな風に言っているのだ。
あー、他に何もクリックする必要はないよ。必要な答えはすべてここに揃っているのだから。
季節調整済みの値で初めて、オーガニック検索から送信されるクリックの総数が減少した。
これは2017年8月から11月の間のことだ。Jalshotshotのデータでそれが分かった。少なくともここ米国では減少したが、他の国でも減少したかは分からない。
いずれにせよ、過去にはなかった現象であり、憂慮すべき問題であることは間違いない。送信されるクリック数が、それまでより減少したのだ。かなりの懸念を抱いた。
とはいえ、大きく減少したわけではない。数ポイント下がっただけだ。2013年に比べれば、2018年に送り込まれているクリック数ははるかに多い。したがって、何らかの基準値を下回ったというわけではない。だが、それでも心配だ。
検索結果ゼロの新たなSERP。
僕たちがそれを見たのはまったく初めてだった。グーグルはこれを導入後に取り下げた。しかし、たとえばロンドンの時刻や「ラガヴーリン16年」(ウイスキーだ)を検索すると、グーグルは何の結果も表示せず、時刻が記載された小さなボックスと、場合によってはAdWordsの広告をいくつか表示するだけだった。
オーガニック検索結果がゼロになってしまえば、そこにはSEO担当者が最適化する余地さえ残っていない。
ウェブサイトをほぼ無用にするローカルSERP。
ローカルSERPはますます積極的に改変されて、ユーザーはもはやウェブサイトをクリックする必要がなくなってきている。実際グーグルは、モバイル版とデスクトップ版の両方のローカル検索でウェブサイトを見つけにくくしている。
そのため、興味を持ったあるタイ料理のレストランのウェブサイトを探している場合、グーグルのローカルパックそのページが出てこなければ、求めている情報を探すのは、苛々するほど難しい。グーグルはローカルパックの情報をますます拡充させており、検索結果でより前面に表示させようとしている。
マーケターにとって考えられる解決策
結果として、検索マーケターは次のことを真剣に考え始める必要があると思う。それは、こういうことだ:
グーグルがこうした機会を取り上げようとしているなかで、僕たちはどうすればいいのか?
引き続き競争し、クライアントや自社に価値をもたらすには、どうすればいいか?
これには、大別して次の3つの方向性があると思う。
- ブランド名やブランドを冠した製品名への需要創出に投資して、ブランド名を指定しない検索数の減少を乗り越える。
- 最適化の対象とするプラットフォームを増やす。
- グーグルが表示するコンテンツを最適化する。
ここでは各々の詳細について掘り下げることはしないが、これら3つの方向性を追求できると思う。
それぞれについて軽く解説していこう。
1. ブランド名やブランドを冠した製品名への需要創出に投資して、ブランド名を指定しない検索数の減少を乗り越える。
第1の選択肢はかなり強力で、非常に素晴らしいものだ。それは、ブランド名やブランドを冠した製品名への需要に応えるだけでなく、需要創出に投資することだ。
なぜそれがうまくいくのか?
たとえばSEOのニーズをもっている人がグーグルで「SEOツール」を検索しているとしよう。
グーグルの検索結果には何が表示されるだろうか? 「これが優れたSEOツールだ」というような記事がずらりと並んで表示される。
実際にはグーグルは上部に小さなボックスを1つ置いて、カード形式の結果リストを表示するようになった。さまざまなブランドのSEOツールが表示されるカルーセルだ。ここに表示されるのは、1ページ目に出てくるような記事ではなく、2ページ目や3ページ目に出てくるような記事だと思う。だからMozはここには表示されないと思うし、最適化は難しい。グーグルはそこで需要を奪っているし、クリックスルー率の機会も奪っている。
しかしそうではなく、誰かが「SEOツール」ではなく「Moz」そのものを検索したら、どうなるだろうか?
その場合は、上述のような事態にならなくて済む。Mozが上位に表示されるのは間違いない。グーグルが、僕たち自身のブランド名で検索結果に表示される機会を奪うことはない。むしろグーグルは、ナビゲーション検索という意味で、ユーザーが探しているウェブサイトを中心に表示する必要があることを認識している。
そのため、Mozへの需要を他のSEOツールより高めることができれば、素晴らしい効果が得られるだろう(ちなみに、Googleトレンドによると、Mozへの需要はすでに他のツールより5~10倍ほど高いようだ)。
コンテンツやソーシャルメディア、Eメールマーケティングでも同じことができる。もちろん検索を通じても、非ブランド指名の検索ワードではなく、ブランド指名での需要を生み出せる。
2. 最適化の対象とするプラットフォームを増やす。
第2の選択肢は、最適化の対象とするプラットフォームを増やすことだ。
僕たちが見たところ、YouTubeとグーグルの画像検索で、グーグルのウェブ検索に向かうトラフィック全体の約半数を占めていた。そのため、これら2つのプラットフォームだけで、膨大な量の追加トラフィックを最適化できるわけだ。
グーグル検索は変わったが、画像検索はむしろ以前より変化は少ない。現在は「画像を表示」リンクを取り払っているので、画像検索を通じてウェブサイトを訪問しているユーザーは増えている。
一方のYouTubeは言うまでもなく、ブランドへの親近感を生み出し、知名度を高め、需要を創出するのに素晴らしい場所だ。
この種の需要創出では、コンテンツを人々の目に触れるようにできる。それには、これら2つが素晴らしいプラットフォームとなる。
ソーシャルウェブ上には、さらに膨大な量のウェブトラフィックが存在する。
などは、そのほんの一部だ。そうした場所では、コンテンツを最適化して、前面に出し、トラフィックを自分のウェブサイトに誘導できる。
3. グーグルが表示するコンテンツを最適化する。
ローカル
何てことだ! グーグルは、ウェブサイトがこれまでのようにグーグルのローカル検索からクリックを獲得できないようにしてしまった!!
もし君がローカルビジネスを運営していて、そんな事態に陥ったら、Googleマイビジネスにアクセスして、検索ユーザーがグーグルの結果に満足するような情報を提供するよう最適化しよう。
確かに、これらの検索ユーザーは君のウェブサイトには到達できないかもしれないが、Googleマイビジネスを通じてグーグルに表示してもらえるようにして、さらに検索ユーザーがエンゲージしたいと思えるようにコンテンツを最適化すれば、ローカルビジネス情報は見つけてもらえるだろう。
このことは、SEOをめぐる競争の中で時に見失われていると思う。僕たちは、サイトへのクリックを獲得しようと必死になりすぎて、多くの検索体験がSERPの時点で完結していることを忘れつつある。しかし、最適化はそこでもできるのだ。
検索結果ゼロ
検索結果がゼロのページでも、グーグルはAdWordsの広告を表示しようとしていた。これはつまり、顧客ターゲティングをする場合には、検索広告向けリマーケティングリスト(Remarketing Lists for Search Ads:RLSA)を利用することも、有料広告を配信して最適化することもできるということだ。
あるいは、検索結果ゼロのSERPに表示され得るデータを提供することに努める手もあるかもしれない。
こうしたページをグーグルが取り下げた後にどうなるかはまだ分からないが、今後見えてくるだろう。
回答
グーグルが表示する回答(アンサー)については、それが音声であれ視覚表示であれ、集約されて、
- 強調スニペット
- カード形式のリスト
- アンサーボックス
の形で表示される。
これも同様に、検索がSERPで完了してしまったとしても、グーグルがこれらの場所に表示するものに対し、僕たちはコントロールすることはできなくても、影響を及ぼす機会を持っている、ということだ。
さてと。今回もホワイトボード・フライデーを見てくれてありがとう。では、またお会いできるのを楽しみにしているよ。ごきげんよう。
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