SEOの「化石」手法 ~今や絶滅させるべき5つの恐竜たち
「SEOに効果がある」と過去にはされていたが、すでに時代遅れになってしまった「化石」の手法を5つ紹介する。古いやり方ではなく、今の時代に効果がでるやり方もあわせて紹介する。
なかなか認めにくいことだが、僕たちの多くは相変わらず時代遅れのSEO戦術を実践している。そうした戦術には、今なお大きなプラスの影響があると信じているからだ。
今回のホワイトボード・フライデーでは、ランドがそうした「化石」のような古代の手法を挙げ、現在それよりも効果的に機能する代替策を提示しながら、僕たちを優しく正しい方向に導いてくれる。あなたもコメント欄で、ぜひヒントやお気に入りの策をシェアしてほしい!
Mozファンのみんな、こんにちは。ホワイトボード・フライデーにようこそ。今回は先史時代にさかのぼって、時代遅れとなった多くの「化石」戦術について話そう。これはつまり、
SEOを手がける僕たちの多くが今も実践しているが、本来なら行うべきではないと思われる戦術
のことだ。
僕たちは、これらの戦術の多くを置き換えたり廃止したりする必要がある。ここでは5つの戦術を取り上げるが、実際にはもっとたくさんあるし、さらには、みんなの場合についても話を聞いてみたい。
化石戦術その1:
Google広告のキーワードプランナーに頼ってキーワードを調査する
最初に取り上げるのは、以前にも何度か話したことのある、Google広告(旧AdWords)のキーワードプランナーに基づくキーワード調査だ。こうしたツールで使われている指標に問題が多いことは知られているが、未だに多くの人がここからキーワード調査を始めて、他のツールへと手を広げている。
今はこうやる!
キーワード難易度やCTRが分かる、クリックストリームデータ駆動型のツール
可能なら、もっと広い範囲から始めることを提案したい。予算があれば、Ahrefs、SEMrush、MozのKeyword Explorerのようなツールに置き換えよう。これらのツールは、検索数だけでなく、クリックストリームデータを重視しているのが特徴だ。
またGoogleサジェストや関連検索とGoogleトレンドの組み合わせでも、こうしたデータをより多く取り込める可能性が高い。
なぜ以前のやり方だとダメなのか
商業的に関連性が低いと見なした多くのキーワードをGoogle広告が非表示にしているというのは、大きな理由だと思う。あまりに不正確だ。特にボリュームデータに関してはそうだ。
実際にGoogle広告のキャンペーンを作成すると、ボリュームデータは粒度の細かさという点でわずかに改善する。しかし実際にそのキャンペーンを実行した場合と比べると、きわめて不正確であることが僕たちの調査でわかっている。
あまりに不正確だし、またキーワード難易度やクリックスルー率(CTR)など、SEO目的でキーワードを選定する際の優先度を判断するために把握しておくべき多くの重要な指標が欠けている。
化石戦術その2:
サブドメインや別のドメイン名を使ってSERPを独占しようとする
次は、サブドメインや別のドメインを使ってSERPを独占することだ。これは、ブランド検索かそうでないかにかかわらず、グーグル検索結果の最初のページを自分のコンテンツで満たしたい場合に関係する。
以前のグーグルは1つの検索結果(SERP)に同一ドメイン名からの項目を表示する数を限定していた。そのため、とにかくSERPを完全に独占したい場合は、自分のウェブサイトに多くのサブドメインを追加するか、別のドメイン名をいくつか登録して、上位10件をコントロールできるようにすることが1つの手段となっていた。
なぜ以前のやり方だとダメなのか
現在グーグルは、1つのSERPで、単一ドメイン名にある複数のサブページという位置付けを重視するようになったからだ。
だいたいどのようなレストラン関連の検索をしても、Yelpのサブページが上位にくるし、ビジネス関連トピックや仕事関連の検索をした場合も、たいていはLinkedInのサブページが表示される。
質問形式の検索をすれば、多くの場合は同じようにQuoraのサブページが上位に表示される。あらゆる質問に対してQuoraからの回答が表示される。プログラミングやサーバー技術に関する多くの質問なら、Stack Overflowのサブページが上位にくる。
今はこうやる!
フジツボ式SEOとサブフォルダでホスティングしたコンテンツ
現在、同じような効果が得られるさらに優れた方法として、次のようなものがある:
- フジツボ式SEO(Barnacle SEO)
- コンテンツのサブフォルダ配置
コンテンツのサブフォルダ配置というのは、要は「1つのSERP内に複数のページを表示させるためにコンテンツをいくつかのサブドメインに分けて置く必要はない」ということだ。同一サイトのサブページとして公開すればいい。
フジツボ式SEOも大変便利だ。というのも、グーグルはユーザーが作成または生成できるコンテンツやプロファイルをホスティングするウェブサイトをかなり優遇しているからだ。このやり方は本当に効果がある。その大きな理由は、1つのSERP内に複数のページを表示させるための手段が、サブフォルダから個々のページに変化したことだ。
化石戦術その3:
検索1位 至上主義(トラフィックを促す他のSEOテクニックよりも順位を優先)
いまやトラフィックを呼び込む他のSEOテクニックはさまざまあるのに、相変わらず検索1位になるのを優先してしまう戦術にも言及しておくべきだろう。これは特によく目にする「恐竜」戦術かもしれない。
特に、10年~15年前あるいは20年前に、コンサルタントやSEO事業者を利用したことがあったり、社内でSEOをやったこがあったりという、SEOの世界をよく知っている人たちだ。そうした人たちの多くが、依然として他の何よりもオーガニック検索順位の1位に固執している。
今はこうやる!
SERP機能のSEO(特に強調スニペット)とロングテールターゲティング
実際のところ、ROI(投資利益率)の観点で
- 検索1位を獲得すること
- さまざまなSERP機能(特に強調スニペット)で検索結果に露出すること
を比べると、順位に固執するのは非常に効率の悪い投資である場合が多い。
強調スニペットはますます人気が高まっており、音声検索でも使われる。多くの場合、SERPで1位になる必要はない。3位でも、4位でも、あるいは7位でもいい。最上部の強調スニペットを返す結果になれば、そのCTRはたいていが1位より高い。つまりSERP機能は大きな可能性を秘めているということだ。
また、注目すべきはSERP機能だけではない。次のようなものも利用できるのならば検討すべきだ。
- 画像SEO
- ローカルSEO(ローカルパックが表示される場合)
- ニュースSEO
グーグルでツイートが表示される場合は、それらの結果にTwitterのプロフィールを表示させることもできる。
そしてもちろん、ロングテールターゲティングとは、あまり競争が激しくない別のキーワードを追求することだ。1位の座を獲得するためにそれほど多くの人と競争しなくて済むし、ロングテールから得られる成果をすべて合わせれば、重要なキーワードで1位を獲得した場合よりも上回ることが多い。
なぜ以前のやり方だとダメなのか
なぜそうなるのか? それは、SERP機能がCTRに偏りを生じさせるため、検索1位でも以前ほどの価値はなくなったからであり、かける工数に対するROIはロングテールのほうが高くなることが多いからだ。
化石戦術その4:
検索順位を上げるのにリンクビルディングに頼る
リンクビルディングだけで検索順位を上げるなんてことも、多くの人がやっているのを目にする。自分のページが5位、10位、20位になっているのを見て、こう考えるのだ。
よし、グーグルで順位が上がってきたぞ。次のステップは、リンクビルディングをして1位になることだ!
なぜ、それだけではもう効果がないのか
確かに、2011年頃の大昔には、これは完全に機能した。より上位に表示させるためにはリンクが王道だった。評価の対象に入りさえすれば、あとはリンクによって首位にたどり着くことができた。
しかし現在では、そうはならない。
今はこうやる!
検索ユーザーの課題解決、ユーザー体験の最適化、コンテンツのアップグレード、ブランド成長
リンクビルディングは、言ってみれば「グーグルのためだけの取り組み」だ。そうした施策は廃止して、主軸を「検索ユーザーの課題解決」に置き換えることを推奨する。多くの人々がこの分野の最適化に投資して、リンクの質が悪い場合や、ドメインオーソリティが低い場合など、どのような条件下でもサイトを飛躍させるのを見てきた。
またユーザー体験の最適化は、ユーザー体験をよく理解してコンテンツの形式を活用することで、検索ユーザーへの対応を改善するものだ。
「コンテンツのアップグレード」は、ページ上の実際のコンテンツを改善することを意味している。
「ブランドの成長」は、ブランドとトピックやキーワードとの関連性を強化することだ。
なぜ、こうしたことが重要になっているのか? それは、現在ではリンクだけでは十分でないと思われるからだ。
もちろん、リンクは依然として強力な検索順位決定要因であることは確かだ。そのため完全に無視することはできない。しかし、より上位に表示されているページの座を奪いたいなら、ここで挙げた取り組みに投資するほうが、はるかに簡単に大きな成果が得られることが多い。
化石戦術その5:
キーワードを配置するタグや場所にこだわる
最後とはいえ重要なことだが、ページ内で狙ったキーワードを配置するタグや場所にこだわるのも、もう古い戦術になってしまっている。
たとえば、次のようなことに膨大な時間と労力をかけてはいないだろうか?
- h1要素やh2要素、いわゆる見出しタグにキーワードを入れる
- 自分が望むとおりの形でURLにハイフン付きでキーワードを入れる
- 1ページ内にキーワードが必ず●●回は使われるようにする
- 見出しやタイトルを決まった構成で作る
なぜ、(どちらかといえば)効果がないのか
これがうまくいかないわけではない。もちろん、最低限必要なものはある。
title要素にはキーワードを入れておく必要がある。見出しにもキーワードが欲しいのは間違いない(それがh1要素でなくても何とかなるだろう。まったく問題ないと思う)。
僕はそうしたことを否定しているわけではない。そうではなく、これらの要素を完全なものにしようという執念のほんの一部を(最後の0.01%でも)、関連するキーワードやトピックに費やしてみてはどうだろうと言っているんだ。
具体的には、検索ユーザーのニーズと関連するとグーグルが判断している「テーマ」「トピック」「キーワード」「フレーズ」をbody要素内で使ったり説明したりすることを強く推奨したい。
これについて僕が気に入っている例を1つ紹介しておこう。もし君が「New York neighborhoods」(ニューヨーク 地区)で検索上位に表示されたいと思っていたとする。どんなコンテンツを作ったとしても、「ブルックリン」「マンハッタン」「ブロンクス」「クイーンズ」「スタテン島」といったニューヨークの地名を含むページがなければ、検索結果に表示される可能性ははるかに低くなる。
リンクや完全なキーワードターゲティングなど、あらゆるものをh1要素に盛り込んで、昔のSEOでいう「グーグル向けに最適なHTML」を作ったとしても、今はそれだけではダメだ。検索ユーザーのクエリと関連付けることのできるトピックだとグーグルが判断する要素(この例でNYのさまざまな地名)を使っていなければ、結果に表示されることはないだろう。
今はこうやる!
同じこだわるのなら、関連するキーワードやトピックにこだわる
これは、君がどういったキーワードに対してコンテンツを表示させようとしているかに関係なく当てはまるものだ。それが青い靴や男性用の時計だろうと、B2BのSaaS製品だろうと、どうでもいい。
グーグルが気にするのは、「そのコンテンツは、検索ユーザーのクエリに応えてくれるかどうか」だ。この改善策を実践している人たちを見ていると、関連トピックや関連キーワードが表示順位の大幅な上昇と相関関係にある場合が多い。
僕は数週間前、これに取り組んだあるSEO担当者と話をした。サイト全体の監査をしたところ、コンテンツに足りないと思える5~10個のキーワードが見つかったため、それらのキーワードを賢明なやり方でコンテンツに追加したという。実際に説明的かつ役に立つ方法でコンテンツに追加してみると、それ以外には何もしていないのに、検索順位が急上昇したという。何とも驚くべき話だ。
ここで挙げた化石戦術のすべてではなく一部だけでもいい、それぞれ説明した最新の戦術に置き換えてみて、自分の場合にも成果があるか確認してみよう。
これ以外の古くて役に立たなくなった戦術についても、ぜひコメント欄で君の考えを教えてほしい。では、またお会いできるのを楽しみにしているよ。ごきげんよう。
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