Googleマイビジネス戦術を業界別に伝授(後編) 距離と品質、強調スニペット、オフライン戦略
3回に分けてお届けしているこの記事も、今回で最後だ。後編となる今回は「ユーザーとビジネスの距離の近さ」「強調スニペット」「オフライン戦略」について専門家らの意見を紹介する。→先に前編と中編を読んでおく
この記事では、企業がこの時期に他社の先を行く(そして優位を保つ)ために重点を置くべきローカルSEOのトレンドや戦術に的を絞って、業界ごとのローカルSEO専門家5人に話を聞いた。
この記事は後編で、専門家に意見を聞いたのは、次の3つのトピックだ:
前編と中編では次のようなトピックに触れている:
- マーケ予算削減のなか、最も価値をもたらしているローカル検索マーケティング戦術トップ3(前編)
- ローカルパック表示順位のために注力すべきGoogleマイビジネスの要素トップ3(前編)
- レビューの価値を最大限に高めようとしている企業へのアドバイス(中編)
- ローカルビジネスにとって今でもグーグルはトップページか、ウェブサイトの役割は?(中編)
回答してくれたのは、次の各業界の専門家である5人だ(再掲):
- ヘルスおよびウェルネスサービス分野 ―― フィル・ローゼック氏
- 法務サービス分野 ―― ジョイ・ホーキンス氏
- ホームサービス分野 ―― ブレイク・デンマン氏
※顧客の家に訪問して仕事をする非店舗型ビジネスの電気工事・造園・水回りなど - ホスピタリティ分野 ―― ブローディ・クラーク氏
※ホテル・レストランなどのサービス業 - 金融サービス分野 ―― アマンダ・ジョーダン氏
5. グーグルが品質より距離の近さを優先する傾向があるか? その程度は適切か?
トピック5は、次のような問いだ:
ユーザーとビジネスの距離の近さを重視するグーグルの姿勢が常に質の高い結果をもたらすと感じているマーケターは、39%しかいない。
あなたの業界で重要な検索キーワードに対して、グーグルが「品質」より「距離の近さ」を優先する傾向はあるか?
あなたの経験上、グーグルが距離の近さを重視し過ぎていると思うか?
ヘルスおよびウェルネスサービス分野(フィル・ローゼック氏)
僕の経験では、飽和状態の業界では、近さ優先が強いというのは当てはまっている。
しかし、次のような場合、グーグルはそれほど距離の近さにこだわっているようには見えない:
- より専門的な分野
- もっと具体的な(ニッチな)キーワード
それは、こだわってはいられない場合もあるからだ。グーグルが関連性の高い結果を十分に得てページや3パックを満たすには、もう少し範囲を広げる必要がある。
法務サービス分野(ジョイ・ホーキンス氏)
もちろんYESだ。距離の近さは、法律サービス業界でスパムが問題になっている大きな理由の1つだ。
マーケティング会社は、Googleマイビジネスのリスティングを作成すれば、単にキーワードを多く含むビジネス名であるというだけで検索結果に表示させられ、見込み客を呼び込める。大量に作成するので、近くの人が検索すると(距離の近さという要因のために)検索結果に表示されてしまう。
ここでは、法務サービス業界で目にするスパムの例を挙げている。
ホームサービス分野(ブレイク・デンマン氏)
特定の種類の業界(レストラン、喫茶店、ドライクリーニング店など)にとって距離の近さは素晴らしいものだが、ホームサービスなど他の業界にとってはそうではない。ほとんどのホームサービス事業者は非店舗型ビジネス(SAB)なので住所を表示していないはずだからだ。
しかし、その都市で検索順位を上げるために住所を表示している事業者がいないわけではない。
ホームサービス業界では、残念ながらグーグルは確かに、距離の近さを優先する傾向がある。
ホスピタリティ分野(ブローディ・クラーク氏)
グーグルは必要に応じて距離の近さの比重を高める妥当な対応をしていると思う。
ビジネスリスティング名のキーワードと距離の近さを比較すれば、10回のうち9回はビジネス名のキーワードが勝つだろう。そのため、他のシグナルでさらに重み付けする必要があるが、距離の近さでの重み付けが適しているのは特定の場合だけなのかもしれない。
金融サービス分野(アマンダ・ジョーダン氏)
もちろんだ。デジタルバンキングや金融機関への信頼の高さを考えると、金融サービスプロバイダを検討する場合に距離の近さは大きな要因ではないが、グーグルの結果はそれを反映していない。
距離の近さがはるかに大きな要因となるべきなのは、テイクアウトを注文する店を選ぶ場合であって、30年契約の住宅ローンを申し込むのに信頼できる業者を選ぶ場合ではないはずだ。本来ならば、金融機関にとって距離の近さより大きな要因は、間違いなくレビューであるはずだ。
6. ビジネスが最も注力するべき強調スニペットは?
トピック6は、次のような問いだ:
マーケターの91%は、SERPの強調スニペットに表示されるための戦略を用意しているという。
強調スニペットのなかで、ビジネスが最も注力するべきものはどれか? その理由は?
ヘルスおよびウェルネスサービス分野(フィル・ローゼック氏)
FAQ、特に「サービス」「処置」「体調」ページでのFAQに注力しよう。
ブログ記事やその他の純粋に情報を提供するリソースよりも、そういったFAQページに重点を置こう。ブログ記事や情報リソースは一般に、新規患者を増やすにはあまり役立たない可能性が高い。
それらのFAQや、もちろんそれに対する回答は、所定のページで説明しているサービスや処置、手順、条件に特化したものにする必要がある。質問は、患者(または検索ユーザー)が言いそうな聞き方で記述し、回答は広告文ほどの長さで比較的シンプルにしよう。
法務サービス分野(ジョイ・ホーキンス氏)
おそらく強調スニペットが表示されるはずのないない、ロングテールの端っこにある商用キーワードであっても、強調スニペットが表示されるのを何度も見たことがある。そうしたニッチな検索クエリで強調スニペットを獲得できれば、非常に多くのトラフィックをもたらしてくれるかもしれない(たとえば次の画像のような)。
加えて、「○○○で訴えることは可能か」といったようなコンテンツを作成すれば、強調スニペットを獲得するすばらしい方法になる可能性がある。
ホームサービス分野(ブレイク・デンマン氏)
SERPのパーソナライゼーションが強化されるにつれて、強調スニペットはますます地域に特化したものになっていくと思う。
「新しい給湯器の価格」を検索すれば、住宅関連業者の情報サイトHome Advisorの強調スニペットが表示される。しかし、君の地域にある会社が価格や設置に関するコンテンツを公開したら、グーグルはその地域の検索ユーザーに対しては、そのスニペットを表示するはずだ(他の地域では表示しないが)。
ホスピタリティ分野(ブローディ・クラーク氏)
強調スニペットは僕がよく記事を書くトピックだ。ホスピタリティ(サービス業)のビジネスに関して言えば、強調スニペットは優先順位が低いこともある。
MozCastによると、MozCastのクエリセット最大1万件で表示される強調スニペットは、SERP全体の最大9%だという。ほとんどのホスピタリティビジネスでは、それより低くなると思う。
とはいえ、費やす時間に対して最も高いリターンが得られる強調スニペットに絞って追跡戦略を導入しておくのは重要だろう。
僕が最近書いた記事では、GoogleアナリティクスとGoogleタグマネージャーを利用してこれらの知見を得る方法について説明している。
金融サービス分野(アマンダ・ジョーダン氏)
私たちは金融業界のクライアントに対し、次のように助言している:
適切なトピックについて調査し、できる限り最善の回答を提示して顧客に情報を伝えることに重点を置くようようにすべきだ。
一般に、金融関連のウェブサイトが特によく獲得しているように見える強調スニペットのタイプは「文章」「表」「カルーセル」だ。
7. ビジネスが現在オフラインでできることは?
トピック7は、次のような問いだ:
オンラインSEOのコンサルティングにこだわらず、クライアントにオフライン戦略について助言するコンサルタントが増えている。
成功のチャンスを高めるために、ビジネスが現在オフラインでできることは何か?
ヘルスおよびウェルネスサービス分野(フィル・ローゼック氏)
患者を長時間にわたって待たせることは、COVID-19以前はあった。しかし今はその状況を避けなければいけない。ちゃんと実現できれば、患者は次のように思うはずだ:
前からそうしてほしいとは思っていたんだが……COVID-19はストレスだが、病院で以前ほど待たなくても済むようになったのは、とてもありがたい。
患者に対応するスタッフが常にフレンドリーで、辛抱強く、組織されているようにしよう。多くの診療行為がオンラインで悪いレビューを得るのは、医師のせいではなく、スタッフについて不満があるからだ。確かに管理担当者などのスタッフは大変な仕事をしており、患者が常に道理をわきまえているとは限らないのも事実だ。しかし、スタッフと患者の問題は、悪いレビューを増やすだけでなく、診療を台無しにしかねないことも理解してほしい。人とのコミュニケーションについてスタッフと継続的に取り組むことは、賢い時間の使い方だ。
自分の専門以外の医師やビジネスオーナーのことをもっとよく知ろう。これらの人々は、すばらしいアイデアを持っていることがあり、自分の状況や診療に応用できる。
法務サービス分野(ジョイ・ホーキンス氏)
私なら、グーグルでブランド検索が増えるオフライン戦術に重点を置くだろう。
私たちは、Googleマップでビジネスがプレイスラベルを獲得していることと相関関係がある要素の1つに「ブランド検索」があることを発見した。これに関する調査結果を今年中に公開する予定だ。
ホームサービス分野(ブレイク・デンマン氏)
「より良いローカルブランド」の構築に重点を置こう。僕は、次のようなサイトに出くわしたことがある:
- 被リンクのプロフィールがひどいサイト
- 2010年以降更新していないサイト
しかし、そうしたサイトでも、彼らの業界のなかでは上位に表示されていた。その理由は、長年にわたってローカルコミュニティに関わっているからだ。
自分の顧客が誰かわかっており、訪問者が関心をもっていると想定されるGoogleアナリティクス※を調べてみた人なら、「自分のサービス以外でターゲットオーディエンスが気にかけていることは何か」をよく理解できるようになるだろう。その情報が、ローカルブランドを強化しようとする際に役立つはずだ。
ホスピタリティ分野(ブローディ・クラーク氏)
顧客と話をすることだ。質問をして、相手の懸念を理解しよう。
オフラインで重要な会話を交わすことは、依然としてマーケティング戦略で重要な役割を担っている。
金融サービス分野(アマンダ・ジョーダン氏)
レビュー戦略にはオフライン戦術も含めるべきだ。コミュニティへのアウトリーチや関与が非常に重要になる。
オンラインでの評判管理についてコンサルティングをしている人は誰でも、その会社のオフラインでの評判も重視する必要があることを指摘したい。
すべてのビジネスはそれぞれ異なっており、万能の戦術はない。SEOのあらゆる優れたものと同様、重要なのは試してみることだ。
- 新しい製品やサービスを公開する場合
- レビュー管理プロセスをレベルアップする場合
- Googleマイビジネスの利用方法を変更する場合
どの場合でも、これらの専門家のヒントをいくつか試してみて、自分のビジネスに合うものを見つけることを推奨する。
自分のビジネスに適したローカルSEO戦略があるという人や、Mozの次回の記事で自分の業界を取り上げてほしいという人は、下のコメント欄で教えてほしい。
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