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2023年にローカルSEOはどう変化するのか? 8人の専門家がグーグルの動向を予測する(前編)

グーグルのローカル検索について、複数の専門家から集めた知見を紹介する。2023年のローカルSEO界隈はどう変化するのだろうか?
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

2023年は、ローカルSEOが大きく変化するようだ。

世の中に目を向けると、2023年、パリオリンピックを翌年に控えた準備の年だ。さまざまな種目で競い合う世界のトップアスリートたちにとって、オリンピックは国を代表した決意を証明する場になるだろう。

ローカルビジネスのオーナーとそのマーケターにとっても、今後数か月は不屈の精神で乗り切る気概が求められることになりそうだ。

この記事では、膨大な数のローカルブランドにとって「発見」「コミュニケーション」「販売」に不可欠なグーグルのローカル検索について、複数の専門家から集めた知見を紹介する。

そして後編では、2023年に注力すべきローカル検索マーケティングの3つの分野を提案しよう。

2022年を振り返る

2022年後半に、ローカル検索で次の異常事態が発生した:

  • Googleビジネスプロフィールマネージャーのダッシュボードの廃止
  • ビジネスに影響を与えた多くのバグ

これらを無事に乗り越えた2023年は、さらに顕著な変化の年になるというのが私の見方である。

一方、ChatGPTはSEO業界全体に波紋を広げており、人工知能(AI)が仕事や暮らしにどれほど大きな影響を及ぼすのかと気になっている人は多い。私の直感だが、ここ数か月の間に見られた動きは、今後起こるであろうさらに大きな変化の予兆であり、その変化はローカル検索や通常検索の考え方に対するグーグルの姿勢と対応によって加速するだろう。

私たちも、そうした変化に備える必要がある。そこでローカルの世界を形成するオーガニックSEOに関する展望を、Mozの2人から得る:

  • トム・カッパー
  • ドクター・ピーター・マイヤーズ

さらに、示唆に富む業界の専門家である次の6人から、ローカルに関する知見を集めよう:

  • アマンダ・ジョーダン氏
  • ベン・フィッシャー氏
  • デビッド・ミーム氏
  • ガレット・サスマン氏
  • グレッグ・スターリング氏
  • マイク・ブルメンタール氏

2023年は「より速く、より高く、より強く」

画像出典:St Dennis Band

心を教育せずに頭を教育しても、それはまったく教育ではない
(アリストテレス)

私たちは2023年という名の競技場にも、これまでのように人間の知性という光り輝くトーチを掲げて入っていくが、今回は少し足取りが重い。誰もがAIを気にかけているからだ。パリオリンピックに向けては、1924年のパリ大会で初めて導入されたオリンピックのモットーを振り返ることができる。それが「より速く、より高く、より強く」だ。

私たち人類は、常に自分自身と社会の改善を願っている。しかし、アリストテレスが「受け入れずして思想をたしなむことができれば、それが教育された精神の証である」と言ったように、現在、AIの台頭や機械に指示される暮らしが果たして誰が見てもスマートな動きと言えるのか、SEOに携わる私の同僚の多くが疑問に感じている。簡単に言えば、何かができるからといって、そうするべきとは限らないということだ。

私は、Mozで一緒に働く特定の分野の専門家(SME)たちに、2023年のオーガニックSEOについてどう考えているか尋ねた。これらの回答は特別な光となって、あらゆるビジネスが競争している大きなスタジアムをより鮮明に照らし出してくれる。

トム・カッパーの回答
AIの波・検索順位決定システムのアップデート・SERP機能の変動

2022年末にかけてSEOで大きなトピックだったのは、AIコンテンツだ。

ChatGPTとその前のグーグルのヘルプフルコンテンツアップデートは、いずれも人々にこのトピックについて思い起こさせるものだった。このアップデートはかなり先見の明があったようで、ボットによるますます筋の通ったコンテンツという新しい波が確実に続いている。2023年には、これがグーグルの主要な戦場になると予想される

2022年12月の第1週にこれを書いている時点で、すでにグーグルの「ヘルプフルコンテンツシステム」のアップデートが公開されており、これによってもう1つの大きな変化がより明らかになる。それが検索順位決定システムのアップデートだ。

これはグーグルの実務的な変更というよりも、用語の変更に近いだろうが、それでもSEO担当者がこれらのアップデートについてどう考え、状況をどう理解するかが多少揺さぶられることになるとみている。私が思うに、この変化はもっとずっと前に起こっているべきだったものだ。

最後に2022年の予測として、私はSERP機能を取り巻く状況がますます変動的になるとしていたが、この予測はかなり古くなってしまったと思う。ただし、それでもまだ有効だ。くり返すが、これを書いている時点で、グーグルは米国でデスクトップSERPの連続スクロールを導入したばかりで、ここ数週間にわたって多くの機能を変更している。

グーグルの立場からすると、これに聖域はなく、アップルやAIアシスタントなど通常とは異なる競争相手からの脅威が増すなかで、多少変化を速めても正当化されると感じているのかもしれない。

ドクター・ピーター・マイヤーズの回答
AIによる自動生成コンテンツの氾濫・E-A-Tの見直し・強調スニペットの見直し

これは非常に重要なことなので、トムに同意せざるを得ない。

2023年には低品質の自動生成コンテンツがあふれ、それに対するグーグルの抵抗が予想される。これがヘルプフルコンテンツシステムのアップデートの一環になるのか、それともまったく新しいものになるのかはまだわからないが、自動生成コンテンツだと見分けにくい機械学習コンテンツを、SEO業界の一部が取りつかれたように作成するようになる可能性が(残念ながら)高い

このトレンドによって、グーグルは建設的なベストプラクティスを奨励するために「E-A-T」(専門性・権威性・信頼性)を見直したり、その測定方法をより明確に定義したりせざるを得なくなるかもしれない。

グーグルは、商品リスティングを積極的に実験している。たとえば無料と有料の製品リスティングの境界線が曖昧に見える大きな商品「グリッド」などだ。グーグルがアマゾンなどの商品検索(購入件数の増加をけん引しているTikTokなどのソーシャルプラットフォームを含む)に対抗しようとするなかで、これらの境界線はさらに曖昧になると予想される。競争力のある商品検索結果として、従来のオーガニックSEOの観点ではそれとわからないものも出てくるだろう。

最も大胆な予測として、グーグルが強調スニペットを見直す可能性を挙げる。これは、特に(偽情報を含む)コンテンツの信頼性と価値の低い機械学習コンテンツの影響の両方で、品質に関する懸念を考慮してのことだ。すでに2022年には多くの競合クエリからスニペットが抽出されており、グーグルは強調スニペットを、実質的に作り直すか、表示されるタイミングや頻度に高いハードルを設けるのではないだろうか。

※Web担編注 グーグルは「E-A-T」に「Experience(経験・体験)」を加えた「E-E-A-T」という概念を2022年12月の検索品質評価ガイドライン更新で打ち出している。

まとめると、トムとピートはSERPが変動すると予測しており、これにはMozが数か月にわたってビジビリティの低下を追跡しているローカルパックなどのSERP機能も含まれる。2人とも、AIの混乱と、それが検索や検索ユーザーに与え得る影響を注意深く見ている。

ローカルSEO担当者は、グーグルのリスティングを管理するダッシュボードの廃止やバグの大量発生など、最近すでに十分な変化を経験したように感じているかもしれないが、今後の展望について私が仲間に尋ねたところ、ローカルビジネスとそのマーケターにとって大きな課題はまだこれからやってくると予測している人が多かった

マイク・ブルメンタール氏の回答
論理的整合性を欠くグーグルの動き

検索インターフェース(New Merchant Experience: NMX)を軌道に乗せるためにさまざまな取り組みが試みられているが、これはまったく不要な変更であり、バグをもたらしただけでなく、マルチユーザーやマルチエージェンシー向けのダッシュボードに対してまったく無関心になってしまったと思う。

ほとんど報じられていないが、もう1つの大きな変更点は、レビューと画像の両方がAI優先のモデレーションに移行したことであり、Googleビジネスプロフィールの各種動作が導入されたが、小規模事業者のコミュニティではまったく非論理的と見なされている。

NMXの意図が簡素化とエンゲージメントにあるなら、なぜレビューや画像のモデレーションの判断がまったく不明瞭なうえ、何が起きていてどう対応すればいいかについて明確な指針もないのだろうか。

デビッド・ミーム氏の回答
場当たり的な動き・中小企業軽視

グーグルがローカルビジネス領域で何をしているかは、正式には現時点で誰にもわからない。

製品としてのGoogleビジネスプロフィール(2021年末以降、失敗に終わったことは明らかだ)に費やされた内部リソースのレベルに関係なく、現在のNMXまたはスケルトンダッシュボード版のGoogleビジネスプロフィールは、首尾一貫したビジョンに欠けており、ユーザーのニーズや課題に対する理解が(あるとしても)乏しい

機能に大量のバグがあるのは言うまでもない。たとえば次のようなものだ:

  • 写真をアップロードしようとすると404エラーになる
  • 新しく作成したロケーションに店舗コードを保存できない
  • ユーザーから提案された編集の拒否もできない(それどころか、多くの場合は確定さえできない)

グーグルの昔から変わらない点なのだが、「ローカル製品やGoogleマップのデータにおける失敗や弱点の長い歴史」を組織として共有しているようには見えない。「Googleビジネスプロフィールをマーケティングエコシステムの中心に置くべきだ」と強く主張できる人も、社内にいないようだ。広告に毎年巨額の資金を投じている多拠点の大手ブランドに対しても、それは変わらない。

グーグルの「戦略」と言えるものは、Googleマップやユニバーサル検索の結果を導く重要なデータソースとしての中小企業をとにかく無視することであり、多拠点ブランドに対しては、実際の製品インターフェイスのためにYextやUberallなどのパートナーと協力することを強いているように私には感じられる。

ビッグテック各社が揃って人員や投資を削減していることを考えると、2023年に状況が好転するとは思えない。

アマンダ・ジョーダン氏の回答
ローカルのモバイルSERP激変へ

少なくとも今後数年間は、ローカルにとってかなり急激な変化が続くと予想している。ローカルは以前からグーグルにとって埋もれた存在だったのが、コロナ禍によってローカルに関するグーグルの欠点がまさに浮き彫りになったのだと思う。

同社は今、中小企業への対応を是正しようとしている。これらの中小企業はSEOを軽視していたかもしれないが、パンデミックの間にSEOに依存するようになり、Googleビジネスプロフィールの管理に閉口することになった。

今後は、SERPでのローカルに関して多くの変更をテストすることになると思う。ローカルのモバイルSERPは、2023年に特に注目すべき興味深い場所になるだろう

グレッグ・スターリング氏の回答
社内でのローカルへの期待やサポートの低下

一方、グレッグ・スターリング氏は、ローカルで何らかの変更が起こるかもしれない理由について、率直な見方を示している。

グーグルは、ローカルコンテンツとローカルマップが、特にモバイルユーザーにとって重要であり続けることを理解している。しかし同社は、Googleビジネスプロフィール(以前のGoogleマイビジネスを含む)を利用する中小企業が少ないことに失望している。だからこそ、アプリからウェブに移行したのだ。

多くの点でグーグルは、消費者向けのローカルサービスを持たないFacebookと比べても、小規模事業者の収益化にあまり成功していない。Googleビジネスプロフィールは、グーグルが期待していたような広告へのオンランプ(参入経路)になっていない。

グーグル社内では、B2B側でローカルに対する期待やサポートが低下していると思う。New Merchant Experience(NMX)はこうした大きな背景から生まれた。

上記のコメントはどれも可能性が高く、現実的で、洞察に満ちていると思うが、トレンドについて完全なコンセンサスが得られているわけではないことも断っておきたい。少なくとも、尊敬する同僚の1人であるベン・フィッシャー氏の見方はもっと励まされるもので、最大の変化はすでに乗り越えた可能性があるとしている。

ベン・フィッシャー氏の回答
新しい検索内エクスペリエンスを推進(ただし小規模事業者は無視)

大きな変化はもう過ぎたと思う。それは主に、次の2点だ:

  • 名称の変更
  • 検索内エクスペリエンスの変化

検索内エクスペリエンスはかなり以前から計画されていたもので、グーグルはあらゆる知恵を絞り、データに基づいてこれが最善の道と判断した。この新しい検索内エクスペリエンスのリリースによって、新たな「バグ」や強気の「機能」がもたらされることになると思う。

2023年も、引き続き微調整が行われると思う。レビューのフィルタ処理は、毎日のようにレビューが漏れていることから、ますます悪くなるだろう。それに、回復の過程が通常のスケジュールに戻るまで3か月以上かかった。2023年にもまたおかしくなると思う。毎年くり返されているような気がする。

思うに、1つだけ確かなことがある。それは、グーグルは大きな問題などについては修正しようとするが、小規模事業者は無視するし、場合によっては無実のマーチャントに恐ろしい結末をもたらす可能性もあるということだ。

とはいえ、もう一方で確かなこととして、グーグルは問題を「修正」するために最善を尽くすだろう

ガレット・サスマン氏の回答
MUMによる絞り込み候補・GBP以外の施策の重要性

最後に、Multitask Unified Model(MUM)の影響に関するガレット・サスマン氏の見解は見逃せない(MUMは自然言語処理や画像処理を含めて情報を処理するアルゴリズム)。

2022年、ローカルSEO担当者は誰よりもグーグルのMUMアルゴリズムの影響を感じている。モバイルデバイスでのローカル検索は、さまざまなコンテキストに応じたクエリの絞り込みによって細分化されている:

  • 場所
  • 「Find places through photos」(写真で場所を検索)
  • Google Explore
  • Deals

これらによってあらゆるローカル検索結果が表示され、影響を及ぼしている。ローカルビジネスのオーナーは、次のような施策を余儀なくされる:

  • サイトのコンテンツを改善する
  • レビューサイトでリスティングを構築する
  • ローカルメディアでメンションを獲得する

Googleビジネスプロフィールにだけ注力することはできない。しかし、ユーザーが具体的に君のビジネスを検索した場合、君はできる限り多くの情報を提供する必要がある。ユーザーは次のようなことを期待しているからだ:

  • 営業時間が正確
  • 新しく好意的なレビュー
  • ビジネスの写真

ローカルビジネスのオーナーにとって、グーグルでデジタルプレゼンスを確立することは、かつてないほど重要になっている

専門家の知見をまとめると……

2023年を迎えたばかりの現時点でグーグルのローカルへの対応には強い不満があり、バグの発生や機能の障害が頻発することになるのは間違いない。専門家のコメントでは、グーグルのローカル検索が著しく流動的な状態にあるとしている。

個人的な見方として、アマゾンとの競争でグーグルが隠し持っている最大の切り札はローカルデータであることを考えると、グーグルが現時点でローカルを不当に扱っているのは直観に反すると思う。

グーグルの動機が何であれ、私たちの業界にとって喜ばしい状況ではないが、重要なのは、ローカルの現状を直視して身の丈に合った対応を取ることだ。変動的な状況の中でも、依然として優れた戦略が可能なのは間違いない。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。前編では、2023年のローカルSEOについて、さまざまな専門家の意見を取り上げた。後編となる次回は、2023年に取り組むべきローカルSEOの3つの戦略について解説する。

→後編を読む

用語集
Facebook / SEO / SERP / アップロード / クロール / スニペット / ボット / ユニバーサル検索
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