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2022年のテクニカルSEOで優先したい4つの戦略 (前編) 画像の構図にもこだわるべし

グーグルのアルゴリズムが進化し、Googleレンズといった新機能も強化されている。2022年SEO担当者がするべきことは?
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

未来を見据えたテクニカルSEOの戦略をたてているだろうか? 2022年以降、特にポイントとなるのが、次の4つだ:

前編となる今回は、画像や動画、音声など、多様な表現を用いたマルチメディアの最適化をするべき理由を見ていく。

振り返ると2021年は、次の2つが起きた驚くべき1年だった:

今後は、グーグルのアルゴリズムの進化やGoogleレンズといった新機能が牽引役となって、SERPはさらに多様化すると予想される。こうした展開は、現在および今後のSEO施策を変えることになるだろう。

2022年のテクニカルSEO戦略① マルチメディアファースト

グーグル最新の検索アルゴリズム「MUM」

グーグルが発表した最新の検索アルゴリズム「MUM(マム)」は、これまでにない新しい方法で情報を理解するのに役立つ。現在の自然言語処理モデル「BERT(バート)」と同じように動作するが、実際はBERTよりはるかにパワーアップされている。

MUMとは「Multitask Unified Model」の略で、75以上の自然言語を処理するだけでなく(対応言語は増え続けている)、画像に関してもテキストと同等の品質で処理できるほか、近い将来には動画や音声の処理能力も向上するという。つまり、その影響がSERPに表れ、特にアルゴリズムのアップデートを方向付ける可能性が高いということだ。

このような焦点のシフトは、モバイルファーストのデジタル体験として自然な流れだ。モバイルファーストのデジタル体験では、ユーザーがコンテンツに触れる際には、「インプット」「アウトプット」「ツール」を動的に組み合わせて使う(同時に使うこともしばしばある)。

グーグルは情報を処理する能力を高めており、画像や動画といったテキスト以外のメディアもランク付けする方向で取り組んでいる。これは、SEO担当者がマルチメディアコンテンツを新たな視点で考える必要があることを意味する。

2022年、短期的にはどんなマルチメディア最適化を進めるべきか?

グーグルはここ1年ほど「Googleレンズ」に力を入れている

グーグルは10年近く前から画像認識ソリューションに多額の投資をしてきたが、最近は、日常的な検索と統合して、画像認識検索のペースが加速し、規模も拡大している。

その結果、ここ1年ほどにわたりGoogle I/OSearchOnなどの主要なイベントでは、Googleレンズの改善点や新たな用途を中心に取り上げている。健康分野に進出する計画の成否は、ビジュアル検索の機能を改善できるかに大きく左右されるだろう。

グーグルは2021年、次の2つにGoogleレンズを追加した:

  • Android搭載スマートフォン「Pixel」の検索ウィジェット
  • モバイル版Chromeブラウザの検索バー

2021年に実施したGoogleレンズのアップデートには、次の機能などが含まれる:

  • 拡張現実(AR)を利用して100言語以上のテキストを翻訳
  • スクリーンショットに写っているものを対象にビジュアル検索

他にも、レンズ検索に「質問を追加」するMUM対応機能をリリースする計画で、変更準備が進められていることが見て取れる。

Googleレンズが画像のSEOにどんな影響を及ぼすのか?

標準の画像最適化要素は、検索エンジンが画像を理解するうえで重要かつ適切であり続ける:

  • altテキスト
  • 構造化マークアップ
  • ファイル名
  • 画像タイトル
  • ファイルサイズ

それを踏まえたうえで、構図などの要素も注目されるようになるだろう。つまり、SEO担当者は画像の見た目やサイト上でのレンダリングについて、より戦略的に考える必要があるということだ。

というのも、「Google Cloud」の「Vision AI」やGoogleレンズなど、AI駆動型の画像処理ツールが急速に進化しているとはいえ、その処理能力は完ぺきではない。具体的には、画像検索での理解されやすさが、画像の作りによって次のように異なる:

  • 理解されやすい:
    • 構図が明確な画像
  • 理解されにくい:
    • 雑然とした画像
    • 複雑な画像
    • 一部しか見えない画像

簡単に言うと、画像が明確であるほど、コンテンツはより関連性の高い検索結果となり、ビジネス上の成果で存在感が高まるということだ。

画像の構図によるSEOの価値

ポイントを説明しよう。

2015年にリリースされたVision AIの画像認識技術は、Googleレンズの多くの機能の基盤となるものだ。グーグルの無料デモツールを使用すると、画像がどのように解釈されているかがわかる。これとGoogleレンズのリアルタイムの結果を組み合わせると、MUMの成熟に合わせて、画像の最適化に力を入れるべき箇所を示せる。

格好の例として、次の画像では同じホーロー製のティーポットを写した2枚の写真をグーグルのAIがどう解釈するかテストしてみた。

構図が違う2つの写真

次の2種類のツールで分析している:

まず、Vision AI APIのテストツールは、次のように認識した:

  • ハンドルも注ぎ口も見えていない写真(左)は、76%の確度でTableware(食卓用食器類)と解釈。最も関連性の高い検索可能なラベルとして74%の確度でKettle(やかん)が追加された。
  • ティーポットを横向きに写した写真(右)は、94%の確度でTeapot (ティーポット)と解釈され、89%の確度でTeapotラベルが付与されている。
構図がVision AIによる画像の解釈に与える影響 kettle teapot

「やかん」も「ティーポット」も見た目は近いが、この2ワードのSERPを調べてみると、結果が明らかに異なることがわかる。後者の方がはるかにこの写真の物体に近いため、顧客のニーズを満たす可能性が高い。結果としてクリック率が高まり、サイト全体のSEO改善を牽引することも明らかだ。

左は「Kettle」の検索結果、右は「Teapot」の検索結果

同じ画像をGoogleレンズで直接検索すると、全体として、AIテストツールよりは良い結果が得られた。今度はいずれもホーロー製のティーポットが表示されるのだ。

ただし、やはり横向きの写真は、私が実際に持っているティーポットとほぼ同じものが表示されることがわかる。したがって、写真の構図が良いほど、検索を最適化できることになる。

Googleレンズでは、うまく写った画像ほど関連性の高い結果が得られる

実際には、スタイリッシュなライフスタイルを伝える画像やインスタ映えする画像でサイトを埋め尽くしたいと思うかもしれないが、SEOのためには、特に商品一覧のようなトランザクションページでは、明瞭な(誤解を恐れずに言えば「つまらない」)画像を優先させる必要があるということだ。

この手法は必ずしも新しいわけではないが、日々の検索体験の中に「目の前にあるものを調べる」ツールが組み込まれて利用しやすくなったことで、今後はSEOの観点から画像の構図が優先的に考慮されることになるだろう。

またグーグルは人工知能(AI)を利用して、動画や音声の分析でも遜色ない進歩を遂げているため、音声の品質や動画の美しさに関する知識に投資することで、いずれSEOで見返りが得られる可能性がある。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。今回は「マルチメディアファースト」について説明した。次回後編では、次の3点について見ていく:

  • ページ表示速度だけでなくセキュリティも
  • SEO専門性
  • ボーダーレスで国際的なSEO

→後編を読む

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