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【2023年ローカルSEO】AI時代でも必要なのは人間の力! 人的資源を生かす3つの戦略(後編)

ローカルビジネス戦略に向けて、注力したい3点について解説する。自動化が進む非人間的な世界だからこそ、人的資源が差別化できる要因となる。
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

この記事は、2023年のローカルSEOについて前後編の2回に分けてお届けしている。前編では、Mozをはじめとする8人の専門家による見解を紹介した。後編では、2023年に注力したいローカル検索マーケティングの3つの分野を提案しよう。

まず前編を読んでおく

2023年は、ローカルSEOに人間の力を活用する

画像出典:Memories of Days Gone By

親切でありなさい。あなたが出会う人は皆、それぞれ大変な戦いをしているのだから(ソクラテス)

現状を見ると、次のような問題が考えられる:

  • ChatGPTのような発明の結果として偽情報が増える可能性がある。

  • レビューや画像などの重要なローカルコンテンツに対してプログラムによるモデレーションを行うことで、思わぬ落とし穴が口を開けるかもしれない。

それにグーグルは、同プラットフォームを構成する膨大な数のローカルブランドを適切にサポートできていない。こうした現状について現在SEO業界から聞こえてくる懸念の深さを考えると、人的資源を深く掘り下げることで、機械の欠点を埋め合わせる必要があると思う。

2023年のスマートなローカルビジネス戦略に向けて、私は特に次の3点を推奨する:

  • あらゆる手を尽くし、最短距離で本物の人間にたどり着けるようにする
  • 人手が足りず大変ならば、優れたツールに助けてもらう
  • 非対面のトレンドに逆らいリアルな顔をもつ

それぞれ詳しくみていこう。

戦略1.
あらゆる手を尽くし、最短距離で本物の人間にたどり着けるようにする

人々がロボットに「使われる」ことに疲弊してしまう転換点にいる兆候を、私はいたるところで目にしている。電話口でたらい回しにされたり、長い間保留にされたりすると、本当に疲れてしまう。人間の窓口とつながっていないチャット機能は、冷たくて人間味のないものに感じられる。

次のことを肝に銘じてほしい:

  • カスタマージャーニーを支援するのではなく、むしろ邪魔をするウェブサイトは、取り引きするいずれの側も勝者とならない

2023年には、次のような方法で、顧客とライブカスタマーサービスの距離をできる限り近いものにしよう:

  • 調査に協力した米国の消費者の69%は、カスタマーサポートの電話で人間の担当者と話すほうを好む。特に大きな問題として過半数が挙げたのが、次の3つである:

    • 長い時間保留にされること
    • 電話が切れてしまうこと
    • 電話応対の担当者が変わるたびに最初から説明しなければならず、問題解決まで時間がかかりすぎること

    人手が足りないために保留時間が長くなってしまうビジネスの場合は、コールバック技術を導入すれば、顧客は好きなことをしながら担当者から折り返しの連絡を待てるようになる。顧客に対応するすべてのスタッフが、自社の製品やサービス、ポリシーについて十分な訓練を受けることで、顧客の問い合わせに対し可能な限り少ない人数で応対できるようにしよう。

  • 顧客の46%は「企業がチャットボットを使うのは人間の担当者が応対しなくて済むようにするため」だと考えており、60%はボットと話すより人間の担当者と話せるまで待ちたいと考えている。

    ただし、営業時間外のサポートとしてチャットボットを利用しているのであれば、これは便利なツールともなる。この場合、次のようにしておくといいだろう:

    • 応対が自動化されていることをインターフェイスで明確に伝える
    • いざというときに回答を示せるようにFAQを網羅しておく
    • 顧客の連絡先情報を取得し、チャットの後にできる限り早く人間によるサポートを開始できるようにする
  • ライブチャットを利用している場合は、顧客の過半数が数分以内の応答を期待していることを知っておこう。

    ライブチャットを顧客対応の窓口として使うのならば、顧客が無視されたと感じてブランドを見限ることのないよう、電話応対の担当者を配置するのと同じように人員を配置する必要がある

  • 35~54歳の顧客の44.5%は、企業とのコミュニケーション方法としてSMSでのやり取りを好むと回答しており、先ほど引用したLeadfernoの調査では、3分の1ほどの人は企業にSMSを送信後1日以内に回答が来ることを期待していることがわかっている。

    期待される応答時間との差を考えると、最小限のスタッフしかいない組織であれば、ライブチャットで期待された時間通りに対応できず顧客を失うよりは、SMSで対応するようにしておくほうがいいかもしれない

  • 電子メールは依然としてカスタマーサポートの主要なチャネルだが、ある調査によると、次のことがわかった:

    • 企業の62%はメールによるカスタマーサービスの依頼に対応していない
    • 企業の90%は質問を受け取った後に確認メールを送信していない
    • 最初の返信で完全な回答を提供できているのは20%にすぎない

    これは驚くべき結果であり、メール対応の担当者を増やし、すべての問い合わせに対して迅速かつ適切な情報を提供する必要があることを示している。

  • 最後に、ここ数年における大きな課題の1つとして、パンデミックに起因するローカルビジネスの人手不足がある。にもかかわらず顧客は、どこの店舗でもよく訓練されたスタッフに迎えられて接客を受けたいと思っている。そのため、人手不足やコロナ禍とその長期化という現実を受けて、これまで以上に人以外の追加リソースを活用する必要が生じている。たとえば次のようなものだ:

    • 店内や店頭の看板
    • 企業のウェブサイト
    • ローカルビジネスのリスティングにおけるFAQの回

次のセクションでは、これらの点について考えてみよう。

戦略2.
人手が足りず大変ならば、優れたツールに助けてもらう

AI支持派がなんと言おうと、ローカルでビジネスを営む際の基本である人間関係に代わるものはない。とはいえ、外的要因で人手不足が生じたら、そのときこそ人が長い歴史のなかで工夫して使ってきた業務支援ツールの利用を検討するべきだ。

動物でも、ラッコサギのように、道具をうまく使えるものがいる。人間ならば、なおさら目的の達成に役立つツールを選ぶべきだ。

ローカルビジネスのオーナーは2023年、スタッフがすぐに対応できない場合でも、顧客に確実に対応できるようにする必要がある。次に、注力すべき分野を挙げる。

  • 2022年にそれまでのGoogleビジネスプロフィールのダッシュボードに取って代わったNew Merchant Experience(NME)は、特に複数の拠点があるブランドにとって使いにくいとの評価が広まった。

    管理のしやすさを取り戻すには、Moz Localなどのソフトウェアを利用することで、グーグルなど特に普及しているローカルビジネスリスティングプラットフォームのリスティングをすべて一元管理するのに必要となるシンプルな専用のワークスペースに立ち返ろう。

  • 作成したリスティングは、次の項目が正確な情報であるか確認しよう:

    • 所在地
    • 連絡先
    • 営業時間
    • サービス内容
    • 製品
    • ポリシー

    2023年には製品を追加し、さらに多くの写真を撮り、ビジネスのさまざまな側面を撮影してみるといいだろう。グーグルはついにローカルビジネスの動画まで取り上げるようになっている。私なら、社員のなかでも特にフレンドリーな人が30秒ほどで主なFAQに答える動画を撮影することをおすすめする

  • 顧客の96%はレビューを読んでおり、レビューを書き込む人の60%は2日以内にビジネス側から反応があることを期待している。

    2023年はレビューを「双方向の会話と想定し、回答することで苦情を解決する場」だととらえよう。そうして問題が解決されればレビュー投稿者の63%は否定的なレビューを書き直し、62%はビジネスに2度目のチャンスを与えてくれることをよく覚えておこう。

    ローカルビジネスのレビューが消費者行動に与える影響」を調査し、これまで以上にコミュニケーションに力を入れよう。ただし、レビューがグーグルによってフィルタ処理されることの驚くべき原因に関するマイク・ブルメンタール氏の最近の調査を考えると、2023年はレビューの依頼の仕方に注意する必要がある。

  • コミュニケーションチャネルを広げよう。これまで、営業時間外のテキストホットラインに対応していなかった人は試してみてほしい。動画を使ったサポートやライブチャット、コールバックも試してみよう。2023年は、TikTokやInstagramなどのチャネルが自分の顧客やブランドに合っているかどうかを明確に判断しよう。ビジネスを見つけてもらいやすく、リーチしてもらいやすくなるほど望ましい。

戦略3.
非対面のトレンドに逆らいリアルな顔をもつ

世の中の動きは、非体面によるコミュニケーションやトランザクション、そして自動化したやりとりに傾いている。しかし、あえてその流れに逆らうことも考えてみるといいだろう。

その背景には、次のような考察がある:

こうしたシナリオの本質は、単に流れに逆らい思い切って人と違うことをするということではない。そうではなく、人として次のことを理解する点にある:

  • 人々が何に関心を持ち
  • 何を必要とし
  • 何を大切に思っているか

これらのアイデアを思い付いた人たちは、次のことに多くの時間をかけたのだ:

  • 気候変動と闘う意欲を持ち、
  • 身近な視力のケアを必要とし、
  • 大切なペットのために何か特別なことをして、
  • 気持ちを高めたいと願う社会の現状を理解すること

自動化が進む非人間的な世界で、リアルな顔(そしてその背後にリアルな心)を持つことは、2023年にローカルビジネスを差別化できる要因となり得る

経営幹部のなかには、人の価値を製品をいかに大量消費するかで測るという考え方をもつ人がいる。そして今では、その指標をAIを活用したコンテンツの大量消費に移すといったおかしな夢を抱いている人もいる。しかし、ローカルビジネスのオーナーは実際の経験から、もっと分別がある。2023年には、君のビジネスがリアルな隣人にリアルな方法でサービスを提供するリアルな人々によって運営されているというナラティブを大事にして、ボットには置き換えられない個性と魅力を磨いてほしい。これは簡単な競争ではないが、勝算に関係なく、やってみる価値はある。

◇◇◇

最後に、ポリオによる小児麻痺を克服し、オリンピックチャンピオンになったウィルマ・ルドルフの言葉を引用して、2023年のローカルビジネスの成功を祈りたい。

人間には、決して過小評価してはならない2つの力がある。「夢を持つことの力」と「人間の精神が持つ影響力」だ。誰もが自分のなかに偉大なことを成し遂げる可能性を持っているという点で、私たちはみな同じだ。

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