【セマンティックSEO】IT系商材向けのテクニックと、すべてのサイトに効く6つのTIPS(後編)
この記事は、検索結果に上位表示されるのに役立つセマンティックSEO施策について前中後編の3回に分けてお届けしている。後編となる今回は、「IT系商材向けテクニック」と「すべてのサイトに効く6つのTIPS」をまとめる。
→前編を読む(基本+EC向け)
→中編を読む(B2B・クリエイティブ・DIY業界向け)
IT系の商材
IT系のように技術的な製品やサービスを販売する場合は、セマンティックSEOを実施するとき、その分野固有の課題が生じる。ウェブサイトの文章は、正確さを担保するために特定の分野の専門家が書くことが多いが、これが必ずしも最良の検索結果をもたらすとは限らないという問題だ。
では、IT系のように専門的な知識や情報が求められる場合のセマンティックSEOはどうするべきだろうか? まずは以下のようなアプローチを試してみてほしい:
検索ユーザーが求めるコンテンツを作成する
ロングテールを追う
専門用語を減らして、読みやすくする
1. 検索ユーザーが求めるコンテンツを作成する
検索ユーザーが求めるコンテンツを作成するのは、SEOの基本だろう。しかし、それが必ずしもできているとは限らない。IT系の商材では、ユーザーがその情報をどう検索するかを考えずに、自社の製品やサービスでできることの複雑さを説明することに夢中になってしまいがちなのだ。
セマンティックSEOを成功させるには、キーワード調査に立ち戻る必要がある。関連する検索クエリに焦点を戻し、その意図と適切なコンテンツをマッチさせる。それには、関連するキーワードに対応するように既存のコンテンツを手直ししたり、新しいコンテンツを作成したりというアプローチができるかもしれない。
たとえば、次の図は3D計測に使う機器を開発しているGeoSLAMという会社の製品ページだ。製品や技術に関する多くの検索クエリに対し、シンプルな形式で答えている。
2. ロングテールを追う
技術的でニッチな分野だと、検索クエリが非常に具体的なため、多くの一般的なツールでは検索ボリュームが低いかゼロであることが多い。しかし、ロングテールキーワードは、君のユーザーに関するものであれば、非常に価値あるものになる。
そのため、恐れずに「検索ボリュームゼロ」のフレーズに対する優れたコンテンツを作成しよう。これらのフレーズをグループ化して詳細なリソースを作成し、いつものように関連するエンティティやフレーズを調査してコンテンツを強化する。非常に具体的な一連の記事をグループ化することで、セマンティックSEOの効果がさらに高まるのだ。獲得する検索トラフィックは多くないかもしれないが、極めて関連性が高く、質の高いものになるだろう。
次の画像は、最近公開された記事のGoogle Search Consoleのデータだ。ロングテールで検索ボリュームが非常に少ないクエリに基づいたものだが、過去4か月で1万8300のインプレッションと816のクリックを稼いでいる。
3. 専門用語を減らして、読みやすくする
技術的なサイトでは、業界用語や長く回りくどい文章が使われることが多い。技術的なテーマは確かに読みにくさのスコアが高くなる傾向があるが、ユーザーがまったく理解できないコンテンツであってはならない。
非常に長く複雑な文章は。Googleにとっても単語間のつながりを理解するのが難しく、その文章の意味に対する信頼性が低下する。どのようなテーマであれ、正確、簡潔、明瞭であることが重要だ。
GoogleのNLPツールを使うと、この理論をテストできる。
たとえば、以下の複雑な文章では、単語間の関係性を示す矢印がたくさん伸びている。
【例文】We can instantly put products and services in front of a defined and qualified audience with highly targeted advertising.
【訳】高度にターゲット化された広告により、定義された適格なオーディエンスへ製品やサービスを瞬時に提供することができます。
この図の例文でGoogleは、「products(製品)」と「front(提供)」を、テキスト全体に対する重要性または関連性が最も高いエンティティと見なしている。
しかし、この文章が言いたいのは、「advertising(広告)」を使って「audience(オーディエンス)」にリーチすることだ。そこで、以下のように簡単な文章にしてみる。
【例文】We reach your audience instantly using targeted advertising.
【訳】ターゲットを絞った広告で、瞬時にオーディエンスにリーチします。
単語間の関係性を示す矢印が少なくなったのが一目瞭然だ。全体的な結果として文章の意味は維持しつつ、関連性が最も高いエンティティ「audience」と「advertising」は関連性のスコアが大幅に上がっており、Googleもこれらがテキスト全体に対する重要性または関連性がより高いと理解していることを示している。
このように、コンテンツの明確さと読みやすさに改めて焦点を当てよう。技術的なテーマでも、それは十分可能だ。科学やテクノロジーの話で読者を困惑させないようにしよう。何度も言うが、明確かつ簡潔にすることで、検索エンジンにもユーザーにも文章を理解して意味を読み取ってもらいやすくなるのが大切なのだ。
そして、どうしても特定の業界用語が必要な場合は、できる限り定義しよう。定義がちゃんとしていれば、君の専門性が高まり、関連する他のクエリや強調スニペットを獲得できる可能性もある。
ある技術系クライアントのブログコンテンツでこれらのアプローチをすべて実行したところ、ブログページへのオーガニックトラフィックが43.42%増加し、2022年10月現在、目標達成率(コンバージョン率)が24.92%上昇した。
すべてのサイトに効くセマンティックSEO 6つのTIPS
さて、ここまでさまざまな種類のウェブサイトでのセマンティックSEOについて解説してきたが、どのような種類のウェブサイトに取り組んでいようとも、原則を適用することでコンテンツのパフォーマンスを高められる。ここでは、セマンティックSEOを成功させるための一般的なヒントをいくつか紹介しよう。
競争力として利用する
リンクビルディング戦略を忘れない
トピックや関係性との関連を常に保つ
時間をかける
最適化を続ける
完璧な1ページよりも質の高い多くのページを作る
1. 競争力として利用する
「強力なリンクプロフィールがなければ、競争力のあるキーワードに対して上位に表示されない」と思い込んではいけない。リンクは全体の一部に過ぎない。君がある分野の専門家で、そのトピックに関する優れたコンテンツを作成できるのであれば、競争力のあるキーワードでも検討する価値があるのは間違いない。コンテンツを慎重に計画し、質の高い独自の洞察をもたらして、試してみてほしい。驚くような結果になるかもしれない。
私が支援してきたクライアント各社は、セマンティックアプローチを利用することで、競争の激しい検索キーワードでも、強力な被リンクプロフィールを持つ複数の超有名ブランドよりも上位に表示されるようになった。これには、トピック・関連するフレーズ・エンティティを調査するための十分な時間と労力が必要だった。同じく文章を書いて後日最適化するのにも注意と配慮を要したが、細部にまで気を配るのは本当に価値のあることだった。
2. リンクビルディング戦略を忘れない
セマンティック検索を使って高品質なコンテンツを作成すれば、検索上位に表示される可能性がある。そして上位に表示されたコンテンツは、貴重な被リンクを引き付けられる。あるクライアントは、この方法でニューヨークタイムズからリンクを獲得した。
そして、リンクビルディングの計画にセマンティックコンテンツを含めることを忘れないでほしい。他の人と共有し、ソーシャルメディアやEメールマーケティングを利用して気づいてもらおう。
セマンティック検索で素晴らしい仕事をしたのなら、ユーザー向けのコンテンツもきっとうまくいっているはずだ。そのようなコンテンツは他のパブリッシャーが共有やリンクをしたくなるものであり、成果は上がる一方だ。
3. トピックや関係性との関連を常に保つ
セマンティックアプローチでコンテンツを開発するには、君のトピック領域で地盤を固めることだ。トピックを広げてもほとんど役に立たないので、自分が知っていることにこだわるのがベストだ。
コンテンツを監査し、自分のウェブサイトにとってうまくいっていることを確認しよう。そうすることで、自分の強みと関連性を生かせる分野を明確にできる。焦点を明確にしたら、トピック領域を徹底的に調査し、強い分野にはこだわろう。関連のないコンテンツが入り込まないようにして、戦略にこだわる必要がある。
私が以前仕事をしたあるクライアントは「自社の製品分野はニッチで面白くないし、人の関心もないだろう」と思っていたため、より人々の関心を引けるように広い範囲でブログコンテンツを追加していた。しかし、コンテンツを監査したところ、成功していたコンテンツはすべて彼らの製品分野と非常に密接に関連していることがわかったため、私たちは2022年初めに戦略を練り直した。
現在、ブログコンテンツのほとんどが製品と密接に関連しており、新しい記事はどれも検索上位に表示され、質の高いトラフィックをもたらしている。サイト全体としても効果が出ており、ブログコンテンツのビジビリティは着実に高まっている。
4. 時間をかける
そして、最適化を急いではいけない。少なくとも3か月経ってからパフォーマンスを精査しよう。本当によく書かれたコンテンツなら数週間で上位に表示されるものもあるが、数か月かかるものもある。その効果を見極めないうちに手直しにかかってしまうと、パフォーマンスが低下してしまうリスクがある。
私たちのチームが2022年前半に取り組んだコンテンツの多くは、2022年5月に行われたGoogleのコアアップデート後に大きな成果が出ているので、施策の効果を正確に見極めるには、アルゴリズムのアップデートを待つ必要もあるかもしれない。
次に示す図は、1月に公開され、3か月強にわたってビジビリティがほぼ皆無だったコンテンツの例だ。コンテンツに大きな変更は加えていないが、5月のコアアップデート後に効果が出始め、その後さらに大きく上昇した。
5. 最適化を続ける
コンテンツのリリース後すぐに最適化を始めるべきではないが、状況は常に変化している。コンテンツが定着するまである程度の時間を置いてから、絶えず最適化と改善を続ける必要があるのだ。
たとえば、次の図は、新しい主要な販売ページに関するものだ。2020年12月にクライアントのサイトに追加された。かなり早くから効果が表れため、2021年3月にさらに最適化したところ、それ以降のビジビリティが大幅に高まった。
そして、2021年12月に落ち込み始めたため、コンテンツ品質を改めて見直したところ、回復した。
このように、重要なページに忘れずに立ち戻るような最適化計画を作成しよう。トラフィックが落ち込んだり、コアアップデート後に変化があったりした場合は、重要なページを再度見直してほしい。
6. 完璧な1ページよりも質の高い多くのページを作る
公開する各ページの品質には細心の注意を払う必要があるが、「完璧」を目指すよりも「高品質」を目指すほうが効果的だ。
セマンティックSEOのアプローチでうまく最適化された10本の記事は、可能な限りあらゆるエンティティを含む1本の記事よりも強力なものになる。なぜなら、ページ間の関連性も重要であり、上述したように、サイト内で質の高い有用なコンテンツの割合が多いほど、サイト全体にとって有益だからだ。
いかなるニッチ分野でも、セマンティックなアプローチは可能
ここまで解説してきたように、セマンティックSEOを利用すれば、いかなるニッチ分野でも結果を出せる。注力すべきことは分野によって異なるが、次のような一般原則は常に有効だ。
文章の作成に時間をかけ、使用する単語や単語間の関連性を考慮する
明確で構造化された文章を作成し、検索環境の変化に応じて見直し、最適化する
こうしてトピックに関連するコンテンツを楽しんで作成すれば、結果は出るはずだ。
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