SEO担当者がエンティティやセマンティックをサイトに取り入れて味方にする5つの具体的な方法(後編)
セマンティック検索とは何で、それがSEOにどう関係するかを解説するこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。後編となる今回は、SEOにおけるセマンティック検索戦略について見ていこう。
→まず前編を読んで「セマンティック検索とは何か」を理解しておく
SEOにおけるセマンティック検索戦略
具体的に、SEO担当者はセマンティック検索に対応していくために、どのようなことをするべきなのだろうか。
検索エンジンに対してエンティティの適切な情報を提供するコンテンツを作り、検索エンジンが把握しているエンティティに適切に対応するコンテンツを作るためには、次のようなやり方がある。
- 価値をもたらす
- 顧客の疑問に答える、ターゲットを絞ったコンテンツを作成する
- 答えに基づき、明確に文章を構成する
- ボットがコンテンツを解析しやすいデータ構造にする
- 内部リンクを活用する
それぞれ、具体的に解説していこう。
SEOにおけるセマンティック検索戦略1
価値をもたらす
グーグルはAIに注目しており、検索技術の次の進化は会話にあると想定している。グーグルのCEOであるサンダー・ピチャイ氏は、Googleアシスタントの発表に際し、次のように語っている。
われわれは、これ(Googleアシスタント)を会話のアシスタントと考えている。ユーザーには、途切れずに続く双方向の対話をしてほしい。
グーグルは、ワールドワイドウェブの混沌とした状況のなかで、
- あらゆる会話の情報源
- 参照するポイント
- 専門家の友人
- 信頼できる仲間
を必要としている。自身の分野でオーソリティサイトになり、その分野の会話においてグーグルに参照される専門家としての情報源になろう。つながりを促進し、情報を交換し、訪問者に何らかの価値をもたらす貴重な情報源になることだ。
提案: 知られるようになりたいと考える対象を決めよう。次の質問に答えてから、答えに基づいて最適なオーガニック検索戦略を立ててほしい。
- どのようなキーワードで検索された場合に、検索結果の上位に表示されるようになりたいか? 
- 現在、ターゲットにしたい分野には誰がいるか? 
- その人物を専門家たらしめている理由は? 
- それより10倍優れた存在になるには、どうすればいいか? 
- 自分のコンテンツとやり取りしているのは誰か? - 既存の顧客か、または見込み顧客か? 
 
- ユーザーはコンテンツとどのようにやり取りしているか?- ユーザーのコンバージョン率は上がっているか? 
- コンテンツは、ファネルの早い段階(認知や検討)のユーザーをターゲットにしているか、それとも後の段階(コンバージョン)のユーザーをターゲットにしているか? 
- ユーザーは、期待どおりのものをコンテンツから得ているか(コンテンツをクリックすることで、探していた答えを見つけているか)? 
 
- サイト全体を通じたカスタマージャーニーなど、コンテンツのユーザー体験を改善するにはどうすればいいか? 
- 顧客が出会うオーガニック検索のすべてのタッチポイントで、もっとうまくターゲットにリーチするにはどうすればいいか? 
SEOにおけるセマンティック検索戦略2
顧客の疑問に答える、ターゲットを絞ったコンテンツを作成する
顧客獲得を狙うオンライン資産の邪魔にならない形で、ターゲットを絞ったノンブランドのコンテンツを作成しよう(つまり、製品ページからトラフィックを奪うようなコンテンツではいけないということだ)。
狙いは、製品ラインのエンティティに関連するコンテンツを作成し、ユーザーの興味を引き、オーガニック検索のビジビリティにおけるギャップを埋めることにある。
顧客にとって貴重な情報源になり、検索エンジンの「目」から見たセマンティックなオーソリティを構築し、ミックスメディア(画像、グラフィック、動画)を使って強力な情報コンテンツを構築することによって、特定のトピックについて検索エンジンに頼られる専門家になろう。
提案:
- しっかりしたQ&Aに重点を置いたノンブランド(企業の宣伝目的ではない)のコンテンツを第一に考える。 - ヒント: グーグルは、簡潔に疑問に答える番号付きのリストや箇条書きにしたステップバイステップの説明を好むようだ。 
- キーワード調査をして、「方法」「理由」「意味」を尋ねる検索クエリの可能性を確認する。 - ヒント: 新たなアイデアを得るには、http://keywordtool.io/を使ってみよう。細かく見ていかなければならないが、グーグルのキーワードプランナーで利用できる強力なアイデアのバリエーションがいくつも得られるだろう。 
SEOにおけるセマンティック検索戦略3
答えに基づき、明確に文章を構成する
SEOの文章は、自然言語によって書かれるべきだ。コンテンツには自然言語を使わなければならない。要するに、わかりやすいコンテンツにするということだ。ハミングバードによって精度とセマンティック検索が改善され、2015年には機械学習を活用したアルゴリズムのRankBrain(ランクブレイン)がランキング要因に組み込まれ、さらには、音声検索が普及しつつある現状にあって、自然言語は必須だ。
コンテンツを作成するときは、エンティティの観点から書くことが重要だ。つまり、名詞に重点を置いた文章にしよう。シンプルで、主題を重視した文章にすれば、検索エンジンにより多くの情報を提供できる。
主語、述語、目的語の3つの要素(SPO)で文章を構成しよう。そうすれば、ユーザーにとってわかりやすいコンテンツになり、検索エンジンも情報を解析しやすくなる。
ここで重要なのは、自然な文章にするとともに、目的を持って文章を組み立てることであり、疑問に率直に答えるコンテンツを書くことだ。
提案:
- 自然言語で書く。 - ヒント:コンテンツを声に出して読んでみよう(ゲイリー・イリェーシュ氏とSEMPostからのヒント) 
- あなたが言おうとしていることをユーザーやボットが簡単に理解できるように文章を構成する。  - 「バラク・オバマは、44代米国大統領である」 → (BO, employedBy, USA) - 「オバマは、常々自ら言っているように、米国生まれだ」 → (BO, bornIn, USA) - 「オバマは、水曜日に米国に帰国した」 → なし - この画像は、KDD 2014カンファレンスでの(フェイスブックとグーグルのエンジニアによる)プレゼンテーション「Webスケールナレッジグラフの構築とマイニング」のスクリーンショットだ。しっかりした文章構造が、ボットによるコンテンツの把握にどれほど役立つかを示している。最初の2つの構造は、解析してデータを整理できる。しかし、最後の文章は検索エンジンにデータを提供しない。 
SEOにおけるセマンティック検索戦略4
ボットがコンテンツを解析しやすいデータ構造にする
構造化データマークアップは、すでにウェブページ上にある情報に注釈を付けることで、検索エンジンにとっての明確さや信頼性を高めるものだ。
構造化マークアップを使うことで、検索エンジンにコンテンツをより深く把握してもらえるようになるだけでなく、リッチな検索結果表示を希望しているというシグナルを送ることもできる。そうしたスニペットによって、ページのコンテンツに関する追加情報が表示されるほか、オーガニック検索からのCTR(クリック率)を高めることもできる。
グーグルの構造化データポリシーに従って、すべてのマークアップコンテンツがページ上に表示されることを確認しよう。グーグルは、アクティブで使用中のすべての構造化データマークアップを例とともに挙げている(頻繁に更新されているので、定期的にチェックしよう!)。
提案: サイトに適した構造化データを実装する。
たとえば次のような形だ。
- eコマース:- コンテンツをProductスキーマでマークアップする 
- Productスキーマ内で、RatingまたはReviewをネスティングする 
 
- 実店舗:- 店舗の住所をLocalBusinessスキーマでマークアップする 
 
- ブログ:- コンテンツをArticleスキーマでマークアップする 
- Q&A形式のコンテンツの場合は、質問をQuestionスキーマでマークアップすることを検討する 
- リストが多いコンテンツの場合は、ItemListスキーマの使用を検討する 
 
- すべてのサイト:- パンくずリンクをBreadcrumbListスキーマでマークアップする 
- WebSiteスキーマで、ウェブサイトの名称を検索エンジンに伝える 
- ソーシャルプロフィールをSameAsスキーマでマークアップする 
 
SEOにおけるセマンティック検索戦略5
内部リンクを活用する
内部リンクは以前から、トピックとの関連性を示す手法としてサイト全体のナビゲーションの役割を担い、ユーザー体験を支えている。ただし、内部リンクの利用は控えめにして、ユーザーの利益が最大限確保される場合にのみ使うことを忘れないでほしい。
提案:
- テーマに関連する内部リンクの機会を見極めて、ランディングページをターゲットにする。 
- 重要なページへのリンクは、メインナビゲーションまたはグローバルフッターに表示する。 
- 重要なページへのリンクは、サイトのXMLやHTMLのサイトマップに記載する。 
- サイト上で重要なページへの連動型リンクをページ内に追加する。 
- ステータスコード3XXまたは4XXを返すページへのリンクがある場合は修正する。 
- パラメータを含むURLにリンクするのではなく、必ず最終状態の正規URLにリンクする。 
まとめ:
- 検索エンジンは、検索結果にセマンティックシグナルを組み込みつつある。こうした変化に伴い、ウェブマスターは、ターゲットとするトピックごとに同義語や類義語、関連コンテンツを統合する必要がある。 
- セマンティック検索によって、検索エンジンはさらなる意味合いを持つ。それが、データ、スパム、ユーザーの疑問への回答、よりパーソナライズされた検索結果の確立、より会話に近いユーザー体験の実現だ。 
- セマンティック検索を利用したハイレベルな戦略とは、訪問者に価値をもたらし、顧客の疑問に答え、構造化された文章でコンテンツを作成し、構造化データを実装することだ。 


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