検索結果ページを理解する - 『検索エンジン最適化の初心者ガイド』改訂版#1-2
この記事は、『検索エンジン最適化の初心者ガイド』をセクションごとに書き直していく過程のエントリだ。この構想については、概要を見てもらえば、もっとよくわかるだろう。
検索結果ページのレイアウトを理解する
検索エンジンと検索者のあいだのやりとりを十分に理解するには、検索クエリに対して検索エンジンが返す検索結果ページをよく知ることが大切だ。検索マーケティングの業界では、検索結果ページのことを「SERP」と呼んでいる(Search Engine Results Page)。SERPは検索エンジンごとにフォーマットが少しずつ異なり、バーティカル(垂直)検索の結果もSERPに表示される(クエリに含まれる一部の語句をきっかけに、そのクエリを対象にしたコンテンツが表示される。後ほど実例をみてもらう)。
いま世界で最も人気のある検索エンジン、Googleのシンプルなインターフェースは、何年もほとんど変わっていない。
Yahoo!の場合、レイアウトはGoogleとほぼ同じだが、配置が少し違う。また、Googleにはないセクションがある。
MSN/Live(Microsoftの検索エンジン)は、Yahoo!ととても似ている。
各セクションには、検索エンジンが提供する抜粋(スニペット)が表示される。各セクションについて、何が提供されるのか説明をつけて以下に列挙しておいた。
バーティカル検索ナビゲーション
各検索エンジンは、画像、ニュース、動画、地図など、さまざまなバーティカル検索の選択肢を提供している。これらのリンクをたどると、より限定されたインデックスで検索クエリを実行できる。上の図の例でいうと、動物のぬいぐるみ(stuffed animals)に関するニュース記事や、動物のぬいぐるみを取り上げた動画などを探すことができる。
検索クエリボックス
どの検索エンジンでも実行した検索クエリがSERPに表示され、そのままクエリを修正したり、新たなクエリを入力したりできる。また、どの検索エンジンでも、高度な検索を行うページへのリンクがある。この機能については、このガイドの中でいずれ取り上げる。
検索結果に関する情報
このセクションでは、入力したクエリに関連するページ数の推定値など、表示している検索結果に関するメタ情報が少しだけ提供される(ただ、ここに表示される数値はかなり不正確なことが多い。だいたいの比較に使う程度にとどめておくべきだ)。
有料の検索連動型広告
検索エンジン側の言葉でを使えば「スポンサー付き検索結果」(Sponsored Results)、つまり、アドワーズ広告やオーバーチュアスポンサードサーチ、MSN AdCenter(日本では未提供)などの検索広告プラットフォームを利用して企業が購入するテキスト広告がここに表示される。掲載順位は、関連性(クリック率およびコンバージョン率はどちらも関連性の要因になる)や入札金額(広告には最高額を設定する必要があり、それがほかの広告主の設定額と比較される)など、さまざまな要因によって決まる。
オーガニック(アルゴリズムによる)検索結果
ここに表示される結果は、各検索エンジンにおけるウェブを対象にした第一義のインデックスからのもので、検索エンジンの複雑なアルゴリズムがはじき出した関連性と人気度で表示順位が決まる。検索結果を表示するこのセクションが、このビギナーズガイドの中心テーマだ。
絞り込みのための検索クエリ候補
これは比較的最近の機能で、Yahoo!とMicrosoftの場合は絞り込みのための検索クエリの候補がここに表示される(Googleでも、検索の内容によっては表示される)。検索の意図に合致するように、さらに限定した、より関連性が高いと思われるクエリで検索してもらおうというのが、この機能の目指すところだ。
検索エンジンは新しいフォーマットやレイアウトのテストを行っていて、SERPは絶えず変化しているということを覚えておくこと。したがって、上で挙げたSERPの例もGoogle、Yahoo!、Microsoftが新しいフォーマットを採用するまでの命で、数週間ないしは数か月のあいだしか正確ではないかもしれない。
ここまで「スタンダードな」検索結果を見てきたが、検索エンジンが提供するのはこれがすべてではない。検索エンジンは多彩な検索クエリに応じて「バーティカルな」結果を表示する。その際、検索者の質問に答える助けとなるように、他サイトへのリンク以上の情報が提示される。以下に、そうした結果の例をいくつか示しておいた。
これは、僕の好きな地元のギリシア料理レストランを検索して返された検索結果。周辺地図が住所とルート検索へのリンクつきで表示されている。
これは、僕がGoogleで、「weather」(天気)に都市名をプラスして検索した結果。週末は雨だったけれども、月曜日から雨はあがりそうだ。
次にGoogleで有名な画家の「Edward Hopper」を検索してみたら、画像検索の結果が表示された。彼の最も重要な作品の一部だ。
これは、Green Bay Packersのクォーターバック、Brett FavreをYahoo!で検索した結果だ。絞り込みのための検索クエリ候補に加え、名うてのガンマン、Brettに関するさまざまなデータが返された。
Yahoo!でシカゴのレストランを検索すると、Yahoo!のローカル検索ポータルによる、人気飲食店にかんするリストが返ってくる。料理の種類、所在地、ユーザーレビューで評価の高い店などが表示されている。
Yahoo!で1トンが何ポンドにあたるかを検索したら、即座に2000ポンドという答えが返ってきた。
Live.com(Microsoftの検索エンジン)で共和党の大統領候補Ron Paul氏を検索した。Paul氏の最近の活動に関するニュース検索の結果が返ってきた。
続いて、Live.comで20世紀初頭の有名俳優、チャーリー・チャップリンを検索した。一連の画像とともに、チャップリンの「有名人ランク」(Live.comが独自に算出した人気順位)が表示された。
Live.comで「デジタルカメラ」(digital cameras)を検索すると、人気商品が、価格、星マークの評価、およびLive.comの製品検索の結果ページへのリンクつきで表示された。また、紹介ページとレビューページへのリンクのリストが表示された。
おわかりのように、検索結果にさまざまな形でバーティカル検索の結果が統合されるようになっている。つまり、人気のある数々の検索クエリについて、外部ページへのリンク10個という標準的なセットはもはや支配的ではない。検索エンジンは検索クエリに対して、もっと関連性の高い検索結果を、もっと範囲を絞って提供しようと競争している。そのために、単なるウェブ検索の結果をずらりと並べるのではなく、検索クエリに最もマッチしたバーティカル検索の結果を返すようになっている。
これを受けて、ウェブサイトの所有者やウェブマーケティングの担当者はまず、業界で頻繁に話題にされている「バーティカルクリープ」(Vertical Creep:SERPへのバーティカル検索結果の浸透)が順位や集客に与える影響を考えなければならない。このページで紹介した検索例の大半では、オーガニック(アルゴリズム)検索で上位、それも1位や2位を獲得しても、バーティカル検索の結果が表示されない場合と比較すれば、あまりに少ないトラフィックしか得られないかもしれない。また一方で、バーティカル検索結果の表示はチャンスでもある。画像、地域検索、ニュース、製品と、さまざまなサービスでリスティングを利用できる。こうした検索結果に含まれるにはどうするのか、それはこのガイドでのちほど紹介する。
最後に、Ask.comは検索結果をどのように表示しているのかを見てみよう。
Askは、ほかの検索エンジンよりもさらに踏み込んでいて、ページ中央にオーガニック検索の結果を、左右のサイドバーに絞り込み検索の候補とバーティカル検索の情報をまとめて表示している。先を見越したこの表示機能は「Ask 3D」と名付けられていて、SERPが将来どのようなものになるのか、1つの可能性を示している。
いつも書いているように、コメントやフィードバックは大歓迎だ。待たせてしまったけど、辛抱してくれてありがとう。
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