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JADEのSEOプロフェッショナル相談室

広告でSEOが有利に!? プロの考えるオーガニック検索と広告の関係と連携戦略【2021年版】

「リスティング広告をだしても検索順位は上がらない」は今でも本当か? 広告専用LPをやめるとSEOにこんな効果がある!? SEOチームと広告チームの連携を2021年に検討すべき理由をプロが解説
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昔から「リスティング広告をだしても検索順位は上がらない」と言われていますが、今でもそうなのでしょうか。

社内でSEOと運用型広告は別のチームですが、うまく連携することで、よりビジネス成果を伸ばすやり方はあるのでしょうか。それとも、SEOと広告のチームが一緒に動く意義は少ないのでしょうか。

  • SEO ―― オーガニック検索(自然検索)からのトラフィックを獲得するための施策
  • リスティング広告 ―― 検索連動型広告、検索結果に広告をだして集客するための施策

この多くのWebサイトにとってアクセス元として重要な次の2つの経路には、大きな比重をおいて考えている人は多いことでしょう。そして、どちらも同じ検索結果に表示されるものですから、その連携を試みている企業もあることでしょう。

さて、この2つの関係について、グーグルが繰り返し発言していることがあります:

広告利用が検索順位に影響することはない

「広告を出せば検索順位が上がる」という事態が発生しないようにグーグルは配慮し続けているそうです。しかし現場では、

実際には広告は検索順位に影響しているのではないか?

と、その関係性を疑う声が頻繁に聞かれます。実際のところはどうなのでしょうか?

「JADEのSEOプロフェッショナル相談室」第3回は、SEOへの広告の影響を、SEOプロ集団である株式会社JADEでSEOを担当する辻氏と広告を担当する小西氏に聞きました。

この2つは複雑に関係するため、次のようなトピックで論じていきます:

  • SERPで高CTRなtitleタグは広告データから探る
  • サイトのtitleタグが広告に影響する場合も
  • オーガニックリンク構築に広告が役立つ?
  • 「SEOで大切なのは、ユーザーにとって良いコンテンツ」は本当?
  • 「SEOに広告が影響しない」は今は……
  • ページの「テーマ」をグーグルが理解しやすくすれば、SEOにも広告にも役立つ
  • 広告専用LPをやめれば、SEOにも広告にも良い影響がある?

同じ検索エンジンが舞台でも、分断されているSEOと広告

辻: SEOと広告の関係、難しいですね。

どちらのアクセスも検索キーワードが起点ですので、本来は近いもののはずです。とはいえ、この2つの間には次の大きな壁があります:

  • 自然検索は、グーグルにとって、ユーザーの検索ニーズに応えるもの。主要なステークホルダーは検索ユーザー
  • リスティング広告は、グーグルにとって、広告主がお金でトラフィックを獲得するためのもの。主要なステークホルダーは広告主(次いで検索ユーザー)

グーグル内部でも自然検索と広告が厳しく分けられていることは、業界では非常に有名な話です。

実際に、グーグルの自然検索の部署と広告の部署の話を聞きますが、同じ会社だと思えないぐらいの別組織感があります(正直なところ、別会社でも取引があるならもっと連携が取れているだろと思うほどです)。

グーグルは、とにかく「広告を買ったら自然検索が有利に」という状況になるのを避けることに配慮しています。それはかなり徹底しているように思いますし、実際に自然検索のデータを見ていても、それが守られているように思います……基本的には(詳しくは記事の後半で)。

小西: SEOと広告に関しては、グーグルもそうですが、我々もバラバラに対応しがちですね。広告主(事業会社)でもSEOと広告は別の部署が担当していることが多いですし、請負側も「SEO会社」「広告代理店」のようにどちらかの専業であることが多いですよね。

たしかにどちらも、それぞれまったく別の専門技術が必要ですから、どちらかに特化するほうが成果を出しやすいという事情はあります。

大手の代理店などではどちらも請け負うこともありますが、今度はその中での分裂も起きやすいものです。SEOと広告では、そもそもビジネスモデルも目指すところも違うことが多いので、一緒には動きづらいものです:

  • SEO
    • 集客の主軸はユーザーの検索ニーズ
    • 検索結果画面で自社の訴求したい点を前面に出すことは不可能ではないが、全体的にコントロールできない部分が多い
    • 当初はコストをかけても継続的には追加のコスト負担なしにリターンを獲得していく
    • 成果は認知・理解フェーズだったり、獲得フェーズだったりする
  • 広告
    • 集客の主軸はユーザーの検索ニーズとターゲティング
    • 検索結果画面で、自社の訴求したい点を前面に出すことも可能。細かくコントロールしながらリターンを獲得していく
    • 集客し続ける限りコストはかかり続ける
    • 成果は獲得であることが多い

ですので、お互いのやっていることに次のような不満が発生しがちです:

SEOチーム

なぜ、そんな検索キーワードでのトラフィックを獲得するのに、広告費を使ってるんだ?

リスティング広告チーム

なぜ、そんなコンバージョンしないトラフィックのために工数をかけてコンテンツを作ってるんだ?

とはいえ、それは企業側の論理です。

検索ユーザーにとっては、同じ「検索」という行為の延長でしかありません(われわれは明確に区別しますが)。そのため、マーケティング施策をユーザー中心に考えるならば、SEOと広告は連携して進めるべきものだとも考えられます。

そうすることで得られるビジネス側の成果としては、たとえば次のようなものがあります:

  • 検索ユーザーごとに、広告でアプローチするのかSEOでアプローチするのか考えて取り組むことで、互いに食い合うことなく効果的にビジネス成果につなげやすくなる

  • お互いの施策内容やデータを参考にそれぞれを改善していくことで、全体の成果を向上させやすくなる

  • いまの複雑化した検索の仕組み上、実は広告が検索順位に影響を与える結果になっている可能性がある

辻: そうですね。実際、JADEでもSEOとリスティング広告の連携に取り組んできています。これまでも機会があるごとにさまざまな手段で連携してきた結果、「やはりSEOとリスティング広告は積極的に連携する価値がある」と私たちは考えています。

というわけで、今回は「SEOと広告の連携」という長年語られている課題について、2021年時点でJADEがどう考えているかについて、お話しします。

ふつうの人の判断

SEOはWebのチーム、リスティングは広告のチーム、別々なのがふつうだよね?

SEOプロの判断

検索という同じ場所からのユーザー体験を考えると、SEOとリスティング広告が連携する価値はあるはず。

SERPで高CTRなtitleタグは、広告でテストして探る

辻: SEOと広告の連携として普通に行われていることは、ページのタイトル(titleタグ)の作成でしょうか。

SEOでtitleタグは極めて重要です。順位やクリック率など本当にさまざまな影響があります。

ただSEOではtitleタグ変更の実験の成果確認をしっかり行うには2か月ほど必要です。また、テストのために短期間に何度もtitleタグを変更すると順位面で悪影響があると考えるSEOの人は多いようです。

そのため、「成果のでる理想のtitle」を突き詰めるのは、なかなか難しいものです。

小西: 広告においても、広告タイトル(広告見出し)は重要です。一番重要と言っても過言ではありません。

リスティング広告では「検索キーワードに対して広告を表示」するイメージが強いかもしれません。しかし今は、だれがどんな検索したときに広告を配信するかを決める一番の要素が広告タイトルなのです。

そして、SEOと違って広告では、タイトルのバリエーションをたくさん作って同時に複数試すというのは良い運用スタイルです。短期間で成果がはっきりすることも多いですからね。

つまり、広告でさまざまなタイトルを試し、成果がでた広告タイトルを、ページのtitleタグづくりに活かせるのです。なんと言っても検索結果ページで多くのユーザーが反応することを確認できた表現ですからね。

短期間でたくさんのタイトル案を試せないSEOにとって、広告でのテスト結果は有効なデータにできますよね。

SEOプロの視点

リスティング広告で検索ユーザーに響く広告タイトルをテストすれば、その知見をWebサイトのtitleタグに役立てられる。

辻: はい、広告のデータを参考にSEOのためのtitleタグを検討することは、非常によくありますし有益でした。

ただ、広告で成功したタイトルをそのままWebページのtitleタグに採用するとうまくいかないこともけっこうある点には注意が必要です。

小西: そうですね、いまの広告システムが高度に学習して最適化してくれることの影響ですね。というのも広告では、特定の人に絞って配信されて成果につながっていることがあるのです。

たとえば同じ検索キーワードでCVRが良い広告でも、調べてみると次のような状況だったことがありました:

  • 再訪問ユーザー ―― 商品の詳細を具体的に示した広告タイトルに多く反応している
  • 新規訪問者 ―― ふわっとした訴求をする広告タイトルに多く反応している

広告システムはこの2種類のユーザー属性を判別して行動を学習することで、ユーザーごとに適した広告クリエイティブを配信するように自動的に最適化していきます。

そうしたことから、広告では、複数のターゲットに向けた複数の広告タイトルを入稿しておくことが効果的なのです。

辻: しかし検索エンジンはそうした最適化をしてくれるわけではありませんから、Webページのtitleタグでは1つのタイトルだけで多くの検索ニーズをカバーしないといけません。

そうした違いがあることから、成果の良かった広告タイトルをそのままSEO用のtitleタグに使っても、うまくいくとは限らないのです。

さきほどの例でいうと、商品の詳細を具体的に示した広告タイトルをWebページのtitleタグに流用すると、どうなるでしょうか。

再訪問ユーザーには響くかもしれませんが、新規訪問者はそのタイトルに反応する可能性が低いでしょう。となると、サイト全体としてはしっかり検索トラフィックを獲得できるとは限らないのです。

広告では、ターゲットセグメントごとに最適化した広告タイトルを入稿しておくほうが成果を出せるかもしれません。しかしSEOで成功するページでは、さまざまな意図をもつ数百のキーワードによる検索を1つのページ(タイトル)で獲得していることが多いのです。

小西: あと、リスティング広告で試したタイトルを参考にWebサイトのtitleタグを作る場合に、気をつけておくといいポイントがあります。それは、法律や広告サービスのガイドラインの存在です。

具体的に言うと、広告のタイトル部分では使えない文字や表現というのは、意外と多いものなのです。たとえば、次のようなものです:

  • 「いますぐ登録」「ここをクリック」といった表現
  • 感嘆符(!)(Google広告の場合)
  • 強調を目的とした、句読点や記号の過度な使用
  • 絵文字、半角カタカナ
  • 目をひくためのアルファベット大文字
  • ブランド名や訴求表現の、不必要なレベルでの繰り返し
  • 強調のためのスペース(空白文字)

これ以外にも、広告掲載のポリシーに反する内容や表現は広告タイトルでは使えません。

しかし、Webサイトのtitleタグでは、こうした制限はありません。そのため、成果の良かった広告タイトルよりも、より効果的なtitleタグを作れる可能性があります。

辻: そうですね。広告では使えない表現をSEOで活用することは効果につながる場合が多いです。

もちろん、法令やコンプライアンスを遵守するのは大前提ですが。

ふつうの人の判断

なるほど、リスティング広告でタイトルをテストすれば良いのか!

たしかに、広告なら短期間でいろんな訴求をテストできるから、「オーガニック検索結果に表示されたときにユーザーがクリックしてくれるタイトル」がわかるな。

SEOプロの判断

あくまでも「知見」を得るのが目的。そのまま使うのではなく、次の点には注意する必要がある:

  • 広告はセグメントごとに配信を最適化する点
  • サイト側では広告で利用できない表現が使える場合もある

titleタグはSEOの領分。でも広告に影響する場合も

小西: SEOと広告と、それぞれをそれぞれで最適化していこうとしても、そのための施策が絡み合うことがあります。

たとえば、「動的検索広告」というものがあります。これは、次のような広告サービスです:

動的検索広告

広告主が入札する検索フレーズや広告クリエイティブを細かく指定しなくても、ユーザーの検索フレーズに応じてグーグルが次のものを自動的に判断して広告を表示する仕組み:

  • どんな検索に広告を出すか
  • どんな広告クリエイティブを出すか
  • どのページを広告の誘導先にするか

グーグルはあらかじめWebサイトのコンテンツをクロールしていて、広告主が最低限行う作業は、広告の説明文だけを作っておくことだけ。すると、グーグルは検索フレーズに応じて適切なランディングページを自動的に選び、広告タイトル(広告見出し)を自動的に作成して表示する。

あるときに、動的ではない標準の検索広告でテストを重ねて、反応の良かったものをWebサイトのtitleタグに反映したことがありました。さきほど説明した、広告で良かったタイトルをサイトに活用するやり方ですね。

この狙いはうまくいって、オーガニック検索トラフィックが増えたのですが、変化はそれだけではありませんでした。獲得目的でまわしていた動的検索広告の成果も良くなったのです。

実は、動的検索広告で自動生成される広告タイトルとしては、ランディングページのtitleタグの要素が使われることが多いのです。そのため、Webサイトのtitleタグを改善したら、動的検索広告の成果も上がったというわけです。

これは言い換えれば、Webサイトのtitleタグのせいで動的検索広告の成果が下がる場合もあるということです。

SEOと広告が別チームで評価の基準も異なるような現場では、次のように意見がぶつかることもあるでしょう:

リスティング広告チーム

リスティング広告でテストを重ねて最も成果がでたタイトル、うまくサイトのtitleタグにも活かしてください。

SEOチーム

広告ではそれが良かったかのかもしれないけど、SEO的にはちょっと違うんだよね。

結果としてWebサイトのtitleタグではSEO側の要件を優先することが多いのではないでしょうか。しかし、そのtitleタグは広告にも関係しているというのは、知っておいてほしいことです。

辻: Webサイトのtitleタグは、オーガニック検索だけでなく動的検索広告にも影響するという件は、突き詰めていくと、次の2つで方向性が異なる場合があるということにもなります:

  • SEOで望ましいtitleタグ
  • 動的検索広告で望ましいtitleタグ

この2つが同じ方向性ならばいいのですが、問題はそうではない場合です。このときどちらを優先するかは、しっかり価値を比較して判断したいところですが、これが現実には難しいのです。

  • 広告施策A と 広告施策B の想定効果の比較

は、非常にやりやすいですよね。

  • SEO施策A と SEO施策B の想定効果の比較

も可能です。でも、

  • 広告施策A と SEO施策A でどちらの価値が高いか

を比較するのは、本当に難しいものです。野球で「あのピッチャーとこのバッターを比べて、どちらの価値が高いか?」と聞くようなものかもしれません。

このあたりを踏まえると、SEOと広告が協力して価値を高めるという観点で必要になってくるのは、次のような考え方だと思います:

お互いのデータをそのまま使うのではなく、互いに両者のデータとノウハウを噛み砕いて理解してから、全体として再構築する

当たり前ですが、「SEOに広告を活かす」「広告にSEOを活かす」ことを確実に実現するには、両方をある程度は知っている(理解しようとする)必要があるということですね。

オーガニックリンクは広告で増やす!?

辻: SEO成功のためにはリンクが必要ですが、検索順位を獲得できるだけのオーガニックなリンクを集めるのは大変なタスクです。しかし広告をうまく使うと、リンク獲得のための時間や工数を節約できる場合があります。

これは、効果的なのに活用している人は多くない印象がある手法です。SEOと広告の連携を検討されているチームでは、ぜひ意識していただきたいところです。

と言っても、「広告のリンク=SEOに役立つリンク」ではないのは当たり前です。具体的に説明しますね。

私は以前、地方でWeb制作を中心に仕事をしていました。その頃、2005年に初めてGoogle広告を使いましたが、それはSEO目的だったのです。

と言っても、不正なリンクの獲得ではありません。ページの内容を評価したユーザーが自発的にリンクを張ってくれるオーガニックリンクの獲得のためです。そうしたオーガニックリンクを増やすためには、まず多くの人に見てもらうことが必須です。そのために検索連動型広告を使ってサイトのことを知ってもらうようにしたのです。

とある温泉地のWebサイトだったのですが、

  • リンクを張りそうな人が検索するキーワードは?

  • その温泉地に行ったブロガーが記事を書くときに検索しそうなキーワードは?

などと考えて、全力で広告を作ってみたものです。結果は大成功でした。広告を通じてサイトを知った人が徐々にリンクしてくれたことで、自然検索でほぼ露出していない段階から着実にリンクを集めて、半年などで温泉地の名前などかなり多くのキーワードで上位表示させられました。

SEOプロの視点

SEOのためにオーガニックリンクを増やしたい

 ↓ ↓ ↓ 

まずは多くの人にコンテンツを見てもらう必要がある

 ↓ ↓ ↓ 

広告で知ってもらえばいいのではないか

 ↓ ↓ ↓ 

やみくもに広告を出しても費用がかかる

 ↓ ↓ ↓ 

リンクを張ってくれそうな人が検索したときに届けられる広告にしよう

その後も、SEOの成果のために検索連動型広告(や他のネット広告)を使うやり方は、さまざまな形で試しましたが、その目的は「リンクを張ってくれそうな人にコンテンツを届けるため」とすることが多かったです。

今ならば、検索連動型広告以外でも次のような手法が有効でしょう:

  • ディスプレイ広告 ―― 「リンクを張ってくれる人が多く見るだろうサイト」をターゲットに設定

  • Twitter広告 ―― Twitterで拡散してもらうことで、リンクを張ってくれる人の認知機会を高める

いま日本でオーガニックリンク構築のために広告を使うのでしたら、Twitter広告は欠かせないでしょう。Twitterでシェアされうるページであれば、普通に使っても一定の成果になるはずです。予算があるならば高額の広告メニューを使うのも良いでしょう。

いまのソーシャル広告は、ターゲティングを興味関心などで非常に細かく指定できます。コンテンツに合わせて適切にターゲティングすれば、本当に驚くほどの成果になり得ます。

ただし、これもTwitter内だけでの拡散に留まらないようにしないと、SEOの成果にはなりづらい点は注意が必要です。あくまでも、Twitterを起点にコンテンツを知ってもらい、リンクを獲得するのが目的ですから(グーグルが認識できるサイトへのユーザー行動を増やすという価値もありますが)。

当然のことですが念のために説明しておくと、広告のリンクはnofollowになるのが基本ですし、広告が直接SEOにポジティブな影響を及ぼすことはありません。そこは誤解のないようにしていただきたいところです。

そうではなく、「広告を起点にサイトを知ってもらう機会を増やし、リンク獲得につなげる」のです。

自然検索の順位がネット上の多様なことを参考にしている現状、特に自社サイトのネット上での存在感を高めることは、とても重要です。そのために広告を使うことは、非常に有益なはずです。

海外のSEOメディアなどは、オーガニックリンク構築の手法として「アウトリーチ(リンクしてくれそうな人に直接連絡する)」が重要だとしていることが多いものです。しかし日本では、そうした手法に抵抗がある人が多いように思われます。

しかし広告は、そうした心理的な負担を担当者にかけずに実行できるアプローチだというメリットがあるのではないでしょうか(もちろん、可能ならばアウトリーチも併用するのが良いでしょうが)。

ふつうの人の判断

リンクビルディングって、あれでしょ、インフォグラフィックを作ったり、リンクしてくれそうな人にメールで連絡したり……。なんか大変なのよね。

SEOプロの判断

「リンクを張る」の手間の段階である「サイトのことを知る」を広告でやるのは効果的なはず。そのあとにアウトリーチする場合でも、知ってくれていれば効率が良いのではないか。

小西: たしかに、さまざまな企業のリスティング広告運用に携わってきましたが、リンク構築を目的とした広告案件はほぼなかったように思われます。

その理由としては、リスティング広告担当者の多くはSEOがわからないということもあるでしょうが、広告は「かける費用」と「得るリターン」を決めて運用していくことが多い点にあると思われます。

そうした費用対効果を軸にした目標の設定は、

  • リスティング広告費に1000万円つかって、売上を3000万円増やそう

といった考え方が一般的です。

  • リンク構築を目標にしよう

という話になることは、なかなかないものです。もし検討したとしても、

広告でリンクを1本獲得したら何円の価値があるとみなすのか?

そもそも、広告がきっかけでリンクを獲得できたことをどうやって測定するのか?

という議論を経て、結局は通常のコンバージョンを目標とする結論に至るのは、自然な流れだと思います。

とはいえ広告のほうでも、次のようなことは意識するようになってきている印象があります:

リスティング広告は、わかりやすい直接的なコンバージョンを見ているだけでいいのか?

ここから、たとえば「アトリビューション(間接効果)」を分析するといった業界的な動きもありました。しかし、アトリビューションは直接コンバージョン測定に比べると扱いが非常に難しかったこともあり、広く普及するには至りませんでした。

しかし、次のような観点をもって仕事を考えていけば、リンク獲得に限らず、わかりやすいコンバージョン獲得以外の違った価値をリスティング広告で生み出していけるかもしれません:

広告によって得る効果は「行動」だけでなく、「認知」「理解」「態度変容」などがある。うまく設計して運用すれば、その後の良いユーザー行動に結びつけられる力があるはずだ

たとえば私は以前、「広告をクリックした人は、その後どれぐらいリピーター化するか」といったことを分析したことがあります。結論としては「リピーター化する傾向はあるが、広告の内容によってその度合いは変わる」というものでした。

リスティング広告の担当者は、「ROI」「コンバージョンの傾向」といった数値の分析に慣れていることが多いでしょう。

いっぽうSEO担当者のなかには、ユーザー行動分析のスキルに長けている人もいます。

その両方が一緒に取り組んでデータを分析し、その結果をもとに施策や戦略を練っていけば、より価値のある形で広告を活用していけるのではないでしょうか。

ふつうの人の判断

リスティング広告は、シンプルなROIで判断できるのが良い。いくらかけてどれだけ成果がでたか、わかりやすいからね。

SEOプロの判断

「リスティング広告をコンバージョンのためのもの」と考えるのは、もったいない。もっと広い意味での「広告」の効果である「認知」「態度変容」を設計に入れられれば、同じ広告費から違う次元の効果を得られるのではないか。

そもそも「SEOで大切なのはユーザーにとって良いコンテンツ」は本当か?

辻: 今のSEOで必要な配慮として、サイトに来ても満足しないような人は、そもそも来ないようにする」というものがあります(前回の記事で詳しく解説しました)。

極端な言い方ですが、全体的には次のような方向性で考えるべき時代になってきています:

満足しないユーザーを招いて、大切なWebサイトでひどいユーザー行動を大量に刻まれるくらいであれば、そのユーザーは来ないようにしておくほうが良い。

小西: リスティング広告はクリックされるたびに費用が発生するので、「成果につながらないクリックは減らす」ことの重要度は、より意識されます。

しかし、いまのリスティング広告は自動的に最適化してくれるようになっています。そのため、コンバージョンベースで最適化させていれば、成果につながらない広告配信は比率としては減っていきます。

コンバージョンポイントをちゃんと「ユーザーが本当に満足した点」に設定しておけば、満足しない人がたくさん来るような広告は配信されなくなる点は、SEOとの大きな違いですね。

辻: そこはSEOの側からするとうらやましい点ではあります。

SEOもリスティング広告も、内部はどんどん複雑になって理解し難くなってきていますが、大きな流れとしては「ユーザー視点でより良い状態になることをよしとする」傾向が強くなっているように感じます。

世の中のビジネスには「自社の利益になることが最優先」というものもあります。しかし検索エンジンをとりまくエコシステムは、単に「検索エンジンにとっての利益」「広告主にとっての利益」を優先するだけではなく、「検索ユーザーにとって良い状態になることを優先する」ことを軸に進化しているように見えます。

もちろん、そうすることが、グーグルが継続的に利益を最大化する手段として良いからそうしているのでしょう。しかし、その方向性は近江商人の「三方よし」のような古典的な哲学に通じるものがあります。

「ユーザー目線で良い状態に」というのは、そういう意味では当たり前のことのようにも思われます。「SEOで大切なのは、ユーザーにとって良いコンテンツを提供すること」という表現はよく言われますし、思考停止で安直に言っているのではないかと感じることもあります。

しかし、SEOにどっぷりと漬かり、全力でデータを見て、全力で分析してきた私の結論も、「ユーザーにとって良いものにするのがベスト」となることが本当に増えているのは事実です。

ふつうの人の判断

「SEOで大切なのは、ユーザーにとって良いコンテンツ」、もう常識でしょ。

SEOプロの判断

本当にグーグルはユーザーにとって良いコンテンツを評価しているのか? データでしっかりと判断しなければ。

………………。

どう分析しても、たしかにそうなっているようだ。これで自信をもってユーザー中心で戦略を考えられる。

「SEOに広告が影響しない」は、実はもう無理筋

辻: 冒頭でも話しましたが、検索エンジン側では自然検索と広告を全力で分断しようとしています。

ただ私は「SEOに広告が影響しない」というのがもう無理筋の話だと思っています。

小西: なんと!

それは「今は広告を出せばSEO効果につながる」という意味でしょうか。

辻: そうではないと言いたいのですが、正直なところ、その可能性(またはその逆の可能性)を排除できなくなっています。

とは言うものの、もちろん「広告出稿量=順位」といったものではありません。そうではなく、ポイントは「広告がユーザー行動に与える効果」ですね。

昔は、検索順位を作るのに利用するのはクローラーが読み取れる情報が中心でした。ですので、検索と広告の分離は問題なかったでしょう。

しかしいまは、検索エンジンはコンテンツの評価に非常に多様な情報を使うようになっています。その結果、直接的に「広告クリックの多寡が自然検索の順位に影響するのを避けられない」状況になっていると考えています(「広告を出稿すれば、リンクを張ってもらう機会が増える」といった間接的な意味あいではなく)。

にわかには信じられないかと思いますが、その根拠を説明します。

ふつうの人の判断

広告を出しても、オーガニック検索の順位に影響することはない。グーグルはそこにかなり注意しているはずだから。

SEOプロの判断

正直なところ、「広告は順位に一切影響しない」と断言するのは無理な状態になってきているのではないか。

辻: いまグーグル検索の順位に、ユーザー行動が影響するようになっています。その詳細はこの連載の前回で話しましたが、グーグルも公式に、次のことを認めています:

  • 検索結果ページ上でのユーザー行動は、(直接ではないにしても)検索評価に影響すること
  • 自然検索の改善のためにクリックなどのデータを重視していること

では、次のような状況を想定してみましょう:

  • ある検索キーワードで、ページが自然検索の3位に表示されている

  • その検索キーワードで、検索連動型広告で同じページに集客している

広告は上部に表示されますよね。その広告がクリックされることで、当然のことながら同じ検索結果ページ内にある自然検索の自社サイトはクリック率が落ちます。つまり、「広告によって自然検索のクリックが減る」という現象が発生します。

  • 自然検索のクリック ―― 下がる
  • 広告のクリック ―― 上がる

では、この状況でのユーザー行動を、グーグルはどう判断するのでしょうか。「グーグルが自然検索のクリックデータを(直接・間接どちらにしろ)使っている」ことを前提に考えると、次の2とおりが考えられます

  • グーグルが「広告クリックも自然検索向けクリックデータとして使っている」場合 ―― 広告を打てば全体としてのクリックが増え、自然検索でも有利になる
  • グーグルが「広告クリックは自然検索向けクリックデータとして使っていない」場合 ―― 広告を打てば自然検索のクリックが減り、自然検索では不利になる

広告データを自然検索が使っているにしろ使っていないにしろ、プラスにしろマイナスにしろ、影響がでる可能性は排除できないだろうと考えられわけです。

もちろん、検索エンジン側で「広告が表示されている場合の影響を考慮して、可能な限り自然検索だけの行動データとして扱えるように処理」している可能性はありますが、今のところそういった話は(公式なものとしては)耳にした記憶はありません。

小西: 広告が自然検索のクリックを奪うことは実際にあります。実際、広告を止めたら自然検索のクリックが増えたという事例もあります。

とはいえ、ビジネス全体としては「自然検索が」「広告が」と言ってもあまり意味がありません。本質的に重要なのが「検索結果上でクリック数を最大限に得ること」であれば、広告の活用を考えないわけにはいきません。

基本的には、成果の良い検索キーワードに対しては広告を出すほうがいいのは間違いないと思います。ですので、広告チーム的には、次のような考えが多いでしょう:

CPAが合っていれば広告はできるだけ配信するべき

しかしビジネス全体でみれば、

無料で得られるクリックを奪っていないか

奪っているのならばどれぐらいの価値を毀損しているのか

といった点を無視して広告運用するわけにはいかないですね。

辻: とはいえこの話題に関しては、「だからこうするのがいい」という結論をまだ出せていないのが実情です。そもそも、

  • 自然検索で上位表示しているキーワードで広告を出すべきか
  • 指名検索に広告を出すべきか

という話は非常に多く語られており、下手なことを言うと各方面からまさかりや槍や火炎瓶が飛んでくるトピックなのです。

何度も繰り返しているように、検索エンジンは、自然検索も広告も日々どんどん変化しています。そのため、お互いに与える影響もどんどん変化していることは確実ですね。

ですので、

  • チームごとの縦割りではなく、ビジネス全体としてお互いのデータを突き合わせながら分析し、協力しながら検証する体制を整える

  • 大きな地雷を踏まないように、実情に合わせてしっかりと最適化していく

といった動きが、今後はさらに重要になっていくのではないでしょうか。

SEOプロの視点

広告が実際には順位に影響を与えてしまっている可能性は否定できない。

とはいえ、だからといって何か対策があるわけではなく、SEOと広告のチームが連携して、お互いのデータを理解しながら協力していくしかない。

ページの「テーマ」をグーグルが理解しやすくすれば、SEOにも広告にも役立つ

小西: リスティング広告では、入札オークションの勝敗に影響する要因として「ページのコンテンツ」があります。

飛び先ページのコンテンツが扱っている「テーマ」そのものが検索意図に関連性が高ければ、より有利になるわけです。たとえば、「転職」関係の検索キーワードで検索された場合、次のような違いがでます:

  • 資格系の通信教育のサイト ―― 入札が有利になって広告を表示させやすい
  • 特に資格の関係ないスクールのサイト ―― 広告を表示させにくい

同一のキーワードで似たような広告クリエイティブだったとしても、明らかに結果が違うのです。

しかし、そのままでは不利だった後者のスクールが民間資格を作り、転職にも有利という訴求をしていくと、広告を表示させやすくなります。

それほどに、いまのリスティング広告では「検索ユーザーにどの広告を見せるか」に「対象ページのコンテンツのテーマや関連性」が関係するようになってきています。

これは、自然検索と同じような方向性ですよね。

辻: そうですね。いまのSEOは、リンクだけでなく、ページのテーマという概念はとても重要な部分です。コンテンツからテーマを判断するのに、グーグルはさまざまな方法を使っています。そのためSEO担当者も、さまざまな方法を使ってグーグルにテーマを認識させるように動く必要があります。

その方法とは、たとえば、

  • titleタグやコンテンツ上部のテキスト(テーマ判定に重視されがち)に記述する内容の調整
  • ページをテーマごとに分類して、ディレクトリやリンク構造で整理

といった手法を用い、流入キーワードを確認しながら調整していくことなどがあります。

もちろんグーグルは、同じ「コンテンツのテーマ判断」でも、自然検索と広告で同一の仕組みを流用しているわけではないでしょう。開発部署も切り分けられているはずですから。

とはいえ、同じ方向を向いているのですから、何を判断の手がかりにするかは似通ったものになっていることは確かでしょう。

そのため、SEOで強いページは、広告でも強い状態になるはずです。

SEOプロの視点

SEOも広告も、サイト側のコンテンツがどんなテーマなのかをグーグルに正しく理解してもらうことは重要。

SEOで強いページは、リスティング広告でも有利になるはず。

広告専用LPをやめれば、SEOにも広告にも良い影響があるはず

辻: ところで、リスティング広告では「広告のためのページづくり」ということもよく行われますよね。実は、あれがSEOから見ると気になるのです。

小西: いわゆる「広告専用LP(ランディングページ)」ですね。

広告でサイト内の既存ページに誘導するのではなく、専用のURLを用意して広告からしかアクセスしないようなページを作る手法です。特定のターゲット層に向けた内容として広告とセットで作り、コンバージョンに関係ない動線を削除したページにすることは、一般的な手法です。

でも、この広告専用LPはSEO的にはよろしくないということでしょうか?

辻: サイトによってはそのような展開をすべきところはあります。ただ、SEOと広告の連携の観点では望ましくはありません。

その理由は、広告から発生したユーザー行動のシグナルが、専用LPではなく通常のページに紐付けられるようにするほうが良いと思われるからです。

何度も繰り返して説明していますが、自然検索で上位表示させるページの判断にさまざまなシグナルが使われています。そして、その少なくない比率として、ユーザー行動に関わるシグナルがあります。

もちろん広告から発生したユーザー行動に関しては、グーグルは評価から外すはずです。原則としてそのはずなのですが、軽微な影響が発生しているとしか思えない現象が多く観測されています。たとえば、次のようなケースです:

ページを公開後、しばらくしてからページ内容を変えずに大規模に広告のLPとして使い出した。

すると、自然検索の順位が伸び始めた ―― リンクなどは増えていないにもかかわらず。

グーグルの検索順位決定に広告は影響しません……しないはずです……しかし、それでも影響をすべて除外できているわけではないのではないかと疑わしい部分があります。

たとえばですが下記のような仮説が考えられます:

  • 広告から発生したアクセスでも、何らかの形でユーザー行動関連のアルゴリズム評価につながっているのでは?

  • グーグル以外の広告ネットワークで、グーグルが広告として除外できていないものがあるのでは?

  • 広告からのアクセスでもDiscoverやパーソナライズには影響して、そこからのユーザー行動が評価に影響しているのでは?

グーグル内部の事情をすべて把握できるわけではないので結論は出せませんし、グーグルも日々仕組みを改善しているため、非常に難しい領域です。

それでも、広告がSEOに影響を与える可能性が十分にあると考えられるため、広告経由のユーザーを別サイトや専用LPに誘導するのは、望ましい方針ではないように感じます。

小西: 広告のために専用LPを作るということはよくありますし、それが当たり前だと考えて疑っていない脳みそがあることも否定はできません。

しかし、広告の成果という観点から考えても、専用LPが最適だとはいえないケースはよくあります。

たとえば、人材派遣会社で求職者を募集する広告で、長い間少しずつ改善しながら使っていた専用LPとは別に、トップページに誘導する広告も同時に試してみたところ、後者のコンバージョン率が約2倍になったことがあります。この人材派遣会社は比較的特殊な求人案件を扱っていたので、そうした案件をトップページで見せてからのほうが登録が多かった、ということでした。

人材派遣業界では、専用LPのほうが有効なことも多々あります。ただしそれは、

  • 求人案件が想像しやすいジャンルである
  • 派遣会社自体が有名である

など、登録を促されれば「とりあえず登録する」という場合が多いようです。つまり、そもそも広告でも、必ずしも専用LPが最適というわけではないのです。

サイト全体としての成果を考えるならば、「リスティング広告だから専用LP」と決めつけるのは、もったいないですね。

本サイトのコンテンツを適切なユーザー理解にもとづいて改善し、テストにもとづいてUIを改善していけば、専用LPでなくても広告成果は上がるでしょう。そうした改善は、広告だけでなくさまざまなトラフィックソースからのユーザーに良い影響を与えるでしょうし、結果としてSEOの成果にもつながるでしょう。

ふつうの人の判断

リスティング広告からの誘導先は、広告ごとの専用LPを用意するのが当たり前。それが高ROIにつながる。

そもそも、サイト側の人たちは、広告のためにちょっとコンテンツを変えるのもいやがったり時間かかったりするし。

SEOプロの判断

広告からのユーザー行動も、現実には評価につながってしまっているのではないか。

その傾向を否定できないので、広告からの飛び先は専用LPではなく通常のページにするほうが、SEOでも有利になるのではないか。

もちろん、そのためには、サイト側でも広告チームのリクエストに応えられる柔軟で迅速な対応が必要になるが。

まとめ

辻: さて、SEOとネット広告について話してきましたが、もちろん関係はこれだけではありません。SEOと広告の領域を跨いだ問題がどんどん生まれています:

  • 広告を使う巨大サイトではいわゆるクロールバジェットの問題が大きくなること
  • 動的広告のためのSEO的な最適化の必要性
  • 商品広告の特殊性
  • などなど

グーグルにおいてSEOと広告は、さまざまな理由で分断されてきました。ただそれは変わりつつあります。実際には、変わることを迫られているのかもしれません。

グーグルでは、2020年の人事異動で検索のトップが変わりました。新しく検索のリードに就任したプラバーカ・ラガヴァン氏は、以前は広告とコマース領域を担当していた人です。グーグルでもこのような動きが見られます。

これまではSEOと広告は完全に分離していましたが、SEOも広告も影響される範囲が広がっているいま、私たちもこの2つの領域をあわせて考えていくことが求められるようになってきた、そうJADEでは考えています。

小西: これまでは、「広告だけ見て仕事をする広告業界」と「SEOで成長してきたウェブ業界」とに分かれていた印象があります。

私は広告業界の専門家として活動していたのですが、思っていたよりも視野が狭くなっていたことに最近気づきました。

というのも、以前にSEOで人工リンクが効かなくなったタイミングで、SEO予算を広告に割り振る動きがあり、広告の案件が増えた時期がありました。そのときに、私はこんな風に思っていたのです:

案件をいろいろ見ていると、広告では圧倒的な成果がでてるのに、自然検索ではうまくいっているように見せてもたいして成果を生んでいないというケースが、けっこうあるな。

しかし、それはやっぱり視野が狭かっただけなんですね。仕事で広告のこととSEOのこと両方に携わるようになって、SEOで圧倒的に成果を出しているケースを多く目にするようになりました。

広告の世界しか見ていなければ、そうしたSEOの成果を目にすることもなく、SEOと広告の連携なんて考えることもなかったかもしれません。

辻: 私はSEOの専門家として、最近は悩みが増えていました。十数年前はHTMLコードを変えるだけで十分に成果がでていましたが、いまはそんなことはありません。コンテンツはもちろん、ソーシャルメディアやユーザー行動などいろいろな面で最適化する必要があります。

ただ、そのためにはこれまでのSEOとして身につけた知識とスキルだけでは十分でないことが多すぎるのが悩みでした。

しかし、広告という選択肢をもつことで光が見えた部分があります。「順位上がったから広告を外す」「順位が上がらないのを広告でカバー」というようなシンプルな連携ではなく、SEOの目的を達成するために広告を使う観点ですね。

ただ、私も広告の細かい仕組みは理解できていません。高度なSEOのスキルを身につけるのが大変なのと同様に、ネット広告の神髄を理解するのも簡単ではないでしょう。ですので私は今後も、「SEOを十分に理解し、さらに、変わり続けるネット広告も深く理解する」ことは不可能だと思います。

多様化したそれぞれが高度化しているネットの世界では、1人が何でもできるスーパーマンになるのではなく、それぞれの専門家がお互いを理解しながら連携していくことが重要になるのだろうと思います。

小西: インハウスを中心にSEOも広告も担当している方はいらっしゃいます。ただ両方を高いレベルの専門性で見られている方は非常にまれな存在だと思います。

そして、支援する側の多くの会社ではSEOと広告は足並みを揃えていないのが実情でしょうし、企業側でも大手企業では扱う部署が次のように分かれている所が多いようです:

  • SEOはWeb制作の部署が担当
  • 広告はマーケチームや広告チームが担当

しかし、このような状況を鑑みますと、SEOと広告の最大成果のために、組織のあり方も含めて、これまではできなかった変化を改めて考える必要があるのではないかと思います。

多くの企業で春に向けての組織構成の再検討などを考え始める時期かと思います。そうした判断における材料の1つになれば幸いです。

SEOとリスティング広告の関係と企業がとるべき戦略に関する意見書

1. 「リスティング広告の出稿は、オーガニック検索順位に影響を与えない」のが原則だが、現実にはその影響を完全には排除できていない可能性があると考えて戦略を考えるべき。

2. 企業においてSEOとリスティング広告のチームは、互いのデータを持ち寄り、互いの施策を理解しながら連携することで、さらなる価値をビジネス全体に生み出せる:

  • 広告による効果的なtitleタグの検証
  • 良いtitleタグによる動的検索広告の効果向上
  • リンク構築のための広告による認知獲得
  • などなど

3. リスティング広告においては、専用LPは大前提とはせず、通常のページをLPとすることを原則にするほうが、ユーザー行動の評価をSEOに利用できるようになりメリットを得られる。

4. いまの検索エンジンが「ユーザーにとって良いコンテンツ」を重視することは、データでも裏付けられている。

本記事を執筆した株式会社JADEでは、SEOコンサルタントの人材を募集しております。詳しくはJADEのSEOコンサルタント募集ページをご覧ください。

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