「ChatGPT」「検索依存の低減」「CTR」「未来の検索」 ~将来のSEOに備える17のヒント(後編)
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。後編となる今回は前回に引き続き、Redditや検索エンジンの活動について、リリー・レイ氏からのアドバイスを見ていこう。
今回扱うトピックは「Reddit」「ChatGPT search」「検索依存の提言」「CTR向上」「SEOの意識改革」「未来の検索」などだ。 → まず前編を読んでおく
- ヘルプフルコンテンツアップデートに関する質問
- ヘルプフルコンテンツアップデートやコアアップデートによってウェブサイトへのトラフィックが急減した場合、トラフィックを回復させるために推奨する最初のステップは?(前編)
- ヘルプフルコンテンツアップデートは、「経験に基づくコンテンツ」を優先しているように見える。E-E-A-Tの観点から、組織内で経験に基づくコンテンツを推進するにはどうすればいいか?(前編)
- ヘルプフルコンテンツアップデートでトラフィックが減少している顧客に対して、「オフサイトでの取り組み」を推奨するか? 同僚の1人は、「ブランド」と「ヘルプフルコンテンツアップデート」の強い関連性を指摘している(前編)
- より「定着しやすい」ブランドを生み出すには、どうすればいいか? 特定の課題について想起されるようなブランドを作るには?(前編)
- 古いコアアルゴリズムや競合他社の取り組みに原因があるのに「ヘルプフルコンテンツアップデートによって打撃を受けた」と誤解している人が多いと思うか?(前編)
- 「強引すぎるSEO」とは、どういうことか?(前編)
- 寄生SEO
- グーグルの内部文書流出とブランドの力
- Redditという難問
- 検索エンジンの活動
- オーディエンスからの質問
- 「SERPが大幅に変更されクリック率やトラフィックが低下したことで、クライアントやステークホルダーとの間に摩擦が生じている」という話を見聞きしているか? その場合、どう対処しているか?
- 「クリック率を上げる」というのは、具体的にはどのような作業になるのか?
- 「実店舗が複数あり、予算が限られているビジネス」が優先すべきSEO施策を3つ挙げてほしい
- SEO担当者が2025年に取り組むべき最大の「意識改革」は何か?
- 2024年のアルゴリズムアップデートとAIのせいで、私の会社の検索トラフィックは壊滅的な状態になった。一般的な対策はすべて実施しているが、さらに減少し続けている。他に何ができるか?
- 最後に、「未来の検索」についてSEO担当者に1つアドバイスするとしたら、何と伝えたいか?
- 結論
Redditという難問
将来のSEOに備えるためのヒント #9
Redditより上位に表示されるようにするため、SEO担当者には何ができるか? そもそも可能なのか? それとも別の戦略に転換すべきか?
※Web担編注 「Reddit」は、特に英語圏で人気の大規模掲示板サイト。
Redditよりも上位に表示されることを目指すのは、時間の有効な使い方ではないかもしれない。
グーグルはさまざまなクエリに対してRedditを優先し、最上位に配置することも多く、「ディスカッションとフォーラム」セクションとして紹介している。
しかし、Redditに直接対抗しようとしても効果的ではないかもしれない。上位に表示されているスレッドに自社サイトへのリンクを書き込む人もいるが、Redditのモデレーターチームはすぐにこれを見抜いてしまう。
よりルールに則ったアプローチは、実際にRedditアカウントを作成し、カルマポイント(評価)を貯めて、真の専門知識をReddit上で提供することだ。時には自分のブランドやリンクに言及することもできるが、それも慎重にやる必要がある。そうでなければ、利用を禁止されてしまうおそれがあるからだ。
価値を提供できるなら、Redditでエンゲージする意味はあるかもしれない。しかし、すべてのサイトがそのためのリソースを持っているわけではないし、グーグルも今後アプローチを調整していく可能性もある(Redditのビジビリティの高さがいつまでも続くとは限らない)。
検索エンジンの活動
将来のSEOに備えるためのヒント #10
ChatGPT searchは、SERPにはどのような影響があるか? SEO担当者がこれに備えるにはどうすればいいか?

現時点ではまだわからないことが多いため、こうした質問に答えるのは難しい。
Apple Intelligenceもグーグルにとってまったく予想できない動きになると思う。「iPhoneユーザーであれば、Siriを通して直接ChatGPTのようなものとやり取りできる」状態を想像してみてほしい。そうなれば検索の仕方は変わるだろうし、日々グーグル検索する機会は減っていくだろう。
OpenAIやマイクロソフトのBing、Perplexityのツールによって人々の検索方法はすでに変化しているが、その影響を追跡するのは難しい。多くのSEO担当者は、Googleアナリティクス4でこれらのツールからのトラフィックを分類できるように設定して、サイトにトラフィックが集まっているかどうかを把握している。
ケビン・インディグ氏は先ごろ、ChatGPTが2024年8月にBingのトラフィックを上回ったと報告しているが、これはかなりすごいことだ。これらのツールの利用が増え続ければ、次はグーグルに迫る可能性がある。
ユーザーは今後、グーグルと大規模言語モデル(LLM)の両方とやり取りすることになるだろう。ユーザーが日々の検索行動にこれらのツールを取り入れていく現状に適応するには、アクセス解析を設定して、柔軟性を持ち続けることが鍵となる。
将来のSEOに備えるためのヒント #11
2024年に検索トラフィックの変動が激しかったことを踏まえると、2025年に検索トラフィックへの依存を減らすにはどうすればいいか?
重要なのは多様化(面でのアプローチ)であり、SEOではこれに大きな重点が置かれてるようになっている。戦略は収益モデルに左右される。広告収入やアフィリエイトリンクに依存するビジネスは、コンテンツの大部分がグーグルの「AIによる概要」に置き換えられてしまうため、最近の一連のアップデートで特に大きな打撃を受けている。
eコマースサイトの場合は、グーグルのMerchant Centerや構造化データのベストプラクティスを優先し、アマゾンをはじめとするプラットフォームの活用を検討しよう。売り上げを生み出す「金のなるページ」を最適化することに重点を置き、量より質に狙いを定めることだ。
多様化は大変な作業のように感じられるかもしれない。しかし私は、アルゴリズムのアップデートがあっても、TikTokやYouTubeで強力な存在感のあるブランドはその強さを保っているのを見てきた。
2025年の課題は、他のチャネルを通じてトラフィックを構築することだ。プラットフォーム間でコンテンツを使い回そう。たとえば、私はXへの投稿記事をLinkedInで再利用し、ブログ記事や動画をTikTokやYouTubeで再利用している。いずれかのプラットフォームで変更があっても、他の場所で引き続きコンテンツにアクセスできる。
オーディエンスからの質問
将来のSEOに備えるためのヒント #12
「SERPが大幅に変更されクリック率やトラフィックが低下したことで、クライアントやステークホルダーとの間に摩擦が生じている」という話を見聞きしているか? その場合、どう対処しているか? [ソフィー・ブラノン氏からの質問]
答えは常に「イエス」だ。私は15年間SEOに携わっているが、この懸念は毎年持ち上がる。
先日はシンガポールでプレゼンテーションを行い、Google広告が大量に表示されるSERPを紹介した。ユーザーは、複数の広告の下までスクロールしてようやく最初のオーガニック検索結果にたどり着くことが多く、グーグルで広告がこのように優先されたのでは、SEO担当者にはどうすることもできない。
グーグルは、オーガニック検索結果のクリック率(CTR)が下がるような動きをしている。たとえば「AIによる概要」などのSERP機能を利用し、検索結果に直接表示する情報を増やすような変化がそうだ。以前は、いちばん上に表示される検索結果のクリック率が50%ほどに達していたが、現在は28%~30%に近い。重要なのは、現在のCTRのベンチマークを把握して期待値を管理することだ。
それから、有料検索チームとの連携も不可欠だ。オーガニック検索結果を補完する戦略的な有料広告を使ってファーストビュー(スクロールしなくても目に入る部分)に表示されるようにすれば、上位に表示された場合のCTRを最大限に高められる。
将来のSEOに備えるためのヒント #13
「クリック率を上げる」というのは、具体的にはどのような作業になるのか?
CTR向上には一連のステップがある。
まず、「検索エンジンが結果を表示するために何をしているか」を理解することだ。
多くのSEO担当者は、「title要素とmeta descriptionは、ページで指定したとおりに表示される」と思っている。しかし、グーグルは検索クエリに基づいて70%以上の割合でmeta descriptionを書き換えて使っている。meta descriptionは一切使わずに、ページ本文から抽出したテキストをスニペットに使うことも多い。
こうした書き換えはSERPでのCTRに影響するため、「検索結果がどのように表示されるか」の情報を取得するSTAT Searchのようなツールが不可欠だ。
グーグルがmeta descriptionを書き換えていた場合は、その理由を推定する。たとえば、次のようなものだ:
君が使っていないような構造化データを、上位に表示されている競合他社が使っていないだろうか?
クリックを増やすには、あらゆる要素が重要になる。
2024年には、「グーグルがSERPでのクリック行動を検索順位決定シグナルに使っている」ことがわかったため、上位に表示された場合には、CTRを高める方法をテストしてみることが重要だ。
SEO担当者は1ページ目に表示されることを重視しがちだが、さらに最適化すれば、1ページ目に表示された場合の効果を最大限に高められる。
将来のSEOに備えるためのヒント #14
「実店舗が複数あり、予算が限られているビジネス」が優先すべきSEO施策を3つ挙げてほしい [ジョッシュ・ナイト氏からの質問]
幸いなことに、実店舗があるならば、SEOから得られるものは多い。このようなビジネスの多くは、グーグルのアルゴリズムアップデートに対する耐性が強く、ビジビリティを高めるグーグルのローカルSEOツールが有効だ。
私だったら、次の点に注力する:
Googleビジネスプロフィールを最適化する
これを最優先するべきだ。Googleマップで上位に表示されるように各店舗のビジネスプロフィールを十分に最適化し、店舗やスタッフを紹介しよう。在庫のフィードを統合して、在庫のある商品をマップに直接表示することもできる。
ウェブサイト上に詳細な店舗ページを構築する
(ホームデポなどの)大手ブランドのように、詳細な店舗ページを作成しよう。連絡先、営業時間、写真、最新情報などの必要な情報を盛り込もう。ローカル検索トラフィックを獲得するには、これらのページを適切に管理することが不可欠だ。
ローカルブランディングやローカルスポンサーシップに投資する
地域のイベントのスポンサーになったり、慈善事業を支援したりすることで、地域社会での信頼を築こう。ブランドが地域での存在感を強化すれば、ロイヤルティを確立し、SEOの取り組みを補完することになる。
将来のSEOに備えるためのヒント #15
SEO担当者が2025年に取り組むべき最大の「意識改革」は何か? [ディラン・ジョーンズ氏からの質問]

2023年から2024年初めにかけて、SEOは「ゴールドラッシュ」のような状態だった。人々がAIを利用したSEOツールを使ってコンテンツを次々と大量生成していたからだ。
しかし、何千ものサイトが同じアプローチを採ると、パターンが生まれ、グーグルがアップデートやスパムポリシーで取り締まるようになる。たとえば、2024年には、大量生成されたコンテンツの不正使用に関するポリシーが導入された。自動生成されたコンテンツを大量に利用しているサイトは、検索結果から排除されるおそれがある。
AIツールの進化に伴って、自動化をさらに進めたくなるのだが、グーグルは「真正かつ有用なコンテンツ」を優先している。これはRedditなどのプラットフォームも重視していることだ。
2025年、SEO担当者は量から質へシフトするべきだ。価値の低いページを何千ページも作成するのではなく、売り上げを生み出す30ページに注力しよう。こうした価値の高いページに磨きをかけ、独自の調査結果を裏付けとして用い、クリック率を高め、ソーシャルメディアで宣伝する。このように「質」を重視する戦略はグーグルの狙いに沿っており、今後ペナルティを受けるリスクを最小限に抑えられる。
将来のSEOに備えるためのヒント #16
2024年のアルゴリズムアップデートとAIのせいで、私の会社の検索トラフィックは壊滅的な状態になった。一般的な対策はすべて実施しているが、さらに減少し続けている。他に何ができるか? [サラからの質問]
心配なのはよくわかる。多くのサイトが同じ状況にあるからだ。1つの提案として、こうした課題に日常的に取り組んでいる私のようなSEOの専門家と一緒に取り組んでみたらどうだろうか。
サイトオーナーは、こんな風に思っているかもしれない:
私のサイトの「title要素」「h1要素」「サイト内リンク」は申し分ないはずだ。
しかしそれでも、トラフィックは減少し続ける。問題はもっと深いところにあるのかもしれない。たとえば次のような、すぐには判別しづらい問題だ:
- クロールの問題
- 内容の薄いコンテンツ
- 重複コンテンツ
- robots.txtに書かれた内容の不具合
- ページの分割エラー
私のチームはグーグルのアップデートに大きな重点を置いており、サイトオーナーが見過ごしている「パターン」を発見することが多い。新しい視点やセカンドオピニオンは非常に有益だ。
もう1つの選択肢は、ユーザーから直接フィードバックを集めることだ。サイトにアンケートやフィードバックのフォームを追加すれば、コンテンツについて君の見方とは異なる知見が得られる可能性がある。
将来のSEOに備えるためのヒント #17
最後に、「未来の検索」についてSEO担当者に1つアドバイスするとしたら、何と伝えたいか?
実際の人による体験や専門知識に基づくコンテンツ戦略に重きを置こう。コンテンツの背後にいる人たちを浮き彫りにすることだ。それがどういう人たちなのかを明らかにして、その人たちのブランドを構築しよう。
好例がレシピブロガーだ。自分の名前を公開し、ナレッジパネルを構築し、料理本を出版し、YouTubeなどのプラットフォームに拡大し、自分が本当の専門家であることをグーグルに示している。
これと同じことを、君のチームの専門家たちについてもやってみよう。グーグルはエンティティを使って専門性を測っているため、チームの評判を確立することでブランドの信頼性が強化される。
チームメンバーの意向として問題がなければ、ソーシャルメディアのフォロワーを増やすよう促し、信頼できて知識も豊富なブランドという位置付けが得られる戦略を立てよう。
結論: 経験に基づくコンテンツに重点を置き、トラフィックソースを多様化する
検索トラフィックと量産されたコンテンツだけに頼っていては、持続可能ではない。グーグルは信頼性を重視しているため、チームの専門性を反映させた、経験に基づく高品質なコンテンツを優先しよう。
トラフィックソースを多様化して、レジリエンスを高めよう。動画が増えていることから、YouTubeやTikTokなどのプラットフォームを検討し、新たなオーディエンスにリーチしよう。チームの専門性を強調し、チャネルの枠を越えて、将来を見据えたSEO戦略に拡大しよう。
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