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AIがクリックを奪う? 2025年のSEO重要トピック12選(中編)

「検索の変化への対応」をテーマに、3人の専門家の意見を紹介。2025年にやるべきSEO施策とは?

この記事は、前編・中編・後編の3回に分けてお届けしている。

この記事では、2025年に重要となるSEO関連トピック12個について、専門家3人の知見を詳しく解説している。

この記事全体で扱っている内容は次のとおりだ:

前編
  1. SERPにおけるRedditとUGCプラットフォームの台頭
  2. 企業はどのようなUGCを求めるべきか?
  3. ヘルプフルコンテンツアップデートのねらいは何だったのか?
  4. 小さなサイトは、どうすればヘルプフルコンテンツアップデートから回復できるか?
  1. 検索は、グーグルからTikTokやRedditなどのソーシャルプラットフォームに移っているのか?
  2. 従来の検索エンジン以外からのトラフィックを獲得するには、どのような戦略を用いるべきか?
  3. AI検索機能がクリックを奪う
  4. 2025年、マーケターはどうすればトラフィックソースを多様化できるか?
  5. ChatGPTのようなAIプラットフォームは、グーグルの検索市場シェアに追いつけるか?
<後編(6/9公開予定)>
  1. 大手ブランドを優遇するグーグル
  2. 寄生SEOについて話そう
  3. コンテンツアトリビューションはなぜこれほど難しいのか?

中編となる今回は、「検索の変化への対応」について3人の専門家の意見を見ていこう。

検索の変化への対応

トピック5検索は、グーグルからTikTokやRedditなどのソーシャルプラットフォームに移っているのか?

ドクター・ピート・マイヤーズ:

「移っている」というのは公平ではない言い方だ。グーグルが廃れつつあるとか、置き換えられつつあるとは思わない

モバイル検索とデスクトップ検索について考えてみよう。モバイルが爆発的に普及したとき(リンク先は日本語記事)は、デスクトップ検索に取って代わるだろうと思われたが、そうはならなかった。むしろ、モバイルによって新しい検索行動が生まれたことで、検索ボリュームは増加した。

ソーシャル検索でも同じことが起こっている。TikTokは巨大であり、私の14歳の娘はまずTikTokで商品を検索する。しかし、彼女はアマゾンやグーグルなどのソースもチェックしている。

これは「置き換えではなく、多様化」だ。業界によってはTikTokに参加する必要があるが(美容、フィットネス、ファッションなど)、SaaSやB2Bなどの業界であれば必ずしもその必要はないかもしれない。

トピック6従来の検索エンジン以外からのトラフィックを獲得するには、どのような戦略を用いるべきか?

アマンダ・ナティビダッド氏:

コンテンツマーケティングとして私たちが作成するものは変わっていないと思う。変わったのは、それを配信する場所だ。たとえば、TikTokが新しいわけではない。これは、テレビショッピング専門チャンネルQVCのオンデマンド版だ。

何が効果的か考えてみよう。「デモ」「変化」「ビフォーアフターのストーリー」などだ。これはテレビのインフォマーシャルと同じ基本的なマーケティング手法で、これを現代のフォーマットにしただけだ。私からのアドバイスとしては、基本を磨き、次について学べということだ:

  • コンバージョンを重視したコピーライティング
  • 説得力のある製品デモの作り方
  • 注目を集めるコンテンツの作り方

これらのスキルを習得すれば「TikTok」「Instagram」「LinkedIn」、あるいは今後登場するサービスを含め、どのようなプラットフォームにも応用できる。

トピック7AI検索機能がクリックを奪う

「AIによる概要」や検索行動の変化により、多くの企業でオーガニックトラフィックが減少している。今後、アプローチを微調整すべきだろうか?

ドクター・ピート・マイヤーズ:

ここでは、話をものすごく単純化して答えよう。

グーグル検索はインデックスに基づいており、このインデックスは、ウェブ全体とすべてのコンテンツからグーグルが作成している。

LLM(大規模言語モデル)も同様に、コンテンツに基づいて構築されている。

この2つは異なるテクノロジであり、役割も異なる。しかし、どちらも「僕たちが作成するコンテンツをもとに構築されている」点は同じだ。

問題は、AIがクリックを奪っていることだ。これが今、問題の核心となっている。しかし、「AIによる概要」はクリックを減少させる多くの要因の1つにすぎない。

Mozのデータによると、「AIによる概要」は主にインフォメーション(情報収集)型のクエリに対して表示されている。同じクエリに対して、すでに「強調スニペット」や「ナレッジパネル」が導入されているが、そもそもクリック数はそれほど多くなかった。

「AIによる概要」:誰が心配するべきか? すべて インフォメーション(情報収集)型 ナビゲーション(案内)型 コマーシャル(商業)型 トランザクション(取引)型 US-ENモバイル: US-ENデスクトップ: GB-ENモバイル: GB-ENデスクトップ: アート・エンターテインメント: 求人・教育: 健康: 科学・自然: 「AIによる概要」と一緒に表示: 強調スニペット: Things to know(関連コンテンツ): From sources across the web(ウェブ全体から検索): 各サイトへのリンク: 「AIによる概要」1件あたり6.4 上位10件で525 ドメインオーソリティとブランドオーソリティは低め

SISTRIXの調査を見ると、「AIによる概要」は、強調スニペットより多くのクリックを生み出していることが示唆されている。もちろん、これを検証するのは難しいが、単にAIがクリックを奪っているというより状況は複雑であることを示す証拠がある。

インフォメーション型のクリックに大きく依存している人にとって「AIによる概要」は心配だと思うが、検索におけるAIの導入は、さまざまな変化のほんの一部にすぎない。


トム・カッパー:

現時点で、私の印象では「AIによる概要」は改善されている。初めて導入された当初は、ほとんどリンクが張られていなかったり、場合によってはまったく無関係のサイトやスパムのようなサイトが表示されたりしていた。それが改善され、今では通常のオーガニック検索と重なる結果も多くなった。

だがそれでも、「AIによる概要」は、ただでさえあまりクリックされていなかったクエリに対して表示されることがほとんどであるため、「AIによる概要」に特化した最適化についてあまり心配するべきではないと思う。

グーグルはコマーシャル(商業)型のキーワードから利益を得ているため、「AIによる概要」は現在のところコマーシャル型トラフィックを侵食してはいない。グーグルはオーガニック検索結果へのクリック、理想を言えば広告へのクリックを増やす必要があるのだ。

そのため、現時点でわざわざ「AIによる概要」に合わせて最適化(リンク先は日本語記事)することは勧めない。代わりに、グーグルが一見するだけで要約できてしまう以上の価値をもたらすことに重点を置こう。

トピック82025年、マーケターはどうすればトラフィックソースを多様化できるか?

アマンダ・ナティビダッド氏:

トラフィックソースの多様化」とは、オーディエンスがどこにいるのかを見つけ出し、そこで出会うことだ。それは「オーディエンスの調査と理解」に立ち戻ることを意味する。

ウェブの上位トラフィック誘導元:2024年1月 (トラフィックの誘導元ドメイン上位170件からウェブ上の全サイトに送り出されたトラフィックの割合|出典:Datos) 次の155サイト 単一の所有者が複数のエンティティを介してトラフィックを渡しているサイトはグループ化されている(例:twitter.com、twimg.com、t.coおよびlive.com、bing.com、microsoftonline.com、office.com、office365.comなど)
出典:SparkToro

 SparkToroでは、インターネット全体のユーザー行動をより深く理解するために調査を実施した。オープンウェブに最も多くのトラフィックを送り込んでいるのは依然としてグーグルで、参照トラフィックの約6割はグーグルから来ている。

しかし、人々がどこで時間を費やしているかを見ると、それはグーグルではない。人々はグーグルをブラウジングして過ごそうとしているわけではないため、これは当然だ。これらの人々が時間を費やしているのは「ソーシャルネットワーク」「ニュースサイト」「エンターテインメントプラットフォーム」だ。

マーケターとしては、すでにオーディエンスがエンゲージしている「ソーシャルメディア」「ニュースサイト」「メディアサイト」などのプラットフォームに参加することで多様化を図ろう。コミュニティに積極的に参加する必要があり、それには次のアクションが必要となる:

  • 企業側の伝えたいコンテンツを投稿するだけでなく、他のユーザーと交流する
  • 業界内の他のユーザーの関連コンテンツを拡散する
  • ユーザーが読んで楽しめるコンテンツを作成する

多様化する場合は、参加するプラットフォームごとに強力なコンテンツ戦略が必要だ。それは、より多くのコンテンツを作る必要があるということになるだろう。幸い、AIは次のようなコンテンツマーケティングのタスクを処理できる

  • ブログ記事をソーシャルコンテンツに再利用する
  • ニュースレター用に記事を要約する
  • 概要を生成する

重要なのは、深い専門知識が不要なタスクにAIを活用する一方で、AIでは人間の創造性を代替できない分野に注力することだ。そうした分野としては、たとえば次のようなものが考えられる:

  • 独自の研究
  • 個人的なストーリーテリング
  • 価値の高いコンテンツ
  • などなど

トピック9ChatGPTのようなAIプラットフォームは、グーグルの検索市場シェアに追いつけるか?

トム・カッパー:

一言でいえば、答えはノーだ。

検索市場の侵食については大げさに騒ぎ立てられているし、理にかなっている論もある。たしかにChatGPTの成長は目覚ましい。しかし、現状を大局的に見てみよう:

  • 米国と英国では、Bingが依然としてChatGPT.comの2.5倍のトラフィックを獲得している。

  • ChatGPTのトラフィックは、グーグルに本気で挑んでいるわけではない検索エンジンのDuckDuckGoと同程度である。

より重要なのは、「AI検索がグーグル検索に取って代わる」のではなく「グーグル検索に加えてAI検索が発生する」ということだ。AI検索が取って代わっているクエリのほとんどは、インフォメーション型の検索だ。しかし、これらがグーグルの収益源だったことは一度もない。グーグルが利益を得ているのはコマーシャル型の検索であり、その最大の脅威はChatGPTではなくアマゾンだ。

アマゾンの広告売上は急速に伸びており、数年後にはグーグルの検索広告売上を追い抜く可能性がある。それこそ、グーグルが心配していることだ。


ドクター・ピート・マイヤーズ:

トムに100%同意する。

加えて、「金の流れを追え」と言いたい。グーグルはインフォメーション型のAI検索をめぐる競争に慌てふためいているわけではない。アマゾンにショッピング検索を奪われることを恐れているのだ。それに、AI検索は費用がかさむので、グーグルでさえGeminiを拡張するには費用がかかりすぎると懸念している。

一方、ChatGPTやその他のLLMは収益化の方法を見出せていない。OpenAIは莫大な資金を注ぎ込んでいるが、AIを収益化する方法を見つけられなければ、長期的な競争に苦戦することになるだろう。

2025年のSEOに関するトピックについて3人の専門家の見解を3回に分けて紹介しているこの記事、後編となる次回は「アルゴリズムの変更」「コンテンツアトリビューション」について、専門家らがどう考えているかを紹介する。(後編は6/9公開予定)

用語集
B2B / Instagram / SEO / SERP / SaaS / UGC / インデックス / インフォマーシャル / オンデマンド / オーガニック検索 / クエリ / コンテンツマーケティング / コンバージョン / スニペット / ソーシャルメディア / リンク / 検索エンジン
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