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デスクトップ・モバイル・音声、どのユーザーにとって使いやすいサイトがいいのか? 【前編】

クロスデバイスのユーザーが主流となった時代で「サイトの最適化」をどうするか? これまでの変化、これからどうすべきかを解説する。
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

この記事は、Webサイトの閲覧環境であるPC・スマホ・音声のうちどれを優先すべきか、時代の流れや今後どうすべきかを前編・後編の2回にわけてお送りする。今回は前編、これまでの経緯について主に説明していく。

僕たちが日々の仕事で直面する複雑さはますます増えており、疑問があったとしても、それに対する答えはほとんど理解不能だ。特に、モバイルファーストインデックスの導入を受けて、最適化の取り組みをどこに集中させるべきか分からず、途方に暮れている。

最も重要なのはデスクトップか? モバイルか? あるいは、テクノロジ業界を席巻している音声の現象についてはどうか?

ほとんどのことがそうであるように、最も重要な要素はオーディエンスへの配慮だ。人々は1つのデバイスに縛られておらず、最適化戦略も縛られるべきではない。

今回のホワイトボード・フライデーでは、ドクター・ピートがマルチプラットフォームの世界に関する不安を和らげるとともに、タッチポイントではなくジャーニーの最適化の必要性に焦点を当てる。

みんな、こんにちは。Mozのドクター・ピートだ。僕はここのマーケティングサイエンティストで、今日は優秀なみんなのためだけに、特に最近のモバイルインデックスの導入を受けて、僕らを少し悩ませていると思われる問題について話すためにシカゴから飛行機でやってきた。

その問題とは、「僕たちはデスクトップ向けに最適化するべきか、それともモバイル、または音声向けに最適化するべきか?」という疑問だ。

僕の考えでは、答えは4番目の選択肢である「そのすべて」だ。そう言うと、何だか恐ろしいことのように聞こえるかもしれないのは承知しているし、そのうちの1つさえ、一体どうやればいいのかと思われることだろう。

そこで、現在の状況や、モバイルや音声をめぐる誤解、少なくとも最初の一歩を踏み出す上で、自分が考えていたよりは少し簡単だと思ってもらえるかもしれない方法について、その一部でもお伝えしたいと思う。

僕たちが犯す過ち

検索ユーザーにもっと知りたいと思わせる余地を残しておくことが最善の回答になる

まず、僕たちはいくつかの過ちを犯していると思う。ここ数年、モバイルについて話す場合、僕たちの多くは分析結果だけを見て、次のように考える。青の数字は話を進める上で勝手に設けた架空の数字で、緑の数字は調査で出ている数字だ。

この図では、トラフィックの約90%はデスクトップから来ていて、約10%はモバイルから来ていて、音声からはまったく来ていないことを示している。

この場合、「デスクトップだけに重点を置いて、他の2つの体験については気にしなくても大丈夫だ」と思いがちだが、この考え方には2つの問題がある。

自己充足的予言

問題の1つは、これらの数字がある種の自己充足的予言であるということだ。

人々が君のモバイルサイトに来ていないのは、モバイルでの訪問者を獲得できていないのは、君が提供しているモバイル体験がお粗末なためかもしれない。アクセスしてみたら、あまりにもひどいので、戻ってこないのだ。

音声の場合は、まだそうしたデータが得られていないだけかもしれない。データはほとんどない。そのため、数字からは何も分からない。

これらのことから推察できるのは、僕たちがモバイルにおいて実にひどい仕事をしていて、ユーザーに見放されてしまったということだ。

これは過去にMozでもあった。僕たちは、おそらくもっと早くそうすべきだったのに、モバイルに適応していなかった。それは数字でも分かったし、僕たちはこの問題について議論する中でこう考えた。

「そうは言っても、何がチャンスか、顧客やユーザーが何を求めているのか、数字から本当のところは分からない。現時点で僕たちが何をうまくやっていて、何がまったくできていないかが分かるだけで、自己充足的予言になってしまっている」。

オーディエンス

僕たちが犯していると思うもう1つの過ちは、これらのユーザーが3種の異なるオーディエンスだと考えることだ。

デスクトップでサイトに来る人がいて、モバイルでサイトに来る人がいて、音声でサイトに来る人がいて、これらの人々は3つの異なるグループを形成している。

そう考えるのはまったく間違っていると思うし、それは非常にまずい考え方や、戦術上のまずい決定、まずい選択につながってしまうと思う。

そこで、いくつかの統計値を紹介したいと思う。グーグルが実施した調査で、The Multiscreen World(マルチスクリーンの世界)というものがあり、これは6年ほど前の2012年の調査だ。

6年前の時点で、検索ユーザーの65%はまず最初にスマートフォンで検索することが分かった。6年前に、検索ユーザーの3分の2が最初にスマートフォンで検索していたのだ。そのうち60%の人は、その後デスクトップまたはノートPCに切り替えて同じキーワードで検索を続けた。

繰り返すが、それから6年が経っているので、モバイルの普及率が当時より増加したことは分かっている。これはデスクトップしか使わない人でも、モバイルしか使わない人でもない。デバイスを切り替えながら検索ジャーニーを体験している人々だ。実際の世界では、ここに書いた図のような感じになっていると思う。

同じシリーズの別の統計値で、88%の人がスマートフォンとテレビを同時に使うと答えた。これは驚くことではない。スマートフォンを持ってテレビの前に座ることもあれば、ラップトップを広げてテレビの前に座ることもある。スマートウォッチを着けてテレビの前に座ることもあるかもしれない。

これらのデバイスは同時に使われており、僕たちはさらに多くの検索をして、さらに多くのデバイスを利用するようになっている。そのため、デバイスの1つが他のデバイスと置き換わるようなことはない。

クロスデバイスのジャーニー

検索ジャーニーはたとえば、次のように進むかもしれない。君はテレビを見ている。そこでCMを見たり、何かについて耳にしたりする。映像を見て気に入ることもある。そのため、テレビを見ながらスマートフォンを手に取り、検索をしてさらに詳しい情報を得る。そして後で、ラップトップを開いて少し調べてみる。それがどういうものか、もっと大きな画面で見たいからだ。

そして翌日、職場で、「そうだ、あのブックマークを見てみよう。ネットワークも家より高速だし、このデスクトップで調べてみたかった」と思う。ただし、「だけど、これを職場で買うのはやめておいた方がいいかもしれない。問題になったら厄介だ。家に帰ってからラップトップでまたアクセスして買おう」と考える。

したがって、こういった形の購入やトランザクションがあったとしても、このチェーンに中にいる訪問者は1人だけだ。現在は多くの人がこのように行動していると思うし、この傾向は今後も増えていく一方だと思う。僕たちは複数のデバイスを使いこなしており、このジャーニーはデバイスの枠を越えて起こるのだ。

そこで、僕がみんなに考えてもらいたい問題はこういうことだ。

デバイス別のシェアを示す数字だけを見て、「モバイルを利用しているユーザーはほんの少ししかいない。私たちの場合、モバイルで閲覧するユーザーは、それほど重要ではない。デスクトップユーザーさえいてくれればいい。それで十分利益になる」と考えるとしたら?

あるいは、ユーザーが実際には前述したようなジャーニーを体験していて、デバイス別にセグメント化できるようなものではなかった場合、そのチェーンを断ち切ったらどうなるだろう?

そのユーザーを完全に失うことになるし、そのユーザーはデスクトップを利用していたユーザーでもあるのだ。

その人物は君が抱え込んでいた90%のうちの1人かもしれないが、自分の好きなデバイスでサイトを利用することも、購入に至ることも決してない。なぜなら、お粗末なモバイル体験しか提供できないことで、君自身がチェーンを断ち切ってしまっているからだ。

したがって、みんなに認識してほしいのは、これはクロスデバイスのジャーニーであり、デバイス別にセグメント化して考えてはいけないということだ。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。今回は、近年見られる検索ジャーニーの変化について説明した。後編となる次回は、その変化に伴う課題やメリット、SEO担当者として考慮すべき点などを解説する。

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