SEOの新たな問題施策「大手サイトのホスト貸し・サブディレクトリ貸し」は何が悪いのか?【SEO情報まとめ】
2022年最初のSEO情報まとめ、注目記事は「大手サイトのサブディレクトリやサブドメインに寄生するアフィリエイト」問題に関するCA木村氏とso.la辻氏の指摘だ。
大手のメディアや企業サイトが、サブディレクトリやサブドメインをまるごとアフィリエイトに貸す手法が、2021年から横行してきている。この手法がSEOにとって、そしてインターネットにとってどういった問題をもたらすのか、サイバーエージェントの木村氏とso.laの辻氏がわかりやすく解説している。
ほかにも、SEOの基礎的な疑問に答える情報や、しごと検索やMFIの最新情報などなど、あなたのSEO力を着実にアップさせる情報をまとめてお届けする。
2ページ目最後のGA4情報は、Googleアナリティクスを利用しているサイトの担当者ならば読んでおいて絶対に損はない情報だ(SEOには直接関係ないが)。
- URLにキーワードを入れるのはSEOにプラスになるのか?
- 幽霊ディレクトリはリンク評価に悪影響を与えるのか?
- ハンドルネームから実名に変えても同一人物であることをグーグルにどうやって伝えるか?
- しごと検索の構造化データではdescriptionが超重要
- グーグル、MFI完全移行の期限を白紙に戻す
- 商品レビューに関するアップデート第2弾をグーグルが実施
- 2021年最後のオフィスアワー: 仕事検索、コア ウェブ バイタル、A/Bテストとクローキングなど
- SEO系タグはheadセクションの先頭に記述するといい
- GA4によくある質問とその回答×40
- Google社員が忠告、「メインのトラフィックソースとしてDiscoverを当てにすべきではない」
- 英語以外の言語にもプロダクトレビューアップデートをGoogleは展開する可能性はあるのか?
今週のピックアップ
SEOの新たな問題施策「大手サイトのホスト貸し・サブディレクトリ貸し」は何が悪いのか?
グーグルも非推奨 (サイバーエージェントSEO情報ブログ) 国内情報
サイバーエージェントの木村氏がブログにしたためた2021年SEO振り返りを紹介する。木村氏は、アメブロなどサイバーエージェントが運営する数多くのサイトのSEOを中心となって監督・監視している。
このコラムの昨年最後の更新で筆者も2021年のSEOを振り返ったが、そこでは触れていない(悪い意味で)重大な問題を木村氏は取り上げている。それは、ホスト貸し(サブドメイン貸し)・サブディレクトリ貸しの横行だ。
「ホスト貸し・サブディレクトリ貸し」というのは、大手メディアや著名企業が、公式サイトの一部分をアフィリエイトサイトとして第三者に提供しているやり口だ。多くの場合は、サブディレクトリで区切って貸し出す。
次のようなイメージだ:
https://www.example.co.jp/
↑ 公式サイトhttps://www.example.co.jp/credit-card/
↑ クレジットカードのアフィリエイトサイトhttps://www.example.co.jp/diet-food/
↑ ダイエット食品のアフィリエイトサイト
一般的に言って、大手メディアや著名企業のサイトはグーグルの評価が高い。大手企業の公式サイトに“間借り”することで、グーグルはそのサイトの一部であるとみなしてしまうらしく、こうした方式のアフィリエイトサイトが検索結果で上位表示しやすくなるパターンが多い。
この手法自体は、ガイドラインに明らかに違反しているわけではない(現時点では)。ホスト貸し・サブディレクトリ貸しの明確な定義もない。どこまでが許されてどこからが許されないのかの線引きも存在しない。しかしながら、この件に関しては非推奨だとグーグルが忠告しているのも事実だ。かなり黒に近いグレーゾーンにあると考えるのがよさそうだ。
木村氏は、次の3つの点においてホスト貸し・サブディレクトリ貸しを勧めていない:
- ブランド棄損
- 検索順位の下落
- 検索利用への悪影響
特に、「ブランド毀損」「検索順位の下落」という直接的なリスクに関して、こうした施策を受けいれているサイト側は認識しているのだろうか。
検索順位の下落に関しては、これまでは順位が下がっても貸している部分のページだけだったかもしれない。しかし、低品質なコンテンツがサイト全体に与える影響や、グーグルの方針変更など、主サイトへの影響が今後もないとは、だれも断言できない。
もしそうしたリスクやグーグルが非推奨としていることをちゃんと説明せずに提案しているとしたら、悪質な寄生だといわれても仕方ないだろう。
とにもかくにも、ホスト貸し・サブディレクトリ貸しは好ましいやり方ではないという木村氏の主張には、ビジネスの観点からも検索のエコシステムの観点からも納得がいく。
ホスト貸し・サブディレクトリ貸しの手法を継続して問題ないのは、次の2つのどちらかの場合しかないだろう:
間借りさせる企業や商品を本当に良いものだと感じており、自社の読者に積極的に紹介したいと考えている
近い将来に、自社サイトの検索評価が下がったりブランドを毀損したりしてもいいから、短期的な売上を確保したいと考えている
さて、現在こうした手法をとっているサイトは上記のどちらなのだろうか。
この問題については、so.la(ソラ)の辻氏が詳細な説明とともに警告記事を投稿している。このコラム記事の入稿後の公開だったためここでは紹介にとどめ、次回に詳しく取り上げたい。
- 寄生サイト・サイト貸し提携 その経緯と大きなリスク(web > SEO)
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
グーグル検索SEO情報
URLにキーワードを入れるのはSEOにプラスになるのか?
絶えず出てくる質問 (John Mueller on Twitter) 海外情報
(上位表示を狙う)キーワードをURLに含めるのはSEOに効果があるか?
絶えず出てくる質問だ。
グーグルのジョン・ミューラー氏はアニメーションGIFで回答した:
— 🐄 John 🐄 (@JohnMu) December 9, 2021
つまり答は「ゼロ」だ。正確には「どのくらい重要なのか?」という質問に対する反応なので効果がゼロということではなく、重要度がゼロということになる。
別の人に対しては次のようにコメントを返している。
キーワードをURLに入れるべきかどうかについて簡潔な回答が欲しいなら、「入れるべき」と私なら答える。普通はタダだし、SEO効果はほとんどないし、ブラウザでもめったに見えない。しかしユーザーの助けになることもときどきある。「0+0+0+0.1」は「0」よりは大きい。
If you want a short answer to whether you should use "words" in URLs, I'd say yes. They're usually free, the SEO effect is mostly neutral, they're rarely visible in browsers, but they can sometimes help users.
— 🐄 John 🐄 (@JohnMu) December 21, 2021
Added up: 0+0+0+0.1 > 0
グーグルは、コンテンツを理解するためにURLを利用することもある。たとえば、次のようなURLがあったらどうだろうか:
https://example.com/how-to-make-cheesecake.html
このURLをグーグルは、チーズケーキの作り方(How to make cheesecake)を解説しているページだと理解する手がかりとして利用するかもしれない。この点で、キーワードをURLに入れれば多少なりともSEOにプラスになる可能性はある。
とはいえ、今のグーグルはURLに頼らなくてもページの内容を理解できることがほとんどだろう。単純にURLにキーワードが入っているからという理由だけで、評価を上げることはない。
一方、管理やユーザーの観点で見れば、そのページの内容を表すキーワードをURLに含めていればどんなページなのかを想起しやすくなる(ミューラー氏が指摘するように、一般ユーザーはURLを気にしないかもしれないが)。この点ではURLにキーワードを入れるのは意味がないとは言えない。
いずれにせよ、すでにコンテンツを公開したページのURLをわざわざ変える工数を使うほどの価値はないと考えてよさそうだ。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
幽霊ディレクトリはリンク評価に悪影響を与えるのか?
影響なし (TechSEO on Reddit) 海外情報
次のような質問が、Reddit(レディット)のSEO掲示板にあった:
サイトがこんな状況になっている。
https://example.com/hoge/
↑ 404エラーhttps://example.com/hoge/page1.html
↑ 正常にページを返すhttps://example.com/hoge/page2.html
↑ 正常にページを返すpage1.html や page2.html に向けてリンクが張られた場合、SEOに影響が出るだろうか?
ファイルを指定せずに https://example.com/hoge/ だけでアクセスした場合はエラーが返ってくるらしい。ページを表示しないディレクトリなので、質問者は「幽霊ディレクトリ」と呼んでいる。
ファイルを指定せずにディレクトリ(「/
(スラッシュ)」で終わるURL)にアクセスすると、一般的には、index.html
や index.php
など既定で返すようにサーバー側で設定しているファイルが返される。しかし、設定されていなかったり既定のファイルが存在しなかったりする場合は404や403などのエラーが返る。
また、昨今のCMSではURL内のパスがファイルシステムとはまったく関係なく、任意の文字列でURLエイリアス(ディレクトリ構造を含む)を指定できるものも多い。この場合も、ディレクトリ部分だけのURLエイリアスがシステムに設定されていなければ404エラーになることが多い。
こうした状況がリンクの評価に与える影響を質問者は気にかけているようだ。
グーグルのジョン・ミューラー氏は、次のようにコメントしている:
何も影響なし
リンクに限らずに、検索エンジンのクロールやインデックス、ランキングも悪い影響を及ぼすことはないと筆者から付け加えておきたい。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
ハンドルネームから実名に変えても同一人物であることをグーグルにどうやって伝えるか?
これといった方法はない (John Mueller on Twitter) 海外情報
次のような質問を、グーグルのジョン・ミューラー氏が尋ねられた:
記事でハンドルネームを数年間使っていたライターが、今は本当の名前を使いたがっています。変更すると、検索アルゴリズムに悪い情報を送ってしまうことになりますか?
ミューラー氏は次のように答えた:
ほとんどの場合、名前を書き換える以外にできることはおそらくほとんどないだろう(自分のサイト内であれば)。
規模がもっと大きいなら、可能なかぎり全体として変更が一貫性をもつように私ならするだろう。
For most cases, there's probably not much to do other than change the name (eg, if it's all on your website). For bigger cases, including legal name changes (eg, scientific literature, content/references across the web), I'd try to make things as consistent as possible.
— 🐄 John 🐄 (@JohnMu) November 30, 2021
YMYL分野のコンテンツにおいては、だれが書いたのかをグーグルは重視すると言われている。そのため、コンテンツ著者のE-A-Tを示すために実名を明かすことが推奨される。今までハンドルネームで活動していたが、本名で活動するように方針転換するケースはたしかにありそうだ。
そんなケースでは、それまでのハンドルネームの著者と今後の本名の著者が同一人物であることをグーグルに伝えたい。だが、効果的な対処方法はなさそうだ。ミューラー氏が提案したのは、ウェブに存在する古いハンドルネームをできるだけ本名に書き換えることだった。とはいえ、同一人物であるかどうかの認識はグーグル任せになってしまうだろう。
筆者が1つ思い付いたのは構造化データの利用だ。別名を意味する alternateName
プロパティを筆者なら追加する。以前まで使っていたハンドルネームを alternateName
プロパティに設定するのだ。
……
"author": {
"@type": "Person",
"name": "鈴木謙一",
"alternateName": "すずけん"
},
……
schema.orgのすべてのタイプ/プロパティをグーグルはサポートしている。もちろん、現時点でグーグルがこの指定を考慮してくれるかどうかは定かではない。とはいえ、(将来の対応を期待して)できることの1つとしてやっておいて損はないだろう。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
しごと検索の構造化データではdescriptionが超重要
求人検索に表示される説明 (グーグル 検索セントラル ブログ) 国内情報
しごと検索(求人検索)に関わる推奨事項を、検索セントラルブログが公開した。
しごと検索に求人情報を掲載するには、JobPosting
構造化データでマークアップする。ブログ記事が伝えているのは、このJobPosting
構造化データで設定する description
プロパティの重要性だ。
求人情報の説明に表示されるのは、description
プロパティに含まれるテキストだけだ。求人に関する情報を求職者に的確に届けるために、次の情報をdescription
に含めることが決定的に重要だ:
- 応募条件
- スキル
- 福利厚生
投稿で示している良い例と悪い例を日本語にすると次のような感じだ:
悪いdescriptionの例:
ソフトウェアエンジニア、ウェブアプリケーションの作成担当
良いdescriptionの例:
ソフトウェアエンジニア、ウェブアプリケーションの作成担当。必要知識はHTML、JavaScript、API、RDBMS。2年~5年ほどの経験必須。
当該記事では、こうした情報を記載する重要性を次のように説明している:
求人情報ページの効果は、
description
フィールドに少し手を加えるだけで改善されることを発見しました。
通常検索でのmeta descriptionと同様に、「求人情報を探している」人のニーズを満たす情報を適切に示すことが、応募者数を増やすために大切だということだろう。求人情報をマークアップしているサイトのウェブ担当者は、description
プロパティの設定方法についてブログ記事をよく読んでおくといい。
なお、このブログ記事は昨年11月のものだが、日本語訳の公開が12月半ばだったため今回取り上げた(内容が古くなっているわけでは全然ない)。
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