レート・比率のKPI 全17個 | KPI大全 第3章-3
レート・比率
平均指標やパーセント指標も使いやすいKPIだが、レート指標や比率指標も非常によく使われるKPIの形式である。KPIで最も広く使われるのは言わずもがな、ビジネスモデルや情報ニーズによって多種多様な「コンバージョン率」である。レート指標からは、何かのプロセスに乗った訪問者のうち、最後まで到達した人の割合がわかる。比率指標はもっと典型的で、もっと複雑だ。本書では、レート指標とパーセント指標の扱いを分けている。というのも、人々が「何々というプロセスを完了した訪問者のパーセント比率」ではなく「コンバージョン率」というように、ビジネスの中でそれぞれに一般的な扱われ方があるからである。
敢えて明記していないが、パーセント指標と同様、レート指標に関しても計算の最後に「×100」を加えて、KPIレポートの読み手にわかりやすいようにしよう。コンバージョン率が「0.03」というのと「3%」というのでは、受け取る側の印象が違うはずである。
基本的に、コンバージョン率について議論する際は、ECサイトの立場で考えるのが何かと便利である。とはいえ、あなたのサイトで直接商品を販売していないからといって、コンバージョン率に関する議論をすべて無視してしまってはもったいない。あなたのサイトにとって最も重要な行動を「コンバージョンイベント」と定め、コンバージョン率を算出しよう。コンバージョン率は、訪問者の望ましい行動を観測する最良の指標の1つなのだから、いかなるサイトであってもこのKPIを計測し、レポートし、活用することを考えるべきである。
さらに心に留めておくことは、あなたのサイトに複数のコンバージョンが期待されるのならば、以下に示すいろいろなレート指標を「それぞれのコンバージョン行動ごとに」計測するのが良い。たとえば、あなたのサイトで靴を販売する一方、そこからメールマガジン購読もできる、という場合、商品購入とメールマガジン購読の両方に関して、注文コンバージョン率と、購入者コンバージョン率を算出すべきである。
注文コンバージョン率
よく話題に上るにもかかわらず、ほとんど理解されていないKPIの典型例が、まさにこのコンバージョン率である。
- 定義
ECサイトにおける「コンバージョン率」については、多くの人々が口にするけれども、実はそれには「注文コンバージョン率」と「購入者コンバージョン率」の2種類がある。注文コンバージョン率は、オンラインで商品やサービスを販売するサイトすべてにおいて、サイト訪問を通してどれだけの注文があったかを把握する比率である。
{オーダー総数}÷{総訪問回数}={注文コンバージョン率}
繰り返すと、この指標の示すところは、サイトへの個々の訪問が購入に結びつく傾向である。
- 表現形式
注文コンバージョン率に関する最大の注意点は、購入者コンバージョン率との明確な区別であり、訪問者ベースではなく訪問回数ベースで計測していることを理解できるようにすることである。コンバージョン率は常に、購入者コンバージョン率、平均注文額、新規・リピート訪問者率などの購入に関する指標と一緒に用いられるべきである。
- 想定される結果
まだ注文コンバージョン率を測定したことがない人は、がっかりするかもしれないが、ほとんどのサイトの注文コンバージョン率は、2%~5%程度である。つまり、訪問セッションの95%~98%は、コンバージョンや購入に結びつかずに終わってしまうのである。それがインターネットの現実なのだ。
ECサイトにとって、注文コンバージョン率はトップラインのKPIであり、ほぼすべてのスタッフが追うべき指標である。この指標は、季節変動があるものの、その季節変動の幅を超えて値が変動することは、訪問者の構成やサイトデザインが変わったのでもない限り、好ましくない。
- 行動
注文コンバージョン率が急変していたら、値の上下にかかわらず、すみやかに原因を明らかにすべきである。よくある原因は、
- 見込みの少ない訪問ばかりが増えたこと
- 訪問が増えたのに、訪問者がサイトで迷ってしまい、欲しい情報にたどり着けないこと
- 実際に、訪問の数に比例して注文数が劇的に増加した(または減少した)こと
などである。
購入意思のない訪問が大半を占めてしまうのが、オンラインショップの定めである。アクセス解析というあなたの仕事のゴールは、マーケティングを最適化して一人でも多くの購入希望者を集めることであり、彼らが欲しい情報・商品を見つけるのをすばやく支援することであり、スムーズに精算ができるようにすることである。このことを常に頭においておけば、注文コンバージョン率が低すぎて改善しなければならないときに、どこに時間を割けばいいのかがわかるはずである。
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