パーセント指標のKPI 全13個 | KPI大全 第3章-2
パーセント指標
平均指標と同様、パーセント指標も、見やすく、簡単に理解できる指標である。本書で登場するパーセント指標を使うことにより、Webサイトに来訪する訪問者の分布を知ることができる。また、マーケティング、メッセージ、サイト構造における何らかの変化を反映しやすいのは、平均よりもパーセント指標の方である。新規訪問者の比率を劇的に増やしたいと思ったら、単純に、マーケティング予算を増やせばよい。購入頻度の高い購入者の比率を増やしたいと思ったら、最近購入した購入者に送るEメール広告を改善すればよい。
この章での計算を定義のとおりにやると、値は0から1の範囲になるが、それぞれの値に100をかけて、いわゆるパーセント表示(0%から100%)に直すと、よりわかりやすくなる。
新規訪問者率・リピート訪問者率
最も重要なKPIの1つであるリピート訪問者率は、ビジネスにおいて非常に重要な判断基準である。
- 定義
以下のように定義される。
{新規訪問者総数}÷{総訪問者数}={新規訪問者率}
{リピート訪問者総数}÷{総訪問者数}={リピート訪問者率}
また、新規とリピート訪問者の合計は総訪問者数と等しいため、
({新規訪問者数}+{リピート訪問者数})/{総訪問者数}=1.00
これら3つの測定値は、どんなアクセス解析ツールでも取得できる(図8)。
通常、訪問者がアクセス解析ツールの発行した固有のCookieを持っていない場合、その訪問者を新規訪問者とみなす。リピート訪問者は固有のCookieを持っており、「月別リピート訪問者」のように、時間と関連付けて表される。訪問者がCookieの削除を行うと、固有のcookieを持たないため、アクセス解析ツールは「新規」と判断する。そのため、新規訪問者率が不自然に上昇する。
- 表現形式
新規訪問者率・リピート訪問者率は、Cookie削除の影響を受けやすいため、cookieの削除による影響を含む現在の比率で値を決め、「エラー率」も示すか、または最低限、「この指標はCookieの削除に起因する誤差を含む」と明記しておくべきである。その点を除けば、この指標は基本的にはわかりやすいものである。
- 想定される結果
このKPIの扱いは、あなたがどのようなマーケティング戦略を取るかによって変わる。新規購入者獲得に重点を置いているならば、新規訪問者率がリピート訪問者率より大きいほうが良い。反対に、訪問者の維持に重きを置いているならば、リピート訪問者率の方が高くなるのが望ましい。
業種やマーケティング戦略に依存するとはいえ、リピート訪問者率の値は、常に比較的安定して推移すべきである。マーケティング予算を増やすか、既存購入者に対するアプローチをすると、この値が変化するはずである。その変化率は、あなたの施策がどのくらい効いているかを反映する。
リピート訪問者率が変化しているときは、どの要素が変化を引き起こしているのかを確認しよう。リピート訪問者が増加していると短絡的に思わず、新規訪問者が減少しているかもしれないと考えよう。この指標とともに、新規訪問者のリピート訪問者に対する比率を比較するのも有効で、何が訪問のきっかけになっているかを分析するのに役立つ。
- 行動
マーケティングやリテンション活動を特に変更していなくても、これらの値が数パーセントを超えて上下していないかどうかは継続的に計測することには価値がある。計測によって、これまで定常的な参照元となっていたものがなくなっていないか、インターネット上で新規訪問者を呼び込むような取り上げられ方をしていないかに注意しよう。
サイトを訪問する第一の入り口が、検索エンジン(Google、Yahoo!、Bing)であるという企業は多い。検索結果の表示ランキングが変わると、それが新規訪問者率にダイレクトに反映されてくることはある。リピート訪問者率が急に変化したら、まずサイトへのトラフィックレポートを変更点を意識して詳しく観察ことから始めよう。特に、検索語句や検索エンジンに焦点を当てた分析が有効だ。
新しいマーケティング・キャンペーンによる新規訪問者獲得や、メール広告・リマーケティングによるリピート訪問者増を狙う場合は、当然パーセンテージが活動に応じて変化することを期待する。明確な法則はないが、新規訪問者獲得キャンペーンが、新規訪問者率を上昇(結果的にリピート訪問者率を下降)させていない場合、そのキャンペーンのどこかに問題があるので、注意深くチェックするべきである。あなたがサイト訪問者との間に構築しようとしている関係を経営層が評価する場合、このKPIは非常に有効な指標である。
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