新規購入者率・リピート購入者率
新規購入者率・リピート購入者率
ECサイトでは、リピート購入者がどのように行動し、どのように繰り返し買うか、ということが、アクセス解析の核心部分である。このKPIが、その行動の変化を反映する、最良の指標である。
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定義
新規訪問者率・リピート訪問者率と同様、
{新規購入者総数}÷{購入者総数}={新規購入者率}
{リピート購入者総数}÷{購入者総数}={リピート購入者率}
また、新規購入者数とリピート購入者数の合計は購入者総数に等しいので、
({新規購入者数}+{リピート購入者数})/{購入者総数}=1.00
新規/リピート購入者の計測は、ブラウザのCookieに依存しないので、ユーザーがCookieを削除しても精度に影響を与えることはない。最も重要なことは、アクセス解析ツールが集計する購入者の総数と、ECシステムが集計する購入者の総数が一致することである。このことは購入者総数だけでなく、リピート購入者数の計測においても同様である(リピート購入者数は、ECシステムまたはCRMシステムを介した数値で確認できる)。
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表現形式
「リピート訪問者率」指標と並べて表示する場合は、「訪問者」と「購入者」の区別を明確にしなければならない。また、新規購入者・リピート購入者それぞれに分けた平均注文額や新規購入者・リピート購入者の収入比率との比較も有効である。
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想定される結果
新規訪問者・リピート訪問者比率と同様、このKPIもマーケティングやリマーケティングの取り組みに強く依存している。リピート購入者を増やしたいと思えば、既存購入者に対する積極的なマーケティング活動をするべきである。
ただし、すべてのECサイトが必ずしもリピート購入者を得られるとは限らない。私の書籍販売サイト“Web Analytics Demystified”に関しては、「リピート購入者」は珍しい存在で、少なくとも「2冊目」(あなたが前著を持っているなら、こうして購入して読んでいる本書がそれにあたる)が出版されるまでは、ほぼありえない存在であった。リピート購入者を想定しない、または頻度がきわめて低い場合は、この指標を観察する意味はほとんどない。
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行動
新規訪問者・リピート訪問者率と同様、新規購入者またはリピート購入者に向けた取り組みをしていれば、その施策がこの指標(あるいは利益・売り上げ)に反映されているかどうかがポイントだ。残念ながら、リピート購入者率が急激に減少しても、新規購入者の増加には直接的に結びつかないこともある。この計測値の変化は、季節変動や購入者の嗜好の変化に影響を受けやすい。つまり、リピート購入者率の減少は、購入者が競合他社に乗り換えた可能性や、あなたのサイトに購入者の買いたいものがないことを示していることもある。
繰り返すが、これらの値は、予期せぬ変化に備えて、継続的に観察することが必要である。
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この記事の筆者
この記事は、Web Analytics Demystifiedの創設者でありシニアパートナーであるエリック・T・ピーターソン氏による書籍『The Big Book of Key Performance Indicators』の日本語版です。原著作者の許諾を受けて株式会社デジタルフォレストが翻訳し、同社の開催する「Web解析マネジメント実践講座」において参考書としているコンテンツを、Web担当者Forum向けに特別に公開しているものです。
※この日本語訳版に関するお問い合わせは、デジタルフォレストまでお寄せください。
エリック・T・ピーターソン 著
株式会社デジタルフォレスト 手嶋進、入谷聡、清水昌浩 訳
Original Author: Eric T. Peterson, Senior Partner and Founder, Web Analytics Demystified