インタビュー

経営者に必要な数字がすぐに取れる。ユーザーの声から生まれたアクセス解析/オムニチュア

注目企業のネットビジネス戦略

オムニチュア株式会社
ウェブ解析ツールを中心にオンライン
ビジネスの最適化プラットフォームを提供

取材・文:柏木 恵子
写真:渡 徳博

オムニチュアは(オムニチュアの基本的な情報は記事末尾を参照)、ウェブ解析(アクセス解析)ソリューションの「Omniture SiteCatalyst(サイトカタリスト)」を中核に、補完的な複数のツール群で構成されるオンラインビジネス最適化プラットフォームをASPモデルで提供している。4月22日には、中核ソリューションである「SiteCatalyst」と、検索連動型広告の入札・出稿を管理する「Omniture SearchCenter(サーチセンター)」の日本語版最新バージョンを発表した。2006年に設立された日本法人の代表である尾辻マーカス氏に、同社の事業概要やこれからのオンラインマーケティングについて伺った。


経営者が知りたいデータを提供することで成長

オムニチュア株式会社
Japan Country Manager 尾辻マーカス氏

●編集部 オムニチュア設立の経緯について教えてください。

●尾辻 もともとは、当時大学生だったジャシュ・ジェイムズとジョン・ペスターナという2人がウェブサイト制作会社として設立し、主にエンタープライズ向けのウェブサイト制作をしていました。制作後には、そのウェブサイトの状況について質問が来るので、ありとあらゆるウェブ解析のソフトウェアをインストールしてみたのですが、取りたいデータを得ることができずお客様の質問に十分に答えられなかったのです。それで、自分たちで作ってみようというところから始まりました。

当時のウェブ解析は、ウェブサーバーのログファイルをソフトウェアで処理するといった形がメインでしたが、オムニチュアが考えたのはASPモデルでした。ログファイルではなく、JavaScriptを使って、ブラウザから実際のいろいろなデータをとって計測するものです。それが高く評価されて、ウェブサイト制作よりも解析ビジネスの方がだんだん大きくなり、最終的には解析の会社になって、今に至ったというわけです。なので、本当にお客様のニーズから生まれた会社だといってもいいと思います。

●編集部 日本法人ができたのは2006年1月ということですが、日本進出の背景は。

●尾辻 弊社が他社と大きく違うのは、最初からエンタープライズ向けのビジネスに力を入れている点で、お客様にはヒューレットパッカードやマイクロソフトといったグローバル企業が多いのです。米国では、5年くらい前から部署別や部分的に入れているウェブ解析のシステムを、会社全体の戦略的なイニシアティブとして、同一プラットフォームに統一しようという動きがあります。そのため、グローバル企業では、米国以外の拠点にも同じウェブ解析のシステムを導入するというニーズが出てきました。

そこで、多通貨対応や多言語対応というのはかねてから進めていて、日本向けというのもユーザー企業のニーズから生まれています。日本は、オムニチュアのクライアント全体の中でも最も成長している国ですし、実はCEOのジャシュ・ジェイムズはラーメンとしゃぶしゃぶが好物という大の日本好きです。そんなことからも日本法人の設立が決まりました。日本法人の仕事は主に営業とサポートです。同じウェブ解析でも、国ごとに要求されるデータが微妙に異なるので、そういうニーズを吸い上げるためにも、日本法人は必要です。

私の前職は、コンサルティング会社で働いていて、主に米国のベンチャー企業の日本進出を手伝う仕事をしていました。実はオムニチュアはお客様だったのですが、2002年にジャシュ・ジェイムズに出会い、そのときはまだ日本進出は早いという判断をしたのです。しかしその後、2004年の夏あたりから本格的に日本進出を考え、今度は社員として参加しました。当時日本に住んでいましたし、コンサルタントとして何もないところから日本の外資のビジネスを立ち上げるという経験がたくさんあったところを買われたのだと思います。

●編集部 日本は商習慣が違うとよく言われるのですが、何か感じることはありましたか。

●尾辻 欧米ではビジネス的な要件をすべて1つの書類にまとめたRFP(Request For Proposal:提案依頼書)をやりとりするという契約方法が一般的なのですが、日本ではあまりそういうことがなくて、わりと人間関係的なものに頼ったりする部分もありますね。だからこそ、弊社の社長は日本現地のスタッフがぜひ必要だと思ったのでしょう。営業戦略自体は代理店を中心としたものですが、実際にオムニチュアのスタッフがいないと、お客様の声が聞こえなくなって本当のニーズがわからなくなってきますから。

●編集部 日本のウェブマーケティングは米国より遅れていると言われていますが、実際はどうでしょうか。

●尾辻 ウェブの技術や広告の手法といったものは、日米で違いはありません。確かに多少遅れているかもしれませんが、そもそもオンラインマーケティング、特にウェブ解析という分野はまだできたばかりなので、大学で教えてもらえるわけでもありません。技術としてあまりにも急激に確立して、ほとんど誰も知らないような状況から1~2年で、誰も彼もが必死で取り組まなければならないものになってしまったわけです。だから実際にできる人というのが本当に少ない。これは日本も米国も同じです。そのため、違いといってもほんの少しの違いでしかありません。

●編集部 今ではウェブサイトがビジネスにおいて必須だということが周知されていますが、少し前までは経営者層に理解がなくて予算がとれないと言われていました。そういうことはなくなっていますか。

●尾辻 今は、よくわからなくても何かしなければという意識はお持ちのようです。また、経営層がウェブビジネスに興味を持たないのは、彼らにしてみれば意味のない数字を出すからですよね。ページビューといわれても、日本に限らず会社のトップの人間にはまったく関係のない数字です。彼らが本来知りたい指標は、売上や広告効果といった、本来のビジネスに関連する数字です。そういった数字が取れるということも、オムニチュアがエンタープライズで普及している大きな理由だと思います。

経営者が本来知りたい指標
売上や広告効果などビジネスに関連する数字が取れる

ウェブ解析を中心にオンラインビジネスを最適化

●編集部 オムニチュアのビジネスの概要について教えてください。

●尾辻 収益源としては、ソフトウェアのASP提供とコンサルティングの2つです。日本で提供しているサービスは、まずリアルタイムでウェブ解析情報を提供する「SiteCatalyst」。これはオンラインビジネス最適化プラットフォームの中核製品です。そして単一のインターフェイスから複数の検索エンジンに登録されているキーワード広告(検索連動型広告)に対して自動入札を行う「SearchCenter」、ウェブ解析データの高度な分析とセグメンテーションをリアルタイムで行うツール「Discover(ディスカバー)」といったものがあります。

その他、まだ米国のみで展開している「Test & Target」は、A/BテストやLPOといった自動最適化を行うものですが、近々日本でもリリースする予定です。他に米国のみで提供しているものとして、オンサイトにインストールする形態の解析ツールやサイト内の検索エンジン、CMSなどもあります。

SiteCatalystは最新版の提供を5月下旬から開始しますが、最近ニーズの高まっている動画効果測定の機能を追加しています。同様に、5月下旬から提供を開始するSearchCenterの最新版では、キャンペーン全体のROI(費用対効果)を最適化するために個別キーワードの入札額を自動管理、自動最適化するポートフォリオ入札機能が追加されるほか、自然検索キーワードと有料検索キーワードの効果を一覧で表示できるようになります。これによって、包括的にサーチ戦略の効果の把握や最適化が可能になります。

最近米国では、さまざまな広告の解析や最適化のツールを同一プラットフォーム上に統合するという動きが進んでいます。ばらばらのツールを使っていると取れるデータの指標が違ってしまうなどの問題があるので、統合してオンラインマーケティング全体を簡略化しようというものです。SiteCatalystは、そのプラットフォームとなります。

SearchCenterのようなキーワード広告の自動入札ツールは、オンラインビジネスをするエンドユーザー企業が利用する場合と、広告代理店が利用する場合があります。代理店向けでは、一度ログインするだけで全顧客の状況を確認し作業できるという環境が必要になりますが、SearchCenterでは、こうした機能にも対応しています。また、キーワード広告の入札は手作業で設定するため非常に面倒で、スタッフの訓練も必要でしたが、SearchCenterのようなツールを使えば自動で最適化してくれるので、スタッフは別のもっと重要な業務に時間を使うことができます。また、レポートの作成や配信といったレポーティングの部分が強いのも、SearchCenterの特徴です。

ウェブ解析のSiteCatalystを中核に据えたオムニチュアのオンラインビジネス最適化プラットフォーム

ASP型のウェブ解析でリアルタイムに状況を把握

●編集部 日本でのユーザーはどのような企業が多いですか。

●尾辻 業種や業態、規模などで特徴があるというほどではありませんが、ECサイトとメディアは多いですね。ウェブ解析というとECというイメージが強いですが、オムニチュアはメディアが多いというのは特徴でしょう。なぜかというと、たとえばニュースサイトは、今日掲載したニュースを明日分析しても遅いわけです。今日のニュースを今日解析し、今日サイトを改善しなければいけないという状況ですから、リアルタイム分析というのが非常に強く求められます。SiteCatalystはASP型ですから、ログファイル解析型と違ってリアルタイム分析が可能なのです。今は、紙に印刷された新聞を読む人よりもオンラインニュースを読む人の方が多くなってきています。メディア企業はそういう状況に置かれているので、ウェブ解析には必死です。また、新聞はお客様に届けてしまったらその後何かを解析することはできないし、もしできたとしてもそれを反映させることはできませんが、ウェブではすぐに測定ができて、その当日に最適化もできます。これに取り組むかどうかは、もはやメディアとしては死活問題だという危機感を持っているのだと思います。

ECサイト以外でウェブの重要性が高まっている業種は、他にもあります。たとえば金融業では、従来の実店舗のビジネスをいかにオンラインにシフトするかというのが大きな課題になっています。具体的にいうと、クレジットカードやローン、あるいは保険にしても、情報収集はインターネットの検索から始まります。なので、新規顧客獲得の部分に関しては、当然ウェブサイトの最適化は影響が大きい。さらに、既存顧客のサポートの部分もあります。ウェブサイトにログインして自分の口座の状況を確認したり、株式の売買を行ったりという内容ですが、オンライン化した方が圧倒的にサポートのコストが安いので、いかにすぐれたウェブサイトを作れるかが、コスト削減という意味でも重要な戦略的プロジェクトになっているはずです。サイト内の解析でサイト自体を最適化することで、これをサポートできるのです。

オムニチュアのユーザーは、楽天やぐるなびといった大きなサイトが多いですが、中小規模のユーザーもいます。小規模の企業でもうまくウェブの最適化を行うことで、大手よりも上位に検索結果や広告で表示されることもあります。

マーケターが思いついたらすぐに実行改善できる
ユーザーの声を取り入れた製品やサービスを提供

市場のトレンドを分析し、販売機会を最大限に活用

●編集部 典型的な導入事例を何か教えてください。

●尾辻 SiteCatalystとSearchCenterの両方が導入されている、ハピネット・オンラインの例をご紹介しましょう。主にホビー商品の販売をされているECサイトです。

導入されたのはSiteCatalystが先で、それまではサーバーのログファイルを分析する解析ソフトを導入していましたが、経営判断に必要な指標を取得できないという課題がありました。また、バッチ処理であるために、リアルタイムに顧客動向を把握できない状況でした。ホビー商品はトレンドの移り変わりが激しいので、それをタイムリーに把握することがビジネスにおいて非常に重要です。その他、性能面でもサーバーログが蓄積されるほどパフォーマンスが低下するという問題がありましたので、パフォーマンスを確保するためのコストが負担になります。そこで、ASP型のSiteCatalystが導入されました。導入の決め手となったのは、リアルタイムのレポーティング、売上や注文数、訪問者数、コンバージョンといった、ウェブビジネスの運営のために必要なKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)がしっかりとれるというところです。

具体的な導入効果としては、リアルタイムで検索キーワードの推移を把握し、競合よりも早く仕入れ対策を実施したというものがあります。検索エンジンから、自然検索でどういったキーワードでどれだけの人がサイトに来ているかというレポートがあるのですが、ある日のレポートでは「ハピネット」とか「ハピネットオンライン」というキーワードはもちろん、「フィギュア」とか「レゴブロック」といったものが上位になっています。それが、翌日は「くすぐりエルモ」など「エルモ」関係のキーワードが軒並み上位に入りました。前日のレポートでトップのフィギュアが1日に155件ランディングしているのに対して、エルモに関係したキーワードの一番目だけで1400件と10倍近くあり、合計では3000件以上の検索があったのです。

実はテレビでタレントが「くすぐりエルモが私のお気に入りです」といった内容の発言をしたというのが種明かしですが、理由はともかく何かあったらしいということは、レポート画面を見ればわかります。この商品は2年くらい前から販売しているもので、この発言がきっかけでブーム再燃といった状況になったのですが、ハピネット・オンラインはいち早く察知し、仕入元から商品を確保したり、ウェブ上でキャンペーンを打ったりして、大ヒット商品の販売機会を最大限活用されています。

SiteCatalystの導入が2006年で、SearchCenterは2007年に導入されました。自然検索と有料検索の両方を並べて表示することで、有料検索キーワード戦略に活用し、検索連動型広告を最適化・自動化するというものです。ちなみに、新バージョンではこのレポート表示からそのままキーワードの入札画面へ飛べるようになっています。また、人気キーワードに基づいてランディングページを最適化したり、あらかじめ設定したビジネスルールに基づいて自動で入札したりするといったことを実施し、広告費用対効果が、オーバーチュアでは53%、Googleでは20%向上しました。今年は、こういうケーススタディをもっと出していけるようにがんばりたいと思っています。

基本的には、お客様のビジネスが改善されないと、オムニチュアのビジネスは長く続きません。従来からある広告と違って、全部測定できるというのがウェブの特徴なので、導入して実際に結果がよくなったかどうかははっきりわかります。そういう意味でお客様の目も厳しいですし、我々もお客様のビジネスの改善を目標にして、毎日ツールの開発とコンサルティングサービスの提供をしている状況です。おかげさまで、業績は業界全体の倍以上の勢いで伸びています。

●編集部 SiteCatalystには、携帯電話サイト解析用のSiteCatalyst Mobileがありますが、そちらの現状はいかがでしょう。

●尾辻 PC向けサイトと同様の解析が携帯電話向けサイトで行えます。日本はモバイルインターネットの先進国なので、日本の市場で起きていることが、グローバルの携帯インターネットにおける今後の1つの可能性として捉えられていて、そこには非常に敏感になっています。すでに導入している企業もあり、そのお客様のニーズを聞きながらバージョンアップの準備を進めています。

●編集部 導入されているのは、もともとPC版のSiteCatalystを使っていたという企業が多いのでしょうか。

●尾辻 実は最近、モバイルからスタートしたいというお客様もいらっしゃいましたが、全体としてはPC版のユーザーの方が多いです。PCサイトとモバイルサイトの両方を持っているお客様も非常に多いので、両方同じインターフェイスで見ることができて、比較もできるということが強く求められていています。PCサイトとモバイルサイトを1つのビジネスとして見た場合、それぞれのパフォーマンスを並べて比較するような形で分析したいといったニーズが非常に強いです。

重要なのは解析データをもとにアクションを起こせる体制

●編集部 コンサルティングの具体的な内容はどのようなものですか。

●尾辻 ガバナンスのところ、組織をどう作っていくべきかというのが、1つ大きな課題ですね。データがあってやるべきことがわかっていても、組織的な理由でアクションがとれないというお客様は少なくありません。せっかく集めたデータをいかに活用できるかというガバナンスの部分がかなり大きいです。米国では今、コンサルティング部門にものすごく力を入れていて、120人以上のコンサルタントがいます。日本でもこれからこの部分に力を入れていきたいと思っています。

一般的なコンサルティングとしては、業界別に提供している内容が違います。ECであれば広告やトップページの最適化、ナビゲーション、ショッピングカートの最適化などですし、メディアサイトの場合は、広告スペースの量をどれくらいにするかというバランスをとるような最適化のコンサルティングもあります。基本的に、企業ごとにニーズが違うので、コンサルタントがヒアリングして、テクニカルユーザーではなくビジネスユーザーからビジネスについて詳しく伺い、内容を決めていきます。データの中で重要なポイントはどこかというのを指摘して、それに対してどうサイトを変えるべきかという提案までします。

また、レポーティングの部分もよく頼まれます。1つの会社の中にSEMの担当者、eメールマーケティングの担当者、全体を率いているCMO、それから社長まで見るケースもありますので、それぞれの方にどういったビジネスニーズがあるかをヒアリングしたうえで、SiteCatalystで最適なダッシュボードを作って自動配信を設定するといったコンサルティングもあります。企業ごと、さらには担当者ごとにダッシュボードをカスタマイズして、レポートをダッシュボードで見るようにするわけです。

●編集部 5月20日には、日本で初のOmniture Summitが開催されますが、これはどのようなものですか。

●尾辻 オムニチュアのユーザーカンファレンスで、全世界7都市で開催される世界最大規模のオンラインマーケティングイベントです。ジャシュ・ジェイムズをはじめ、オムニチュアのトップコンサルタントやユーザー、パートナー企業が、最先端のトレンドや最新事例、活用ノウハウを公開します。

●編集部 この時期に日本で開催することにしたのはなぜですか。

●尾辻 日本でも、SiteCatalystを入れて3年あるいは2年というお客様が非常に増えてきています。みなさん使いこなしているけれど、もっと次のステップにいきたい、もっといい使い方がないか、というような質問をたくさんいただくようになりました。1社1社に提供するコンサルティングとは別に、集まっていただいて一度トレーニングするという機会も必要になるでしょう。また、日本でウェブ解析、またはオンラインマーケティングのコミュニティを作るという意味でも、一番いいタイミングだと判断しています。みなで集まって、互いに情報交換あるいは名刺交換をすることで、業界全体を盛り上げていくというのも今回の目的の1つであり、お客様が望んでいることだと思っています。

●編集部 最後に、オムニチュアの今後の展開について教えてください。

●尾辻 基本的な方針は、従来どおりお客様の声を聞き、製品またはサービスを提供することによって、オンラインビジネスに貢献したいということです。だからどんどん日本のニーズを聞いて、いかに早いタイミングでローカライズしていくか、あとはそれをきちんとコンサルティングできるような人材を育てていくことができるかということです。

弊社には今、ウェブ解析のシステムとキーワード広告の自動入札のツールがあります。最近は自動入札が非常に注目されていますが、その理由は多くの人が検索連動型広告を使っているからです。ただ、もしかしたら明日、違う広告手法が出てくるかもしれない。今まさに動画やブログ、携帯電話など、新しい広告メディアが登場して発展しているところですが、今後も何か新しい技術が登場するかもしれません。オムニチュアにとっては、広告手法にしても広告媒体となる技術にしても、特定のものにこだわらないというスタンスです。お客様にとって重要になっているものを、きちんと計測して最適化できるように製品とサービスを用意する。そのためには、市場の動きをきちんと見ながら、どういう製品やサービスが必要かというのを考えて、それに基づいて展開していくだけです。

●編集部 新しい広告の手法や技術が登場したら、それにもいち早く対応するということですね。それは、米国かもしれないし、日本かもしれないと。

●尾辻 そうです。オムニチュアのプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントは、今年すでに2回日本に来ていますし、日本のお客様、日本の代理店にヒアリングをしていて、それに基づき全世界の製品ロードマップを決めています。

追加するならば、今ようやくプラットフォームという概念が一般的になってきたのですが、ウェブ解析のプラットフォームとそれぞれのアプリケーションがしっかり統合できれば、もっといろいろな解析ができるでしょう。さらに、自動化の部分にも力を入れることによって、人間は人間の得意とする分野にフォーカスし、機械が得意とする分野はなるべく機械に任せられるような製品を作っていきたいと考えています。レポートを作ったりソフトウェアをインストールしたりといったことを人間がしていると、その分、本来人間がすべき解析と戦略に使える時間がどんどん減っていきます。マーケターがそういうことにリソースを使わなくても、なるべく思いついたことがすぐに反映できるシステムを目指しています。

営業のときに「マーケターがITから解放されて、ITがマーケターから解放される」とよく言っているのですが、ウェブ解析をした結果、こう変えた方がいいということに気づいたとしても、それならIT部門にこれをやってもらおうという作業が発生していると、どうしてもそこがボトルネックになります。逆に、IT部門がやらなければいけない仕事もあるので、マーケティング部門からの新しい要求にその都度対応していると彼らも大変です。この状況をいかに改善できるか、インテリジェントマーケティングという概念があるのですが、まさしくその実現を目指しているところです。

●編集部 ありがとうございました。


オムニチュア株式会社

  • 所在地 ● 東京都渋谷区渋谷(※記事公開時点)
  • 日本法人代表 ● 尾辻マーカス
  • 設立 ● 2006年1月
  • URL ● http://www.omniture.com/jp
  • 事業内容 ●
    ウェブ解析ソリューションの「Omniture SiteCatalyst」を中核に、補完的な複数のツール群で構成されるオンラインビジネス最適化プラットフォームをASPモデルで提供し、コンサルティングも行う。複雑化するオンラインビジネスを簡素化し、インターネットの価値を最大化する仕組みを整え、企業のサイト運営やオンライン事業の活性化、収益の拡大を支援する。

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