米オムニチュア社トップが語るデータを活用したデジタル戦略の最適化とは/ad:tech tokyo 2009

アクセス解析だけではなく、データを活かした最適化の取り組みが重要だと主張。
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データを活用したデジタル戦略の最適化

ジャシュ・ジェイムズ氏/米オムニチュア社CEO兼共同創業者

ad:tech Tokyo2日目、基調講演のトリを飾るのはアクセス解析ソフト「SiteCatalyst」を有する米オムニチュア社のCEO兼共同創業者 ジャシュ・ジェイムズ氏だ。飛ぶ鳥を落とす勢いで快進撃を続ける同社の事例を交えたマーケティング戦略をお伝えする。

最後のキーノートプレゼンテーションでは、アクセス解析ツールの「SiteCatalyst」などネットマーケティング支援事業を行う米オムニチュア社のCEO兼共同創業者 ジャシュ・ジェイムズ氏が登壇。データを活用したデジタル戦略の最適化をテーマに、同社の事例を交えながらネットマーケティングの現状に関する講演を行った。

解析プラットフォームこそが利益を生み出す

ジェイムズ氏は、講演中しきりにデータの重要性を強調していた。データを蓄積することで、現状の課題のみならずユーザーの顕在的なニーズを満たすために必要な分析を行う事ができ、さらにそのデータをもとにした最適化の取り組みによって利益の最大化をもたらすことが可能になるという。

ジャシュ・ジェイムズ
米オムニチュア社のジェイムズ氏

昨今の景気状況で、広告の費用対効果がこれまで以上に求められるのはもはや避けられない状況だ。インターネット広告の市場は堅調にその規模を高めているものの、広告効果を明確化するためには、パソコンからのアクセスのみならず、モバイルやアプリケーションなどありとあらゆるデータを蓄積する必要がある。これまでは、アクセス解析ツールなどを用いてこれらのデータを解析し、サイトの手直しを行うことで改善を繰り返してきた。ただし、もっと抜本的な改善のために、同社ではユーザーの属性データなどを用いた最適化の手法を提案している。

最適化には、コンバージョンの最適化と広告投資(ROI)の最適化の大きく2つの意味をもつ。同社が解析しているデータのトランザクションは四半期ベースで数兆にものぼるが、実にこの95%のアクセスは無駄になってしまっているのが現状だという。そこで、ユーザーごとにパーソナライズ・カスタマイズされた情報を提供し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることが重要になる。集客からコンバージョン、さらにはその後の顧客維持(ロイヤルティの向上)に至るまでのすべての局面で最適化の取り組みを実施し、効率化を図っていると語る。

同社の最適化の取り組みとは具体的にはどういったものなのか。講演内で紹介されたいくつかの事例の中から特徴的なものをお伝えしたい。

  • Eメールとキーワード広告の最適化

    ECサイトが発行したメルマガを購読している読者は、気に入った商品があればメール内のリンクからサイトにアクセスして商品を購入するだろう。しかし、必ずしもそのメール内のリンクだけで到達するとは限らない。メールを受信してから30分~1時間の間に、メールのタイトルや本文内で紹介されていたテーマに関連したキーワードを検索サイトから探し出そうとするパターンが確認された。そこで、メール配信直後にキーワード広告の出稿パターンを、そのメール内で取り扱ったテーマに沿った内容に変更することで、他社への流出を防ぎ、自社商品の売上向上につなげる試みを行ったという。

  • ユーザーごとの導線の最適化

    ある投資家向けのサイトでは、ユーザーの投資活動がふるわずに対応を迫られていた。その原因の1つとして、会員登録後、ユーザーがどんなアクションを起こせばいいのかが明確ではなく、サイトの達成目標に対する導線がうまくいっていないことがあげられた。そこで、登録後のユーザーに対し、登録属性を考慮したユーザー別のトップページを別途用意した。すでに会員登録を済ませているユーザーに対して、会員登録用のコンテンツを提示させないのは言うまでもないが、ユーザーごとパーソナライズ化進めることで効果を高めていった。

◇◇◇

最後に、このようなデータに基づいた施策を行う際に考えられる障害とその解決策をたずねる場面があり、ジェイムズ氏は「解析用のツールを導入したとしても、社内でそのデータを有効に活かす人材が育たなければ何の意味ももたず、データを眠らせておくだけになってしまう」と指摘。また、「そもそもツールの導入自体が難しいケースでは、上司や担当者を説得させるために他社の成功事例を紹介することも効果的だ」と続けた。今後はツールをうまく活用することよりも、マーケティングデータを使いこなせる人材の育成が必要になっていくと、講演を締めくくった。

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