ヘイ社のオンボーディングがリモートワーク化で進化していて、3年前の私が嫉妬した
こんにちは、ヘイ株式会社(以下、hey)の"えんじぇる"こと、加藤です。
最近同じチームに新しいメンバーが増えました!私はそのメンバーの入社受け入れサポーターを担当したのですが、私が入社した3年前と比べて、「オンボーディング」の内容が格段に進化していました!
ちなみに「オンボーディング」とは、新卒社員や中途入社社員など、新しく組織に入った人に対する教育・育成プログラム(新人研修)の最近の言い方です。新しい組織に慣れて早く活躍できる人材になってもらうとともに、愛着を持って長く働いてもらうためにも、入社後のオンボーディングはとても重要な施策です。
heyには、毎月十数名の方が入社されます。その方々が入社後につまずくことなく仕事を始められるかは、会社の成長にも大きく関わる課題であることから、入社直後のオンボーディングには非常に力を入れています。
昨今DX人材の不足により、中途採用者数が10年ぶりに増えている傾向にあると、2022年4月19日付の日経新聞にもありました。
- 中途採用10年ぶり伸び DX人材底上げ、ソニーGは2割増(会員限定記事。すべて読むには会員登録が必要)
つまり、中途採用者をいかに早期に活躍できるようサポートするかは、今後多くの会社にとって重要なテーマになっていくのではないかと思います。そこで今回は、heyのオンボーディングの概要をご紹介します。少しでも参考になれば幸いです。
入社直後につまずかないためのITサポート研修
heyでは「入社日と2日目+90分」を全社受け入れの時間としていて、この間にheyのミッションやカルチャーを知るための社長からのお話や社内のルール(制度や勤怠、経理システムなどの使い方)、自己理解のためのワークショップなどがあります。
ひとつひとつ紹介したいところですが、特にオススメなのが「ITサポート研修」で、全社共通で利用しているツールのセットアップ方法と使い方を、PX部門のITサポートチームがレクチャーします(実は、この研修は私の入社時にはなかったものなので、とてもうらやましいです)。これまでそのツールを触ったことがない人でも、迷うことなく使えるようになってもらうのが狙いです。
heyでは、社内のコミュニケーションは基本的にSlackでおこないます。私自身、heyに入社してから初めてSlackを利用したため、@hereと@channelの違い、チャンネル、スレッドという概念や、メンションの使い方がわからず、とまどったことを覚えています。
また、基本的な操作方法の他に、hey社内での独自の運用ルールも教えます(たとえば、メンションは平日/休日問わずいつでもOK、極力オープンチャンネルで会話する、表示名にお休みの予定を入れておくと便利、など)。こうした社内ルールも同時に教えることで、すでにSlackになじみのある方にとっても、意義ある研修内容になっています。
入社者の受け入れを万全にするサポーター制度
チームに新しいメンバーが入社することが決まると、同じチームのメンバーから「サポーター」が選ばれます。サポーターは、新メンバーとチームの相互理解を促進するとともに、新メンバーがスタートダッシュを切って、自律的に業務を遂行できるようになるために、約1ヵ月間にわたって支援します。
サポーターの主な活用内容は、以下のとおりです。
- 受け入れプランの作成(後述)
- ウェルカムランチを開催する
- チームを巻き込んで、相互理解を促進するワークショップを主催する
- 入社者がチームメンバーに、プレゼンテーションをする機会を設定する
- 朝会や夕会など、頻繁に話せる機会を作る
上記のうち、特にオンボーディングとしての効果が高く、ぜひおすすめしたいのが、「相互理解を促進させるためのワークショップ」です。
チームビルディングを目的としたワークショップを実施することで、新メンバーとチームメンバーの双方が、仕事において何を大事にしていて、何を大事にしていないかを相互に知る機会となるので、その後の業務が進めやすくなります。
今回、私がサポーターとして実施したのは、「価値観ワークショップ(以下、価値観ワーク)」というものでした。
価値観ワークでは、数十個あるキーワード(努力、美意識、ユーモアなど)から大事なこと/大事ではないことを3つずつ選び、なぜそれを選んだのかを話します。新メンバーのことを知るだけでなく、これまで一緒に働いてきたメンバーのことも改めて知る機会にもなるので、全員にとってプラスな時間だと感じました。
今回、私がサポーターとして特に気をつけたのは、リモートワークでも気軽に質問できる、話せる環境を作ることでした。なぜなら、私自身、育休から復帰したときにはリモートワークが常態化していたため、わからないことを気軽に聞きづらいという経験があったからです。
また、入社してすぐはインプットの時間が多くなりがちで、人と話す機会が少ない状態です。そこで、頻繁に朝会を設定することで、他チームのメンバーとの交流機会を増やすことも心がけました。これも育休復帰時の自分の体験が基になっています。
何をしたらいいの? がなくなる「入社キット」と「受け入れプラン」
とにかく新しい会社に入った直後というのは、「何をしたらいいの?」「どうしたらいいの?」という疑問がたくさん出てきます。heyでは、こうしたストレスを可能な限り軽減するために「入社キット」という、チーム単位での情報集約ページを用意しています。
「入社キット」には、オンボーディングの基本情報が網羅されており、入社者は、これを見ながら社内やチームの基本情報や社内の歩き方を覚えていきます。「入社キット」の内容はチームごとに最適化されていますが、基本的な内容は以下のとおりです。
- 会社の共通ルールなど、はじめに読んでもらうガイダンスへのリンク
- 会社のことを知るための全社会議の動画や資料へのリンク
- 社員の自己紹介へのリンク
- 提供サービスの説明動画や資料へのリンク
- チームメンバーの紹介
- 会議体の説明
- ワーキングアグリーメント
- よく使うツールの一覧
- 入社時に必要な環境設定
「入社キット」と並ぶ支援施策に「受け入れプラン」があります。
「受け入れプラン」とは、入社者に必要な情報を集約したページで、入社者一人ひとりに最適化された内容となっています。これはサポーターを筆頭にチームメンバーみんなで作成します。内容は下記のようなものです。
- 「入社キット」へのリンク
- 入社週のスケジュール
- 入社週にやってもらいたいことのリスト
- 入社~3ヵ月までの仕事の進め方
必要な情報が集約された「入社キット」「受け入れプラン」を参照することで、入社者は迷うことなく、すぐにやるべき業務に取りかかれます。受け入れる側も、入社者への期待を事前に整理する機会となり、よりオンボーディングしやすくなる効果もあります。
新しいメンバーに聞いてみました! heyのオンボーディングはどうでしたか?
今回私がサポーターを担当した新メンバーのFさんに、オンボーディングはどうだったかを聞いてみました。
完全リモートでの入社のため少し不安もありましたが、どこから情報を得るのか、この先何をしていくのかを迷うことがなく、安心感がありました。
全社受け入れの時間では、ツールセットアップの他にも、heyの文化やサービスなどを幅広く学ぶため、所属部署や業務に左右されない「heyにいる上で知っておいた方がいいこと」を簡潔にインプットできました。また、チームの受け入れとして共有される入社キットと受け入れプランには、直近の予定だけでなく3ヵ月間の想定される動きと覚えるべきことが書いてあるので、今していることがなぜ必要なのかを理解したうえで業務を進めることができます。
入社キットを見てもわからないことやこんなことを聞いてもいいのかな……、と思うようなことは、えんじぇるさんとの朝会で気軽に確認ができたので、リモート環境の入社受け入れに対して不安を感じることなく過ごせました。
いいことばかりの感想ですが、「ありがたいことに事実です」と念押しもありました。会社としてオンボーディングを進化させ続けた結果だと思うと嬉しいですね。
オンボーディングも顧客視点で取り組む
今回お話ししたheyのオンボーディングは、PX部門のカルチャーディベロプメントチーム(以下、カルチャーチーム)が、体験向上の一貫として取り組んでいるものです。
カルチャーチームは、heyのミッション・ビジョン・バリューの策定や、それを浸透しやすくするための人事制度の設計、それを体験するためのオンボーディングや社内交流の促進、オフィスマネジメントなどを担っています。
カルチャーチームが、サポーターになった人向けに「サポーターになったら」というドキュメントを制作したり、前述した相互理解を促進するためのワークショップを参考として紹介したりしているおかげで、スムーズなオンボーディングが実現できています。
また、オンボーディング体験が向上したかどうかをアンケートで計測しており、その結果を基に改善を繰り返しています。顧客の声を参考にしてプロダクトを改善するのと同じように、私たちは、会社をプロダクトとみなして、社員の声によって社内施策を改善していくことで、顧客体験、すなわち「heyのメンバーの一員であるという体験」の向上を目指しています。
入社者の受け入れもまた、顧客視点が大事です。「入社直後にどのような体験があると、入社後に活躍しやすいのか」を念頭に置いてオンボーディングを実施することは、良い体験を生み出し、ひいては会社全体の活力向上に寄与することになるはずです。
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