ECサイトで売上を上げる! (前編) 回遊率を高める!閲覧開始ページ対策とSEO術
―何を解析すればいいのかわからないあなたに―
Webサイトの“見える化”&“カイゼン”講座
【実践編】
第8回 ECサイトで売上を上げる! (前編) 回遊率を高める!閲覧開始ページ対策とSEO術
たくさんのECサイトで、訪問者の巡回が十分に活発になっていない。そのため、肝心の商品詳細が見られずその魅力が伝わらず、結果的に、あまり売れない状態が続いてしまっていることも多い。データを見て、サイトを診断し、改善する方法を2回にわたって考えてみよう。
「平均ページビュー数」の持つ意味は重い
一般のサイトでも、「1人当たりの平均ページビュー数」は重要な指標だ。どんなにたくさんの訪問者が訪れても、1ページしか見ないで帰ってしまう人が多ければ、資料請求などのコンバージョンが発生しないのはもちろん、見せたい商品情報や企業情報などがまるで見られていないということになる。今のWebサイトでは、平均6ページぐらい見られているサイトが多いのだが、資料請求や商品購入を行った人に限って平均をとると、15~20ページも見ているのだ。
サイトの訪問者は、ページにあるリンクやボタンをクリックして、次へ進んでいく。今いるページから、より望ましいリンクやボタンをクリックして進んでいるはずだから、クリックして表示されるページは、「自分で選んだ、より良い情報」だということになる。次々に進めば、ますます良いページを見ていることになる。だから、企業サイトにおいて、平均ページビュー数が多いほど、訪問者は会社に信頼性を感じ、商品が好きになる傾向があるのだ。
ECサイトとなると、この傾向はさらに顕著となる。つまり、たくさんのページを見た人のほうが商品を購入する確率が高いのだ。逆に言えば、うまく訪問者がサイトを巡回できていないサイトは売れないということになる。どうすれば訪問者がもっとサイト内を巡回し、望ましい商品を見てくれるのだろうか。データを見ながらサイト内巡回を改善していく方法を考えよう。
“新規訪問者”をどのページが出迎えているか確認
ECサイトにはリピーターが多いのが普通だ。そのサイトの構成に慣れたリピーターは、企業にとってはありがたい存在だ。多少ナビゲーションが悪くても、「ここをクリックすればこの内容が出てくる」ということを理解しているので、次へ次へと、自分の見たいものを選んで進んでくれる。だから、ECサイトは多くの人が基本的なサイトの使い方を知っているので、一般の企業サイトに比べると平均ページビューが多くなる。ただ、多くのECサイトでは、逆に、“新規訪問者”をうまく誘導できず、見せたいページに誘導できていない。
こうしたサイトでは、トップページが入り口になることが多い。それもサイト名(ショップ名)で検索して訪れる人が多い。だからWeb担当者としては当然トップページに全力を傾けることになる。ところが、サイト名で検索してトップページに訪れる人はリピーターであることが多い。もちろんECサイトがリピーターを大切にするのは重要なことだが、新規訪問者をどんどん供給していかなければ、売り上げは増えないのである。新規訪問者が初回購入し、会員登録者がどんどん増えてこそ、リピーターを大切にする効果も大きくなるのだ。
新規訪問者を大切にする方法を、具体的に考えてみよう。まず、「入り口となっているページ」のデータをチェックするべきだ。Google Analyticsを使っているなら、「閲覧開始ページ」という項目名になっている。最初に訪れるページこそ、顧客との出会いの瞬間。とくに新規訪問者が多く入ってくる入り口ページを見つけたい。Google Analyticsであれば、「アドバンスセグメント」の機能を使って新規訪問者にチェックを入れれば、どのページが新規訪問者を多く集めているかをすぐに見ることができるので試していただきたい。
上位の入り口ページをチェックして、とくに上位10ページについて、しっかり把握することにしよう。1つのブラウザでアクセス解析結果を見ながら、もう1つのブラウザで実際のページを表示し、対照しながらデータを見れば考えやすくなる。上位の入り口10ページが、どんなページなのか、見ていきたい。そのページは入り口ページになると想定して作成したページだろうか? そうではなく、トップから来た人がサイト内を巡回して到達するページと想定して作成している場合には、“問題”が起こっている可能性がある。
新規訪問者を大切にする具体策1
訪問者の期待に応えるページにしよう
問題があればまず直帰率に現れるはずだ。直帰するユーザーは、検索などから初めてサイトを訪れたが、「望ましいページではない
」と感じて、1ページでサイトから出ていってしまった人。上位の入り口ページのなかに直帰率が50%を超えているページがあるとすれば、それはすぐに直さなければならない。そのページにお客さまが訪れているのだから、ファーストコンタクトで失敗していたのでは、売れるサイトになるはずがない。広告に大きなコストをかける前に、今来ているお客さまとの出会いを大切にしたいものである。
まずお店では、初めてのお客さまが訪れたときにどうするだろう? 「いらっしゃいませ」と声をかけるのではないだろうか。実際に多くの人を帰らせてしまっているページをブラウザで表示しよう。このページにいきなり訪れた人は、「“いらっしゃいませ”と歓迎されている感じがするか」という目でページを見てみるのだ。そうなっていないページが多いのではないだろうか。ナビゲーションが十分ではなかったり、大きな見出しがなくて無愛想なページが多いだろう。見出しを大きくするだけでも改善する場合があるので、すぐに手を打ちたい。
また、そのページを入り口にしている人が、どんなキーワード検索や他のサイトから訪れているのか、誘導元を確認しよう。
サイトAからのリンクで訪れた人は、そのサイトAでこのページが紹介されている文章を読んだり、バナーを見たりすることで、その内容に添った期待感を持って訪れているわけだ。リンク元のサイトでどんな表記がされているのかは重要だ。そこに無頓着では、せっかく期待して訪れた人をがっかりさせるようなページで出迎えてしまっている恐れがある。そのリンクやバナーを今後も生かしたいと思うなら、必ずその表記に従った表現を入り口ページのほうにも加える必要がある。つまり期待に応えなければいけないのだ。「クリックしたときに思っていたとおり、あるいは、それ以上のページが出てきた
」と訪問者に感じさせるページにしよう。
検索者の場合は、キーワードに期待感が込められている。こんな情報を見たい、と考えて訪れているのだから、そのキーワードがページの見出しに大きく書かれていれば「私が探していた情報が確かにここにある
」と感じやすくなる。そうすれば内容を見て、次のリンクもクリックしたいと感じるものなのだ。
コメント
私の理解能力の問題でしょうか。
意味不明~意味理解困難の業界用語が氾濫しています。出た用語を一々その場で検索して、読み続ける意欲的?執拗?な人は僅かでしょう。
しかもその業界用が理解できた後には、ECサイトの構成・加入者の損得?利益等との関連が分かりにくい。
ECサイトへの入会?勧誘手段の効果はゼロではないかと、怖れます。
ちょっと業界人から
ちょっと業界人からも強調してる部分は当たり前すぎてちょっと、んー ま 会社の宣伝なのかな。。
強調は読み流す人向けで
編集部の安田です。ご意見ありがとうございます。
この記事は「実践編」とあるように、少なくとも入門コンテンツではないので、難しい用語があるのはご容赦を。入門向けはアクセス解析“超”基礎講座、Webサイトの“見える化”&“カイゼン”講座の基本編、アクセス解析 Step by Stepなどをご覧いただければと(レベル別コンテンツへの誘導がサイト全体でうまくいってなくてすいません)。
強調部分は、どちらかというと、「ざっと眺めたときに中身がわかるように」という意図で入れています。じっくり読む気があまりない人でも、強調されているところを飛ばして見ていくと、「そういう内容が書かれているのか」とわかるためですね。
> んー ま 会社の宣伝なのかな
むー。編集コンテンツなのにこういったとらえ方をされるということは、まだまだ編集側の企画と練り込みが足りないということかもしれませんね……。精進します。
業界の現場人から
率直にいい記事と思いますよ。
わかりきったことでも実践できていないことが多い実際の現場人として、改めて襟を正す気になります。
もちろん、理論だけではなく、クリエイティブでの例などがあるとより共感できると思います。(ただ「ECサイト」という大枠な括りでは表現も難しいでしょうけど・・)
八百屋、服屋、文房具屋、饅頭屋、レコ屋など、それぞれ見せ方売り方が違うと思うので、そろそろ一般論としてのEC記事ではなく、もっと絞り込んだカテゴリのECサイトの考察記事があっても面白いだろうなと思います。
本当に「モノを売っている人」の声が聞きたいです。
勝手ばかり言って失礼いたしました。